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自分は片付けたいのに家族の協力が得られない。そんな読者の悩みにアドバイスします。
今回は、2人の読者への提案です。
まずメールを紹介しますね。
1通目は、お便りの引用不可なので、私の言葉で要約します。差出人はTさんとします。2通目はみなこさんからいただいたもので、少し編集しています。
夫が協力してくれない
・物置部屋は夫の物でほぼ埋まっており、キッチンも処分できない物が床に散乱。夫に整理を頼んでもはぐらかされる。
・もともと、子どもの勉強机や食卓を置けるスペースを作りたくて片付けを始めたが、そう言っても聞き流されてしまう。
・自分の持ち物を捨て続けているが、むなしさや理不尽さが募り、心が晴れないままだ。
親がものを捨てない
このメールはこちらの記事で私が質問したことに対する回答です⇒壊れた家電を捨てない親を説得するコツ
ラジカセは母の物で50年物。扇風機は父の物でやはり50年物です。
高校を卒業して貯金してやっと買えたなど思い出の物だということは理解できます。
ですが、扇風機や暖房がスイッチが壊れていて、電源を切るときはコンセントを引っこ抜いていて、親が感電死したら?や火災など気が気でないんです。
もう部品がメーカーになく修理はできません。
無理に捨てなくていいから火事が怖いから使わないでと言っても、あるのに使わないなんてもったいない。と。
親の寝室に重い父の独身時代からの観音開きのタンスがあり、もう着ないであろう若いころの背広がぎゅうぎゅうに入っていて、地震の時下敷きになったら危ないから、捨てなくていいから別の部屋で寝たら?と言っても下敷きになるのは父さんなんだから子供が心配することじゃないと怒られます。
お便りありがとうございます。
家族がものを捨てない、断捨離の邪魔をするという質問はよくいただきますが、こうした問題を解決するのに万能の解決法はありません。
というのも、お互いの性格や家族の力関係、置かれた立場などが複雑にからみあっているからです。
また、それぞれのライフスタイルや住環境も関係があります。
だから、一番の解決策を知っているのは当事者だけです。
これまでアドバイスしたことを実践した上で、それでも解決しないなら、私ならこう進めるという方法を2つ提案します。
1. 目的を共有する
Tさんもみなこさんも捨ててほしい理由は相手に伝えています(少なくとも当人はそう思っています)。
ただ、その理由を相手は自分ごととして捉えていないようです。その場合は、受け入れてもらえません。
そこで、片付けの目的を共有する、もしくは、共通の目標とするようにしましょう。
「子どもの勉強机を置きたい」「家族で食卓を囲めるようにしたい」と伝えても、相手が、「それは自分にも関係があることだ」「家族全体のためになることだから自分の問題だ」と実感していないと心は動きません。
Tさんは、「勉強机や食卓を置くために片付けたい」と夫に伝えていますが、夫は聞き流しています。これは、伝えているのに伝わっていない状態だと思います。
みなこさんも、「親が感電したらどうしよう」「地震でタンスが倒れたら危ない」と不安を言葉にしていますが、親は「それはおまえの問題だ、私には関係ない」と考えているようです。
では、どうしたら目的意識を共有できるでしょうか?
こんな工夫が考えられます。
共有するコツ
1)目的を暮らしのビジョンとして提示する
「ものを捨てたい」とただ言うのではなく、「どういう暮らしにしたいのか」という将来のビジョンも伝えると、伝わりやすいかもしれません。
たとえば、
・勉強机を置きたい→ 子どもが静かな場所で集中できるようにしてあげたい
・キッチンを片付けたい→ すぐに作業ができる環境にして、朝ゆっくりごはんを食べたい
・ものを減らしたい → 気軽にお客さんを呼べるにぎやかな家にしたい
こんなふうに、片付ける理由を、家族の快適な未来のための手段として語ると、相手も興味を持ってくれるかもしれません。
「ものが多いから捨てて」ではなく、「こんな暮らしに近づけたい」という前向きなビジョンを提示しましょう。
2)自分の希望を率直に伝える
目的を伝えるときは「私はこうしたい」と自分の希望やリクエストとして伝えるとケンカになりません。
「捨ててほしい」「片付けてくれないと困る」と言うよりも、「私は、ここに机を置きたいと思っている」「私は、火事が怖いからこれはもう使ってほしくない」というように、主語を自分にすると押しつけがましくなりません。
3)「あなたはどう思う?」と対話に巻き込む
相手の意見を聞いて、家族を当事者にします。
自分の意見を一方的に言うのではなく、「どんな部屋だったら落ち着くと思う?」「これからどんな部屋にしていきたいの?」と聞いてみましょう。
子どものために片付けをするならば、今後、子どもは確実に大きくなるわけですから、「各自に子ども部屋が必要になったら、どうしたい?」と聞けばいいでしょう。
親が相手のときは、少し事情が違います。
将来確実に部屋を片付ける必要性が出てきますが、そういうことを聞きたくない、現実に直面するのを避けたい人も多いので(逃げても無駄ですが)、別の質問をするといいかもしれません。
たとえば、「この扇風機、毎回コンセント抜くの面倒じゃない?」「この棚、高くて取りづらくない?」と、現実の問題に振ってみます。
もしくは、「もし急に片付けが必要になったら、このタンスどうしようか?」「もしこれが壊れたら、次どうするつもり?」など、近い未来の話にしてもいいでしょう。
できるだけ、一緒に考える雰囲気をつくって、相手に、自分ごとだと思ってもらうようにしましょう。
2. 共感の姿勢を見せる
誰かを説得したいときは、相手の立場にたって状況を見るようにしてください。
家族が片付けに協力してくれないと、つい「どうしてわかってくれないの?」とイライラしてしまいますよね?
でも、相手にも相手なりの思いや事情があります。そこに目を向けて理解を示さないと、対立の溝は埋まりません。
みなこさんのお母さんがラジカセを手放せないのは、若いころ、頑張って買った思い出の品だからなんですよね。
お父さんが壊れた扇風機をまだ使っているのも、長年の習慣や「使えるものを捨てるのはもったいない」という価値観のせいでしょう。
こうした気持ちを無視して「危ないから捨てて」と言っても、相手は自分の歴史や価値観を否定されたように感じ、反発します。
そこで、「ずっと大事に使ってきたのはわかってるよ」「思い出があるよね」と、相手の気持ちを受け止める言葉を伝えてみましょう。
ポイントはちゃんと言葉にすること。
さらに、自分が本当にそう思っていないと嘘っぽく聞こえるので、実際に共感することが重要です。
相手のこだわりや思い入れに理解を示せば、こちらの話にも耳を傾けてもらいやすくなります。
共感を示すコツ
たとえば、こんなふうに話してみたらどうでしょうか?
1)「私も同じ立場なら迷うかも」と声をかける
「気持ちはわかるよ」と伝えると、相手の防御態勢がゆるんで、こちらの提案にも耳を傾けてもらいやすくなります。
「ずっと使ってきたものだし、すぐに手放せないのも無理はないよね」と一言そえてみましょう。
Tさんの夫も、みなこさんの両親も、いつも、うるさく「捨てろ」と言われていると感じているため、心を閉ざしていると思います。まずは心を開いてもらいましょう。
2)思い入れを聞いてみる
「この扇風機、昔からあるけど、何が気に入ってるの?」などと聞いて、相手の持ち物に興味を示しましょう。
3)思い出を一緒に振り返る
「これ、〇〇旅行のとき買ったやつだよね」「高校卒業して買ったって言ってたよね」と切り出し、思い出話をしてみましょう。
私も、母親と断捨離したとき、思い出話に花が咲きました。
親に自分の思いが伝わらないのは、コミュニケーションがうまくいっていないからなので、思い出話をして距離を縮めてください。
◆関連記事もどうぞ⇒片付けない家族にイライラしない方法:まず自分のスペースから整える
⇒片付けを手伝うと家族とケンカになる理由、そしてそれを防ぐ方法
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家族が片付けに協力してくれないときの対処法を2つ紹介しました。
家族であっても、他人です。誰かの行動や思考をコントロールすることはできません。
コントロールしようとすると、ストレスがたまるので、自分の行動を変えることに注力してください。
目的を共有したり、共感を伝えたりするには時間がかかります。あせらず、粘り強くコミュニケーションを続けていきましょう。