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目標を立てても、途中で挫折してしまうことってよくありますよね?
特に、1年のはじめに、大きなゴールを掲げますが、継続するのは難しい。今回紹介するトークによれば、実際に目標を達成できるのは、たった6%の人だけだそうです。
そんな6%の人たちが実践している成功の秘訣を教えてくれるTEDトーク、Secrets of the 6%: How to Achieve Your Goals in Business and Life (6%の人たちの秘密:仕事や人生でゴールを達成する方法)を紹介します。
スピーカーは、変化のエキスパート、Dr. Michelle Rozen(ミシェル・ローゼン)博士です。
ローゼン博士は、脳が変化を嫌い、現状維持を好むことを説明し、その対策として3つの重要なポイントを提案しています。
6%の人になるには?
収録は2024年1月、動画の長さは12分。動画のあとに抄訳を書きます。
ローゼンさん自身がとても元気ですね。
シンプルな構成でとてもわかりやすいプレゼンです。
やり遂げたいことがあるのに
ここにお集まりの皆さんや、自宅でこのトークをごらんの皆さんの多くは、人生でどうしてもやりたいことがありますよね。すごく成し遂げたいけれど、途中でやめてしまいます。
それは、皆さんにとってとても重要なこと。健康やフィットネス、メンタルヘルス、お金、大事な人たちとの人間関係、ビジネス、キャリアなどで、どうしてもやりたいことだけど、なかなかできないこと。
去年、私は人生で何かを変えたいと思っていたアメリカの人、1000人を調べました。
それは年の初めで、みな、今年こそ、これをする、もっとジムに行く、お金を貯める、もっとお金を稼ぐ、ビジネスを大きくする、もっと幸せになる、自信を持つ、いい関係を築くと言いました。
私は彼らの1月から6月の様子を調べ、大きな決意が時間の経過とともにどうなるか見てみることにしたんです。
その結果にびっくりしました。1000人のうち、94%の人が年頭に誓ったことを2月にはやめていたんです。
このトークでは、残りの6%の人の秘密を紹介します。
6%の人は、大多数の人たちと何が違ったのでしょう?
主導権を握れ
6%の人は主導権を握りました。
何かをこれまでとは違うようにすることを決心していたのです。
脳は、その日を生きるためだけに、体の20%のエネルギーを使っています。
今日どう過ごしたか考えてください。朝起きて、SNSを見て、ニュースを読み、メールに返信し、誰かと話し、いつもと同じような朝食、そして昼食を食べ、ジムに行ったり、行かなかったりし、周囲の人と似たような会話をしたのではないですか。
いつもやっていることを、いつものように行うことだけに、体のエネルギーの20%が使われるのです。
脳にいつもと違ったこと、新しい技術、新しいやり方、新しい運動、新しいビジネスの仕方、新しい時間の使い方などをさせようとすると、脳は嫌がります。
「冗談でしょ? もう20%使っちゃてるもんね」と。
だから、脳は毎日私たちに取引を持ちかけるんです。
脳のオファー
「あのね、あなた幸せになりたいんだよね、成功したいんだよね、いい気分になりたいんだよね。夢の生活をしたいんだよね。
それはいいことだと思うよ。でも、僕はエネルギーを温存しときたいんだ。毎日滞りなく暮らせるようがんばるから、エネルギーは温存させといてほしいんだ。この契約にサインしてくれる?」
94%の人は、脳が差し出す契約書をよく読まずにサインしてしまいます。でも、6%の人たちは、何か違うことをすることにコミットするんです。
具体化の法則
6%の人たちが違うやり方をする2つ目のポイントは、私が、『具体化の法則(the law of specification)』と呼んでいる行動です。
目標を決めて、それを実行するとき、より具体的で、細かな方法を考えて取り組むほどうまくいきます。
94%の人は、「今年はジムにたくさん行って、健康になる」と言います。
しかし、6%の人は、「毎日、朝の7時から8時にジムに行き、このワークアウトをする。ルーティンを決める。目覚まし時計を30分、早くセットして、ジムで着る服はベッドの横に置いておく。もしジムに行けなかったら翌日、ペナルティとして30分余分に運動をする」というように細かく決めるんです。
具体化の法則を使う6%の人たちは、100%成功します。
具体的であればあるほど、より成功できるのです。
ゼロから10のルール
6%の人たちの秘密の3つ目は、私が『ゼロから10のルール( the zero to ten rule)』と呼んでいるものです。
私たちは忙しさを美化する世界に住んでいます。
誰もが忙しく、「すごく忙しい。1日中走り回っていて、ランチも食べなかった」と、さも重要な人であるかのように話します。
忙しさは、その人の重要さや成功の証(あかし)だと思われています。
6%の人たちは、この忙しい社会で、違うことをします。
この人たちだって、毎日、たくさんのことをしなければならないことは知っていますが、すべてをやることはできません。全部やろうとすると燃え尽きます。
その日、やることの中で、重要度の低いタスクもあります。それは、ゼロ、1、2のタスク。そういうタスクは、誰かに頼んだり、他の日に回すこともできます。
一方、日々の予定の中には、重要度が10のものもあります。それらはとても大切なことであり、目標とすべきもの。皆さんを、望む未来や成功に近づけてくれるタスクです。
94%の人たちは、毎日走り回って、ゼロ、1、2,3のタスクをしています。10のタスクまでたどり着けません。
6%の人たちは、最初に、10のタスクをします。その日の、10のタスクが何なのか、ちゃんとわかっています。もしかしたら、10のタスクしかやらないかもしれません。
忙しく走り回ることが、進歩だと思ってはいけません。
ゼロから10のルールを使って、いつも10にフォーカスするからこそ、前進できます。
1度にひとつのことをする
人生に変化を起こすことは、多くの人にとってとても恐ろしいことです。
年が開けると、人はやりたいことをたくさんリストアップして、「今年はこんな変化を起こす!」と言います。
すると、脳は圧倒されてしまいます。脳が新しいことをするのに、どれだけ努力を必要とするか、考えてください。
でも、難しいことではありません。自分にとって10のものをひとつ選んでください。
そして、具体化の法則を使い、詳細な行動に落とし込みましょう。それを何度も繰り返します。1ヶ月、ひとつのことだけにフォーカスしてください。
脳に新しい神経回路を作り、その新しい癖を自動的にできるようになるまで、30日かかります。
だから、1度に、5つも、6つも始めないでください。
1つだけ選んでください。最初は小さくて単純なことから始めましょう。そうすればうまくいきます。
うまくいったら、次の30日で、また別のことをすればいいんです。すると、2つのことを変えることができます。
1年の間に、たくさんのことに興奮して、すぐに全部を放棄してしまうのではなく、30日かけてひとつのことをやりましょう。
すると、1年間に、ふたつ途中でやめたとしても、10もの変化を起こすことができます。
これを、2年目、3年目もしたらどうなるでしょう?
ひとつずつ自動的にできるようになるので、脳は圧倒されません。
この方法を知っていれば、6%の人になれ、人生を変えられるのです。
燃え尽きないために
ゼロから10のルールについて、もうひとつお伝えしたいことがあります。
すべてをやり遂げようとするのではなく、一番重要なことに集中すれば、燃え尽き症候群を防ぐことができます。
多くの人が、全部やろうとして、燃え尽きています。
すべてをやる必要はありません。一番重要なことにフォーカスし、具体的な行動にして、1度にひとつずつ習慣を変えましょう。
最後に
皆さんの、6%の人になる能力や人生を変える能力を信じています。
皆さんが望むすべてのものを手に入れてください。
6%クラブ(The 6% Club)へようこそ。
//// 抄訳ここまで /////
ゴールを達成するのに役立つほかのプレゼン
もう自己啓発本を読む必要なし~成功するため8つの秘密とは?(TED)
自制心を高めるにはどうしたらいいか?~よい習慣を築く5つのシンプルなルール(TED)
言い訳を作り出してしまう私たち:あなたに夢の仕事ができない理由(TED)
他にもたくさんあります。
Rozenさんの著書です。
同じタイトルのポッドキャストもあるので興味のある人は聞いてみてください。
最初は少しだけがんばってみる
決めたことを継続できる人たちは
・主導権を握る
・目標を具体的な行動に落とし込む
・重要なことからやる
こんなことを意識しています。
このうちの、「主導権を握る(take charge)」ですが、自動的な行動だけをするのではなく、新しい行動をするために、積極的に変化を起こすことです。
脳任せ(という言い方も変ですが)にしていると、いつもと同じようなことをしているうちに1日が終わってしまうので、新しい習慣が身につくまで、少し努力が必要です。
たとえば、断捨離ならば、
脳に全面的に任せた場合:家の中にものがあふれていて、断捨離したいと思っているものの、毎日忙しくて何も行動しない。
主導権を握った場合:「毎朝15分だけいらないものを捨てる」とか、「毎週土曜日の午後にクローゼットからいらない服を出す」といった具体的な目標を決め、その目標を忘れないようにリマインダーを用意し、家族にも宣言して実践する。言い訳をしない。
こんな形になります。
モチベーションだけに頼ると、うまくいかないので、断捨離をしやすい環境を整えるといいでしょう。
考えてみると、何かを継続する秘訣はシンプルなんです。
成功の鍵は欲張らないことだと思います。
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このトークは、今年の1月に行われました。
年頭に聞くのにふさわしいスピーチですが、月にひとつずつ変えていくのですから、1年中、いつでも使えます。