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もっと発想豊かになりたい人に、歩くと創造力が高まると教えてくれるTEDトークを紹介します。
タイトルは「Want to be more creative? Go for a walk クリエイティブになりたい? 散歩に行きなさい」。
心理学の研究者、Marily Oppezzo(マリリー・オペッツォ)さんのトークです。
歩けばクリエイティブになる:TEDの説明
When trying to come up with a new idea, we all have times when we get stuck. But according to research by behavioral and learning scientist Marily Oppezzo, getting up and going for a walk might be all it takes to get your creative juices flowing. In this fun, fast talk, she explains how walking could help you get the most out of your next brainstorm.
和訳:新しいアイデアを考えようとしているとき、誰しも行き詰まることがあります。ですが、行動科学および学習科学の研究者、マリリー・オペッツォの研究によると、立ち上がって歩くだけで、創造的になれる可能性があります。
この楽しくてテンポのいいトークを通じて、彼女は 「歩くことがブレインストーミングを最大限に活かす方法になり得る」とわかりやすく説明しています。
収録は2017年の4月。長さは5分25秒。日本語字幕もあります。動画の後に抄訳を紹介します。
☆トランスクリプトはこちら⇒Marily Oppezzo: Want to be more creative? Go for a walk | TED Talk
☆TEDの記事の説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
5分で創造性を高める方法を紹介しており、日本語字幕もあるので英語の学習におすすめです。
創造の最初のプロセス
創造のプロセスは、最初のアイデアから最終的な作品が完成するまで、とても長い道のりです。
何度も試行錯誤を繰り返し、細部を磨き上げ、血と汗と涙、そして長い年月を費やします。
歩いたからといって、いきなりシスティーナ礼拝堂を生み出せるわけではありません。
さて、私たちは創造のプロセスの最初の段階に注目しました。
新しいアイデアを生み出すブレインストーミングの段階です。
この段階に関して4つの研究を行いました。
被験者に、屋内または屋外で歩いてもらったのです。その結果、どの研究でも同じ結論に達しました。今日は、行った研究のうちの1つについてお話しします。
別の用途を考えるテスト
私たちが創造性を測るために使ったテストの1つに、「別の用途を考えるテスト(Alternate Uses Test)」があります。
4分間で、日常的な物に関して、できるだけたくさん別の使い道を考えるテストです。
たとえば、「鍵」を使って鍵を開ける以外に、どんな使い道があるでしょう?
極端な例ですが、「キリンの第三の目にする」というアイデアもあり得ますよね?
面白くてちょっと新しい発想ではあります。でも、それは本当に創造的と言えるのでしょうか?
被験者はできるだけ多くのアイデアを考え、それを私たちが評価しました。
何をもって創造的とするか?
「これは創造的かどうか?」という判断基準として、多くの人が採用しているのが 「適切な新規性(appropriate novelty)」 という考え方です。
「適切(appropriate)」であること、つまり、現実的でなければなりません。
残念ながら、「鍵を目にする」のは現実的ではありません。
「新規性(novel)」は、誰も思いついたことがないアイデアでなければなりません。
まず「適切」であることが条件で、次に「新しいアイデア」であることが求められます。
たとえば、「鍵で車に傷をつける」と考える人もいるかもしれませんが、もし他の誰かが同じことを思いついていたら、それは創造的とは見なされません。
ところが、ある参加者がこんなアイデアを出しました。
「自分が死にかけていて、それがミステリー小説のような状況だったら、鍵を使って地面に犯人の名前を刻むことができる」と。
このアイデアを考えたのは、たった一人だけでした。
そして、これは「適切」かつ「新規性がある」ため、創造的なアイデアとして認められたのです。
歩きながら考えたほうがアイデアが浮かぶ
このテストでは、座ったままアイデアを考えた人と、トレッドミル(ランニングマシン)の上を歩きながらアイデアを考えた人がいました。
テストは2回行われ、それぞれ異なる物を使って実施されました。被験者は3つのグループに分かれました。
グループ1:1回目も2回目も座ってテストを受けた。
グループ2:1回目は座って、2回目はトレッドミルを歩きながら受けた。
グループ3:1回目はトレッドミルを歩きながら、2回目は座って受けた。
さて、1回目のテストで座っていた2つのグループは、ほぼ同じような結果となり、1人あたり平均約20個の創造的なアイデアを出しました。
しかし、トレッドミルを歩きながらテストを受けたグループは、ほぼ2倍のアイデアを出しました。
しかも、彼らは窓もない部屋でトレッドミルを歩いていただけなんです。
さらに興味深いのは、2回とも座ってテストを受けたグループは、2回目に成績が向上しなかったという点です。
つまり、「慣れ」や「練習」は効果がありませんでした。
しかし、1回目は座っていたけれど、2回目はトレッドミルを歩いたグループは、歩くことで創造性が向上しました。
最も興味深いのは、1回目に歩いていたグループは、その後座っても創造性が高いままだったことです。
つまり、歩く影響はその後も持続することになります。
大事な会議の前に散歩に行き、歩いた直後にブレインストーミングを始めると効果的なのです。
効果を最大限にする方法
歩きながら最大限のクリエイティビティを得るために、5つのポイントを紹介します。
1考えるテーマを決めてから歩く
これは「シャワー効果(シャワーを浴びていると突然アイデアがひらめく現象)」とは違います。歩きながらアイデアを出すには、事前にテーマを決めておくことが重要です。
2.走るよりも歩くほうがいい
走った方が効果があるかとよく聞かれますが、私の場合、走りながら思いつく唯一のアイデアは『もう走るのをやめたい』ということだけです。どんな運動でも、あまり意識を使わずにできるものがベストです。したがって、歩くことが最適です。リラックスできるペースなら走っても問題ありません。
3.できるだけたくさんアイデアを出す
創造性の鍵は、最初のアイデアに固執しないことです。どんどん新しいアイデアを出し続け、その中から1つか2つを選んで深掘りしましょう。
4.アイデアは話して録音する
思いついたアイデアを「書き留めないと忘れてしまうのでは?」と心配になるかもしれませんね。
でも、アイデアを口に出すことをおすすめします。
実験では、参加者全員が声に出してアイデアを考えました。イヤホンをつけてスマートフォンで録音すれば、誰かとクリエイティブな会話をしているような感覚になりますよね?
書くより話す方がいい理由は、書くという行為自体がフィルターになってしまうからです。
書く前に「これは本当に書く価値があるのか?」と無意識に考えてしまい、結果的にアイデアが制限されてしまいます。できるだけたくさん話して録音し、あとで整理するのが効果的です。
5.アイデアが浮かばないときは後に回す
この方法をずっと続ける必要はありません。歩いていてもなかなかいいアイデアが浮かばないときは、無理せず別のタイミングで考え直してください。
さて、そろそろ休憩の時間ですね。あなたの思考を散歩に連れ出してください。
///// 抄訳ここまで ////
クリエイティブになるための他のトーク
物が少ないメリット:足りないからこそクリエイティブになれる(TED)
誰にでも創造性はある。自分はクリエイティブだと自信を持つ方法(TED)
創造性:目まぐるしい変化に対応するにはスローな思考が必要(TED)
自分の暮らしをデザインする
手軽に創造性を発揮する方法を教えてくれるTEDトークを紹介しました。このトークの内容は、シンプルに暮らして人生をよりよくしたい人に役立ちます。
シンプルライフやミニマルライフは、常識にとらわれず、自分らしい暮らしを創造していくことだと私は考えています。
創造性は芸術的な発想を生み出したいときだけでなく、より少ないもので、よりよく生きるための工夫も生み出します。
たとえば、
・どうすれば持ち物を減らせるか?
・どうすれば手持ちのもので、趣味を楽しめるか?
・情報の海に溺れないためには何をすべきか?
こんな風に日々の行動を選択するときも、クリエイティビティがあればもっと楽しく行動できるかもしれません。
創造性を生むヒントが「歩くこと」にあるというのがこのトークの面白いところです。
考えが煮詰まったときや、新しいアイデアがほしいときは、まずは立ち上がって歩いてみる、しかも外に行く必要はなく、室内で歩くだけでいいんです。
あなたも、歩きながら自分らしいシンプルライフをデザインしてみてください。