対立する嫁と姑

ミニマルな日常

片付けを手伝うと家族とケンカになる理由、そしてそれを防ぐ方法

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今回は、ものを減らしたいと思っている家族の片付けに上手に協力するコツを紹介します。

読者からいただいたお便りにこんな一節がありました。

ここ数年、「家の中が散らかりすぎてる」とこぼす母のため、と思い、里帰りのたびに古い本など片づけるべく努力をはじめたところ、逆に母の怒りをかってしまいました。

シンプルライフを目指してる人にとっては、よくあるエピソードです。

「ものが多すぎて困っている」と言う相手のためを思ってやったことなのに、思いがけず反発されることがありますよね。

実は ものが多くて困っているからと言ってその人が片付けたいとは限りません。

片付けたいならとっくの昔に片付けているでしょう。

この記事では、片付けに対する価値観の違いを解きほぐし、相手に寄り添いながらストレスなく片付けを進める方法を紹介します。

まず、対立が生まれてしまう原因をじっくり見ていきましょう。

反発やトラブルの原因を知ることは、片付けを手伝う上で非常に重要です。

片付けを手伝う際に起こる対立やストレスは、単にものだけの問題ではなく、それぞれの価値観や感情が深く関わっているからです。



「片付けたい」と言うのに反発する理由

口では「家の中を整理したい」と言いながら、こちらが手伝おうとすると相手が反発するとき、こんな事情があるかもしれません。

片付ける意味がわかっていない

部屋を本当に片付けたいなら、不用品を捨てなければなりません。

ですが、多くの人はこの当たり前の事実をわかっておらず、捨てることは頭から想定していないときがあります。

整理整頓や収納などをすれば散らからないんじゃないか。前提にそんな気持ちがあるので、あなたが、ものを捨てようとすると大きな抵抗を示します。

散らかり具合に対する耐性が違う

私のように少ないもので暮らすことに慣れてる人にとっては、もはやごく普通の暮らしをしてる人の部屋を見ても、すごくものが多く思えます。

逆にものをたくさん持っていて、散らかっているのが普通の人は、ちょっとぐらい散らかっていることに何も問題を感じないかもしれません。

だから、あなたがほんの少し捨てただけでも、ものすごくたくさん捨てているように感じてしまいます。

「捨てる=損失」と感じる心理が強い

多くの人は、いったん手に入れたものを手放すことに強い抵抗を感じます。

この背景には、心理学で「授かり効果(エンダウメント効果、保有効果)」と呼ばれる現象があります。

授かり効果は「一度自分のものになったものは、実際の価値以上に大切に感じてしまう」という心理です。

例えば、同じマグカップでも「お店に並んでいる状態」より、「自分のものになった状態」の方が価値を高く感じられ、手放しにくくなります。

平たく言ってしまえば愛着がわくんです。

たとえ使っていなくても、捨ててしまうのはすごくもったいないことだと感じていると、誰かが自分のものを捨てることに抵抗を感じます。

授かり効果のせいで捨てられない物を捨てられるようになる考え方

「勝手にやられた」と感じる不快感

自分の家にあるものを、他の人に捨てられると「自分のテリトリーを侵害された」と反発する人もたくさんいます。

動物が縄張りを持つのと同じように、人間も「自分のもの」「自分の空間」に対する所有感を強く持ちます。

自分の部屋やオフィスの自分のデスクはもちろんのこと、喫茶店や電車など公共のスペースでも自分が勝手に座ると決めた場所に誰かが座っていると「取られた」と感じますよね?

人間性を否定されたと感じる

自分でも内心「ものが多いし、散らかってる」と考えていたとしても、他の人に「この家は散らかってるよね」と言われたら、自分の暮らしを否定されたと感じてしまうことがあります。

本人が口では「片付けたい」と言っていたとしても、他人から指摘されるとプライドが傷ついたり、責められているように思います。

「どうしてこんなに散らかってるの?」などと言われれば、本人は「だらしない人だと思われている」と感じるでしょう。

つまり人間性を否定されたと思うのです。

自分のペースを無視されたと感じる

不用品を捨てようと思っていても、いつどんな風に行うかは、人それぞれ好みがあります。

「ゆっくりやりたい」と思っていたところに、子供がやってきてどんどん捨ててしまうと、「え? ちょ、ちょっと待って!!」と思うでしょう。

片付けは、単なる作業ではなく、その人の心の整理に密接に関わっています。

自分のペースでゆっくり進めたかったのに、急かされるようにどんどん捨てられると、自分の気持ちを無視されたと感じて悲しくなるでしょう。

人によっては、捨てることに対する心の準備が必要な場合もあります。

思い出の詰まったものや、迷いのあるものは、手放すと決めるまでに時間がかかることもあります。

こんなとき他人がどんどん片付けると怒りすら生じます。

以上のような事情から、「片付けたい」と言っているのに、実際に手伝うと怒る人がたくさんいるのです。

ではどうすれば、対立や余計なストレスを生まずに、片付けを手伝ってあげることができるでしょうか?

お互いのストレスを減らすための3つの解決策

親しい人の片付けを手伝うとき、ストレスを生まないために以下の3つを心がけてください。

1.相手の価値観を尊重する

いきなり相手の家に行ってものを捨て始めてはいけません。まずは今回の片付けプロジェクトの全体像を一緒に確認しましょう。

まず、片付けを手伝う相手と以下のことを話し合ってください。

・どんなふうに片付けたいと思っているのか?

・何をどのくらいの量、減らしたいのか?

・最終的にどんな状態を目指しているのか?

このような「片付けのゴール」を事前に共有しておき、それに沿って進めれば、お互いにストレスのない形で進めることができます。

特に、これまでものを捨てたことがない人が相手の時は、捨てることを急がせず、「整理しながら使いやすくする」という方向性で話を進めると、安心してもらえるでしょう。

2.サポート役に徹する

自分がどんどん不用品を捨てるのではなく、相手が主体的に片付けを進められるようにサポートしましょう。

片付ける本人が「これは捨てたくない」と感じるものを無理に処分してはいけません。こんなことをすると、反発を招くだけでなく、片付けへの意欲を失わせてしまいます。

サポート役としてできることは、例えば以下のような方法です。

・質問を投げかける:「これ、最近使った?」や「これはどこに置くと便利かな?」と聞いて、相手が自分で考えられるようにする。ただし、「いる? いらない?」と畳み掛けるような質問をするのはNG。

・選択肢を提示する:「よく使うものは手の届くところに、あまり使わないものは別の場所に移動するのはどう?」と提案し、相手の判断に委ねる

・片付けやすい環境を作る:ゴミ袋や整理ボックスを準備し、不用品が外に出ていきやすい環境にする

・小さな片付けを心がける:「今日はこの引き出しだけやろう」と小さな範囲から始め、無理なく進められるよう配慮する

全体として、捨てることよりも、部屋を心地よく整えることを意識すると、相手も安心して片付けに取り組めます。

3.スペースを分ける

同居している人の片付けを手伝っているのなら、自分のスペース、共有スペース、相手のスペースと、しっかりエリア分けしましょう。

特に相手が片付けに消極的な場合、人のスペースに勝手に手をつけると強い反発を招くことがあります。いついかなる時も自分のスペースから片付けることが基本です。

エリアごとの片付けの進め方:

・自分のスペース

まずは自分の持ち物やスペースを整理し、片付けの効果を見せると相手にいい影響を与えることができます。「片付けるとこんなに快適になるんだ」と実感すれば、相手も興味を持つかもしれません。

自分がすごく物持ちで部屋がぐしゃぐしゃなとき、他人の部屋を片付けようとしても説得力がありません。

・共有スペース

リビングやキッチンなどの共有スペースは、相手の同意を得ながら進めるのがポイント。

たとえば、「この棚を整理したいんだけど、一緒にどこに何を置くか決めない?」と相談しながら進めると、相手も納得するでしょう。

・相手のスペース

相手のスペースを、勝手に片付けるのはNG!

どんなに散らかっていても、相手にとっては「自分のテリトリー」です。片付けを促したい場合は、「ここを少し片付けると使いやすくなるかもね(まあ、私はどうでもいいけど)」と軽く提案する程度にとどめ、強制しないことが重要です。

片付けは自分の意思で進める方が成功しやすいもの。 しっかりエリアを分けると、相手のペースや価値観を尊重しながら、無理なくスッキリした空間を作ることができるでしょう。

■関連記事を読みたい方はまとめからどうぞ⇒家族に物を捨ててもらいたい人へ。他人の物が邪魔なときに読む記事のまとめ。

*****

人の片付けを手伝う時、反発を招かない方法をお伝えしました。

誰かの片付けを一緒にする時は、ものだけでなく、人間関係についても考えなければなりません。

「相手のために」と一方的に気張るのではなく、お互いが心地よく過ごすために冷静に片付けを進めましょう。





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