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どん底まで落ちてしまい、立ち直りたい、変わりたいと感じた経験はありませんか?
変わるのは簡単ではありませんが、実現可能です。
今日ご紹介するのは、薬物依存からの回復を果たした1人の男性、Trey Lewis(トレイ・ルイス)さんの感動的なTEDトークです。
タイトルは、A Way to Recover (回復への道)。
Treyさんは、かつて薬物依存に苦しみながらも、その経験を乗り越え、今では同じ苦しみを抱える人々を支援するプログラムの創設者兼CEOとなりました。
彼の話は、どん底から立ち直り、人生を再び輝かせるために必要な勇気を与えてくれるでしょう。
依存症に限らず、何かを変えたい、立ち直りたいと願うすべての人にとって、参考になる内容だと思います。
回復への道・TEDの説明
According to the National Survey on Drug Use and Health by the Substance Abuse and Mental Health Services Administration, 46 million Americans ages 12 years and older were considered to have a substance use disorder in 2021.
Throughout this talk, Trey Lewis, CEO of Good Landing Recovery, shares his personal story after relapsing through 10 different recovery and treatment programs. He shares the pathway to recovery that includes changing one’s heart and one’s environment.
薬物濫用とメンタルヘルスのサービス事務局が行った薬物依存と健康に関する全国的な調査によると、2021年、12歳以上のアメリカ人、4600万人が薬物使用に関係のある障害を抱えています。
このトークでは、Good Landing RecoveryのCEOであるトレイ・ルイスが、10の回復や治療プログラムを試したのに、元に戻ってしまった個人的な体験を語り、回復への道のりをシェアします。そこには気持ちや環境を変えることが含まれています。
動画の長さは11分、収録は2023年、動画のあとに抄訳を書きます。
動画の長さは11分、収録は2023年、動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDについて⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
10回も治療センターに入ったなんて、ルイスさんは筋金入りの中毒者だったようです。
それでも、彼は依存症を克服し、今は依存症に悩む人を助けているなんて本当に素晴らしいですね。
薬物依存からの回復を支援
私はトレイ・ルイス、ドラッグとアルコールプログラムの創設者でありCEOです。
私の知る限り、この国で最大級の規模のプログラムの1つです。
きょうは、回復(recovery)について語ります。私たちは年に1000人以上の患者の回復を手伝っています。
私は医療のプロではありませんが、情熱からこのプログラムを作りました。
私自身、依存症から回復した
私は、北ミシシッピのいい家庭に生まれ、大学ではテニスの奨学金をもらいましたが、メタンフェタミン中毒者になりました。
25歳になるころには、10個の治療センターを渡り歩き、4回、DUI(飲酒や薬物の影響下での運転)でつかまりました。
この頃、家族や同級生がどんなふうに私を見ていたか覚えています。
かつては私を愛し、とてもいい関係を持っていた人たちが、私のことを信じなくなり、私の人生に何の希望も持っていませんでした。
実際、最近、昔の知り合いにあったら、こう言っていたんです。
「今のきみが信じられないよ。きみが生きているだけでもうけものだと思っていたから。生きて、刑務所に入らずにいられればね。本当にきみの人生はいいほうに変わった」。
私はかつてのシェイムや罪悪感を覚えています。
軍隊にすがってみた日
最後に治療センターに入ったあと、私は軍隊に参加しました。
空軍に入り、アメリカ政府(Uncle Sam)になんとかしてもらおうと思ったんです。
でもどこに行っても薬物の問題はついてまわりました。その問題は私自身にあったから。
私が行くところはどこにでもついてきたんです。
ミシシッピにいようが、カリフォルニアやアトランタ、ジョージアの空軍ベースにいようが関係ありません。
結局、元に戻ってしまう。
自分で環境を変えない限り、その環境にどんな人を置くか選ばない限り、元の場所に戻ってしまうんです。
メンターとの出会い
家から遠く離れた場所で私はまたトラブルを起こしました。
空軍にいるときに、4回目のDUIを犯しました。それまで、立件されなかったものもありますが、このときは逮捕され、これは軍のルールに対する重大な違反でした。
私のしたことは、正面玄関に表示され、私は公の場で謝罪しなければなりませんでした。
「いったい自分の人生はどうなっているのか」と考えあぐねていたある日、空軍兵士のイベントで、最高の地位にある人が、「ルイス、きみにはリーダーの素質がある。私がきみのメンターになろう」と私に言いました。
彼は、私の経歴を知りませんでした。
私は、「チーフ、私が、DUIをしたばかりということをご存知ないようですが」と打ち明けましたが、彼は、「そんなことは気にしない。君にはリーダーの素質があるから、メンターになると言っているのだ」と答えました。
翌週、彼の巨大なオフィスで面接をしました。
驚いたことに、誰も私を信じていないとき、彼は私のために時間をさき、私をしっかり見てくれました。
私自身が愛していなかった私を彼は愛してくれました。これはすごくパワフルなことでした。
薬物依存は大きな社会問題
今日、アメリカでは12歳以上の薬物中毒者とアルコール依存症患者が合わせて2000万人以上、オピオイドの過剰摂取で亡くなった人が9万数千人います。
私たちは大きな問題に直面しています。
いったい何が問題なのか? 研究が足りないのかと人は考えますが、私はそうは思いません。
私のスタッフには、学者、セラピストなどこの問題に精通している人がたくさんいます。彼らの共通点は誇りです。
いろいろな条件が重なって、人は回復に向かいます。
人が中毒になると、生き方が変わります。たとえ、すばらしい家の出で、最高の両親に育てられていても関係ありません。
中毒になると変わってしまうのです。
環境がものを言う
ジェームス・クリアーは Atomic Habits(邦題:複利で伸びる1つの習慣)で、ベトナム戦争にふれています。
戦争が始まって16年目の1971年、20%以上の兵士がヘロイン中毒でした。
そこで政府はいろいろなプログラムを始めました。兵士が国に戻ったとき困ったことになるからです。
しかし、戦場から引き上げ、戦争というストレスがなくなった兵士は、90%以上がすっぱりと薬を使うのをやめ、依存症もなくなりました。
このエピソードは、先ほど私が言った、「自分が行くところはどこにでもついてくる」という言葉と矛盾があると思ったかもしれません。
でも、この言葉もある意味、正しいのです。両方、ありえます。
私は自分の内側だけでなく、環境も変えなければならないと気づきました。
聞く音楽を選ぶように、自分の人生に登場する人間や、人が私についてどんなことを言うかを選んだのです。
回復に向かって粘り強く戦う
カリフォルニアにいたとき、ボクシングをしました。私はたいしたことありませんでしたが、とても偉大で有名なコーチにつきました。
はじめてこのコーチに会ったとき、ジャブを見せるよう言われました。「戦う方法がわからない」と言ったら、彼が教えてくれました。
2分あれば私は人にボクシングの仕方を教えることができます。ジャブやアッパーカットなど技術的なことは教えることができます。
でも、果たしてその人に、リングにあがる準備ができているでしょうか?
必要なのはある環境において、何千、何万とパンチを繰り広げ、それを完全に自分のものにすることです。
ポイントはここにあります。
私たちは誰かを、回復しやすい環境に起き、「ここに長くいれば、回復できる可能性がすごくあがるよ」と教え、相手もそれに納得したとします。
しかし、それだけでは不十分です。
ベンチプレスやウエイトトレーニングをすれば効果があると知っていても、実際にウエイトを持ち上げ始めなければ、結果はついてきません。
私たちは、回復しやすい環境に身を置き、時間をかけて努力しなければならないのです。
回復する道はある
人々の回復を助けるのが私の使命であり、ゴール、パッションです。
金曜日の夜の卒業式で、プレゼンが終わったあと、患者の家族が、私にお礼を言ってくれるときほど、わくわくすることはありません。
「子どもたちの目が輝いているのを久しぶりに見ました」。
「配偶者、母親、妹を取り戻しました」。
そんな言葉を聞くときです。
今日、みなさんの偏見を取り除くことができたことを願っています。
私たちが戦っているのは病気であり、依存者たちは使い捨てられる存在でも、二級市民でもないことを知っていただきたい。
私たちは、彼らを救い出したい。そして、地獄のような依存状態から抜け出す方法はちゃんとあるのです。
//// 抄訳ここまで ////
立ち直ることに関するほかのプレゼン
時が傷を全部癒やしてくれない時(TED)~幼少期のトラウマを勇気に変える。
スマホやYouTubeがクセになってしまう行動様式を知り、悪習慣を改める(TED)
批判や心配に負けず、レジリアンス(立ち直る力)を高める方法(TED)
何でも変えられる。意志のちからより、スキルを使おう(TED)
立ち直る秘訣
薬物依存に悩む人は、このブログは読んでいないでしょうが、買い物依存に苦しんでいる人は、たくさん読んでいます。
ともに依存症なので、回復をめざすときルイスさんのアドバイスが参考になります。
依存から回復するのにうまく作用する要素は、彼によれば
1)いい環境
環境は自分の行動や思考に大きな影響を与えるので、自分のためになる環境を自分で作ることが求められます。特に、誰と付き合うかは大きなポイントになるでしょう。
ふだん何を見て、何を読むか、どんな情報を取り込むかも重要です。
2)サポート
他者のサポートも頼りになります。誰かが自分を信じてくれるだけで力づけられます。
3)粘り強さ
依存症からの回復だけでなく、新しい習慣を身につけるには時間が必要です。
短期間で結果を求めず、長期的に取り組むことが大切です。
4)自分で自分を変えていく
自分の内面と向き合って、変えていく努力が求められます。
5)ストレス管理
ストレスの多い環境だと、そのストレスから逃れるために、不健康なものに依存しがちです。ストレスマネジメントも心がけてください。
おすすめのストレスマネジメントはしつこいですが、気持ちを書き出すことです。
書くことには癒やす力があり、それはシンプルなセルフケアの方法(TED)
手書きのメリット(TED)~手書きは人生を変えるパワーがある。
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薬物依存から立ち直った人のプレゼンを紹介しました。
一度は、どん底に落ちても、回復し、さらに人助けをする人は、たくさんいますね。
どんな人も、それだけのポテンシャルがあると思います。