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誰しも失敗を経験したことがあります。小さなミスや、大きな挫折。
私たちは日々の生活の中で、さまざまな形の失敗と向き合っています。
失敗を恥ずかしいものとして捉えるか、自分の成長の糧にするかで、その後の人生は大きく変わるでしょう。
そんな「失敗との向き合い方」を教えてくれる、イタリアのアーティスト、Cristel Carrisi(クリステル・カリージ)さんのTEDトーク Own your mistakes(自分の失敗を自分のものにしなさい)を紹介します。
カリージさんは、著名な両親のもとに生まれたセレブです。
失敗を自分のものにする
収録は2017年の5月、動画の長さは9分46秒です。日本語の字幕もあります。動画のあとに抄訳を書きます。
★TEDの記事の説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
とてもわかりやすいプレゼンです。
イタリアでは失敗は恥ずかしいこと
失敗について話すのは嫌なのものですよね?
すごく気まずい話題です。誰も失敗を認めたくないものの、多くの人が思い当たる話です。
失敗はよくあることです。試験やダイエットに失敗したといった小さなことから、人生にかかわる大きな失敗もあります。
家族がバラバラになる、首になる、アルコール中毒から抜け出せない、子供をちゃんと育てられなかったなど。
私は、アメリカ人とイタリア人のハーフです。
アメリカでは、失敗は社会的な経験の1つとして、ある意味受け入れられています。時には失敗するのはいいことだと言われます。とは言え、成功者が語っているときだけですが。
私はイタリアで育ちましたが、イタリアでは、失敗することは、汚名以外の何者でもありません。恥ずかしいことであり、タブーです。
しかも brutta figura(ブルッタ・フィグーラ)の恐怖もあります。イタリア語で、面目を失うとか、みっともないという意味です。
イタリアや、ほかの多くの国で、失敗するのはみっともないことなんです。
常にメディアの目にさらされてきた
私の場合、特にそうでした。私は、大衆の目の中で育ったからです。
両親がイタリアの著名な歌手なので、私は幼いときから、大衆とメディアにジャッジされる対象でした。
ブルッタ・フィグーラは何としても避けるべき国で、体裁を保つのは簡単ではありません。
私は若い時から芸能界で働いていますが、ずっと自分で何かしたいと思っていました。
今も、イタリアのテレビで働いていますが、起業をしてみたかったんです。
でも、失敗するのが怖くてなかなか新しいことにチャレンジできませんでした。とは言え、失敗して恥をかくのを恐れて、貴重な教訓を学ぶ機会を失うべきでもありませんでした。
会社をたたむしかなくなった時
24歳のとき、はじめて会社を作りました。水着のブランドを作ったのです。この会社に、7年間、心血を注ぎました。
でも、ある日、会計士が半分泣きながら、もう会社をたたむべきだと言ったのです。
これ以上続けても赤字になるばかりだど。
そう言われても、とても辞める気にはなれませんでした。そんな恥ずかしいことはできない、ブルッタ・フィグーラだと思いました。
人はなんて言うでしょう、私のことをどう思うでしょう?
会計士とこの話をしたのはこれが初めてではありません。たぶん5回目です。
私は失敗を認めることができなかったし、失敗にまつわる恥を引き受ける気にもなれませんでした。
でも、彼は言ったのです。
会社をやめるという結果にフォーカスばかりするのはやめろ、そうではなく、これまでの7年間、自分がした仕事に目を向けろ。どれだけすばらしいことをやり遂げたかということに。
彼はまっとうなことを言っていました。彼は私が自分の貯金を使って、起業したときから、私のしたことを見てきました。
7年間に成し遂げたこと
2011年に父の家の裏庭でやった初めてのファッションショー。ゲストが来る直前まで、ランウエイを作るために、自分で岩を運んでいました。
ファッションショーがはじまったら、土砂降りの雨がランウエイや、ゲストの椅子として用意したわらを丸めたものを台無しにしました。
誰もこのわらに座りたがらなかったけれど、なんとか座ってもらいショーをはじめたら、モデルは素人ような仕事をしました。当然です、プロのモデルを雇うお金がなかったのですから。
そんな散々なショーから始めたけれど、7年の間に、自分のブランドを浸透させることに成功しました。
すばらしいカメラマン、インフルエンサー、世界中のモデルと仕事をしました。
カリフォルニアから最後の開催地のタイまで、世界中でキャンペーンをしました。
お客さんたちから、何千という感謝のメールをもらいました。
私は会社をたたむと、それまでの苦労や業績が無駄になると思っていました。
人は失敗から学び、もっと大きなものや、よいものを得るきっかけになります。でも、そのプロセスについて教えてくれる人はあまりいません。
どうやったら失敗を乗り越え、それを自分のものにできるか?
そうするための3つの指針を紹介します。
皆さんが、私より多少はエレガントに失敗できるように。
この指針は、どんなものにも使えます。恋愛関係や個人的な課題にも。
指針1.責任を持て
ひとつめは責任を持つことです。
失敗したり、何かがうまくいかないと、私たちはまず、他人のせいにして、100%責任を取ろうとしません。
でも、責任をとるのを避けても、格好よくは見えません。臆病、もしくは完全に拒絶しているように見えます。
私が会社をやめることになった理由は、イタリアの税のシステムにあると言いたかったけれど、そうはしなかったし、これからもそうするつもりはありません。
自分の非を認め、なぜそうなってしまったのか理解しない限り、失敗する意味なんてないのです。
今の私はこれまで私がしてきた選択の結果です。誰の選択でもなく。
自分のゴール、理想、夢に責任をとるつもりなら、失敗にも責任を持たねばなりません。そうすることではじめて、自分の力で成功したと言えます。
指針2.自分に意識を向ける
私は他の人が、私のことをどう思うかばかりを気にしていました。人が自分のことをどう思うか気にしていないときは、自分の人生を他人のそれと比べていました。
特に私の世代は、ソーシャルメディアで、非現実的なライフスタイルのイメージをこれでもかというほど見せられます。
インスタグラムでは、私の生活は本当にすばらしく見えています。
でも実際は大違い。私もほかの人と同じように、いい時と悪い時があります。
ただ、悪い時をSNSで見せないようにしているんです。
会計士の机で泣いた日は、セルフィーを撮りませんでした。
帰宅するとき雨が降ってきた日はセルフィーを撮りました。このとき、一人で、水を入れた重たいボトルを運んでいて、ようやく玄関にたどり着いたのですが、家に入れませんでした。家から締め出され、ずぶ濡れでした。
でも、このとき、こんな写真(すごくおしゃれなセルフィー)を投稿したんです。
ほかの人が何をしているかなんて気にしないでください。自分自身に意識を向けましょう。自分のハードワークや、旅に。
他人が何をしているか見ることに時間を使うのはやめましょう。どうせそれは、リアルな姿じゃありません。
指針3.バランスをとる
状況を調べるときバランスを取らねばなりません。
自分のことをきびしくジャッジして、負け犬だと思っていたときは、それまでやってきた仕事や業績を全く認めていませんでした。
でも、どこがよくなかったのか理解し、自分の責任を取ることも必要です。
バランスを取らないと、事態を明確に捉えることができないし、明確に捉えないと、何を学べるのかわかりません。
私は、成功することにこだわっていた人間でした。でも成功は、虹の向こうにある魔法の島ではありません。同時に失敗も、黒か白だと割り切れるものでもありません。
できごとが人生を決める割合は10%で、90%は、そのできごとに対して私たちがどう反応するかで決まります。
確かに、失敗は私たちを動かし、より大きな、よりよいものへと導いてくれます。でも、その失敗から学び、自分のものにしない限り、そのレベルには到達できないのです。
//// 抄訳ここまで ////
人生の困難を乗り切る助けになるほかのプレゼン
成功と失敗、そして創り続ける力:エリザベス・ギルバート(TED)
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仕事の失敗でいちいち落ち込まない方法。親切で、優しい成功哲学(TED)
言い訳を作り出してしまう私たち:あなたに夢の仕事ができない理由(TED)
他人の目を気にするのは時間とエネルギーの無駄遣い
このトークから、私は5つのテイクアウェイ(takeaway 学び)を得ました。
1)誰でも失敗する
2)自分に意識を向ける
3)バランスを取る
4)成功や失敗は絶対的なものではない
5)責任を持たないと成長できない
どれも重要な考え方で、シンプルライフを目指すときにも役立つマインドセットです。
とくに、失敗はついて回ることと、他人の目を気にせず、自分のことに集中すること、そしてバランスを見つけることは重要ではないでしょうか?
私たちは、他人の目を気にすることにあまりにも時間や意識を使っていると思います。
その結果、肝心のことをするエネルギーが残りません。
自分自身の選択や行動に意識を向けたほうが、断捨離もはかどるし、シンプルな暮らしに近づきます。
先日、「インスタ映えを目指すな」という記事を書きました。
インスタ映えを目指さない!現実的な片付けをしたほうがうまくいく。
私の考えに積極的に反対したい人はいないと思います。しかし、現実は、人の目によく映るような選択をしてしまうことが多いのではないでしょうか?
人にどう思われるかを気にして、やりたいことがあるのに挑戦するのをがまんすることもよくあります。
たとえば、レストランで何かを注文するという小さなことをするときも、「空気を読んで」食べたくないものを注文してしまうことがありますよね?
まあ、ランチに何を食べるかはそこまで重大な結果を引き起こさないでしょうが、いつもいつも、人の目を気にして遠慮し、人からよく見えそうな行動を選択している、手に入れたいものや、目指すゴールから遠ざかってしまいます。
なぜなら、自分が生きるのは、他の人の人生ではないから。自分自身が選び取るものが、自分の人生を形作っていきます。
せっかくシンプルに暮らすことにしたのですから、自分が本当に手に入れたいものに向かって歩いてください。
もし、ソーシャルメディアの影響を大きく受けていると思ったら、少し距離を置くのもいいと思います。
その分、自分と向き合う時間を増やして、やりたいことを実現させるために、小さな一歩を踏み出しましょう。