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ミニマリストに関する誤解を解くシリーズ。今回はファッションについてです。
よく、ミニマリストなら服は20着以下、とか、ミニマリストは白いワイシャツを持つべきとか、ミニマリストならこれを持て、といった記事タイトルを見かけるのですが、これはミニマリストの本質から離れていると思います。
特に、服の数にこだわる人が多いのですが、数はそこまで問題になりません。詳しく説明しますね。
ミニマリストのワードローブとは?
ミニマリストの服は、白や黒、ベージュといったモノトーン、あるいはナチュラルな色から構成されるとか、柄物ではなくみんな無地だとか、リボンなどの飾りがついてない、白いシャツは必ず入っている、というわけではありません。
ミニマリズムという考えをベースに構成されたファッションがミニマリストのファッションです。
ではミニマリズムとは何かというと、この定義や解釈は人によって違いますが、最小限の物を持つことに意義を唱える人はいないでしょう。
なぜ最小限の物を持つかというと、所持品を減らすことによって、物が主役ではなく、自分が主役の人生を生きたいな、と思っているからです。
私は個人的に、ミニマリストとは、レス・イス・モア(Less is more)を信じている人である、と考えています。
レス・イズ・モアとは⇒レス・イズ・モア(Less is more)の真の意味とは?何もない部屋に住むことがミニマリストの目的ではない
不用品やガラクタ、よけいな仕事、ネガティブな感情など、人生が暗い方面に行ってしまう要因になる物はできるだけ減らします。これがレスです。その代わり、より多くの空間、時間、気力、楽しいことを増やします。これがモア。
よけいな物を減らして、できるだけ豊かに生きよう、と考えているのがミニマリストだと思うのです。
ミニマリズムとは、常に何が自分の暮しにとって大事なのか、必要なのか、見極めることではないでしょうか?その結果、最小限の物で、自分の人生を最大限に生きられるのです。
何がその人にとってよけいなのかは、結局は本人が決めること。きのう必要だったものも、きょうは余計になってしまった、ということもあります。その暮しは日々変化(進化)します。ミニマリストは、自分にとって大事なものを探している旅人かもしれません。
こういう生き方はそんなに簡単ではありません。忙しいと、目の前の仕事をこなすのに手一杯で、自分のやりたいことや、好きなこと、大事なことは忘れがちになります。
それに、現代社会は基本的にモア・イズ・ベターをベースにした大量生産、大量消費を促すシステムです。買い物のハードルがきわめて低く、巧妙な広告がたくさんあるため、簡単に物を増やしてしまいます。
しかもインターネットが発達して、個人が処理すべき情報がうなぎのぼりになっただけでなく、SNSができて、人の生活や人の持ち物まで垣間見られるようになり、気が散ることこのうえありません。
こういう社会に住んでいると最小限にするのは難しいです。
ですが、こんな時代だからこそ、よけいな物を減らしつつ、自分が本当に好きなもの、求めているものに向かって進んでいくことは価値があります。
さて、この考え方をファッションにあてはめると、ミニマリストのワードローブは、自分の人生を豊かにしてくれるものだけで構成されている、と言えます。
こうしたワードローブを実現するためには、まずは自分を楽しい気持ちにしてくれない服、役立っていない服は手放すことになります。
暮しを豊かにしてくれない服とは?
人生の質をあげてくれない服とは以下のようなものです。
●バーゲンで買ったはいいけれど、家で着てみたら、あまり気に入らず、ずっとクローゼットにぶら下げてある服
●福袋に入っていたけど、全然好みでなくめったに着ない服
●たった1回の集まりのためだけに買って、たった1回着ただけでずっとタンスに入っている服
●そこまで好きでもないのに、なんとなく買ってしまった服
●気に入った服を買うついでに何枚か買ってしまった色違いの服
●お姉さんにもらったけど、全然気に入ってない服
●若いころは似合ったのに、最近は似合わなくなってしまった服
●サイズが合わない服
このように、ふだん全く着ないか、たまに着ているかもしれないし、嫌いではないけど、「すごく好きである」、「すごくよく着ている」と言えない服は、あってもなくても、その人の暮しは変わらないのです。
むしろ、こういう中途半端な服を持ちすぎると、タンスやクローゼットがいっぱいになり、「自分が本当に好きな服」「しっかり役に立っている服」にアクセスしづらくなるという弊害が生まれます。
そこでミニマリストは、あってもなくてもどうでもいい服や、あったら着るけどなくても全く困らない服は手放すのです。
考えなければ「持つべき服」はわからない
中途半端な服でいっぱいのタンスやクローゼットは、雑音が多すぎて、本当に聞きたい美しい音色がよく聞こえないこわれたラジオと同じです。
ノイズが多すぎるから、自分の好きな服がわからなくなっていたり、そういう服をさっと取り出すことができません。
だから毎朝、着ていく物がない、自分に似合う服がない、とためいきをついたり、これにしようか、あれにしようかと何度も着替えをするはめになります。
自分の暮しの質をあげる服を見極めるには、まずはこういうノイズになっている服を除去する必要があります。ある程度、ノイズが減ったら、次は、自分はどんな服が好きなのか、自分が実現したいスタイルに必要なアイテムは何なのか、時間をとって考えなければなりません。
自分が実現したいスタイルなので、流行は関係なし。「流行を追い求めるスタイルが自分の真のスタイルなのだ、それが自分の幸せなのだ」という人は別ですが。
他人のおすすめファッションや雑誌が提示する「マストアイテム」も関係ありません。
ミニマルワードローブにしようと思ったら、単に安いから、バーゲンだから、目についたから、買ってストレス発散したいから、という理由で服を買うことはできなくなるでしょう。
自分なりに自分の好きなスタイルを考えて、その線で買い物をすることになります。
自分のスタイルの探し方⇒少ない服でおしゃれを楽しむ方法。この秋からミニマルなファッションにしませんか?
服を選ぶときは慎重になり、いったん買ったら、しっかり手入れして、できるだけ長く着続けるのが理想でしょう。それはあなたにとって究極の一着なのですから。
もちろん、私のように、服にそんなにこだわりのないミニマリストもいます。私はファッションに関しては、「おしゃれである」ことはそこまで問題ではありません。
最近の私は、着ていて楽で、値段もそこそこで、できれば天然繊維で、できるだけ地球や貧しい人の犠牲の上に成り立っていない服がいい、と思うぐらいです。
しかし、「おしゃれでありたい」と思うなら、いろいろ検討することがあるので、服やスタイルに関して考えたり買い物を検討する時間も私以上に必要でしょう。
もちろん、「おしゃれであること」を手放す選択もあります。
時間をかけて考えて、自分の好きなスタイルが決まり、欲しいものも決まったら、たぶん前よりは、ワードローブの数は減っています。人が本当に好きなものはそんなにいくつもないでしょうから。
お仕着せのファッションから脱却することがミニマリズム
上に書いたように、ミニマリストはファッションにおいて自分のスタイルを大事にしています。自分のスタイルを追求するために、「中途半端な服」はすべて手放すので、全般的に服の数は少ないと思います。少なくともミニマリストでなかった時代よりは。
シンプルなアイテムが多いかもしれません。そのほうが手持ちの服を合わせやすいので。
しかし、必ずしも私が着ているような超カジュアル路線ではないでしょう。ジェニファー・L・スコットのちょっとコンサバな「10着」でもないでしょう。
私の超カジュアル服⇒ミニマリストの服全14着公開~非おしゃれ系50代主婦の場合(写真あり)
ジェニファーの10着とは⇒『フランス人は10着しか服を持たない』の著者、ジェニファー・L・スコットに学ぶ「10着のワードローブ」(TED)
ジェニファーの言っている10着は、シーズンごとのコアアイテムで、周辺アイテムもいっぱいあるので、私には多すぎる展開です。
ジェニファーの本を2冊オーディオブックで聞きましたが、彼女はそこまで「レス・イズ・モア」と主張していないので、ミニマリストではないと思います。
ミニマリズムをベースに服を選ぶことは、自分のスタイルを持つことです。どこかのミニマリストが「ミニマリストが選ぶアイテム10選」と書いていたとしても、それをそっくりそのまま取り入れるのはミニマリズムではありません。
自分のスタイルを見つける過程で参考にすることはできるかもしれませんが。
その10選は、自分以外の誰かのスタイルなので、それをゴールにすると、ミニマリストじゃなかったときの思考から全く抜け出ていないことになります。
数を設定するのもこれと同じことで、100着以上あったらダメ、50着がいい、いや10着、と始めにゴール設定することは多いなる間違いなのです。
服を減らす企画(プロジェクト)として設定することは、ありかもしれませんが。
いくらミニマリストが「ユニフォームを決めよう」と言っても、毎日同じ服を着ていると、あきあきしてうんざりするなら、もっと服の数を増やすべきです。人前に出る仕事をしていたり、重ね着が好きだったりすれば、さらに数は増えるでしょう。
私は防寒のための重ね着はしますが、おしゃれのための重ね着はしないし、毎日同じ服のほうが楽なので数は少なめです。
しかし、数が少ないから偉いとか、より幸せであるとは思いません。自分の頭で考えて、自分らしいスタイルを追求するからこそ、豊かになるのです。