ホームシック

ミニマルな日常

思い出がありすぎて亡くなった両親の物を捨てられない、という相談の回答。

亡くなった両親の物をどうしても捨てられない。なぜなら、思い出があるから、という読者のメールに回答します。

私が過去に書いた、思い出のある物を捨てるコツを書いた記事を読んでも捨てられないそうです。

こんなときどうしたらいいのでしょうか?

お便りの引用許可をいただいていないので、概略だけ箇条書きで紹介します。メールはIさんからいただきました。私より二つ若い50代半ばの女性の方です。



両親の物がどうしても捨てられない

●現在、何でも捨てられる。

●しかし、両親との思い出の品だけがどうしても捨てられない。

●両親が亡くなったのは、6年前と7年前。

●両親の服が衣装ケースに2~3個ある。

●両親が買ってくれたお土産もある。

●両親のものを見ると両親のことや、両親とかわした会話を思い出す。捨てると、昔の会話をリアルに思い出せない気がする。

●両親にはすごく愛してもらったし、自分も大好きだった。

●やさしい主人とかわいい犬と暮らしている

●自分は執着しすぎだということはわかっている。

●私は自分の人生を生きていないのだろうか?

本当はメールをそのまま紹介したほうが、細かいニュアンスとかわかると思いますが、私が受け取った情報は、こんな感じです。

すごく親に愛されて、そのことに感謝しているので、思い出の物を捨てて、両親とのやりとりを忘れてしまうことは、自分がこの世に生まれた意味の1つがなくなるような気がする、とも書かれていました。

Iさん、メールありがとうございました。

お父さんとお母さんに愛されてラッキーな人生でしたね。

と書くとまるで人生が終わったみたいですが、亡くなったご両親の物に執着しすぎていると、気持ち的にはそこで人生が止まっている、と言えるんじゃないでしょうか?

思い出のものの処理の仕方3パターン

Iさんに限らず、思い出の品を捨てられない、と悩む人ができることは3つだけです。

1.全部捨てる
思い出は物にあるのではなく、自分の心にあるのだ、という事実を受け入れ、物はさっぱり捨てる。

2.捨てない
思い出の品は何一つ捨てず、変わらないことを選ぶ。

3.1と2の中間
部分的に残し、部分的に捨てる

Iさんはメールに、「全部すべて箱に押し込んで、自分が死ぬまでに1回しか見なかったとしても、その時両親のことを思い出せればそれでいいと思う」といったことを書かれていました。

しまっておく場所があれば、全部しまっておいてもいいでしょう。私も無理に捨てろとはいいません。

Iさんは単に心の準備ができていないだけかもしれません。

親が亡くなれば誰だって悲しいし、つらいものです。喪失感を埋めるものとして、物を取っておきたいなら、それはそれでありだと思います。

そういう事情がない場合は、3番を選ぶのが現実的でしょう。「思い出があると思える品物」を全部取っておいたら、家の中がいっぱいになってしまうからです。





私のやり方は1番に近いです。

14歳のときに父が亡くなりましたが、父の物といったら写真を2枚持っているだけです。

7歳のとき、七五三の参拝で熱田神宮に行って家族一緒に写した写真と、私が幼稚園児のとき、父親のライトバンの上でフリつきで歌を歌っている写真です。

写真の中の父は、ライトバンを洗車しています。

写真が2枚だけだから、父との思い出は七五三と洗車だけかというと、もちろんそんなことはないのです。

父はわりと早くに亡くなったから、14年分の思い出しかありませんが、それでも、やさしかった父のことを思い出すには充分すぎるほどさまざまな記憶があります。

どう考えても思い出は物にあるのではなく、自分の心にあるのです。

Iさんは、私に「両親との思い出のものが捨てられません」というメールを送ってくるぐらいですから、「捨てたい」という気持ちがあるのですよね?あるいは、「このままじゃまずいかも」といった気持ちが。

捨てたくなかったら、全部持っていてください。それはIさんが決めることです。

もし、この硬直状態から抜け出したい、と思うなら、やはり3番をおすすめします。以下のように考えてみてください。

1.なぜ両親の物を捨てられないのか?

まず、なぜそんなに親の物に執着しているのかその理由を考えてみてください。

ご両親の服が衣装ケースに2~3箱あるそうですが、それぞれの服を着ていたときとのご両親との会話を思い出すためにとってあるのですか?

何着あるか知りませんが、そんなにたくさんの誰も着ない服を取っておかないと、Iさんが、この世に生まれた意味がなくなってしまうのでしょうか?

どうしてそんなふうに考えてしまうのでしょうか?

その理由について、ご自身で考えてください。

じっくり考えてみると、衣装ケースにご両親の服が入っていようが入っていまいが、自分のアイデンティティが崩壊したり、生きる希望をなくすようなことはない、という結論に至るかもしれません。

2.大切な人に自分の思い出の品をどうしてもらいたいか?

立場を変えて、自分が物を残して、あの世に旅立つときのことを考えてください。

Iさん、物はあまりないようですが、ご両親のものと身の回りのものと犬を残して、ご主人より先に死んだら、ご主人に残したものをどうしてもらいたいでしょうか?

ずっと持っていてほしいですか?そして自分との会話を思い出してほしいですか?

3.思い出の品を1つひとつ見てみる

ご両親の残した服やお土産のたぐいは、今、思い出箱みたいなものにしまってあるのだと思います。

1度全部出して、1つひとつじっくり見て、どんな感情になるのか調べてください。

もしかしたら、そんなにたくさんなくても、ご両親との楽しい思い出はキープできるのではないでしょうか。

今は、「服が衣装ケースに2~3箱」という、わりとぼんやりとした認識です。ちゃんと箱をあけて、1つひとつに対峙して、自分が何を持っているのか明確にしたほうがいいです。

というのも、物がたくさんあればあるほど、1つひとつの物の価値がさがってしまうからです。

もし私が母親の服を残すとしたら(そんなことをしたいとは思っていませんが)、300着持つのではなく、特に思い出深い1着とか2着だけ残します。

4.物がなくてもできごとを思い出すことはできる

Iさんは、お土産や服を見て、ご両親のことを思い出したいと考えているのですよね?

ですが、昔のことを思い出すのに、必ずしも物が必要というわけではありません。

人の記憶の1番のトリガー(きっかけ)は、匂いと味です。毒や腐ったものを食べると生き延びられないからです。

次に記憶のトリガーになるのは、視覚的な情報と場所情報です。

親と交わした会話を思い出すために、物を全部とっておく必要はなく、視覚的な情報を与えるものに変えておけば、それを見るたびに思い出すことができるでしょう。

もしそれぞれの服から引き起こされる会話をすべて思い出したいと思うなら、服をそのまま保存するのではなく、全部を解体してパッチワークにすれば、たぶん同じ結果が得られます。

パッチワークでベッドカバーでも作れば、死ぬまでに1度と言わず、毎日、好きなときに何度でも思い出せるんじゃないですか?

もし、服を1枚1枚見ていろいろなことを思い出すことが、すべてを捨てない理由ならば、ですが。

とは言え、服を解体してパッチワークにするのはかなり労力がいります。それぞれをスマホで写真にとり、クラウドに保存するほうが簡単です。こうすれば、いつでも見たいときに見られます。

服を1つひとつ見て、昔の会話を書き留め、服は手放す、という手もあります。

思い出を蘇らせる方法はこちらにも書いています⇒実例あり:今の生活の中で、もっと思い出の品を楽しむ5つのヒント

5.何もかも覚えておく必要があるのか?

最後に言いたいのは、何もかも覚えておく必要はない、ということです。

私は自分が思い出したいことは、自分の脳に任せています。日々、いろいろなことがありますが、大事なことは、脳が覚えていてくれると思うからです。記憶に淘汰させる感じです。

今のところ、人は、いつ、どこで、何を思い出すか、コントロールすることはできません。

いろいろな記憶術が研究されていますが、決定版はありません。

脳がものごとを思い出すしくみには、わかっていないことがたくさんあります。

もしこのメカニズムの全貌が明らかになり、自分で好きなように物ごとを忘れたり、思い出したりできれば、誰も勉強や仕事で苦労しないでしょう。

脳は理由があるから、物ごとを忘れたり、覚えたりすると、私は考えています。

過去の会話を絶対忘れたくないから、と脅迫的に物をためこむのは、自分がコントロールできないことをコントロールしている、と言えなくはないでしょうか?

昔のことをありありと思い出さないと、今を生きられないなら、何か別の問題があるとも思います。

参考になる過去記事

思い出の物の捨て方に関して書いた記事で、Iさんの参考になりそうなものをリンクしておきます。もう一度読んでみてください。

思い出の品をさくっと断捨離するコツ~6つの思考で今を生きよ

なぜ思い出の品まで断捨離しなければならないの?その理由は4つあります。

今度こそ捨てられる。思い出の品を断捨離する5つのステップ。

捨てれば捨てるほど思い出が豊かになるカラクリとは?~カセットテープを断捨離して気づいた真理

====

今回は両親の持ち物を捨てることができない問題について考えてみました。

親の死はショックなできごとですから、無理に捨てなくてもいいとも思います。自分の気持ちに向き合って、今の自分が幸せな気分でいられる道を選んでください。

物がなくても思い出は残ります。確かに物があったほうが、ビビッドに記憶が蘇りますが。

ですが、昔のことはぼんやりと覚えているほうが味わいがあると思います。思い出なのですから。





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