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読みたい本が多すぎて追いつかない。アドバイスください。
この質問に回答します。まずメールをシェアしますね。差出人はねじ子さんです。
図書館の本に追われる生活
件名:図書館やめたい
母の錆びた包丁と四畳半の狭さに悩まされているN’でございます。
[前半は質問に関係ない話なので省略]
本題は、筆子さまもおすすめしている、図書館です。
わたしは、もう二十数年図書館に通ってますが、振り回されてます。
図書館の本に追われる生活です。
家族は、読めなかったらただ返却したらいいと言いますが、わたしはとにかく読み終わらなければ、と、読みたくなくても無理矢理読んでいます。
ただ返却すれば済む、なんて単純なものではありません。
続きがあって、予約してたら、前の巻を読み終わらないと借りられないし、次の人が予約してたら、もう一度借り直すにも時間がかかります。
わかってるんですよ。借りすぎなんです。
でも、読みたい本がたくさん、たくさんあって、読んでも読んでも、また新しい本が発売されたり、読んだ本に紹介されていたり。
読むのが速ければいいのだと、速読も勉強してみました。やはり、独学ではなかなか難しいですね。
お金を貯めて、ちゃんと習いに行くべきなんでしょうか?
わたしも長生きしたとしても、もう人生の半分くらいは生きてしまいました。
読める本の数は限りがあります。
厳選して読むべきです。
でも、読んでみなければ分からない、とも思ってしまいます。
読む本は全部買えば、振り回されずに読みたい時に読むことができますが、なにしろ働けませんからね。無料の魅力に抗えません。
まして、消費税を払った分は図書館から取り返さなければ!と思ってしまいます。
そして、お金をけちった分、もっと大事な物を失っているのではないかと思っています。
わたしみたいな人間は、図書館は無理なんでしょうか?
これは、シンプルライフの相談ですよね?
アドバイスいただけたら嬉しいです。
N’さん、こんにちは。お便りありがとうございます。
まず、書かれている3つの質問に順番に答えます。
それぞれの質問の回答
速読を習いに行くべきか?
N’さんの好きにしてください。
ただ、速読を習っている時間とお金があるなら、部屋の片付けや、読みたい本を読むこと、趣味の小説の執筆、病気の治療など、もっと大事なことにその時間とお金を使ったほうがいいと思います。
速読を習ったところで、N’さんが利用している図書館にある本を読み尽くすことはできません。
毎日、次々と新しい本を出版されますから。
N’さんが、「読みたいと思った本は最初から最後まできっちり読み切りたい。読まねばならないのだ」と思っている限り、本や図書館に振り回される生活は続きます。
よって、速読のスキルを身につけることは根本的な解決にはなりません。
わたしみたいな人間は、図書館は無理なんでしょうか?
「わたしみたいな」ってどういう意味ですかね。
読む本を厳選できない、または誰に何を言われても厳選しようとしない人間ですか?
仮にN’さんが図書館の利用をやめたとしても、別のところで似たような問題を見つけて、また私に相談すると思われます。
今回の質問は、四畳半に自分の好きな物(ベッドと本棚)を全部置けない問題とよく似ています。
四畳半の部屋には、自分が置きたいものすべてを置くことはできません。
どんなに時間を使って考えても、どんなにお金を使って収納力のある家具を買っても、何をどうしても無理です。
その部屋に住むしかないのなら、物理的な限界を受け入れて、置くものを厳選することが唯一の解決法です。
図書館にある本を読みきれない問題も同じです。人間には寿命という物理的な限界があります。使える時間は無尽ではありません。
それは、大金持ちだろうと、速読の世界チャンピオンだろうと同じです。
だから、全部読もうとするのは、ひじょうに馬鹿げた思考であり行動です。それは自分で自分の首を締める考え方です。
実際、N’さんは、もう20年、図書館に振り回されていると言っています。でも、それは図書館が悪いのではありません。
「読みたいと思った本は全部読みたい」という渇望をもつN’さんが問題を作り出しています。
自分が問題を作っているだけなので、自分で解決できます。その考え方は、この記事で紹介します。
これは、シンプルライフの相談ですよね?
「やりたいことがたくさんありすぎて、絞りきれない」「物事の優先順位をつけることができない」という質問もありますので、今回、シンプルライフの相談として受けました。
ただ、N’さんは、自分のためにならない強いこだわりがあります。そのこだわりを捨てることができれば、今、かかえている問題の大半は解決しますよ。
では、今回の問題を解決する方法を4つ書きます。
たっぷりあるマインドを採用する
自分が読めていない本や、読むことができない本ではなく、今、楽しく読んでいる本や、読むチャンスがあった本に意識を向けてください。
これをたっぷりあるマインドと呼んでいます⇒たっぷりあるマインドになるおすすめの練習法6つ~もう十分ある、と考える。 逆は「足りないマインド」です。
この世界に出版されているすべての本を読み尽くそう、Netflixにあるおもしろそうな映画は全部見よう、旅に行ったら、SNSで見たおすすめの場所やカフェは全部回らなければ。
こういう考え方をしていると、人生を楽しめないのでやめたほうがいいです。
今は、あらゆるコンテンツが飽和しているし、それぞれのコンテンツにひじょうにアクセスしやすい時代です。
おもしろそうなコンテンツをすべて消費しようとしても絶対できません(ここは断言します)。
N’さんは、近所の図書館にある本に限定していますが、実は、図書館になくてもおもしろい本や漫画はくさるほどあります。
日本語に翻訳されていない本で、すごくおもしろい本も大量にあります。
本だけではありません。
おもしろいドラマや映画、夢中になれるゲーム、素敵な音楽、おいしい食べ物、素晴らしい景色、行くと楽しい観光地、かわいいカフェ、学んでみるとおもしろい学問、体験してみると楽しいイベント、会ったら大好きになりそうな人たち、知っていたらためになりそうな情報。
どれも大量に存在していて、その大半を私たちは経験できません。
こうした「体験すると楽しいこと」が、富士山ぐらいの大きさだったとすると、私たちが生きている間に体験できることって、富士山のふもとに落ちている石ころぐらいじゃないでしょうか? いや、石ころほどの大きさもないでしょう。
どうせ、すべては体験できません。だから、そのことを残念に思う必要はありません。
運よく体験できたことを味わうようにしてください。
私も体験していないことは山ほどありますが、全然気にしていません。そこそこ楽しい人生を送っています。
何のために読書をしているのか?
自分が何のために読書をしているのか、考えてください。
人が読書する理由はいろいろあります。
・娯楽やエンターテイメントを求めて
・リラックスしたい
・気分転換したい
・厳しい現実を忘れて、夢の世界を楽しみたい
・知的好奇心を満たしたい
・知識や情報を得たい
・視野を広くしたい
・特定の状況を疑似体験したい
・語彙や文体の習得
・先生が、読書すると国語のテストでいい点を取れると言ったから
・自分も小説を書きたいから参考にしたい
・今、流行しているものを知っておきたい
・友達/家族がこの本を読んでいるから、共通の話題を作るため
・仕事で必要だから
・文学作品にふれて心をきれいにしたい
・昔からの習慣で、無意識に本を読んでしまう
・ひまで他にやることがないから
いろいろな理由がありますが、たいていはポジティブな体験をしたくて、読書をすると思います。
N’さんもそうですよね?
だったら、何かに追われるようなネガティブな読書の楽しみ方はやめたほうがいいんじゃないですか?
自分の目的を達成できる読書の仕方を見つけましょう。
プロセスを楽しむ
「読みたいと思ったこのシリーズの本を全部読み切ったぞ。おもしろくないと思ったけど、とにかく最後まで読んだ」という結果ではなく、読んでいるプロセスを楽しむようにしましょう。
多くの場合、大事なのは結果よりプロセスです。
なぜ、結果より、行動(プロセス)にフォーカスしたほうがいいのか?
よく人生は旅にたとえられます。
人の一生は生まれてから死ぬまでのプロセスです。
もし、プロセスを楽しむことができなかったら、人生を楽しむこともできません。
プロセスを楽しむことにすれば、その日、自分の思い通りの結果が出なくても、とりあえず、毎日楽しいです。日々の活動から満足感や幸福感を得られますからね。
そのほうがお得だと思いませんか?
なお、読む本の選び方は、本の捨て方の記事が参考になると思います。本の断捨離とは、手元に残す本を選ぶことですから。
たとえばこの記事⇒本の上手な収納のコツは本当に読む本だけを残すこと。
少し前にエッセオンラインに書いたこの記事も参考になるでしょう⇒60代ミニマリストが実践する、本の手放し方。「教養」の思い込みは捨てよう | ESSEonline(エッセ オンライン)
N’さんは、「好きな本を、自分で買えばいつでも読めるけど、買うお金がない」と書いています。
でも、読みたいと思った本を全部買ったところで、大半は積読になります。
繰り返しますが、時間は限られているからです。それにN’さんの部屋、これ以上、本を置く場所はないんじゃないですか?
では、N’さん、肩のちからを抜いて、読書を楽しんでください。
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読者の質問に回答しました。
まだ日本は暑いかもしれませんが、そろそろ秋で、読書の季節ですよね。
素敵な本との出会いがあるといいですね。