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「無料プレゼント」この言葉になびかない人は少ないと思います。しかし無料のものが、際限なく物を増やし、結局お金を失わせ、家に貧乏神を引き寄せます。
「無料」と聞いたら心の底から「高い!」と思うのが正しい反応の仕方です。そのからくりを私の体験からお伝えします。
「無料」が好きすぎて、ガラクタをためこんだ私
私は若いころ、たくさんの物をためこんでいました。物が増えてしまった理由は1つではありません。買い物がレクリエーションになっていて、物を買うことで、心をなぐさめていたのが1番大きな理由だと思います。
もう1つ、私が「ただの物」や「おまけ」に弱かったのも物が増えた大きな要因の1つでした。
以前もお話ししましたが、私は付録やおまけ、景品、無料サンプル、試供品、粗品と言う言葉を見ると「え、ただなの?」と色めきだつほうでした。
若い頃、ハイセンス(今のフェリシモ)の頒布会で、毎月物を買い続け大量のガラクタを作ってしまったのも、この会社がやっている「一定の金額の注文をとりまとめるとおまけがもらえる」というプロモーションにまんまとひっかかっていたからです。
そのおまけで、今でも覚えているのは、ままごとに使うような小さな白い食器や、半透明の試験官(花瓶や小物いれに使う)、お菓子の形をしたカラフルな弁当箱、フライ返しや、メロンボーラー(メロンの果肉をくりぬくツール)などのキッチンツールです。はっきり言って「あったら便利」とすら言えないものばかり。
別に私は食器も試験官も弁当箱も調理雑貨も全然必要ではなかったのです。弁当箱にいたってはあまりに色が派手で形も突飛、かさばるので、もらうとかえって迷惑するような代物でした。
しかし、「おまけだから」「ただだから」という理由のみで、私にとってそれらの品の価値は必要以上に上がっていたのです。そういうおまけを集めるために、私はこれまたそこまで必要でもない、パジャマ、タオル、ピアス、レターセット、オーデコロン、封筒に貼る宛名シールなどを買い続けていました。
結局そういうおまけはすべて捨てることになったのですが、すんなり行ったわけではありません。捨てるまでにこんなことを試みています。
1.溜まるおまけをどこかにきれいに収納しようとした。
2.変な形のランチボックスを何かに使えないか考えてみた。実際に果物やお菓子を入れてみた。
3.おまけを誰かにプレゼントできないだろうかと考えてみた(おまけはおまけ以上でも以下でもなく、人にあげるようなことができるものではないとわかった)。
4.数年に渡って1~3を時々繰り返した。
5.とうとう断捨離した。
1度にすべてをさっぱり捨てたわけではありません。捨てるところまで行くのに何度も「このおまけを有効に使うことはできないだろうか」「できるだけきれいに収納できないだろうか」とない知恵をしぼりました。
私は欲が深かったので、いったん所有したものは、なんとか有効活用して、元をとりたいと思ったのです。おまけなので、「元」がなんのかよくわかりませんが。
今の私なら、おまけをもらっても自分の暮しの質はあがらないどころか、かえって低下することをよく知っています。だからそもそももらわないし、何かの間違いで手にしてしまったら即捨てできます。
しかしここまで来るのにずいぶん時間とエネルギーを注ぎ込みました。あなたには、そんな目にあってほしくないので、「無料のもの」が1番コストがかかる事実をもう少し詳しくお伝えします。
☆無料のものをもらうことで失う3つのもの
1.時間を失う
無料のものやおまけが1番打撃的なのは人の時間を奪うからです。私がフェリシモのおまけを最終的に断捨離するまでに、どれだけ時間がかかったのか、計算するのも恐ろしいほどです。
物を家に入れると、その時点から捨てるまで、時間を失いつづけるのは、私の頒布会体験談からおわかりいただけたと思います。
もちろんもっと明らかに時間を失う例もあります。たとえば、リアル店舗のオープン記念や初売りセールやバーゲンセールの先着プレゼントをもらうために店の前で並んだとしましょう。
そのおまけは、そこまで行く時間と並ぶ時間を投資するほど価値のあるものでしょうか?
これはネット通販でも同じです。ネットショップのタイムセール、チェックしていませんか?毎日「お得メール」を受け取っていたら、それを見て、時に店にアクセスしたり、店にアクセスしないまでも、メールを見て削除することに時間を使っています。
1通あたりの処理時間がほんの15秒だとしても、チリも積もれば山。もし、そういう「お得な情報配信メール」をさまざまな店から何通も受けとっていて、毎日メール処理をしていたとしたら、1週間、1ヶ月、1年あたりで換算するとかなりまとまった時間になります。
あなたはその時間を、瞑想したり、読書したり、運動したり、子供と遊んだり、もっと有意義なことに使えたはずなのです。
2.お金をなくす
無料だからお金は払っていない、みんなそう思うでしょう。ですが、商品を買うとついてくるおまけならば、多くの場合、そのおまけにもお金を払っています。
おまけのことなど、全然知らず、欲しい商品を買ったら、たまたまおまけがついてきた、というなら別ですが、もしそのおまけが、商品を買う意思決定に関与していたら、あなたはりっぱにそのおまけにお金を支払っているのです。おまけがなかったら買わなかったのかもしれないのですから。
人が本当にほしいものを買うとき、値段はそんなに問題になりません。値段が高いとか安いとか、おまけがあるとかないとかそういう要因で購買を決定しているなら、その商品はそこまでほしいものではないと言えるのではないでしょうか?
時間を失うところでも書きましたが、リアル店舗におまけを受け取りに行くならば、車のガソリン代金や交通費を使います。外に出かけるとよけいな買い物をする可能性もあがります。
そもそもおまけや無料プレゼントというのは企業や小売店の販促ツールです。売り手は販売促進するためにこういうおまけに予算を計上しています。世の中におまけがあふれているということは、それが売上につながっているからにほかなりません。
商売につながらないサービスをしてもしかたがないのですから。
ということは、おまけやサンプルは本商品を買うための扉なのです。あなたは時間とお金をかけて、自らその扉を開けに行くのです。
そしていったんおまけや本商品を買ってしまったら、あとはその管理にお金を使いつづけます。こんなふうに⇒節約ではお金はたまらない。お金持ちになりたいなら、買わない暮らしが1番いい
3.骨折り損
3番のタイトルを何にしようか迷いました。骨折りとは、おまけをもらうことについて考えたり、実際に取りに行ったり、もらったあと置き場所を考えたり、使いみちを考えたりするのに使う精神的、肉体的な力です。
実際に使ってみて「やはりいらないものだった」とわかったり、収納に苦心したり、捨てるまでに何度も、「捨てたほうがいいけど、いつか使うかもしれないし」と考えて、またしまい直したりといった行動に使う気力や体力すべてを表す言葉として、「骨折り」を使いました。
「苦労」と呼んでもいいかもしれません。
こういう苦労はストレスを生みます。よけいなストレスをかかえこむことが、どんなに日々の暮しに影を落とすのかは、すでに何度かお伝えしました。
ストレスが健康に及ぼす害はこちら⇒ストレスでいっぱいなら、今日から捨て始めよう。「持たない暮らし」が自分らしい生き方を実現する理由とは?
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たった1つの小さなおまけ、自分で500円ぐらい出せば充分購入することができる物をもらいに行くのに奔走することで、私たちはこんなにも貴重な人生のリソースを使っているのです。
私はおまけが家計に及ぼす害を知ってから、ちょっとやそっとではタダの物をもらわなくなりました。
思い起こしてみると、去年私が、販促商品としてのタダの物をもらったのは3回ぐらいです。1度は道を歩いているときにイエローページの宣伝要員のおばさんから大きな黄色いエコバッグをもらいました。電話帳に広告をのせている会社のバッグです。
これは現在買い物バッグとして使っています。
あとの2回は、いつも行くオーガニックフードの店でヘンプシードのサンプルの袋をもらいました。
私はいつもヘンプを食べているのでこれも無駄になりません。
こういうヘルシーな食べ物はいいけれど、ヘルシーでない食べ物をもらってしまうと、からだにもよくありませんね。
私は、おまけをもらうなと言っているのではありません。時には本当に役立つおまけに巡りあうこともあるでしょう。
ただ、買い物をするときと同じように、おまけをもらうときは、その後発生するコストを考えながら慎重にするべきだと言いたいのです。