セールサイン

ミニマリストへの道

最終更新日: 2017.09.19

安物買いの銭失いな夫の悩み:ミニマリストへの道(99)

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私の夫は、いったん手にした物はなかなか捨てないため、結果的にマキシマリストになっています。

それだけではありません。

セール品に弱く、必要でもないのに、うっかり買ってしまうという悪いクセがあります。

幸か不幸か、夫はふだんお金に困っているため、そこまで大きな物を買うことはありません。洗剤や歯磨き粉、ゴミ袋など、所帯じみた物を買いすぎるぐらいです。

そんな夫が、わりと大きな物をセールで買ってしまい、引越し前に始末に困りました。

今回はそのお話です。



ダウンサイジングせざるを得なかった筆子家

引っ越し先は狭いので、大量の断捨離をすることになった私たち。

狭いといっても、約1435スクエアフィートあります(夫がメジャーでざっと測定した数字)。1435スクエアフィートはおよそ133平方メートル。44坪前後で、畳にすると87~88畳です。

2ベッドルームなので、寝室2つ、居間、台所、バスルームという構成で、台所の奥に洗濯機と乾燥機のおかれたユーティリティルーム(というか、スペースというか)があります。

住宅事情はこちらに詳しく書いています⇒小さな暮しを満喫中~生活をダウンサイジングしてやらなくてもよくなった7つのこと

日本人の私にしてみれば、充分すぎるほどの広さです。

ただし、物が少なければ、の話。

私は大きな物は持っていないし、引っ越し前にかなり身の回りの物を捨てたので、狭い家でも大丈夫です。

家族からも、「あんたはすぐに順応する」と太鼓判を押されていました。

問題はやたらたくさんの物を持っている夫です。

家具はほとんど持っていなかったけれど

スペースの小さい家に引っ越す時、まずネックになるのは大きな家具です。

我が家は、ほとんど家具を買っていないので、数はさしてありませんでした。家にある家具は、夫が大昔から持っていたか、人からもらったり、どこからか調達した中古の家具ばかりです。

ダイニングテーブルは、夫が、亡くなった祖母が使っていたのを田舎の倉庫から持ってきたもの。テーブル用の椅子は教会のガレージセールで買ったもの。

娘のタンスや本箱は近所の人のお下がり。

私が使っていたマットレスも、近所のおじいさんからもらったものです。このおじいさんは、こちらで紹介した椅子もくれました⇒心底スッキリ!捨てて大丈夫だった2つの家具。大きな物の断捨離は効果倍増

だから引っ越し前に捨てるのは全然惜しくないのです。ただ、1つだけ大きめのもので新品がありました。

それはこの洗濯機。

洗濯機

夫が2013年の11月の終わりに買ったものです。彼は、引っ越し前の数日間、この洗濯機の処分に悩んでいました。

賃貸暮らしなのに洗濯機を買うその理由とは?

私たちはずっと賃貸物件に住んでいます。

私は家は持たない派です⇒家を持たない暮しがあってもいい、筆子が持ち家に住まず賃貸生活を続ける理由とは?

夫はたぶん「お金があったらマイホームに住みたいが、ない袖はふれないから、賃貸にすまざるを得ない人」だと思います。

カナダでは、アパートでも貸家でも通常、洗濯機は完備されているので自分で買う必要はありません。

しかも、2013年の秋は、当時住んでいた家を、近々引っ越さなければならないかもしれない、という話が出ていました。

賃貸の家に住む人は、オーナーが何かの事情で「出て下さい」と言えば、出なければなりません。

そんなふうに、「近々引っ越しかもムード」がただよっていた2013年の11月29日の金曜日、夫は洗濯機を買いました。

洗濯機など不要なのに。

必要じゃない洗濯機を買った理由とは…?

.

.

「あまりにお買い得だったから」

夫はこの洗濯機をブラックフライデーのセールで買ったのです。

ブラックフライデーとは、アメリカのサンクスギビングデー(11月の第4木曜日)の翌日の大々的な安売りの日のことです。11月の第4金曜日にあたります。

詳しくはこちら⇒ブラックフライデーとは?大勢のアメリカ人が命がけで買い物をする日の由来

カナダのサンクスギビングデーはアメリカとは違い10月の第2月曜日です。翌日、アメリカのようなセールはありません。

ところが、カナダでも、アメリカと同じ日にブラックフライデーのセールが行われます。

セールや底値で買い物をすることに喜びを感じる夫は、安くなっていると、べつにいらないのに買ってしまうのです。

本人はもっともらしい理由をつけていますが、それはすべて後付けの理由。突き詰めれば、安くなっているから買うのです。必要だから買うのではなく。





誰も使わない洗濯機

この洗濯機は、270ドルぐらいだったとのこと。店頭の展示品だったらしく、最終処分の破格の値段。

新品の洗濯機は安いもので470ドルぐらい、高いものだと1000ドル以上します。売れ筋は600~700ドルあたりの商品でしょうか。

確かにお買い得です。

ですが、家に届いた洗濯機をよく見てみると、右端が2箇所へこんでいました。夫はこの傷には気づいてなかったそうです。売り場で、あまりの安さに舞い上がっていたのかもしれません。

傷の指摘を受けたあと、夫はインターネットでこの商品のレビューを探して読み漁っていました。

★が1つのネガティブなレビューがいくつも見つかりました。

商品のレビューは、購入前に読むものだと思いますが、彼は買ったあと、とても熱心に読んでいました。自分の買い物が正しかったと誰かに言ってほしかったのかもしれません。しかし結果はその逆でした。

この「お買い得な洗濯機」は、ずっとリビングルームの角に置かれていました。11ヶ月間も。

居間に洗濯機があるのを見れば、誰だってぎょっとします。夫は上に古いベージュの毛布をかけて、カモフラージュしていました。

しかし、引っ越しが決まったので、家から出さなければなりません。

それも早急に。

職場に持っていくか、近所の人のガレージに置かせてもらって、折をみて売りさばくか、夫はあれこれ悩んでいました。

ただでさえ、引っ越し前は、考えるべきこと、やるべきことが多く、ストレスが多かったのです⇒ゼロになって引っ越したいと思ったけれど叶わず:ミニマリストへの道(94)

そんなところに、ばかみたいに重たい洗濯機の処分の方法を考えざるを得なくなった夫。

安物買いは銭を失うだけではないのです。このように、貴重な時間と心的エネルギーまで奪われてしまい、ストレスをかかえこむことになります。

買わなければこんな問題は起きなかったのに。

いまは、物が豊富にあり、どんな商品も比較的簡単に手に入ります。だから「安いから」は買う理由にはなりません。

本当に必要にせまられてから買っても、充分間に合います。

物を捨てない夫の話⇒夫が絶対捨てない物と、捨てない理由:ミニマリストへの道(87)

無用の洗濯機の行方

その後、バタバタと引っ越しをしたので、洗濯機のことを忘れていました。

ふと思い出し、夫に「あの、洗濯機、どこにやったの?」と聞いてみました。

彼は、ノートパソコンの画面を見ながら、「安全なところ(a safe place)に置いてある」と言いました。

いや、別に私は洗濯機のことを心配していたわけではないので、安全と言われても。そもそも、あんなもの、そのへんに放置しても誰も盗んだりしません。トラックまで持ち運ぶのに成人男性が2人は必要です。

それも、ある程度若くて、力のある健康な2人が。

とにかく、まだ捨てておらず、どこかに大事にしまってあるのです。

なぜ?

時間がたてばたつほど、売りさばきにくくなるのに。

あとで娘が、「たぶん職場に置いてあるんだと思う。私の自転車といっしょに」と言っていました。

こんなふうに収納スペースがあると、誰も使わない無用な物も、そのまま死蔵されてしまうのです。

私が日頃、「無駄は無駄を再生産する」「多すぎるストックはコストがかかるだけ」「どんなに安くなっていてもいらない物は買ってはいけない」と書いているのは、思いつきで、いいかげんなことを言っているのではありません。

自らの断捨離体験のみならず、夫のこうした謎の行動を20年近く観察して学んだことも書いているのです。

☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒何度も失敗したけど、今も前を見て進んでいます~「ミニマリストへの道」のまとめ(1)

********
この家に引っ越してから、そろそろ3年になります。職場にあるらしい洗濯機はもちろんのこと、引っ越した日からずっとキッチンにおいてある箱の中身など、夫が1000日以上さわっていない物がたくさんあります。

どうして捨てないのか?

謎は深まるばかりです。





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