深呼吸している人

TEDの動画

マインドフルネスのパワー:いつもやっていることが育つ(TED)

ストレスが多い人、大きな悩みのある人、変わりたいと思っている人の参考になるTEDトークを紹介します。

タイトルは、The Power of Mindfulness:What You Practice Grows Stronger(マインドフルネスのパワー:実践していることが育っていく)。

プレゼンターは、心理学者でマインドフルネスの専門家、ショウナ・シャピロ(Shauna Shapiro)さんです。

マインドフルネスとは、今、この時に意識を向けることです。



マインドフルネスのパワー:TEDの説明

How do we change? In this pioneering talk, Dr. Shauna Shapiro draws on modern neuroscience and ancient wisdom to demonstrate how mindfulness can help us make positive changes in our brains and our lives.

どうしたら私たちは変わるでしょうか?

この先駆的なプレゼンで、ショウナ・シャピロ博士は、近代的な脳神経学と古くからある知恵を用いて、マインドフルネスが、私たちの脳と人生にポジティブな変化をもたらす助けになることを伝えます。

プレゼンの長さは13分45秒。英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に





誰でも変わることができる

ラッシュアワーのとき冷静でいられたり、隣人が素敵な場所に旅行するのを知り、嫉妬しないでいられたり、周囲の人を皆、愛して、どこにいても幸せを感じられる。

そんなことができるのは犬ぐらいです。

私たちは、こういう非現実的な「完璧というスタンダード」をもうけて、そうできない自分をジャッジします。

重要なのは、私たちは完璧になるようにはできていないということです。完璧になるなんて不可能です。しかし、変わること(transformation)はできます。

変わるためにもっとも効果的なツールの1つがマインドフルネスです。

マインドフルネスとの出会い

私は思いがけないできごとから、マインドフルネスを知ることになりました。

17歳のとき、脊椎(せきつい)を固定する手術を受けました。脊椎に金属の棒を埋め込んだのです。

健康でアクティブなティーンエイジャーだった私が、病院のベッドに横たわり、歩けなくなりました。

リハビリテーションの数ヶ月、変わってしまった自分の身体で、今後どう生きていくか考えることになりました。

痛みがひどかったのですが、もっとつらかったのは、心の中で感じていた恐怖と孤独感です。

どうしていいかわからず、いろいろ調べた結果、タイの僧院で瞑想をすることになりました。

僧院には英語をしゃべる人がいませんでしたが、マインドフルネスは、いま、この瞬間に意識を向けることらしいとわかりました。吸って、吐く、この呼吸に意識を向けることを教えられました。

やってみましたが、すぐに気が散りました。どんなにがんばっても、いまに意識を向けることができず、失望しました。

いま、この瞬間にいることはそんなに簡単ではないのです。みなさんもそうじゃないでしょうか?

このトークを始めて3分ほどですが、べつのことを考えていませんか?

どんな人も気が散ります。ハーバード大学のリサーチによれば、人は全時間の47%は、ほかごと考えているそうです。

半分ほどの時間、私たちはここにいないわけです。

いま、ここにいることを学ぶ

マインドフルネスは、いま、ここにいることを学ぶことです。

一緒に練習してみましょう。目を閉じて、床についてる足を感じ、つま先を動かし、全身を感じてください。

顔やあごをリラックスさせます。そして呼吸に意識を向けます。吸って、吐くという自然なリズムを感じます。深く吸って、はいて、目を開けます。

これを僧院でやろうとしていましたが、どうしてもうまくいかず、自分自身をジャッジし始めました。

「いったいどうしたの? ちゃんとできないなんて。そもそも、なぜ、こんなところにいるの? あなたはニセモノよ」。

自分をジャッジするだけでなく、周囲の人の批判も始めました。僧侶のことまで。「なぜ、みんなただここに座っているの? ほかにやることはないの?」

幸い、英語をしゃべる僧侶がロンドンからやってきたので、私は自分がうまくできない話を彼にしました。

「おやおや、きみは、マインドフルネスを実践せず、批判することや、イライラすること、不満を感じることを実践していますね」。

実践していることが強化される

それから彼は、その後の人生で、私が忘れることのない5つの言葉を言いました。「練習していることがどんどん育ちます。(What we practice grows stronger)」

いつもやっていることは、どんどん強化されます。これは、現在、神経可塑性(neuroplasticity)としてわかっています。

いつも繰り返し経験していることが脳を形作ります。繰り返し練習することによって、神経細胞のつながりを変えたり、強化できたりするのです。

ロンドンのタクシーの運転手に関する有名な研究があります。彼らの脳は、視覚や空間を認知する部分が大きいのです。1日中、ロンドンの2万5千の通りを走っていますから。

瞑想をする人の脳を見てみると、注意や学び、思いやりを司る部分が大きく、強力です。

何度も同じことを繰り返すと、新しいニューロンが成長することは、cortical thickening (皮質が厚くなること)と呼ばれます。

批判しながら瞑想していると、批判したり、不満を感じながら瞑想したり、イライラすることを強化してしまうと、僧侶に言われました。

愛情をこめて意識を向ける

さらに、マインドフルネスは、単に意識を向けることではなく、やさしさをもって意識を向けることが重要だと教えられました。

愛情のこもった腕で、何もかも喜んで迎えることが重要だと彼は言いました。たとえそれが、私たちの、不完全で問題だらけの部分であっても、迎え入れるのです。

この僧侶にもう1つ教えられたことがあります。私たちは、瞑想しているときだけでなく、いつも、この瞬間、瞬間、実践(練習)をしているのだと。

つまり、この瞬間、何かを育てているのです。

すると、問題は、自分が何を育てたいか、何を練習したいかになります。

タイから戻ったあとも、マインドフルネスを実践したいし、科学的に理解したいと思いました。

だから私は博士課程をとり、教授になり、20年間、いろいろな人たちを対象に、マインドフルネスの効果を研究してきました。

PTSDに苦しむ復員兵、不眠症の患者、乳がんを患う女性、ストレスの多い大学生、トップレベルのビジネスマンなど。

知っておくべき2つのこと

そうやって集めたデータから2つのことがわかりました。

1.マインドフルネスは効果がある

マインドフルネスの実践は、私たちのためになります。

免疫系が強化され、ストレスが減り、コルチゾール(ストレスホルモン)が減り、眠りの質があがります。

私たちがはじめてリサーチ結果を発表した1998年には、ほんの一握りの研究しかありませんでしたが、今は、マインドフルネスが有益だという何千ものリサーチ結果が出ています。

2.自分はだめだという恥の気持ちは害がある

どんなバックグラウンドの人も、自分は充分ではない、よくない、ちゃんと暮らしていないと、と感じることはありますが、その恥の気持ちから、自分を叱咤激励して、なんとかよくなろうもがいても、うまくいきません。

恥の気持ちを感じると、成長や学びにかかわる脳の部分が停止します。

自分を恥じると、へんとう体からストレスホルモンが出て、学びにかかわる分野の機能を止め、サバイバルを助けるリソースを送り込むのをやめます。

恥を感じると、変わるための行動に使う

エネルギーを奪ってしまうのです。さらに悪いのは、恥を感じると、それをなかったことにしようとすることです。

本当はそこに意識を向けるべきなのに、隠してしまうのです。

ではどうしたらいいのでしょうか?

やさしく意識を向ける(カインド・アテンション)

やさしく意識を向けます(Kind attention)。

やさしさがあれば、自分が見たくない自分自身の部分に目を向ける勇気が出ます。

それに、やさしい気持ちになるとドーパミンが出て、脳の、学びにかかわる部分が活性化し、変わるために、リソースを使うようになれます。

本当の、長続きする変化をとげるためには、やさしく意識を向けることが必要なのです。

マインドフルネスとは、ただ意識を向けるのではなく、やさしく意識を向けることです。

このやさしさは、「あったらいいわよね」といったおまけではなく、マインドフルネスの実践に不可欠です。しかも、見落とされがちです。

私は同僚と、態度、意識、意図を合わせて、やさしい意識を向けるマインドフルネスのモデルを開発し、復員兵を助けるセッションで使ってみました。

闘いの現場で命を落とすより、自殺してしまう復員兵が多いのです。彼らは、大きな傷みと恥を感じています。

復員兵とのセッション

あるセッションで、2ヶ月全くしゃべらない男性がいました。目もあげません。

ある日、彼が手をあげて、こう言いました。「僕はよくなりたいとは思わない。戦争で見たことや、自分がしたことを考えると、自分にはよくなる価値なんてないから」。

それから彼は下を見ながら、自分の見てきたことや、してきたことを語りました。それはとても怖ろしいできごとだったし、彼の恥の気持ちが部屋中を包みました。

ほかの復員兵の表情を見ると、皆、批判的ではなく、思いやり(compassion)と、やさしさを見せていました。

話をしていた男性が、ゆっくり、皆の様子を見たあと、彼の表情はやわらかくなり、瞳には希望の光が見えました。

過去のできごとが彼という人間を作っているのではなく、いま、違うことを選択できる、つまり変わることができる可能性が見えたのです。

これが私の学んだもっとも大切なことの1つです。

誰でも変わることができるのです。どんなことがあっても、やさしく意識を向けることができれば。必要なのは恥ではありません。

やさしく意識を向けることができるようになるには、たくさんの練習が必要です。

カインドアテンションの実践

ごく単純な練習を続けたことが私を助けた体験をお話します。

数年前、私は、苦しい離婚をしました。毎朝、起きるたびに、胃の中に恥の気持ちを感じました。

そんな私に、瞑想の先生が、やさしく意識を向ける練習をするように言いました。

「毎日、ショウナ、あなたが大好きよ(I love you, Shauna)と言ってみたらどう?」

「とんでもない、そんなのわざとらしすぎる」と思いました。

私がためらっているので、先生は、「それなら、おはよう、ショウナ(Good morning, Shauna) と言うのはどう? 自分の胸(心臓)に手をあてて言うようにしてね。そうすると、オキシトシンが出るから。それって、メリットがあるでしょ?」

先生は科学的な裏付けがあれば、私を説得できるとわかっていました。

そこで、翌朝、胸に手をあて、ひと呼吸してから、「おはよう、ショウナ」と言ってみました。ちょっといい気分でした。

そのまま、毎日続けて、1ヶ月後、先生に助けになったことを認めました。

実践を続けると変わってきた

「すばらしいわ。卒業ね。じゃあ、一歩進めて、今度は、おはよう、あなたが大好きよ、ショウナ(Good morning, I love you, Shauna)と言って」。

そこで翌日、胸に手をあて、「おはよう、あなたが大好きよ、ショウナ」と言ってみました。ちょっとばかみたいと思ったほかは、愛情も何も感じませんでした。

でも、実践を続けました。続けることが強化されますからね。

ある日、胸に手をあて、呼吸をして、「おはよう、あなたが大好きよ、ショウナ」と言ったら、感じたのです。

祖母の愛や、母の愛、そして自分に対する愛(self-love、セルフラブ)を。

その日から毎日、セルフラブの泡に包まれて、恥を感じることも、自分を批判することもない、と言えたらいいのですが、現実はそうではありません。

ですが、自分へのやさしい気持ちは、毎日、成長しています。

だから、皆さんも、明日、胸に手をあてて、「おはよう」と言ってみてください。勇気があれば、「おはよう、あなたが大好きよ」と。

//// 抄訳ここまで ////

単語の説明など

spinal fusion  脊椎固定術

sculpt  ~に形作る、~を彫刻する

PTSD Post Traumatic Stress Disorder、 心的外傷後ストレス障害

amygdala  へんとう体

norepinephrine  ノルエピネフリン=ノルアドレナリン ストレスを感じたとき脳内で放出される物質

contrived  不自然な、わざとらしい

oxytocin  オキシトシン 出産のとき、子宮の収縮を促すホルモン。キスやハグをしても出る物質で、人との絆を深めます。別名、愛情ホルモン。

ショウナ・シャピロさんの本です。

こちらは来年(2020年)の1月28日に発売されます。

マインドフルネス・セルフラブに関するほかのプレゼン

マインドフルネスはどんなふうに私たちを変えるのか?(TED)

暮らしにマインドフルネスを取り入れてより自由になる(TED)

悪い習慣を断ち切る簡単な方法(TED)マインドフルネストレーニングのすすめ。

自分を知り、自分を大事にするすすめ(TED)

人は何度でも再出発できる。はみ出し者であることの美しさ(TED)

もっと自分を好きになろう。ラディカル・セルフ・ラブのすすめ(TED)。

セルフコンパッション(自分にやさしくする)の実践で人生を変える(TED)

深く悩まないための2つの方法

マインドフルネスに関しては、過去に何本か記事を書いていますが、改めて紹介したのは、これを実践すると、悩んで苦しむことが少なくなるだろうと思ったからです。

先週、悩み相談のメールに2つ回答しました。

足の踏み場もない部屋をなんとか片付ける方法。

考えたくないことを考えるのをやめる方法。

2人とも、次の2つのことをやると、問題を解決するいとぐちが見つかるんじゃないでしょうか?

1.自分の気持ちを紙に書く

具体的にはモーニングページや日記。

ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ

日記を書くことは心の断捨離に効果的。10年日記を使っています

2.マインドフルネスの実践

気持ちがざわついたり、自己嫌悪を感じたら、呼吸に意識を向ける。余力があれば瞑想する。

『必要なのは10分間の瞑想だけ』~物より心が大切です(TED)

過去や未来について悩まず、いまに意識を向けて、いまの行動を変えていく。

~~~~

シャピロさんは、いつもやっていることが、強化されると言っていますが、これは考え方のクセや、できごとに対する反応の仕方にも言えます。

いつも、何かを悲観していたり、イライラしていたり、不満いっぱいで生きていたり、周囲に振り回されていたり、他人をジャッジしたり、おとしめたりすることにエネルギーを注いでいると、そういうことしかできない自分になると思います。

この負のサイクルを断ち切るために、紙に考えを書くことと、マインドフルネスは効果的です。

自分に対して愛情や思いやりが足りないと思う方は、自分のいやな部分も受け入れる練習をするといいでしょう。

自分を責めても何も生まれません。





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