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シンプルライフには、時間やお金の余裕が必要だと思っている人がたくさんいます。
でも実際は、リソースに余裕がなくても、シンプルに暮らすことはできます。また、余裕がない人にこそ、シンプルに暮らしたほうが楽になります。
「シンプルに暮らしたいんです。でも、今の私にはムリかなって思います」
こうした声を、私はこれまで何度も聞きました。理由はさまざまですが、「お金がない」「子どもがまだ小さい」「家が狭い」「仕事が忙しすぎる」など、共通しているのは、今の暮らしには余裕がないという状況です。
シンプルライフという言葉には、どこか「ゆとりがある人の理想の暮らし」というイメージがつきまといます。
ですが、シンプルライフは余裕がある人だけの特権ではありません。今ある条件の中でも、考え方次第でシンプルに暮らすことは十分可能です。
「余裕がある人だけができる」と思ってしまう理由
シンプルライフと聞いて、あなたはどんな暮らしを思い浮かべますか?
白を基調にした明るく広々とした部屋。朝はゆっくりコーヒーを淹れ、おだやかな時間の中で手帳を開く──そんなていねいな暮らしが、雑誌やSNSで「シンプルライフ」として紹介されているのを見かけます。
見た目はとても素敵ですが、「自分にはムリ」と思ってしまう人も多いでしょう。
仕事や家事に追われて、自分の時間がとれない。部屋は狭くてものが多く、収納も不足している。収入にも余裕がない。そんな中で「すっきり暮らそう」と言われても、自分には無縁の世界のことのように感じられます。
それもそのはずで、私たちはいつの間にか「シンプル=洗練されたライフスタイル」だと刷り込まれているのです。
その結果、「まず時間ができてから」「もっと広い家に引っ越してから」「お金をためてから」と、条件がそろうのを待ってしまいます。
また、「いっぱい捨てなきゃいけないんだ」と思い込んでいる人も多くいます。忙しくて気力がないときに、ひとつひとつ判断して捨てるのか、なんて思うだけで気が遠くなりますよね。
「捨てる」と聞いただけで、「もったいない」と考え、気が重くなることもあるでしょう。
さらに、「シンプルに暮らすには、それなりにお金がかかる」と考える人もいます。
雑誌やネットで見かける整った部屋には、無印良品や北欧家具、統一感のある収納グッズなどが並びます。そのため、安いもので代用しても、あんなふうにはならないと感じてしまうのです。
こうして私たちは、時間も気力もお金も足りないから、シンプルに暮らすなんて、自分にはできないと思うのです。
シンプルライフとは何か?
そもそも、シンプルライフはどんなライフスタイルでしょうか?
それは、自分にとって必要なものだけを持ち、心地よさを大切にする暮らし方です。
本質は、選ぶこと・そぎ落とすこと
シンプルライフの本質は、必要なものを選ぶこと、そのために不要なものを削ぎ落とすことです。
つまり、自分にとって本当に必要なものや大切なことを見極め、それ以外を手放すという暮らし方です。
たくさん持たないことが目的ではなく、「何を持つか」を意識して選ぶ。そのプロセスこそが、シンプルライフの中心にある考え方だと思います。
シンプルに暮らそうとした結果、部屋がすっきりしておしゃれに見えることもありますが、それはあくまで副次的な効果です。
レス・イズ・モア(Less is more)の真の意味とは?何もない部屋に住むことがミニマリストの目的ではない
ゴールは自分らしく生きること
シンプルライフを選ぶ目的は、さまざまな重荷を減らし、自分らしく生きることです。
もの、情報、人間関係、やるべきこと、思い込み。そうした過剰なものや、いらないものをそぎ落とすと、自分の時間が増え、「今日は何をしようか」と考えられる余裕が生まれます。やらなければならないことに追われるのではなく、主体的に生きられるようになるのです。
「こうしなければ」という他人の価値観から少し距離をとって、自分がしたいことをしていくこと。
それが、本当のシンプルライフです。
シンプルライフという言葉は、本来の意味から離れて、手頃なキャッチフレーズとして使われがちです。商品名や広告コピーの中に入り込み、何かを買えば、シンプルな暮らしが手に入るかのような印象もあります。
結果として、本来の意味が見過ごされ、「見た目がおしゃれに整っている=シンプル」と誤解されてしまうのです。
今すぐ始められるシンプルライフ
まとまった時間やお金、体力がなくても、シンプルに暮らすことはできます。
ここでは、余裕がない人でもすぐにできる方法を3つ提案します。
使い切ることから始める
捨てることに抵抗がある方でも、すでにあるものを使い切ることなら、無理なく始められるでしょう。
キッチンに余っている乾物や調味料、使いかけのノートやボールペンなど、身の回りにあるストックを意識して使い切ってください。
そうすれば、ものの絶対量は減るので、収納に余裕が生まれます。
使い切るプロセスで、自分の暮らし方を見直すこともできます。
「これ、いつから家にあるんだろう?」「どうしてこんなに買ったの?」と振り返り、ものの選び方や買い方のクセに気づくでしょう。
こうした気づきが、シンプルな暮らしの土台になります。
不便なところから見直す
見栄えのする部屋にしようとする前に、暮らしの中の不便に目を向けてください。
たとえば、朝の服選びに時間がかかるなら、衣類を少し整理する。鍵やスマホの充電コードなど、ふだんよく使うものを探すことが多いなら、そのへんを片付けて、置き場所を決める。
バッグの中がいつもごちゃごちゃして、取り出したいものをさっと取り出せないなら、持ち歩くアイテムを必要最低限に絞る。
靴を履くときに玄関でバタバタするなら、よく履く靴だけを取り出しやすい場所に置いて、玄関を整える。
郵便物や書類がたまりがちなら、すぐに分けられる仕分けトレイや専用の一時置きスペースを設ける。
このように小さな不便を見直していくと、少しずつ、使いやすくて心地よい環境になっていきます。
日常で「ちょっとイラッとする瞬間」を見逃さずに拾ってください。
使うものを減らす
毎日が忙しくて何も変えられない。そう感じる方は、これからの生活で、使わないものを見つけて手放しましょう。
たとえば、来客用とふだん用で食器を分けるのをやめて、どれも日常で使うようにする。用途ごとに買い揃えていた洗剤をやめて、1本で代用できる汎用タイプに絞る。
ふきんやタオルなどの使い分けも、こだわりすぎなければ、管理や洗濯の手間が減ってラクになります。
私はもうずいぶん前にバスタオルを使うのをやめました⇒バスタオルを使わないシンプルライフ~バスタオルがないとこんな問題は一挙に解決
日々の行動を振り返ってみると、本当は必要ないのに使い続けていることが見つかります。そうしたアイテムを減らすと、時間と気持ちに余裕が生まれますよ。
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シンプルライフは、特別な暮らしではありません。リソースが限られていても、シンプルにする方法はたくさんあります。むしろ、時間やお金、体力に余裕がないときこそ、自分にとって本当に必要なものを見つけやすいでしょう。
大々的にものを捨てなくても、「あるものを活かす」「不便を減らす」「使わないものを決める」、こうした行動を積み重ねると、もっと自分にフィットした暮らし方になります。
今すぐにできることは、いろいろあるので、さっそく今日、何かひとつ、シンプルな暮らしにつながることをしてください。