忙しいお母さん

TEDの動画

最終更新日: 2024.02.29

人との間に境界線を引くからこそ、素晴らしい人生になる(TED)

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頼まれごとを断れない人に見てほしいTEDトークを紹介します。

タイトルは How Boundaries Make Space For The Sweet Things In Life(いかに境界線が人生の素晴らしいもののための余白を作るか?)

講演者は、セルフヒーリングを教えている Yasmine Cheyenne(ヤスミン・シャイエン)さん。



境界線を引く:TEDの説明

Yasmine Cheyenne is a self-healing educator who helps people learn daily practices that build healthy and joyful lives. In this talk, she shares the aha moment that occurred in her kitchen one afternoon, between her and her Sugar Jar, that deepened her own wellness journey and manifested into a visual teaching tool we can all carry with us to help us set healthy boundaries and live our lives the way we really want to.

ヤスミン・シャイエンはセルフヒーリングの教育者で、人々が健康で楽しい生活を築ける日常的な方法を学べるよう手助けしています。

このトークで、ヤスミンはある午後、キッチンで自分と砂糖入れについてひらめいたことをシェアします。その気づきは、彼女自身のウエルネスへの旅を深め、私たちが健全な境界線をもうけて、本当に求めている人生を生きるための視覚的なツールともなりました。

収録は2022年、動画の長さは11分。英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆トランスクリプションはこちら⇒Yasmine Cheyenne: How Boundaries Make Space For The Sweet Things In Life | TED Talk

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

境界線を引いて、自分のリソースを守らないと、疲れ切ってしまって、望む生き方ができないという内容。

boundaries は「境界線」ですが、日本語では、「人間関係において境界線を引く」という言い方がないので、訳しにくい言葉です。

境界線は、プライバシーやスペースだけでなく、自分のリソース(時間やエネルギーなど)にも引きます。

このトークでは、ガラスの砂糖入れの中に入っている砂糖を自分のリソースに見立てています。





祖母から学んだこと

家にいる感覚を保つのは難しいものです。それは、物理的な家ではなく、自分自身の中にある安心感です。

どこにいても、何をしていても、安全だという感覚があれば、地に足をつけ、飛び立ちたいときに飛ぶことができます。

幼い頃、私にとってキッチンが、安全な場所でした。リラックスして、笑ったり、食べたりできる場所です。

料理好きの私にとってキッチンはいつも特別な場所でした。

たいてい祖母と一緒に料理をしていました。一緒に料理するとき、祖母はやり方を見せてくれ、なぜそうするのか丁寧に教えてくれました。

でも、祖母の邪魔をすると、注意されました。愛ある注意です。祖母は、自分のキッチンを私に使わせているけれど、そこは、祖母のスペースであることを気づかせてくれました。

祖母とキッチンにいた時間は、気づかないうちに、私に境界線(boundaries)を引くこと、気づくこと、敬意を払うこと、責任を取ること、注意深くすることを、教えてくれたのです。

当時はわかっていませんでしたが、自分が何をしているのかちゃんとわかっているとき、人は、自分の気持ちに同意しています。それはただの雑用ではなく、自分が信じてやっていることになるのです。

疲れ切っていた自分

20年たったある日の午後、私は自分自身のキッチンにいました。我が家の中心です.

片腕に、昼寝をしようとしない新生児を抱き、もう一方の手で、To-doリストをもち、見ていました。

私は疲れ切っていました。やるべきことがたくさんあって、コーヒーを飲んでも、外の空気を吸っても元気になれませんでした。

授乳と食事のしみがついた服を着て、さんざんな気分でした。みんなのためにあらゆることをしていて、自分には何も残っていなかったのです。

その日はなぜか、私のいつもの「人を喜ばせようとする気質」が出てきませんでした。

何も問題がないかのように、これ以上がまんすることができなかったのです。

キッチンを見回したら、砂糖入れ(sugar jar)が目につきました。そして、気づいたんです。

私はキッチンを自分の人生のようだと思いました。やってもやっても終わらないTo-doリスト、混乱、そしてカオス。

そこには、いつもやるべきことがある感じ、いつも世話をすべき人がいる感覚がありました。

私は、誰の用事もやってしまっている自分に気づきました。上司、友人、家族。

砂糖入れの中の砂糖は、自分のエネルギー、時間、リソースだと思いました。

リソースを取られる一方だった

入れものは、境界線です。ガラスのもろい容器でも、中にあれば安全で自分を保っていられます。

しっかりした入れものが自分の境界線を示していて、その容器の中に砂糖を中にいれておけば、自分を守れると思ったのですが、私はふたをするのを忘れていました。

砂糖は他の人にとって甘くて魅力的です。ふたが開いているので、誰でも、自由に砂糖入れの中に入ってきて、必要な分を持っていくのです。

私は自分でふたをしていなかったのです。

つまり、ノーと言って境界線を引くのは自分の責任だったのに、私は全くそうしなかったのです。

ところで、砂糖を掃除したことがありますか?

砂糖はあらゆるすきまに入り込むし、小さな粒をつまみ上げるのは難しい。

砂糖を自分のリソースだと考えると、そこら中に散らばった砂糖は、きれぎれになった自分自身です。

どうやってその切れ端を集めて、元の自分に戻したらいいのかわかりません。

でも、自分が望む人生を手に入れるためには、今いるところから始める必要があります。ときにはそれは、目の前にあるものを片付けることなのです。その後、自分自身を満たします。

苦い人生

自分の切れ端をなくしてしまったら、恨まないわけにはいきません。いくつかの切れ端は、決して取り戻せないのですから。

決して取り出せない場所に散ってしまった砂糖の粒。

私たちは充実感があって人生を豊かにしてくれる人間関係を求めています。

意味があって、楽しい会話や経験を共有できる関係。

でも、キッチンに入って、砂糖入れがからっぽだと、大事な人たちと過ごし、大事なことをするエネルギーが十分ないと感じます。

紅茶やコービーを飲む時、苦味をなくすために砂糖を入れます。でも、自分の砂糖入れがからっぽだったら、苦い飲み物をすするしかないんです。

この苦さは、人生のあらゆるところに忍び込みます。

友情、結婚、仕事、子どもとの関係にも苦味が出ます。自分自身に使う分が何も残っていないからです。

リソースを使い切らないために

だから、今後、どうしたら、砂糖入れをからっぽにしないようにできるか、考えなければなりません。

砂糖の入れものを増やせばいいと思うかもしれません。1つは仕事用、1つは家庭用、1つは自分用みたいに。

でも、キッチンに複数の砂糖入れを置いたりしませんよね。自分が1人しかいないのと同じように、砂糖入れは1つだけ。

大事なものや人に対して対応できるのは砂糖入れ1個だけ。

では、どうやって砂糖入れを管理すべきか?

まず、すでにそこに入っている砂糖を維持することです。そのために、こんな質問をしてください。

- イエスと言うとき、私は本当にイエスと言いたいのか?

- 夜遅くまで起きているとき、そうしたいのか?

- 自分を消耗させるとわかっているこの人間関係を続けたいのか?

私たちは、他人をがっかりさせたくないばかりに、自分自身を裏切ることがあります。

自分の中の不快さより、他人をハッピーにさせる不快さを選んでしまうのです。

リソースが減ってしまうパターンを見つける

だから、今、自分の砂糖入れについて考えてください。

どのぐらい砂糖が入っていますか? たくさん砂糖をあげているのはどこで、誰にですか?

一番大事なことは、自分に使う分が残っているかどうかです。

砂糖入れがからっぽになるパターンやサイクル、ルーティンがわかりにくい時があるかもしれません。

それは、あまりにもあたりまえのことになっているから。

でも、そのままでいる必要はないんです。失った分を埋めることができます。

自分で選択できる

その日、私はキッチンで、どれだけ自分のリソースを差し出すか、誰に差し出すかは自分で選べると気づきました。

砂糖入れをからっぽにした責任が自分にあるなら、その入れものをいっぱいにする責任も自分にあるのです。

入れものの中にちゃんと砂糖を入れておくことが大事だとわかったら、次は、選択するパワーをもつことです。

確かに、周囲のすべてをコントロールすることはできません。でも、自分で思っているよりコントロールできることもあります。

選択のパワーを自分に与えることは、とても自分を自由にさせてくれます。

私たちは健全な境界線を引くのに苦労していますが、それは、本当にそうしたいときだけイエスというパワーが自分にあると気づいていないからです。

選択する力がないと、がんばりすぎてしまいます。手元にないお金や時間をあげようとするのです。そして、もう終わったと気づいている関係を長々と続けてしまいます。

「いい人」や「親切な人」ならそうするはずだと信じているから、そういうことをしてしまいます。そうやって自分から重荷をかついでしまいます。

でも、あなたは今やっていることを本当にやりたいですか? 「イエス」と言うとき、それは本音でしょうか? それとも、ほかの選択肢を知らないからそう答えていますか?

自分に正直になる

砂糖入れは決して嘘をつきません。私たちは自分をだますことがありますが、砂糖入れがからっぽのときは、はっきりそうわかります。

うまくいっていないことについて自分に正直であれば、いい方向に変わることができます。

正直になるというのは、すべての関係を終わらせることではありません。その状態を続けるかどうか、決める自由を自分に与えることです。

正直になれば、どれほど他人のために自分を使っているか調べることができます。そして、自分のニーズも満たせるように、関係を変えることができるのです。

自分には関係のない用事をTo-doリストにいっぱい書いていませんか? 次から次へと続くタスクのせいで、砂糖がどんどん減っていきます。

多くの人が求めている心地よさや平穏を得るためには、自分自身を優先しなければなりません。

まず自分のために砂糖を満たし、その後、本当に大切なもののために、砂糖を使います。

自分自身との関わり方を変えると、どんなふうに人生が変わるでしょうか?

境界線を引くコツ

皆さんに覚えていてほしいことを、SUGARの頭字語を使って紹介します。

S: Say no ノーと言う。

U: Use your voice 声をあげる(正直に言う)

G: Give to yourself too 自分にも与える

A: Always check within いつも自分の気持ちを確かめる

R: Resist the urge to overgive 与えすぎたい気持ちに抵抗する

皆が、自分の砂糖入れをちゃんと管理すれば、求めている自由を得られます。

人間関係を豊かにする自由、新しい場所を見る自由、ただそこに存在する自由。

砂糖入れを満たせば、毎日、わくわくできる人生を築くきっかけになるんです。

どんなに自分がからっぽになったとしても、また満たす選択をする勇気をもつことが、とても重要だと気づきました。

あなたの、砂糖入れはどんな状態ですか?

//// 抄訳ここまで ////

補足

buy in  賛同する、同意する

ヤスミンさんの著書です。

境界線に関するほかのプレゼン

毎日疲れているあなたに。心の境界線を引いてストレスを減らし、自由になる(TED)

大事なものにイエスというために、ノーと言いなさい(TED)

人の言いなり(ピープルプリーザー)になるのをやめる方法(TED)

自分を優先する

忙しくて断捨離できないというメールをたまにもらいます。

確かに、忙しくなってしまう事情は人それぞれあるでしょう。

ただ、やらなくてもいい仕事をしているせいで、すごく消耗することがあるのも事実です。

時間的に無理なのに、頼まれたことをどんどんやってしまったり、見栄を張ってやろうとしたり。

いらないプレゼントを断らずに受け取ってしまうのも、自分の仕事を増やします。

本当は相手が管理するべきなのに、自分が肩代わりして管理や処分をするのですから。

だから、今、タスクをやりすぎて疲れている人や、忙しくて自分のことがないがしろになっている人は、やらない選択もあることに気づいてください。

自分を優先することは、甘えたり、わがままを通したりすることではなく、当然の権利です。

無理していると肉体的に疲れるだけでなく、ストレスがたまって心も疲弊します。

そんな状態だと、周囲の人に余裕をもって接することができないので、人間関係は確実に悪くなります。

何より楽しくないですよね?

ヤスミンさんは、自分の心に正直になることをすすめています。

イライラが募っている人は、やりたくないのに無理にやっていることはないか考えてください。

そして自分の人生を取り戻しましょう。





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