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ミニマリストになりたい人、暮らしをシンプルにしたいと望んでいる人の参考になるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、From Clutter to Clarity (ガラクタがいっぱいの状態からスッキリした状態へ)。プレゼンターは Kerry Thomas(ケリー・トマス)さん。
From Clutter to Clarity、TEDの説明
Clutter is not just “stuff.” Clutter can be physical, digital, mental, emotional or spiritual, and each type can be overwhelming. Learn the number one cause of clutter in any area of your life, and how to bust through for lasting results.
ガラクタは、「物」だけにとどまりません。
ガラクタは、物理的なもの、デジタルなもの、メンタルなもの、感情的なもの、スピリチャルなものがあります。どれも圧倒されてしまいますね。
人生のいろいろな側面にあるガラクタの一番の原因とそれを阻止する方法を学び、ずっと続く効果を得ましょう。
ケリーさんは、大学を卒業後、8年間、教職についていました。その後プロのオーガナイザーになりました。
オーガナイザーとは、整理収納アドバイザーに似ている仕事です。ケリーさんは「ガラクタを一掃する」というところに重きをおいています。
やましだひでこさんや近藤麻理恵さんのような仕事と言えるでしょうか。
その後ビジネスを拡大し、ADDを持っているビジネスオーナーのコンサルをしたり、Certified Productive Environment Specialistとして活躍しています。
環境をクリアにして、より生産的になることを指導する人と言えましょう。
動画の収録は2017年の4月6日。場所はバージニア州のアッシュバーン。長さは11分ほどです。
ケリーさんは元先生のせいか、とてもくっきり、ゆっくり話しているので、聞き取りやすい英語です。日本語字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
ガラクタに苦しめられている私たち
「overwhelmed (オーバーウエルムド 圧倒されること、気持ちが参ってしまうこと)」こんな気持になりたくはないですよね。
この言葉を聞いただけで、敗北感や孤立感をイメージしてしまいます。
じつは、この言葉、新しいクライアントからもっともよく聞く言葉なのです。
ビジネスで成功し、コミュニティでも大活躍し、とてもポジティブなクライアントで、友だちでもある人がいます。はじめてのコンサルのとき、彼女はつらいだけでなく、身動きできない気持ちだと言いました。
それは恥、敗北感、恐怖、孤立といった感情です。
こんなふうに感じる人は、ほかにもたくさんいます。
家庭でも仕事でも、「怖気づいてしまう状態」は、じつに多いものです。
私たちは何もかも、いっぱいにしてしまうのです。家の中も、車の中も、オフィスの中も、スマホも、倉庫の中も。
心の中も、自分ではどうしようもできないほどいっぱいにしてしまいます。
より、たくさんあるほうが幸せだと思っていますが、それを求めてしまうと、苦しい状態が続くだけなのです。
ガラクタの種類
なんでもかんでもいっぱいにするから、ガラクタという言葉がひじょうによく聞かれるようになりました。
本、テレビ番組、雑誌、あらゆるところで「ガラクタ」という言葉を見ます。
多くの人は気づいていませんが、ガラクタは、物だけではありません。デジタルなもの、メンタルなもの、感情的なもの、スピリチャルなガラクタもあるのです。
●物理的なガラクタ
家やガレージであふれている物
●デジタルなガラクタ
受信箱にある大量のEメール、パソコンのどこにあるのかわからないホルダーなど
●メンタルなガラクタ
恐怖、周囲の人やメディアから聞こえてくる声
●感情的なガラクタ
ネガティブ思考(パターンになっている)、「自分にはできない」と自分で自分に言うこと
●スピリチャルなガラクタ
許すことをしないこと、心の平安のないこと
感情的なガラクタと、スピリチャルなガラクタは、目立たないけれど、強く、その人の行動を制限します。
要するに、あなたが生きたいと思う人生を生きるのを邪魔をするものは、みな、ガラクタなのです。
ガラクタの根本的な原因とは?
すべてのガラクタをもたらしてしまう理由が1つあります。
私の友だちでメンター、ビジネスのコーチでもある Barbara Hemphill (バーバラ・ヘンピル)は、こう言っています。
Clutter is postponed decisions. ガラクタは、先延ばしした決断である。
すべてのガラクタについて、こう言えますよね。
紙ゴミなんて典型的です。手にするけれど、また元のところに戻します。
1つの紙の山は、10個の山になり、上司や友だちがやってくる前に、全部袋にいれて、物入れの奥に押し込みます。
Eメールも同じですね。開封するけれど、意思決定をせず、そのままにします。
削除する、返信する、ホルダーに入れる、といった簡単な決断なのに、みんな後回しにして溜め込みます。
ガラクタの本当の影響に自分でも気づいてなかった
私は物理的なガラクタやデジタルなガラクタを片付けるのは得意なんです。ほかのガラクタについても、どうして溜まってしまうのかわかっています。
ですが、こうしたガラクタが人生にどんな影響を与えるのか、理解していませんでした。自分自身が、ガラクタによって、身動きできなくなるまで。
2012年に心臓の手術をしました。もともと心臓の弁に問題がありましたが、「このままで大丈夫だ、長生きする」と言われていたのです。
ただこの年は、私は大きなストレスをかかえていたのです。
父は膵臓(すいぞう)がんにかかり余命を宣告され、長男は自殺をはかって入院。私の心臓は、文字通りこわれてしまいました。
2012年の4月に手術をしました。
私は、模範的な患者で、入院は48時間だけ、すぐに歩き始めたし、楽しいこともやっていました。手術の11ヶ月後にハーフマラソンも走っています。
何もかもうまくいっているように見え、人からも賞賛されました。
でも本当は身動きできなかったのです。メンタルと感情のガラクタをいっぱいかかえていました。
メンタルなガラクタは恐怖でした。もしうまくいかなかったらどうしよう。また悪くなってしまったら? どうしてこんな病気になってしまったのか?
感情的なガラクタは、罪悪感でした。 なぜ私は助かったのに、他の人は逝ってしまったのか。
恐怖と罪悪感のせいで、スピリチャルなガラクタも増えました。
家がきれいでもガラクタはある
私の家はとてもきれいなんです。いつもスッキリ片付いています。クライアントに私とは逆の人がいました。
家の中が物でいっぱいで、何年も人を呼べず悩んでいた人です。私たちは親しい友だちになりました。
あるとき、彼女にこう言いました。
「家に物があふれていることをのぞけば、あなたは、とてもよい人生を送っているわよね。楽しんでいるし、新しいことを学んでいるし、旅行にも行っているし。
たくさんある物を片付けてしまえば、もっと素晴らしくなるわよ」と。
すると彼女が反撃したんです。
「人のこと言えるのかしら。こんなビジネスをしたいとか、あんなことやってみたいと、私に言い続けているのに、あなたは何もやってないじゃない。
あなただって私と同じで止まっているのよ」。
そこでお互いに競争することにしました。彼女は私より早くいらない物を片付けましたが、私も自分のガラクタに向き合い始めました。
恐怖のせいで、決断を先延ばしするのをやめました。罪悪感をどうにかするのを後回しにするのもやめました。すると変化が起こったのです。
決断を先延ばしにしてはいけない
皆さんが、どんなことを先延ばしにしているのか、私にはわかりません。
以前の私のように恐怖を感じているのかもしれないし、誰かを許すことを先延ばしにしているのかもしれません。
この問題の解決策とは?
大事なのは、決断することですよね。
簡単な決断もあります。2週間後に、ガレージの中を片付けよう、とか。大きな決断もあります。学校をやめてカリフォルニアに引っ越しをし、小説を書こう、とか。
小さな決断もあります。
毎週、ショップのメールを2通ずつ購読を停止しよう。
ポイントは自分自身のためにやる、ということ。罪悪感を持っていても、誰のためにもなりません。
すべての意思決定は、自分のためにするべきなのです。
こんな言葉があります。
Change is a result of action, and action is the result of decision. 変化は行動の結果、行動は決断の結果。
つまり皆さんには力があるのです。たとえ、何かのせいですっかり怖気づき、動けなくなっていたとしても。
決断することによって、変化を起こす力を持っています。
必要なのは行動です。物理的なガラクタを箱や袋に入れて、寄付センターに持っていくように。
心のガラクタに対しても行動が必要です。親友に相談したり、自然の中で過ごしたり、瞑想したり、日記をつけたり。どんなことでもいいのですが、行動しなければなりません。
数年前、こんな言葉を聞きました。
Give God something to bless. 神に祝福すべき何かを与えよう。(神のご加護を求めるのではなく、逆に与えよう、ということです)。
つまり、前進するために、何かをするのです。決断をして行動しましょう。たとえ、どんなに小さなことでも。
そうすることで、勢いがつきます。
結局のところ、人生の質は、自分のする決断にかかっているのです。物についての決断、そして自分自身に関する決断。
ですから、何かしてください。前に進みましょう。
時には、また戻ってくるガラクタもあります。人生とはそういうものです。けれども、先延ばしせず、自分で決断することで、おろおろした状態から、自分の求めているものを手にする状態に向かうことができます。
それは心の平安です。
//// 抄訳ここまで ////
単語メモ
よく使う単語だけど、教科書にはのってなさそうな言葉の説明をします。
clutter クラター、散らかっているもの、混乱、ガラクタのこと
be overwhelmed 苦しむ、困惑する、閉口する
ガラクタがいっぱいすぎて、どこから片付けたらいいのかわからず途方にくれている状態です。
paralyzed 麻痺した、身動きできない
汚部屋すぎて何も考えられず、行動できないときはパラライズドになっています。
I got stuck はまる、身動きできなくなる
zing ~を痛烈に批判する
momentum はずみ、勢い
the bottom line 結論、肝心なこと
もともとは、決算書の一番下に書く数字、つまり最終的な収益(損益)のことです。
ミニマリストになるのに参考になるほかのプレゼン
『ものは少なく、幸せは多めに』~グラハム・ヒルに習う「小さく暮らす」メリット
人生で本当に必要なものは3つだけ:マチアス・ルフェーブル(TED)
ガラクタを全て売り払い、借金を返し、旅に出て、自由に生きている男の話(TED)
ミニマリズム~何もしない時間、何もないスペースを作ってより充実した人生を
ほかにもたくさん書いています。目次からどうぞ⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
今すぐ決めて行動する
片付けや断捨離に必要なのは、決断と行動です。
ぐずぐず迷っていないで、右でも左でもどっちでもいいから、とにかく捨て始めるべきなのです。
「どうしたらいいでしょうか?」というメールをよくいただきますが、この人たちは、自分で決めるのを先延ばししています。私にメールを送って、返事をもらうまでの時間を。
その理由はたぶん、「うまくいかなかったらどうしよう」とか、「後悔することになったらどうしよう」という恐怖でしょう。恐ろしいから人に決めてもらおうとしています。
でも、自分で決めない限り何も変わりません。
今まで、そういう恐怖のために、決断してこなかった結果が、いま、自分の目の前にあるガラクタなのです。
いったん自分で決めて、行動を始めてみると流れが変わります。
プレゼンの最後のほうで、
… take an action, even if it’s tiny and the universe will reward you with momentum
と言っていました。「行動しなさい。どんな小さなことでも。そうすれば、世界は、『勢い』というご褒美をあなたにくれるでしょう」という訳になります。
何か行動してみると、加速がつくのです。
悩んでいるときは、行動が足りないときではないでしょうか?
何年もこのブログを読んでいるのに、片付かないと思うなら、行動が足りていないのかもしれません。
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メンタルとエモーショナルの違いですが、メンタルは頭脳や思考など意識的な心の動き、エモーショナルは感情的な心の動き、と考えればいいと思います。
ですが、この2つ、そんなにきっちり線引きできません。
まず感情があり、それを解釈する行為や解釈したものが思考ではないでしょうか?