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ダイオキシンとは?その害と個人レベルでできる対策をわかりやすく解説

環境ホルモンの害についてできるだけわかりやすく書いています。今回はダイオキシン類です。ダイオキシンは発がん性があると考えられていて、これまでもっとも研究されている環境ホルモンの1つです。

名前は誰でも聞いたことがあるはずです。



ダイオキシンとは?

化学的な説明を始めると難しくなるので、ごく簡単に書いておきますね。

ダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾダイオキシンの通称。これは有機塩素化合物です。

つまり、炭素、酸素、水素、塩素からなる化合物です。4つの原子ともなじみのものばかり。特别変わったものではありません。しかし、結合の仕方がちょっと変わると毒性を持ってしまうのです。

昔、化学の時間に、ベンゼン環(C6H6)というのを習ったと思います。

炭素(C)が六角形に6つ並び、それぞれが水素(H)と結びついている、亀の子のような形の構造をベンゼン環と言うのですが、すべてのダイオキシンは、このベンゼン環を2つ持っています。

ダイオキシンには数々の異性体があります。同じダイオキシンでも、塩素の数とその場所によって、毒性が強かったり、さほどでもなかったりします。

だから「ダイオキシン類」と「類」をつけて呼ばれることが多いです。

最も毒性が強いのは、塩素原子が、2番、3番、7番、8番の場所にあるものです。これはTCDDと呼ばれ、一般にダイオキシンというとこのTCDDの話をしています。
TCDD
TCDDは人間が作り出した毒物としてはもっとも毒性の強いものの1つだそうです(サリンよりパワフルです)。

※TCDDは、2,3,7,8-Tetrachlorodibenzodioxin(2,3,7,8-テトラクロロジベンゾパラダイオキシン)のこと。

ダイオキシンの物質としての特徴は2つあります。
1.化学的に安定していてなかなかこわれない
2.脂肪組織に溶ける

つまりいったん環境に放出されると、ずっとそのまま居座り続け、動物の脂肪に蓄積するのがこの環境ホルモンの怖いところです。

環境ホルモンはホルモンと同じで、ほんの少し体内に入っただけで、体内のシステムをかくらんさせてしまいます。そこで、ほんの少しのダイオキシンが、人体に大きな影響を与えます。

ホルモンの話はこちら⇒知っているようで知らない、ホルモンとは何?わかりやすく解説しました

環境ホルモン一般について⇒環境ホルモンとは何か、その影響など基礎的なことをわかりやすく解説

どうするとダイオキシンが発生するのか?

ダイオキシンは塩素を含む物質が不完全燃焼すると生まれます。燃やすと出るということです。

また薬品を合成しているときに、何らかの事情で分子が化学変化してできることもあります。

化学製品がなかった時代から、ダイオキシンは地球上にありました。森林の火災で少し発生していたのです。これはどちらかというと自然にあるダイオキシンです。

しかし、今問題になっているダイオキシンは人が作ったものです。

以前は、金属を融合したり、パルプや紙を白くする(塩素で漂白)する過程で、たくさん発生したり、農薬(除草剤)に入っていました。

ベトナム戦争で米軍が使った枯葉剤にTCDDがたくさん含まれていたことは有名です。

ちなみに農業をしているわけでもないのに、なぜ枯葉剤をまいたかというと、マラリア菌を媒介する蚊やカエルを殺したり、ベトコンが隠れ場所に使っていた森林や、ベトナムの畑などを破壊するのが目的だったと言われています。

森林や田畑を破壊してしまう恐ろしい毒なのです。もちろん今はTCDDを含む農薬の使用は禁止されています。

また「TCDDをなるべく出すな」という法律ができたり、製造者も「これはまずいよね」と自主規制したので、現在は、何かを作るときに以前ほどダイオキシンは出ていないはずです。

といってもやはり、少しは出てるのではないかな、と個人的には思っています。現在のダイオキシンの主な発生源はゴミの焼却と排気ガスです。





ダイオキシンはどうやって私たちの体内に入るのか?

工場やゴミ焼却場で塩素を含む何かを、比較的低い温度で燃やすと、塩素が不完全燃焼して、最初に書いた、亀の子のような形がくっつき、ダイオキシンに生まれ変わります。

先進国では対策が進み、ゴミを完全燃焼しているので、焼却そのものからはそんなにダイオキシンは出ないそうです。

しかし、焼却したときの排ガスからダイオキシンが再合成されるとのこと。とにかくダイオキシンは、なかなかこわれないので、いったん作りだすと、なしにするのが難しい物質なのです。

ダイオキシンは環境の中に放出されると、そのまま居座り続け、やがて、動物の脂肪にたまります。

海に入れば、魚の脂肪分にたまります。食物連鎖をたどっていくうちに、その濃度が高くなり、連鎖の1番上にいる人間の口に入るのです。

ダイオキシンは、魚、貝、牛肉、牛乳、バター、卵などの動物性食品の脂肪分に比較的たくさん入っています。

また、漂白されたコーヒーフィルターにダイオキシンが入っている可能性があり、そのフィルターを使って淹れたコーヒーを飲むと、幾分口に入るとも言われます。

先進国に住んでいるたいていの人の脂肪に、低レベルではありますが、ダイオキシンが検出されるそうです。

すでにみんなの体内にあるのは、前回書いたBPAも同じです。現代人は多かれ少なかれ毒物と共存しているのです。

BPAの話⇒環境ホルモンに気をつけよう。BPAが健康に及ぼす影響とは?

ダイオキシンの害は?

ダイオキシンはおもに女性ホルモンと男性ホルモンをかく乱させます。お母さんの子宮にいるとき、つまり胎児のときに、ダイオキシンの影響を受けてしまうと、大人になってから、精子が作れなかったり、作れてもやや難があったりするという研究があります。

つまり生殖機能をこわしてしまうのです。

さらに一度体内に入るとずっと蓄積されるので、発がん性があると考えられています。ホルモンの働き全体を乱すので、免疫も弱くなります。

その結果さまざまな病気にかかりやすくなります。

ダイオキシンを避ける方法、なるべく作らない方法

ありとあらゆるところにダイオキシンは存在するので、完全に避けることはできません。ですが、特に、ダイオキシンから逃れたい人は以下のような方法があります。

●動物食品を食べるのを避ける(ダイオキシンは動物の脂肪に蓄積されるので)。

●できるだけ低農薬の野菜や果物を食べる。つまりオーガニック食品を食べる。
今はダイオキシンを使った農薬は禁止されていますが、昔は使っていたわけで、そのとき出たダイオキシンがまだ畑に残っています。そういうのがなくなった畑で採れたものを食べるのが好ましいのです。

完全になくすまではずいぶん時間がかかると思いますが。

●ダイオキシンを使った農薬を使わない(自分でガーデニングする人の場合)。

●そうじをするとき塩素系漂白剤を使わない。

トリクロサンの入っている石けんやシャンプー、歯磨き粉、化粧品を使わない。
トリクロサンは、抗菌効果のある物質で、殺菌や消毒成分の入っている医薬部外品や化粧品によく入っています。

トリクロサンはダイオキシンに化学変化するのでアメリカやEU諸国では、使用を禁止したり規制しているところがあります。

常温ではダイオキシンにはなりませんが、燃やせばダイオキシンに変身します。

●漂白された紙類を使わない
白いコーヒーフィルター、使い捨ての紙類(おむつ、ナプキン、ティッシュペーパー、キッチンタオルなど)を使わない

●100円ショップなどでチープなプラスチック製品や塩化ビニル製品をたくさん買ってゴミにしない。
半端に焼却するとダイオキシンが発生しますが、食器として使うのも危険だと思います。

特に小さな子供が口にする食器やおもちゃは、私なら100円ショップでは買いません。

●プラスチックラップ(サランラップなど)を使わない
使っても、せめて電子レンジにはかけない。

ラップの代用品はこちら⇒サランラップは使わない主義~ラップの代用品の工夫とアイデア

*******

ダイオキシンは環境のいたるところにありますので、自衛しても防ぎきることはできない環境ホルモンです。

すでに水、空気、地面、食べ物すべてが汚染されています。

そもそも動物食品を食べないでいるなんてこと、なかなかできないですよね?厳格なベジタリアンにならないといけないですから。

そこで、野菜と果物をたくさん食べようとしても、農薬を使っていたら、あまり効果がなかったりします。

それでも、動物性食品よりは、野菜や果物のほうがダイオキシンのリスクが少ないと言われています。

栄養面でも恩恵がありますし。

日常生活では、チープなプラスチック製品の使用は避け、すぐにゴミになるようなものを買わず、リユースやリサイクルを心がけ、野菜と果物をたくさん食べるのが現実的でしょうか。

ここまで化学製品があふれていなかった昔の人みたいに暮らすのがダイオキシン対策としては1番いいようです。





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