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上手にストレスマネジメントをして幸せな生活を送るシリーズ。今回は副腎(ふくじん)の健康を取り上げます。
副腎は体の中にある器官の名前。脳や心臓、胃腸に比べるとマイナーな存在ですが、実はストレスと戦うためにとても大切な部分です。
最近、副腎疲労(アドレナルファティーグ)という言葉をよく聞くようになりました。文字通り副腎が疲れて体調が悪くなることです。
副腎が疲れていると、全身が疲れてしまいます。日々、元気に過ごすためには、副腎を疲れさせない生活が求められます。まずは副腎について簡単に紹介しますね。
副腎とは?
副腎は左右の腎臓の上に1個ずつ帽子のようにかぶさっている小さな器官です。親指2つぐらいの大きさで、重さは5グラムほどしかありません。ですが、生命を維持するために、きわめて重要なステロイドを分泌する内分泌器官です。
ステロイドは、薬の名前にもなっていますが、もともとはステロールとその類似の加工物の総称です。たとえば、コレステロールやホルモンなど。いずれも独特の生理作用や薬理作用がある大事な物質ですね。
副腎は英語で、adrenal gland (アドレナルグランド)といいます。
副腎は二層になっていて、真ん中に、副腎髄質(ふくじんずいしつ)があり、その上に、副腎皮質(ふくじんひしつ)がかぶさっています。
髄質とは、単に内層のことです。皮質が外側の層です。
実は、副腎皮質部分も三層に分かれていてそれぞれ違うホルモンを分泌しています。全部合わせると4つのレイヤーがあるわけです。
副腎のおもな仕事
副腎は脳の司令を受けて、50ほどのホルモンを分泌しており、全身に影響を与えています。
ホルモンは、人体の臓器(細胞)にさまざまな指示を伝える物質です。詳しくはこちら⇒知っているようで知らない、ホルモンとは何?わかりやすく解説しました
副腎は、脳の視床下部、脳下垂体と密接に連携をとって適切なバランスでホルモンを分泌しています。
特に、ストレスに対する反応において、きわめて重要な役割をになっているのがこの小さな副腎。
脳がストレス(外的な脅威とか)を感じると、副腎髄質からアドレナリンという名のホルモンが分泌されます。
アドレナリンが出ると、脅威に対して、体が「戦うか逃げるか反応」をする準備が整います。
この反応については、当ブログで何度も書いていますが、血が、脳や心臓、筋肉にどどどっと流れて、闘争か逃走体制に入ります。
その後、副腎皮質から副腎皮質ホルモン(コルチコステロイド)という、ホルモンが出て、「消化や免疫システムはちょっと休んでろ」という指令を伝えます。
今は敵をなんとかしないといけないから、体中の全エネルギーを闘争か逃走に使うため、ほかのシステムに回すのを控えるわけです。
この話は先日紹介したTEDの動画でわかりやすく説明されています⇒子供のころのトラウマがいかに生涯の健康に影響を与えるか(TED)
副腎が分泌するホルモンのいろいろ
副腎はこんなホルモンを出していいます。
糖質コルチコイド(グルココルチコイド)
その名のとおり、血糖値のバランスをとるホルモンです。糖質の代謝にかかわっています。このホルモンは、ストレスや炎症を抑える働きがあります。
例:コルチゾールやコルチゾン。
ちなみに「コルチコイド」は、副腎皮質から出るストロイドの総称です。副腎皮質は英語で adrenal cortex (アドレナルコーテックス)というのですが、cortex は「表面の層」という意味です。「コルチコイド」の「コル」の部分がcorなのです。
ホルモンの話をしていて、「コルチなんたら」と出てきたら、それはたいてい副腎皮質から分泌されるものです。
硬質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)
このホルモンは血圧を維持する働きをしています。水分やイオン質の代謝にかかわるホルモンで、血中の塩と水のバランスをうまくとり、健康な血液をキープしています。
例:アルドステロン
性ホルモン
性ホルモンはどなたもご存知ですね。女性らしさ、男性らしさを作り生殖に関与します。
例:エステロゲン(女性ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)
アドレナリン
先にも書きましたが、副腎髄質から出るホルモンです。心臓に働きかけて、必要なところにうまく血が流れるようにしたり、肝臓や筋肉にあるグリコーゲンを分解して、ブドウ糖にしたりします。
副腎疲労(アドレナリンファティーグ)とは?
体の健康を保つためにすごく大切なホルモンを出したり、バランスをとっている副腎。最近この副腎が疲れている人が増えてきました。
1番の原因は、日々のストレスです。ストレスが増えたので、副腎の仕事も増えてしまいました。ストレスの処理がしきれなくなってきた、ということです。
副腎が疲れすぎて、機能低下した状態が、副腎疲労です。副腎疲労症候群と呼ばれることもあります。
副腎疲労の原因
こんな理由で、副腎は疲れます。
●強いストレスを感じること。近親者の死亡や、離婚、大きな手術を受けるなど。
●環境にある毒物(重金属)や化学汚染にさらされること。
関連⇒カドミウムの害を防ぐには?骨粗しょう症を引き起こす可能性あり
●慢性的なストレスを感じること。たとえば、いつもお金に苦労している、職場や家庭の人間関係に悩んでいる、仕事が見つからない、友達ができないなど。
●ネガティブ思考、トラウマ
●睡眠不足
●運動不足
●栄養のアンバランス。糖質の取り過ぎ。
ストレスがたまっている時は、ビタミンCを取れとよく言われます。副腎はビタミンCを使って、ホルモンを作っているのです。
加工食品が増えて、新鮮な野菜やフルーツをあまり食べなくなったので、ビタミンC不足の人が増えています。
☆ストレスのせいで体調が悪くなる理由はこちらで説明しています⇒ストレスのせいで頭痛がしたり太ってしまう理由とは?
☆副腎疲労の治し方はこちら⇒副腎疲労を改善する食事と生活習慣とは?
副腎疲労の症状はこんなふう
副腎が疲れていると、理由もないのに、とにかく毎日疲れている、と感じます。
ほかにこんな症状が出ます。
●朝から疲れていて、起きられない(低血圧)。
●性欲の低下
●うつ
●筋肉が弱ってきた
●集中できない
●骨が失われてきた。
骨は古い骨と新しい骨がいつも入れ替わっています。女性ホルモンが少なくなると、古い骨の破壊のスピードが速くなるのは、骨粗しょう症の記事で書きました⇒更年期からは要注意。骨粗しょう症になりやすい人とは?
副腎が疲れて、ホルモンバランスがくずれると、骨がもろくなるのは、骨の再生にホルモンが多いにかかわっているからです。
●数々の炎症がある
●花粉症などのアレルギーが出る
●夜、眠れない
●イライラ
●疲労
●甘いものが欲しくなる
●抜け毛 関連⇒抜け毛の9つの原因とその対策。更年期のせいなの?
●体重増加
●筋肉が張る
●風邪をひきやすくなる
●生理不順
数々の全身症状が出るため、ほかの病気との区別をつけづらいのが副腎疲労の1つの特徴と言えそうです。
副腎疲労という病気は、まだあまり有名ではありません。ですが、ストレスを軽くみていると、ダイレクトに副腎が疲れてしまい、さまざまな病気を引き起こす可能性がある、というのは知っておいたほうがいいと思います。