チョコレートを食べる女

健康・アンチエイジング

最終更新日: 2017.09.8

チョコレートは健康の底上げに効果があるのか?その歴史から考察してみた。

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バレンタインデーが近づいてきました。健康を考えるシリーズ、今回はチョコレートを取り上げます。チョコレートはお菓子の仲間ですが、世間では他のお菓子より、一目置かれています。

色、見た目、味が独特ですし、昔は薬として使われていたこともあったので、健康にいいのでは、と思っている人もいるようです。

反面、食べると太るしニキビができるし、避けたほうがよさそうだ、と思っている人もいます。

本当はどちらなのでしょう?今回はチョコレートを食べることのメリット、デメリットをお伝えします。



チョコレートとは?

チョコレートとカカオの実から作った茶色いお菓子。カカオは南アメリカ熱帯地方原産の楕円形の葉っぱをもつ木です。

カカオの実の中には、カカオの種(カカオ豆と言う)があり、チョコレートを作るためには、まずこの種を発酵させます。

バナナの葉っぱで包んだり、木箱に入れたり発酵方法はいろいろあり。発酵が終わったら乾燥させます。

乾燥させたカカオ豆は工場に送られ、胚乳(ニブ)をとってローストします。そこからカカオペーストを作り、これにカカオバター、砂糖、粉乳、レシチン、香料などを練り合わせてチョコレートができます。

チョコレートの原料は最近話題のシード類だし、発酵させてるから、健康によさそうな雰囲気がします。レシチンも卵黄や大豆などに含まれるリン脂質。粉乳の元はミルク。ほかのお菓子より栄養がありそうです。

事実、カカオの成分が多いダークチョコレートはヘルシーであるというリサーチ結果も出ています。

次に、ざっくりとチョコレートの歴史をお伝えします。

チョコレートの歴史

カカオ豆
カカオはずいぶん昔からありました。古代中南米のメソアメリカ文明では、カカオの実を石臼ですりつぶし、これに水を加えて飲んで、滋養強壮の薬としていました。紀元前1200年頃の話です。

カカオが薬として使われていたときは、カカオで作った飲み物は甘くはなかったことを覚えておいてください。

大航海時代が始まり、16世紀になって、南米からカカオがスペインに入りました。

スペイン人が、南米の王様を真似してカカオドリンクを飲んでみたら、苦くてまずすぎました。そこでスペインの誰かが、これに砂糖とバニラを入れることを思いつきました。バニラもカカオと一緒に南米からスペインに持ち帰ったのです。

すると、とてもおいしいドリンクができて、宮廷で大流行しました。

スペイン人はカカオドリンクのことをずっと秘密にしていましたが、17世紀の始めにスペインの王女さま2人が、それぞれフランスのルイ13世とルイ14世に嫁いだことにより、フランスに甘くておいしいカカオドリンクが伝わりました。

「え、スペインの人って、こんなにおいしいの飲んでいたの?」とフランスの宮廷でカカオ飲料が大流行。これが今の甘くておいしいココアやチョコレートの先祖と言えましょう。

スペインの商人は、自分たちももっと飲みたいし、カカオを売れば、どんどんもうかると思い、中南米の植民地でプランテーションを作り、カカオを大量生産することにしました。

その後、産業革命が起きて、チョコレートを大量生産できるようになり今に至ります。

ポイントは、カカオ飲料は最初は薬として使われていたので、からだにいいはずである、ということ。しかしその時は砂糖もミルクも入っていなかったということです。





チョコレートの健康における効能

ここでいうチョコレートはダークチョコレートです。というのもその他のミルクチョコレートやホワイトチョコレートはカカオの含有量が少ないため、健康効果は裏付けられていないからです。

ダークチョコレートとはカカオマス(カカオ豆の胚乳を発酵し乾燥させ焙煎したあと粉砕したもの)がたくさん入っていて(70%以上)糖分が少ないチョコレートです。日本ではビターチョコレートと呼ばれることもあります。

ダークチョコレートには抗酸化物質(特にエピカテキンというポリフェノール)がたくさん入っているので、これのおかげで下記のような健康効果があります。

●コレステロールを下げる
●血圧を下げる。
●アンチエイジング効果。
●上記の効果があるので心臓病予防になる
●消化を促す
●カカオ豆の成分に歯を強くするものが入っている

ポリフェノールが多いので、動脈硬化の予防になるのでは、と言われています。

このほか集中力がアップするとか、運動効果をあげるといったこともメリットとしてあげられますが、それはカカオに入っている覚醒物質(カフェインなど)のせいです。

チョコレートが健康に及ぼす害

カロリーが高い

特にダークチョコレートは他のチョコレートに比べてカロリーが高いです。というのもカカオは脂質が多いからです。現代人の食べ過ぎが問題になるとき、炭水化物、脂質、砂糖がよく槍玉にあげられますが、この中で1番カロリーが高いのが脂質です。

グーグルに「チョコレートのカロリー」と入力して検索したら、ダークチョコレート100グラム、546カロリーと出ました。

チョコレートを食べるときは、パッケージのカロリー表示をしっかり見たほうがいいです。自分がふだん食べてるほかのお菓子と比べると、そのカロリーの多さに気づくと思います。

さらに、カカオは植物なのですが、飽和脂肪酸が多いです。飽和脂肪酸はふつう動物性脂肪に多いのですが、熱帯性植物油脂にもたくさん含まれています。

油の話を詳しく書いています⇒私がジャンクフードや市販のお菓子を避ける理由~トランス脂肪酸はこんなふうに健康によくない

カロリーを摂り過ぎれば肥満になりますし、飽和脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを増やすので血中に増えすぎれば動脈硬化の原因になります。

たぶんこの脂質のほうが、カカオのポリフェノールの力に打ち勝ってしまうと思います。

砂糖がいっぱい入っている

歴史のところに書いたように、チョコレートがおいしいのはカカオが入っているだけではないのです。これに砂糖を加えて甘くしてあるからみんな喜んで食べているのです。ダークチョコレートが苦いように、カカオはもともと苦いのです。

甘くておいしいチョコレートを食べたら、相当砂糖が入っていると思うべきでしょう。

いくらカカオに歯を強くする成分が入っていたとしても、砂糖が歯にダメージを与える力のほうが強いと思います。

ダークチョコレートの砂糖の量はミルクチョコレートの半分以下なのですが、そもそもミルクチョコレートに相当量入っています。カカオが苦いですからね。

砂糖の害はこちらに書いています⇒白砂糖はこんなに体に悪い~私が砂糖をやめた理由とは?

依存性、習慣性のある成分が入っている

カカオにはカフェインやテオブロミンなどのアルカロイド(植物塩基)が含まれています。アルカロイドはほんの少しで、人間などの動物に対して、覚醒、利尿などさまざまな生理作用を起こします。

アルカロイドは強力なのでうまく使えば薬になります。しかし習慣性があるので、ヘタに使うと、逆効果です。タバコのニコチンやケシのモルヒネもアルカロイドです。

チョコレートのカフェインはコーヒーに比べると少ないのですが、世界中でこんなにチョコレートが人気なのを見ると、カフェインや砂糖の習慣性のせいではないかな、と思います。

考えてみると、タバコはもちろん、コーヒー、お茶、チョコレートといった嗜好品を毎日のように嗜む人がいて、とても大きな市場があります。それは単に生活習慣だけでなく、生理的な習慣性があるからではないでしょうか?

生活習慣を変えるのも大変ですが。

カフェインの習慣性についてはこちらに書いています⇒コーヒー中毒になっていませんか?カフェインの依存性をわかりやすく解説

このほかにもチョコレートには血管作動性アミンと呼ばれる成分も含まれています。血管作動性アミンは、頸動脈(けいどうみゃく)を収縮させて、脳の血管を拡張させ、頭痛を引き起こします。

チョコレートを食べ過ぎると頭痛になるのは気のせいではないのです。

ちなみに、頭痛を起こす「5つのC」と呼ばれる食べ物があります。チョコレート chocolate、コーヒー coffee 、チーズ cheese 、クラレット claret、柑橘類 citrus fruits です。

クラレットはボルドー産の赤ワインで、赤ワイン全般を指します。柑橘類以外はみんな特定の血管を収縮したり、拡張する物質が入っているのです。柑橘類は酸っぱいので、体の酸とアルカリのバランスに作用します。

偏頭痛持ちの人はチョコレートは控えたほうがいいかもしれません。

* * * *
私が子供のころ、山で遭難した女性2人組が、毎日、持っていたチョコレートをひとかけらずつ食べて、1週間か10日後に無事に救助された、というニュースを聞いたことがあります。

昔のことなので、チョコレート菓子ではなく、ハイクラウンのようなチョコレートらしいチョコレートを食べていたと思います。

もしほかに何も食べていなかったのなら、チョコレートはほんの少しでエネルギーを補充できるありがたい食品と言えましょう。

ただ、他のものを食べ過ぎている日常生活においては、チョコレートは、積極的に食べるものではないと思います。特别なときに少しだけ食べるのがいいのではないでしょうか?





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