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無意識の偏見:採用・不採用に影響を与える固定観念(TED)

私達が無意識にもつ偏見について教えてくれるTEDトークを紹介します。

タイトルは、Unconscious bias: Stereotypical hiring practices. (無意識の偏見:固定観念が影響する採用)

起業家でキャリアコーチのゲール・トルストイ・ミラー(Gail Tolstoi-Miller)さんの講演です。

企業の人事担当者が、採用するかどうか決めるとき、偏見が影響するという内容。



無意識の偏見

収録は2017年の3月、長さは10分半。自動生成の英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

ユーモアがあってわかりやすいプレゼンです。内容もさほど難しくありません。





無意識の偏見が生まれる理由

人事部の採用担当者が履歴書をチェックする平均的な時間をご存知ですか? 

6秒です。

私達は瞬間、瞬間に1100万の情報を受け取っていますが、そのうち対応できるのは40個だけ。だから、圧倒されないうちにさっさと決断するために、脳は近道を取るんです。

その結果、自分でも気づかない偏見、つまり、無意識のうちの偏見が生まれます。

偏見ときくと、人種、年齢、性別などによる、よくあるものをイメージしますよね?

でも、もっと表に出ない偏見もあります。ふだん私達が語ることがない、多くの人を驚かせる偏見。履歴書を採用に送るか、不採用に送るか決める偏見です。

採用されなかった優秀な人

私はリクルーターでありキャリアコーチです。数年前、すばらしい志願者を担当したことがあります。とても優秀だったから、就職できると思っていました。でも、できなかったんです。

あとになって人事のマネジャーに、なぜ、彼女を採用しなかったのか聞きました。すると、彼女はこう言ったんです。

「はっきり言葉にはできないんだけど、なんとなくそんな気がしたのよ。あの人、白いハイヒールはいていたでしょ? レイバー・デー(労働者の日、アメリカの祝日)のあとに、白いハイヒールなんて、はくもんじゃないわ」

私は言いました。「あら、そんな規則があるなんて知らなかったわ」。

レイバー・デーのあとの白いハイヒールについて、彼女の信念と判別(ジャッジメント)はとても強力だったから、志願者とその業績を適正に評価する邪魔になったんです。これは、意識的な決断ではなく、無意識によるものです。

採用・非採用を決めるもの

私はこれまで100万以上の履歴書を見てきましたが、スキルとは関係ない、どんなディテールも、採用・不採用に影響を与えることがあります。

たとえば、職場から遠いとわかるメールアドレスだと不採用になるかもしれません。もしくは、crazymom666(狂ったママ666)みたいなメールドレスも。

私はそういうことはしませんけどね。

インディアナ大学という著名な大学名ですら、ある人達にとっては、立派な大学じゃないんです。

リクルーターの中には、SNSを調べる人もいます。ツイター、フェイスブック、リンクトインなどを。もはや、公でないものはないんですね。

SNSで見たどんな情報も、不採用のもとになる可能性があります。パーティで飲んでいる写真、ステイホームダッド(主夫)なら、なまけものと思われるし、リクルーターとは主義主張の違う政治的発言も、不採用の元になります。

履歴書の段階で通過しても、次のステップがありますよね。電話インタビューです。

声や姿も偏見で判断される

電話は声だけで、姿が見えないから、偏見なんてもたれないと思うかもしれませんね。

でもあります。声のトーン、ピッチ、アクセントが偏見のもとになるんです。

最後に、面接ですが、姿も影響を与えます。入れ墨があると、ルーズベルトやエジソンのような人でも不採用になるかもしれません。

髪型が変だとアインシュタインのような人が不採用です。金髪女性は頭がからっぽだと思われたり。

ITの職の志願者として、(Bill)とチャン(Chang)という2人が残ったとき、アジア人は、技術職に向いているという偏見のせいで、ビル・ゲイツのような人が、不採用になります。

自分について調べてみた

20年間、私はこの無意識の偏見に本当にうんざりしていました。もうリクルートの仕事なんてしたくないと思うほど。

20歳のとき、私はニューヨークのいかれた学生で、見かけや態度で、間違ってジャッジされました。だから、誤解された人の気持ちがよくわかったんです。

リクルートの仕事をやめることが、解決策ではないと思い、自分についてもっと理解しようと思いました。

そこで、数ヶ月かけて、自分が人を採用するプロセスを精査してみたんです。私にも無意識の偏見があるのかどうか?

そしてわかったことは、「無意識の偏見がある」でした。

偏見はどこにでもある

人は誰でも、いつ、どこでも無意識の偏見があります。

ビジネスだけじゃなく、学校、デート、政治、メディア、司法にも。

人の恐怖が決断を左右するからです。失敗する恐怖、所属できない恐怖、自分の仕事を失う恐怖、ものごとを変える恐怖。

自分が安心していられるように、採用するとき、間違ったことをしてしまうんです。ものごとをありのまま見るのではなく、自分が誰であるかを優先してしまうから。

これを防ぐ方法はありません。でも、私は自分が好きな仕事を続けたかったし、実際そうしました。

自分の偏見を探し当てた

無意識の偏見についてたくさん調べ、その影響を受けない方法をさぐりました。

そのために、自分と向き合ったんです。自分がもっている誤った前提、ジャッジメント、認識をすべて書き出しました。そしてわかったんです。

私は、赤い水玉の服を着ている人は、知らないうちに、無条件に不採用にしていると。恥ずべき行動です。

偏見のレベルを知るため、ハーバードのオンラインのテストも受けてみました。そして気づきました。

たった、2つのシンプルな言葉で、自分自身の偏見も、人事の採用担当の人の偏見も打ち破れることがわかりました。

偏見を打ち破るには?

それは、「だから、何?(So what?)」です。

志願者の通勤時間が1時間だったとして、やる気があるなら、それが何?

遠方に住んでいた前の従業員がやめたからと言って、次の候補がそうなるとは限らない。

志願者がパーティで酔っ払っていたからといって、それが何? フェイスブックのたった1枚の写真から、その人が、仕事中に飲酒をするとは言えない。

半年間、仕事をしていなかったからといってそれが何? そうする事情があったのかもしれない。

自分自身に、「だから、何?」と聞いて、ちょっと止まってみる。これが、セルフチェックです。

こう質問すると、心の中のガラクタを取り除くきっかけになります。無意識から、意識的な思考に戻る助けになります。

そして、事実を見て、重要なことにフォーカスして決断できるようになります。

だから、何?と問いかける

誰かの無意識の偏見のせいで、私達が間違ってジャッジされることは避けられません。時には、その決断を擁護すべきかもしれませんが、時には、大きな声で、「だから、何?」と聞くべきなんです。

逆に、自分が無意識の偏見のせいで、他人を間違ってジャッジすることもあります。でも、そのわなにはまらない方法は、もうおわかりですよね?

「だから、何?」と聞けばいい。

詰まるところ、それぞれの違いや類似点が集まって、私たちが総合的に強くなれるんです。

だから、想像してください。私が赤い水玉のワンピースを着ていて、髪は紫色、そして、すてきな白いパンプスをはいて、入れ墨があるところを。

だから、何?

//// 抄訳ここまで ////

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自分の考えを1つ上のから見てみる

私達がもつ固定観念が、正しい判断をする邪魔をするので、「だから、何?」と自問してみよう、という内容のプレゼンを紹介しました。

固定観念からは逃れられませんが、自分が偏見によって判断していることを知っていれば、直感による反応について、考え直すことができます。すると、結果的に大きなミスをしません。

「直感に従え!」とよく言われますが、それは時と場合によります。

その仕事を何年もやっていて、すごく経験値があったり、同じことを何度もやって体が覚えていたりするるときは、直感にしたがって仕事を進めるとよい結果になることがあります。

しかし、複雑な問題や重大な決定をするときは、直感だけに頼るのではなく、論理的思考やデータに基づいた分析も重要なのです。

なぜなら、直感は、バイアスに満ちているから。

ものを捨てる作業は、複雑ではありませんが、直感に頼らないほうがいいと私は思っています。

私達は、本能的に失うことを避けようとするので、直感に従っていたら、何1つ捨てられません。

先日、ひとつひとつのものと向き合うことをおすすめしましたが⇒いつか使うかもしれない、と思うものを本当に使う方法、あるいは見切りをつける方法。

これは自分の直感を疑う作業でもあります。

めんどくさくて遠回りに思えるかもしれませんが、論理的に考えたほうが、うまく捨てられるので、ぜひやってみてください。





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