パソコンを見ながら話をしている女性2人

TEDの動画

5つの椅子と5つの選択、もっと上手にコミュニケーションをとる方法(TED)

人間関係で悩んでいる人の参考になるTEDトークを紹介します。

タイトルは、Own Your Behaviours, Master Your Communication, Determine Your Success(自分の行動を把握し、コミュニケーションを磨き、成功する)。

邦題は、『つながりを作るコミュニケーション』

講演者は、企業を相手に、行動の仕方を教えるコーチでトレーナーの Louise Evans(ルイーズ・エヴァンス)さんです。

目の前にいる人の行動や、起きているできごとに対して、自分ができる反応を5つの椅子になぞらえています。どの椅子に座るかは、自分で決められるのです。



5つの椅子、5つの選択

収録は2016年の11月、長さは18分30秒。日本語の字幕もあります。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

具体例が豊富でわかりやすいプレゼンですね。





5つの椅子

椅子を5つ紹介します。

このスピーチの本当の主人公ですから。

それぞれの椅子が、私たちのふだんの行動や態度に関して、気づきを与えてくれます。

具体的な例をあげますね。

私の個人的な話です。

ジャズクラブで楽しい時間を過ごすことにしたが

私は、パートナーの20歳の娘という、とても大事な人と、いい関係を築きたいと思っていました。

そこで、2人だけで外出してすばらしい時を過ごす計画を立てたのです。

ミラノにある、ブルーノートジャズクラブに行くことにしました。当日は私の好きなマンハッタン・トランスファーが出演します。

2人で出かけ、とてもいい雰囲気でした。団塊の世代の私は、音楽が大好きで、彼女も音楽を気に入ってくれていると思っていました。

ところが、ふと目をあげると、彼女は、iPhoneを見ていたのです。

このときどんな反応をするか?

私には複数の選択があります。

連れがiPhoneを見ていたときにできる反応

選択1:赤い椅子

「え? 何してるの? iPhoneを見てるなんて。すばらしい夜にするために、私は時間とお金をかけて計画したのに。ここに連れてきて2分後に、iPhone?

いったい、この世代はどうなっているの? 虫けらほどのアテンションスパン(1つのことに集中する時間)もないのね」。

選択2:黄色い椅子

「失敗したわ。どうして、彼女をここに連れてきてしまったのか? だって、退屈しているじゃない。興味がないのよ。音楽が嫌いなのよ。

私、何を考えていたのかしら? 彼女が音楽好きなんて決めつけちゃって。こういうのは団塊の世代の好きな音楽なのよ。

彼女は、恐竜と一緒に時間を過ごしていると思ってるでしょうよ。やれやれ」。

選択3:緑色の椅子

「落ち着いて。10まで数えて。深呼吸しよう。早とちりしちゃだめ。

彼女がiPhoneで何をしているのかわからないのだから。リラックスして、もう1杯飲むのよ」。

選択4:水色の椅子

「私にとって一番重要なことは、今晩、一緒に過ごして、彼女に心を開いてもらうことよね。私と一緒にいると安心できるようになってもらうこと。

私はいつでもオープンでいることを知ってもらう。それが、一番大事なことだわ。そうなることを願いましょう」。

選択5:紫色の椅子

「彼女にとって大事なことって何かしら? 彼女の中で何が起きているのかしら? 彼女とつながりを持ちたいけど、そのためには何をする必要があるかしら?

実は連れは楽しんでいた

どうしようと悩んでいたその時、彼女が私のほうを向いて、こう言ったのです。

「ルイーズ、この店、ヨーロッパにある唯一のブルーノートだって知ってた? あとはニューヨークに1つと、日本に2つあるの。

でも、ヨーロッパにあるのは、このミラノのだけ。すごいわね。イタリア人はこの店を楽しめるなんて。

それと、マンハッタン・トランスファーについても調べたんだけど、このグループ、もう40年も活動してるんですって。

それから、ほら、これ見て!」

彼女は私にiPhoneを手渡しました。見ると、フェイスブックにメッセージを投稿しています。

「ミラノのブルーノートにて、マンハッタン・トランスファーとルイーズと一緒。最高」

こんなメッセージを。

危ないところでした。

せっかくの夜を台無しにするところでしたから。赤い椅子に座って、彼女に非難の目を向けた結果、彼女が、「ルイーズって、うるさい、難しい人だ、一緒にいたくない」と思うこともありえました。

それは私が望んでいたのとは正反対のことです。

実際は、彼女はとても楽しんでいたのです。デジタル機器を使ってマルチタスクをしていたけれど、現実を広げてくれていました。

すんでのところで、私は、2人の楽しい時間をぶちこわすところでした。

自分の選択が、人間関係に影響を及ぼす

こうしたことは、私たちがいつもやっていることです。どんな行動をとるか、その時、選んでいます。

その選択は、会話や人間関係、人生の質に直接影響を及ぼします。

自分の行動の選択にもっと意識を向けるにはどうしたらいいのでしょうか? 学校では習いません。

マーシャル・ローゼンバーグの非暴力コミュニケーションの9日間のコースに出たとき、5つの椅子のことを思いつきました。

職場でコミュニケーションに使える方法です。私は、長年、職場でのコミュニケーション法をコーチしています。

職場は、問題行動や毒になる行動が生まれる場所でもありますね。

それぞれの椅子について詳しく説明します。

赤い椅子は人をジャッジする椅子

赤い椅子はジャッカルの椅子です。

ジャッカルは賢くで、いつも、攻撃するすきをうかがっています。

赤い椅子は、私たちが、もっともまずい行動をしてしまう椅子です。

非難したり、文句を言ったり、こらしめたり、うわさ話をしたり。最たるものは、ジャッジすることです。

うそだと思ったら、人々と1時間過ごして、他人を1度もジャッジしないメンタルダイエットをやってみてください。

私たちは、人を見たその瞬間、好き・嫌い・興味なし、と決めつけています。

その人のことをまだ何も知らないのに。

この椅子は、ジャッジする椅子なのです。

もう1つ、「私は正しい」と思う椅子でもあります。

私自身、いつもそうでした。兄にたしなめられるまで、ずっと。

母の言うことをいつも正していたんです。母は、何でも大げさに言うほうです。

「あの集まりには、30人も集ったわね」と母が言えば、私は、「ママ、30人もいなかったわ。13人よ」と正していました。

兄は、私の腕にさわってこう言いました。「どっちでもいいでしょ」。

「どっちでもいいってどういうことよ。ママは間違っているから、直してあげるのがママのためよ」。私は言い返しました。

兄は、また私の腕をさわって続けました。「親子でいたいのか、それとも正しくありたいのか、おまえは、いったいどっちなの?」

この時以来、母が大げさなことを言っても、豊かさの形だと考えるようにしています。

この椅子に座ると、人のいいところより、悪いところがよく見えるのです。

マザー・テレサは、「人をジャッジすることに時間を使えば使うほど、その人たちを愛する時間がなくなる」と言っています。

黄色い椅子は自分をジャッジする椅子

黄色い椅子はハリネズミの椅子です。

ハリネズミのようにふるまうとき、私たちは無防備で丸くなって、邪悪な社会から自分を守ろうとします。

この時、私たちは、自分自身をジャッジしています。

「私は賢こさが足りない」「こんなことできない」「誰も私を信じてくれない」。こんなことを考え、恐れています。

拒絶される恐怖、がっかりする恐怖、失敗する恐怖を。被害者にもなります。誰も自分のことなんて気にかけてくれないのだと。

企業研修で、重役たちに、「あなたは、どの椅子に座ることが多いですか?」と聞くと、この椅子と言う人はほとんどいません。

自分の弱点を認めることは難しいですから。

この椅子に座るには勇気が必要ですが、同時に、自信も喪失します。

クリシュナムルティは、「知性の最高の形は、自分自身をジャッジすることなく観察することだ」と言っています。

緑色の椅子は観察する椅子

次の椅子は、ミーアキャットの椅子です。

皆さんがミーアキャットを見たことがあるのかどうかわかりませんが。ミーアキャットは見張りが得意です。

1時間、ちょっと頭を動かすだけで、静かに見張っています。

この椅子に座っているとき、私たちはマインドフルです。いろいろなものを観察し、そこに意識を向けています。

立ち止まり、深呼吸をして、意識的になっています。この椅子は、待つ(WAIT)の椅子です。

W :what

A :am

I :I

T :thinking?

What am i thinking? 私は何を考えているのか? 私は自分に何と言っているのか?

この椅子には好奇心があります。

誰かが怒っているとき、「いい加減、大人になりなさいよ!」と言う代わりに、「う~ん、なぜこの人は怒っているんだろう?」と興味をもって考えます。

ニーチェはこの椅子に関係のある、こんな言葉を言っています。「あなたにはあなたのやり方があります。私には私のやり方があります。正しい方法や唯一の方法は存在しません」。

つまりここには選択があるのです。

その瞬間、正しい選択をしたら、よりうまくいく生きられます。

水色の椅子では自分を知る

次の椅子では探偵になります。ホームズのように。

自分自身の行動を虫眼鏡で見ます。

自分のことをよく知っています。自分が誰であるのか、何を求めているのか、どこに行こうとしているのか気づいています。

自分に関する真実を話すことを恐れていません。

同時に、境界線も作っています。

この椅子に座る時、私たちは、自分で自分のめんどうを見ています。とてもパワフルになります。ここでは、自分の力を失いません。

成長し、自由になり、最大限のちからを発揮し、自信をもっています。でも、戦闘的ではありません。

アリストテレスは、「自分自身を知ることが、すべての知恵の始まりだ」と言っています。

私たちは、生涯、この椅子に座っていることができます。

なぜ、イルカなのか? ドルフィンはすばらしい動物だから。茶目っ気があり、知性があり、上手にコミュニケーションします。

イルカは、私たち人間のベストの状態だと思います。

紫色の椅子では相手を大事にする

次の椅子は、キリンの椅子です。きれいな椅子だけど難しい椅子。

キリンは動物の中で、一番大きな心臓と一番長い首を持っています。

首が長いから、まわりがよく見えます。

この椅子にいるとき、私たちは、思いやりや共感、理解を示しています。

自分のエゴは二の次にして、人々の言うことを聞きます。人々の存在を認め、大事にします。

誰かの身になって考え、その人を理解するのは、寛大な行為です。

かつてリンカーンはこう言いました。「あの人は好きじゃない。もっと彼のことを知ろうとしなければ」。

この椅子では、他人のものの見方を知り、他人の現実を大事にし、違っていることを大事にし、寛大になります。

この椅子に座る時、もっとも大事な問いかけは、「眼の前にいる人が大事にしていることは何か?」です。

どんなことが起きても、ほかの人と、自分はつながっていると考えます。

どの椅子に座るかは自分次第

それぞれの椅子の役割を、日常生活にあてはめてみましょう。

職場に行って、プレゼンがうまく行けば、イルカの椅子です。

それから会議に出て、物事がうまく行かないと、赤や黄色の椅子に沈み込みます。

私たちの日々の課題は、どの椅子に座るか、上手にバランスをとるやり方を理解することです。

ジャッカルの椅子に座っていたら、人生はハッピーではありません。ほかの椅子に座れば、より理性的に、オープンになれるし、賢く思慮深くいられます。

ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』を読んで、とても感銘を受けた言葉があります。

「人間からどんなことでも奪うことができる。たった1つを除いて。それは、与えられた環境に対して、自分の態度を選ぶことができる自由だ」。

とてもパワフルな言葉ですね。

今度、お子さんを叱りつけたいと思ったり、パートナーと議論になりそうになったり、職場の誰かをこらしめたくなったりしたら、ミーアキャットの椅子に座って考えてください。

ジャッカルの椅子に座ってしまったら、あやまって、すべてを正す勇気が出るでしょうか?

きょう、5つの椅子をを持ち帰って、試して、自分のものにしてください。

子どもたちにも教えてあげてください。

職場の会議室にも置いて、会議がどう変わっていくか、見てください。

今度、誰かがあなたの赤いボタン(怒りスイッチ)を押したら、『5つの椅子・5つの選択』を思い出してくださいね。

家庭や職場、この世界をよりよい場所にすることにコミットできませんか? 1度に1つずつ行動を変えながら。

///// 抄訳ここまで ////

単語の説明など

Krishnamurti ジッドゥ・クリシュナムルティ(1895-1986)インド生まれの宗教家で哲学者。

meerkat ミーアキャット

エヴァンスさんの著書です。

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ブログの読者からよく質問をいただきますが、最近は物の捨て方に関する質問はほぼなくて、ほとんどが、人間関係にかかわる悩み相談です。

たとえば、こちら⇒楽しいはずの旅行がそうではなかった。心がもやもやして、気持ちの整理がつかないときの対処法。

こちらもそうです⇒義理母の手作りのプレゼントを受け取りたくないけど、断って悲しませたくない。どうしたらいいの?

こちらもそうです⇒仕事ができない同僚のせいで自分の仕事が増えて不満←質問の回答。

他にも、「心のガラクタを捨てたい」と言って、メールをくださる方はたくさんいます。

つい先日も、「習い事の先生と合わない」という悩みが寄せられました。

こうした質問は、相手のあることなので、ほとんどがブログに引用不可。だから、私は1つひとつ返事を書いています。

この手の質問がこれだけ届くということは、それだけ悩んでいる人が多いのでしょう。

そのような人たちのために、今回、5つの椅子のプレゼンを紹介しました。

現状を変えたいなら、結局、自分が変わるしかありません。

赤い椅子に座って、相手をジャッジしていても、何も進展しません。黄色い椅子に座って、うじうじ自分を責めていても、同様です。

この黄色いハリネズミの椅子は、足りないマインドの人が座る椅子ですね。

なぜ私ばかりが(怒)、と思う人は『足りないマインド』を『たっぷりあるマインド』に変えればよい。

何か問題が生じたら、自分の思考や反応を客観的に見る(しつこいですが、これをメタ認知といいます)習慣をつけると、今よりストレスが減ります。

くれぐれも、赤や黄色の椅子に座ったまま、うだうだ悩まないように。何年座っても、事態が悪化することはあっても、解決するほうには進みません。

感想などありましたら、お気軽にお寄せください。





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