対立する嫁と姑

ミニマルな日常

最終更新日: 2025.02.6

片付けを手伝うと家族とケンカになる理由、そしてそれを防ぐ方法

ページに広告が含まれることがあります。

 

今回は、ものを減らしたいと思っている家族の片付けに上手に協力するコツを紹介します。

読者からいただいたお便りにこんな一節がありました。

ここ数年、「家の中が散らかりすぎてる」とこぼす母のため、と思い、里帰りのたびに古い本など片づけるべく努力をはじめたところ、逆に母の怒りをかってしまいました。

シンプルライフを目指してる人にとっては、よくあるエピソードです。

「ものが多すぎて困っている」と言う相手のためを思ってやったことなのに、思いがけず反発されることがありますよね。

実は ものが多くて困っているからと言ってその人が片付けたいとは限りません。

片付けたいならとっくの昔に片付けているでしょう。

この記事では、片付けに対する価値観の違いを解きほぐし、相手に寄り添いながらストレスなく片付けを進める方法を紹介します。

まず、対立が生まれてしまう原因をじっくり見ていきましょう。

反発やトラブルの原因を知ることは、片付けを手伝う上で非常に重要です。

片付けを手伝う際に起こる対立やストレスは、単にものだけの問題ではなく、それぞれの価値観や感情が深く関わっているからです。



「片付けたい」と言うのに反発する理由

口では「家の中を整理したい」と言いながら、こちらが手伝おうとすると相手が反発するとき、こんな事情があるかもしれません。

片付ける意味がわかっていない

部屋を本当に片付けたいなら、不用品を捨てなければなりません。

ですが、多くの人はこの当たり前の事実をわかっておらず、捨てることは頭から想定していないときがあります。

整理整頓や収納などをすれば散らからないんじゃないか。前提にそんな気持ちがあるので、あなたが、ものを捨てようとすると大きな抵抗を示します。

散らかり具合に対する耐性が違う

私のように少ないもので暮らすことに慣れてる人にとっては、もはやごく普通の暮らしをしてる人の部屋を見ても、すごくものが多く思えます。

逆にものをたくさん持っていて、散らかっているのが普通の人は、ちょっとぐらい散らかっていることに何も問題を感じないかもしれません。

だから、あなたがほんの少し捨てただけでも、ものすごくたくさん捨てているように感じてしまいます。

「捨てる=損失」と感じる心理が強い

多くの人は、いったん手に入れたものを手放すことに強い抵抗を感じます。

この背景には、心理学で「授かり効果(エンダウメント効果、保有効果)」と呼ばれる現象があります。

授かり効果は「一度自分のものになったものは、実際の価値以上に大切に感じてしまう」という心理です。

例えば、同じマグカップでも「お店に並んでいる状態」より、「自分のものになった状態」の方が価値を高く感じられ、手放しにくくなります。

平たく言ってしまえば愛着がわくんです。

たとえ使っていなくても、捨ててしまうのはすごくもったいないことだと感じていると、誰かが自分のものを捨てることに抵抗を感じます。

授かり効果のせいで捨てられない物を捨てられるようになる考え方

「勝手にやられた」と感じる不快感

自分の家にあるものを、他の人に捨てられると「自分のテリトリーを侵害された」と反発する人もたくさんいます。

動物が縄張りを持つのと同じように、人間も「自分のもの」「自分の空間」に対する所有感を強く持ちます。

自分の部屋やオフィスの自分のデスクはもちろんのこと、喫茶店や電車など公共のスペースでも自分が勝手に座ると決めた場所に誰かが座っていると「取られた」と感じますよね?

人間性を否定されたと感じる

自分でも内心「ものが多いし、散らかってる」と考えていたとしても、他の人に「この家は散らかってるよね」と言われたら、自分の暮らしを否定されたと感じてしまうことがあります。

本人が口では「片付けたい」と言っていたとしても、他人から指摘されるとプライドが傷ついたり、責められているように思います。

「どうしてこんなに散らかってるの?」などと言われれば、本人は「だらしない人だと思われている」と感じるでしょう。

つまり人間性を否定されたと思うのです。

自分のペースを無視されたと感じる

不用品を捨てようと思っていても、いつどんな風に行うかは、人それぞれ好みがあります。

「ゆっくりやりたい」と思っていたところに、子供がやってきてどんどん捨ててしまうと、「え? ちょ、ちょっと待って!!」と思うでしょう。

片付けは、単なる作業ではなく、その人の心の整理に密接に関わっています。

自分のペースでゆっくり進めたかったのに、急かされるようにどんどん捨てられると、自分の気持ちを無視されたと感じて悲しくなるでしょう。

人によっては、捨てることに対する心の準備が必要な場合もあります。

思い出の詰まったものや、迷いのあるものは、手放すと決めるまでに時間がかかることもあります。

こんなとき他人がどんどん片付けると怒りすら生じます。

以上のような事情から、「片付けたい」と言っているのに、実際に手伝うと怒る人がたくさんいるのです。

ではどうすれば、対立や余計なストレスを生まずに、片付けを手伝ってあげることができるでしょうか?

お互いのストレスを減らすための3つの解決策

親しい人の片付けを手伝うとき、ストレスを生まないために以下の3つを心がけてください。

1.相手の価値観を尊重する

いきなり相手の家に行ってものを捨て始めてはいけません。まずは今回の片付けプロジェクトの全体像を一緒に確認しましょう。

まず、片付けを手伝う相手と以下のことを話し合ってください。

・どんなふうに片付けたいと思っているのか?

・何をどのくらいの量、減らしたいのか?

・最終的にどんな状態を目指しているのか?

このような「片付けのゴール」を事前に共有しておき、それに沿って進めれば、お互いにストレスのない形で進めることができます。

特に、これまでものを捨てたことがない人が相手の時は、捨てることを急がせず、「整理しながら使いやすくする」という方向性で話を進めると、安心してもらえるでしょう。

2.サポート役に徹する

自分がどんどん不用品を捨てるのではなく、相手が主体的に片付けを進められるようにサポートしましょう。

片付ける本人が「これは捨てたくない」と感じるものを無理に処分してはいけません。こんなことをすると、反発を招くだけでなく、片付けへの意欲を失わせてしまいます。

サポート役としてできることは、例えば以下のような方法です。

・質問を投げかける:「これ、最近使った?」や「これはどこに置くと便利かな?」と聞いて、相手が自分で考えられるようにする。ただし、「いる? いらない?」と畳み掛けるような質問をするのはNG。

・選択肢を提示する:「よく使うものは手の届くところに、あまり使わないものは別の場所に移動するのはどう?」と提案し、相手の判断に委ねる

・片付けやすい環境を作る:ゴミ袋や整理ボックスを準備し、不用品が外に出ていきやすい環境にする

・小さな片付けを心がける:「今日はこの引き出しだけやろう」と小さな範囲から始め、無理なく進められるよう配慮する

全体として、捨てることよりも、部屋を心地よく整えることを意識すると、相手も安心して片付けに取り組めます。

3.スペースを分ける

同居している人の片付けを手伝っているのなら、自分のスペース、共有スペース、相手のスペースと、しっかりエリア分けしましょう。

特に相手が片付けに消極的な場合、人のスペースに勝手に手をつけると強い反発を招くことがあります。いついかなる時も自分のスペースから片付けることが基本です。

エリアごとの片付けの進め方:

・自分のスペース

まずは自分の持ち物やスペースを整理し、片付けの効果を見せると相手にいい影響を与えることができます。「片付けるとこんなに快適になるんだ」と実感すれば、相手も興味を持つかもしれません。

自分がすごく物持ちで部屋がぐしゃぐしゃなとき、他人の部屋を片付けようとしても説得力がありません。

・共有スペース

リビングやキッチンなどの共有スペースは、相手の同意を得ながら進めるのがポイント。

たとえば、「この棚を整理したいんだけど、一緒にどこに何を置くか決めない?」と相談しながら進めると、相手も納得するでしょう。

・相手のスペース

相手のスペースを、勝手に片付けるのはNG!

どんなに散らかっていても、相手にとっては「自分のテリトリー」です。片付けを促したい場合は、「ここを少し片付けると使いやすくなるかもね(まあ、私はどうでもいいけど)」と軽く提案する程度にとどめ、強制しないことが重要です。

片付けは自分の意思で進める方が成功しやすいもの。 しっかりエリアを分けると、相手のペースや価値観を尊重しながら、無理なくスッキリした空間を作ることができるでしょう。

■関連記事を読みたい方はまとめからどうぞ⇒家族に物を捨ててもらいたい人へ。他人の物が邪魔なときに読む記事のまとめ。

*****

人の片付けを手伝う時、反発を招かない方法をお伝えしました。

誰かの片付けを一緒にする時は、ものだけでなく、人間関係についても考えなければなりません。

「相手のために」と一方的に気張るのではなく、お互いが心地よく過ごすために冷静に片付けを進めましょう。





レシートと計算機あなたもやっているかもしれない~無駄遣いを生む7つの思考のクセ前のページ

リサイクルショップに出せない不用品、どう手放す?~7つの処分アイデア次のページ箱にお椀を詰めようとしている人

ピックアップ記事

  1. ムック・8割捨てて二度と散らからない部屋を手に入れる、発売しました。
  2. いつか使うかもしれない、と思うものを本当に使う方法、あるいは見切りをつける方法。…
  3. 筆子の新刊『買わない暮らし。』(6月16日発売)著者による内容紹介。現在予約受付…
  4. ムック本・第2弾『8割捨てれば、お金が貯まる』発売のお知らせ:11月15日です。…
  5. 新刊『本当に心地いい部屋』4月14日発売のお知らせ:現在予約受付中。

関連記事

  1. 図書館にいる若い女性

    ミニマルな日常

    読みたい本が多すぎて追いつかず、図書館に振り回される~この問題の解決法。

    読みたい本が多すぎて追いつかない。アドバイスください。この質問…

  2. 猫

    ミニマルな日常

    私は猫を飼うべきですか? 暮らしをシンプルにしているところなのですが←質問の回答。

    猫を飼おうかどうか迷っている読者の質問に回答します。この方は、…

  3. ミニマルな日常

    快適な1日を送るためにやるべき朝の3つの習慣(超基本編)

    良い1日を送る鍵になる、3つの朝の習慣をお伝えします。朝は、1…

  4. ゴミ袋をしばる

    ミニマルな日常

    もういらない物を1000個捨ててわかったこと(読者のお便り紹介)。

    去年(2021年)の11月、12月にいただいたお便りから1000個捨て…

  5. 間取り図

    ミニマルな日常

    結局使わずに捨てた、「いつか使うつもりの物」~私のリフォーム体験。

    今年の2月にもらってまだ紹介していなかった読者のお便りを2通紹介します…

  6. 自宅で仕事中の女性

    ミニマルな日常

    仕事でどうしても必要な物が部屋を占拠していたらどうするか。

    読者の質問2つに回答します。今回の質問は1.仕事にどう…

文庫本『それって、必要?』発売中。

「50歳からのミニマリスト宣言!」

ムック:8割り捨てて二度と散らからない

ムック・8割捨てればお金が貯まる

書店かセブンイレブンで買ってね。
8割捨てればお金が貯まる・バナー
ムック本・8割捨てればお金が貯まる、発売のお知らせ

「本当に心地いい部屋」

「買わない暮らし。」売れてます(第7刷)

筆子のムック(第5刷)

筆子の本、『書いて、捨てる!』

更新をメールで受け取る

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

1,842人の購読者に加わりましょう

新しく書いた記事を読む

  1. 朝起きたところ
  2. ドーナツ
  3. ゴミ袋を持つ手
  4. テディベア
  5. 公園でリラックスする女性
  6. 決められない女性
  7. 大事なペンダント
  8. 服をチェックする女性
  9. wiping the table
  10. スッキリした部屋

筆子の本・10刷決定です

オーディオブック(Audible版)も出ました♪ 捨てられない人は要チェック
1週間で8割捨てる技術
⇒筆子の本が出ます!「1週間で8割捨てる技術」本日より予約開始

 

実物の写真つき紹介はこちら⇒「1週間で8割捨てる技術」筆子著、本日発売です(写真あり)

大好評・特集記事

小舟バナー

 

お金を貯める・バナー

 

実家の片付けバナー

 

ファッションバナー

 

フライレディバナー

 

湯シャンバナー

 

ブックレビューバナー

 

TEDバナー

 

歯の治療バナー

今日のおすすめ記事

  1. 疲れてる人
  2. 化粧品持ちすぎ
  3. 勉強する女の子。
  4. 若い女性
  5. 食事中の女性
  6. 土産物を買っている女性
  7. 買い物する女性
  8. セール品を奪いあう女性。
  9. へその緒
  10. お菓子の型

過去記事、たくさんあります♪

PAGE TOP