ページに広告が含まれることがあります。
家を片付けたい読者の相談にアドバイスします。
ずっと散らかっているので片付け始めたけれど、思い出の品で止まっているそうです。
では、まずメールをシェアしますね。黒猫さんからいただきました。
なかなか片付かない
いつもブログを読ませていただいています。
私は今66歳で、夫と二人暮らしの主婦です。子どもは独立し、もう家を出て何年もたちます。
昔から片付けがあまり得意ではなく、そのうちやろうと思っているうちに、押し入れも棚も引き出しもパンパンになりました。
最近、終活や持たない暮らしという言葉をよく目にするようになり、私も少しずつ片付け始めました。
本や雑誌はだいぶ手放せたのですが、どうしても処分できないものがあります。
それは、娘が小さいころに使っていたノートやクレヨン、ぬいぐるみ、工作などの古いものです。
さらに、自分が若いころに描いたスケッチブックや、趣味で集めていたレターセットや包装紙もあります(しまいっぱなしで、全然見ていません。もしかしたらもう茶色くなっているかもしれません)。
見ると懐かしくなり、「これはまだ持っていてもいいかな」と思ってしまうのです。
でも、正直に言うと、いつか使うかもと思って取っておいたものも、結局ずっと使わないまま何十年も過ぎてしまいました。
ものに罪はありませんが、私はいまだに過去にとどまっているような気がして、時々苦しくなります。
片付けたい気持ちはあるんですけど。
筆子さんは、こういった思い出の品について、どう考えていらっしゃいますか?
手放すための気持ちの整理や、考え方のヒントがあれば、ぜひ教えていただきたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
黒猫さん、はじめまして。お便りありがとうございます。
いつもブログを読んでいただき、とてもうれしいです。
黒猫さんは私と同じ年ですね。
私は思い出の品をあまり持たないタイプですが、昔のものを捨てられないという読者の方はたくさんいるので、黒猫さんが、古いものを手放しにくい気持ちはよくわかります。
ただ、どんなに美しく豊かな思い出があったとしても、すべてそれは自分の心(脳の中)にあるので、思い出の品をたくさん持つ必要はないと考えています。
一番大事なのは、今の生活ですから、今、暮らしにくさを感じているなら、古いものをちょっと捨てるのは悪いことではありません。
以下のように進めてはどうでしょうか?
捨てられない理由を整理する
黒猫さんは、ものそのものが捨てられないというより、思い出が捨てられない気持ちが強いのだと思います。
思い出の品は、ふつうのものより、思い入れを強く持ってしまうことが多いので、捨てる作業をする前に、感情を整理するといいかもしれません。
まず、なぜ捨てられないのか、考えてみてください。
- 思い出までなくなってしまいそうだから
娘さんのぬいぐるみやスケッチブックを見ると、楽しかった頃の情景や感情がよみがえってくると思います。ものを手放すと、そうした体験を失うと感じてしまうのかもしれません。でも実際は、ものを捨てても思い出は消えません。特に、お子さんに関する思い出は、何もなくても、ずっと心の中に残ります。 - 自分の人生の一部を否定するように感じるから
昔描いたスケッチ、自分が夢中になって集めたもの。それらは過去の黒猫さんが大切にしていたものです。そうしたものを捨てるのは、昔の自分を裏切るような気がするかもしれません。 - 家族の関係がなくなりそうな気がするから
子どもが家にいたころを思い出させるものや、家族で過ごした時間の名残を手放すと、母親としての役割も終わってしまう気がして、寂しいのかもしれません。 - 罪悪感
黒猫さんは、「ものに罪はないけれど」とお便りに書いていました。きっと、それぞれのものを大事にしてきたのでしょう。だから、そうしたものを捨てることに罪悪感があるかもしれません。
こうした感情をもつのはごく自然なことで、べつに悪いわけではありません。それは、黒猫さんがこれまで真面目に暮らしてきた証とも言えます。
ただ、ここで少しだけ視点を変えてみてください。
思い出の品を捨てると手に入るものがあることを考えてほしいのです。
思い出の品を手放すと得られるもの
ものを捨てるとき、失うものばかりに目が行きますが、実は得られるものもあります。
あらたに手に入るものについて考えてみましょう。
たとえば、以下のようなものを得られます。
- 解放感
「ずっと持っていたけれど、もう役目は終わったのかも」。そんなふうに考えて手放すと、肩の荷が下りてほっとします。 - 成長の実感
長年持て余しながら持っていたものを処分できると、よりよい暮らしをするために、前に進んでいる実感を得られます。過去に感謝しつつも、今と未来を充実させる方向に進むのはひとつの成長です。 - 自信がつく
長年手放せなかったものに決着をつけられたという事実が、自分への信頼につながります。セルフイメージもよくなるでしょう。 - 部屋が使いやすくなる
押し入れや棚にスペースができるので、探しものが減り、掃除がしやすくなります。ものに振り回されない生活は、思っている以上に快適です。 - 残したものをもっと大切にできる
思い出の品をすべて残すのではなく、本当に手元に置くものをしぼりこめば、残したものに対する思いが深くなり、より大事にできます。
このように、捨てるメリットにも目を向けてみると、捨てられない状況から抜け出すことができます。
思い出の品を手放す4つのステップ
ある程度気持ちの整理ができたら、実際に捨てましょう。
以下の手順で、思い出の品とひとつずつ向き合って、ゆっくり進めてください。
- 捨てたいものを引っ張り出す
もう捨てようと思っているものを、しまい込んだ場所から出します。 - ひとつずつ捨てていく
いきなり全部ではなく、ひとつずつ向き合って、捨てていきます。 - 必要なら写真を撮る
捨てにくいものは、写真を1枚撮っておくと、思い出すきっかけが残るので、捨てる不安が和らぎます。 - 「ありがとう」と言って手放す
ものすごく愛着があるものは、心の中で「ありがとう」と言ってけじめをつけると手放しやすいです。
最初は、捨てるのに抵抗があると思いますが、少しずつ捨てているうちに、思い出品に対するこだわりが薄れていきます。
1日15分ぐらい、思い出品を捨てる時間を取ってやってみてください。
捨てる作業に入ったあとも、感情の整理は続けてくださいね。ノートに気持ちを書き出す方法がいいと思います。
思い出の品を捨てる関連記事もどうぞ
過去記事でも、思い出の品を捨てるコツをいくつか書いているので、行き詰まったら、読んでください。
思い出はどう残す? 手放す vs. 記録する、それぞれの方法
使わずに置いておくのはもったいない! 思い出品を活用する7つの方法。
もう手元にない思い出の文集がとても気になっています。どうしたらこの執着を捨てられますか?
おわりに:過去を大事にしたいからこそ手放す
思い出の品を手放すことは、過去を失うことではありません。
大切にしてきたできごとにいったん区切りをつけて、今の自分に合ったやり方で、思い出を大事にする行為だと思います。
実際問題として、私たちは忙しいので、日常使うものの管理だけでも大変です。
だから、多くの思い出の品はずっとしまいっぱなしになり、ふだんは全く顧みられません。日の目を見るのは、引っ越しやリフォームのときぐらい。
全く手つかずの思い出の品が、遺品整理の際にそのまま捨てられてしまうこともよくあります。
思い出品と対面するのを、ずっとあとまで待つ必要はありません。
今日、思い出の品が入った箱をあけて、ひとつだけでも向き合ってください。
そして思い出に文字通り片を付けていきましょう。