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思い出の品を処分するときのつらさを和らげるコツを5つ紹介します。
最近、こんなお便りをいただきました。
昔のVHSをブルーレイにコピーして保管しようとしたら、テープの半分は劣化して読み取り不可。VHSの中身は当時のテレビ番組なので、もう見られない。大切な思い出が失われたようで落ち込んだ、という内容です。
このように、思い出の品の断捨離は、作業中に強い痛みが生じることがあります。
今回はそんな大事な思い出品や趣味のものを捨てるとき、あまりストレスをためない工夫を提案します。
1.私はつらいと認める
まず、今のつらさや悲しみをそのまま受け入れてください。
思い出の品を処分しているとき、愉快で愉快で仕方がない、という人はそんなにいないでしょう。
今回お便りを下さった方のように、昔夢中になって録画したテレビ番組のテープがあり、中身は今では見られない大切な内容。それなのに、劣化で再生できなかったら、ただのVHSを処分したとき以上の喪失感があります。
というのも、自分の気持ちの中で、「あの番組はみんなテープに取ってある」という安心感や期待感があったから。つまりあてが外れたんです。
人は何かを失う痛みを特に強く感じるので、喪失感があるのはごく自然なことです。
そんなとき、私たちは「こんなことで落ち込むなんて」「こんなものをいつまでも引きずるなんて」「とっくに劣化してたのに気づかないなんて」と自分を責めることがよくあります。
でも、つらいときは、つらいと思ってください。
「捨てるのがつらい」「私は今、悲しい」と自覚して口に出すだけで、少し気持ちがラクになります。抑えこもうとすると、そのうち反動が起きます。
捨てること=強くなることではありません。
気持ちが揺れるのは、ちゃんと向き合っている証拠です。その気持ちをそのまま見ましょう。
自分の気持ちをそのまま受け入れる勇気のパワーとその素晴らしさ(TED)
2.残す・捨てるの二択で決めない
思い出の品を手放すとき、多くの人は「捨てるか、捨てないか」の二択で悩みます。このとき、「記録してから手放す」という選択肢も入れましょう。
たとえば、昔のライブチケットや会場で買ったグッズがたくさんあったとします。
すごく場所を取っているけれど、捨てたら思い出まで消えてしまうようで、踏ん切りがつきません。そんなときは、写真に撮っておく、簡単にメモを残す、といった方法で、思い出を残しましょう。
今、チケットやグッズが体現している思い出を、記録に変えるわけです。
そうすれば、グッズがなくなっても、思い出すきっかけは残ります。しかも、記録を取るとき、その思い出のイベントを追体験できるので、記憶がより鮮明になり、心にしっかり残ります。
また、捨てるかどうか迷っているなら、いったん保留するのもおすすめです。時間がたつと、「やっぱりなくても平気だった」と思えることもあります。
私自身は、「迷ったら捨てる」という方法を取るのが好きですが、あなたがものに深い意味づけをするタイプなら、保留して、時間をかけて捨てていくことが捨てる痛みを和らげてくれます。
片付けは、自分のペースに合わせて進めればOKです。無理にさくさく決断しようとせず、残す・記録・保留・手放すというように、選択肢に幅を持たせて、ストレスを減らしましょう。
3.作業は短く区切る
捨てる作業は、短い単位で行いましょう。
思い出の品を片付ける作業は、体よりも心のほうが疲れるもの。特に趣味のもの、大切な人との思い出が詰まったもの、かつての自分の生きがいに近かったものは、1つ手に取るたびに、感情が揺れますよね。
長時間手放す作業をすると、どっと疲れます。
長時間やるとしても、タイマーを使って休憩を入れながらやりましょう。
写真なら、アルバム1冊だけ、VHSやカセットテープなら、1~2本だけチェックする。。
こんなふうに、時間や量を少なめに区切ってください。
よく書いていますが、何かを決断するとき、私たちは意識というリソースをたくさん使います。決め事が多いと疲れるので、「ちょっと物足りないかな?」ぐらいのところで、やめておいたほうがいいです。
続きは明日やればいいのですから。
つらいから早く終わらせたいとがんばってしまう人がいますが、深い愛着があるものを、無理に早く捨てようとすると、後悔が残ります。
少しずつ、納得しながら捨てるようにしましょう。
気持ちに余裕がないときは、決断疲れを防いでみよう。やり方を7つ紹介します。
4.何回も回す
思い出品や趣味のものの断捨離はペンキを塗るように何回か見直すと、気持ちのダメージを軽減できます。
最初は、明らかにいらないものをどんどん間引いていき、ちょっと迷うもの、どうしたらいいかわからないもの、引っかかるものは、そのまま残します。
すべてを見たら、もう一度最初に戻って、また一つずつチェックしていきます。
これを、残すものが自分の希望する量になるまで繰り返します。
つまり、一度で決めなくてもいいので、自分を追い詰めることがなくなると思います。また、何周も見ているうちに、だんだん心の整理ができてくるので、捨てやすくなります。
5.体験は残っているので心配しない
好きなテレビ番組を楽しく見た体験は自分の中に残っています。
今は、どんな番組も録画するのが当たり前なので、あとで見ることができますが、私が子供の頃(1960年代半ば~1970年代はじめ)は違いました。
家庭用のビデオデッキが普及し始めたのは1975年頃からで、それ以前はテレビ番組を個人で録画する手段はきわめて限定的。録画テープが高かったので、テレビ局も上書きして使いまわすことが多く、今、見られない番組はたくさんあります。
でも、私が子どもの頃、テレビを見た体験は自分の脳の中に何らかの形で残っていると思います。言い換えれば、神経回路の結びつきに影響を与えたはずです。
つまり、その番組を今再生できないからといって、特に私は何も失っていないんです。
「昔のテレビ番組をもう見られない(涙)」と、悲しむ人はぜひこの考え方を採用していください。
そして、かつてかけがえのない体験をできたことに感謝しましょう。
手放すときに胸が痛むのは、それだけそのものを大切にしていたから。その番組を見たことは、あなたにとって素晴らしい体験でした。
昔の趣味やコレクション、こだわって集めたグッズ、一生懸命残した映像。
こうしたものを一度は手に入れられたの、そこで満足することはできないでしょうか?
失ったものや、二度と手に入らないものに執着するより、そういう素敵なものを手に入れられた自分をラッキーだと考えるほうが、自分を幸せにします。
◆関連記事もどうぞ⇒捨てられない思い出品を手放す秘訣~保有効果の影響を最小限にする。
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「VHSに入れておいたテレビ番組が見られなくなった」と悲しんでいる読者にアドバイスしました。
「そこにあるはず」「私は持っているはず」と思っていたものが、実際にはそこになかったら、ショックですよね。その気持ちはよくわかります。
でも、正直、「古いテレビ番組の録画がそこまで重要だろうか?」と私は思います。
今、自分がそこそこ健康で、それなりに安心して毎日暮らせていたらそれで十分ではないですか?
失ったものに目を向けすぎず、今の自分が持っている幸せにもっと光を当ててください。
あなたは、自分が思っている以上にいろいろなものを持っていますよ。
失ったもののことばかり考えているので、それが見えていないだけなんです。