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睡眠不足は体によくないし、ストレスの元です。それなのにずっと睡眠不足のまま生きている人がいます。
これはサイドブレーキを引きながら、アクセスを踏むようなもの。100円ショップで物を買いながら、断捨離をするようなものです。
今回は、なぜ現代人の多くが睡眠不足なのか、その理由をお伝えします。理由を解明し、対策を施せば、睡眠時間がのび、ストレスが1つ減るでしょう。
1.睡眠は時間の無駄だと思っている
多くの人は、睡眠がいかに大事なのかわかっていないのかもしれません。
大事だと思っていないどころか、「寝るのは時間の無駄だ」とすら考えています。「夜、寝るのはもったいない」という声を聞くことがあります。まあ、それだけいろいろやりたいことがあるんでしょうね。
今だったらオリンピックの中継を見たい、とか。ですが、オリンピックの中継の視聴より、自分の健康のほうがよっぽど大事ではないでしょうか?
大切にするものの優先順位がおかしくなっていると言わざるを得ません。
人の脳は睡眠を必要としているのですから。
睡眠の重要性はこちら⇒見逃しがちな睡眠の7つのメリット。若さを保ちたいなら夜はしっかり寝よう
結局、「睡眠は何よりも、重要な活動である」という意識変換をしないと、いつまでたっても睡眠不足なのです。
このブログの健康法の記事に「夜はしっかり寝ましょう」としばしば書いていますが、別にこれは私独自の健康法というわけではなく、世の専門家がみんな言っていることです。
健康雑誌にも書いてあるだろうし、テレビのワイドショーでもそう言っているはずです。
ずっと睡眠不足の人は、そういう記事を読んでも、自分ごととしてとらえられないのでしょう。
眠くなる、ということは、寝るべき時が来ている、という印ではないでしょうか?
生まれたばかりの赤ちゃんは、毎日15時間ぐらい寝ています。これは生物として、必要だからやっていることです。
誰も寝ている赤ちゃんに向かって、「ほら、オリンピックやっているから起きなさい」とか、「ほら、始発に乗って帰省するから起きて。お盆だから」とは言いませんよね?
ところが、いったん成長して、夜8時間ぐらい寝れば大丈夫になると、睡眠より大事だと思えることがたくさん出てきて、自分で自分を無理やり起こしているのです。
2.寝なくてもなんとか日常生活を送ることができる(と思っている)から
慢性睡眠不足の人は、それが自分にとってのデフォルトだと思ってしまいます。ここが睡眠不足の怖いところです。
睡眠不足のせいで調子が悪いのに、多くの人は、「それは寝不足のせいではない」と思いたがります。それが自分にとっての「普通」になっているのですから。
寝不足のせいで起きる不調は、「寝てないからこうなるんだ」とはっきりしない点において、パソコンの不調と似ています。
パソコンの調子が悪いとき、原因が何なのかはっきりしないことが多いです。
自分のPCのせいなのか、PCにくっつけているもののせいなのか、OSのせいなのか、ほかのプログラムのせいなのか、見ているブラウザのせいなのか、向こうのサーバーのせいなのか、パソコンにゴミ(デジタルなゴミ)がたまっているのか、それともCPUにゴミ(物理的なゴミ)がたまっているのか、ウィルスのせいなのか、単なる気のせいなのか?
原因を1つ1つを検証していくのはとても面倒な作業です。
そこで多くの人は、PCが壊滅的にこわれるまでは、「買って4年たってるし、こんなものか、気のせいだよね」ですますでしょう。
寝足りなくて調子が悪いときも、「最近残業多かったし、それに毎日暑いし、きのう食べた寿司がいけなかったかな、もしかして夏風邪?でもまあ、俺ももう来年40歳になるし、気のせいか」ですませてしまうのです。
PCはこわれたら買い換えればいいのですが、人体はそういうわけにはいきません。
睡眠不足の短期的な悪影響は、認知に現れるのですが、2.3日徹夜してもいきなり死亡したりはしません。だから、みんな「今寝なくても、次の休みに寝ればいい」と思って、しっかり寝ないのでしょうね。
全く寝ないままで生きようとすると命がなくなりますが、そういう状態にいる人はまれですから。
慢性的、長期的に睡眠不足は、肥満や糖尿病、心臓病を引き起こす原因になります。
睡眠不足だと起きること⇒睡眠不足はとっても危ない。寝足りないと起きる5つの弊害
3.電気事業の発展、あるいは人工的なライトの増殖
50年前に比べて、先進国の人々は明らかに睡眠時間が減りました。アメリカの統計ですが、50年前、働いているアメリカ人で、毎晩6時間寝ていない人は、全体の3%だけだったのですが、今は30%だそうです。
寝ない人が増えた一番の物理的な理由は、電灯が各家庭や職場に行き渡ったことです。
今は、24時間電気がつくのがあたりまえですが、こんな状況になったのはわりと最近のこと。
エジソンが白熱電球を実用化したのは1879年。その3年後の1882年(明治15年)、東京の銀座に、日本で初めての電灯がともりました。
もちろん夜中ずっと明るかったわけではありません。
私が子供のころも、街に夜通し赤々と電気はついていなかったと思います。
昔の人々は、地球の自転と太陽の光をベースに寝たり起きたりしており、それは人間の体内時計と合致していたのです。真夜中というのは夜中であり、寝ている時間でした。
まあ、エジソンのように1日18時間働いていた人もまれにはいましたが。
今はいつでも電気があるから、シフトワーカーでもないのに、夜の12時までに寝ない人がいます。
ところが、朝起きる時間は早いままなので、睡眠時間が少なくなるのです。早寝早起きでなければ、遅寝遅起きをするべきですが、ふつうの社会人にはこれは無理な相談です。
4.カフェインやアルコールのとりすぎ
今の人は、たくさんお茶やコーヒーを飲んでおり、昔に比べてカフェインの摂取量が増えました。
日本人は、ずっとお茶を飲んできたと思うかもしれませんが、奈良時代や平安時代の頃は、お茶は貴重品で、貴族やお坊さんなどごく一部の人がたまに飲んでいたにすぎませんでした。
その後武士階級にまでお茶がひろがりましたが、日常的にガブガブ飲んだわけではありません。ふだんは川の水や、そのへんにためていた雨水を飲んでいたと思います。
そもそも、お茶を作るのに必要な水が大変貴重だったのです。
16世紀に千利休が「茶の湯」を完成。江戸時代には、一般庶民もお茶を飲むようになったとのこと(抹茶ではなく、茶葉を煮だしたお茶)。でも、今のように食事のたびに飲んでいたわけではないようです。
お茶が日本人の生活に根付いたのは、大正末期から昭和初期でわりと最近のことです。
いずれにしても、昔は現代に比べて、物資の供給が不安定だったので、そんなにたくさん飲んでいなかったでしょう。
ところが今の人にとって、お茶やコーヒー、紅茶は半ば水代わり。こういう飲料水をたくさん摂取しているので、水そのものを飲む人が減ったので、メーカーはペットボトルに入れて、特別感を出し、ただの水とそこまで変わらない水を高く販売しています。
カフェイン飲料の摂取が増えたことも、夜、しっかり眠れない原因の1つではないでしょうか?私のようにコーヒーや紅茶を飲まない大人はかなり少数派ですからね。
布団には早めに入っていても、思ったよりぐっすり寝ていないのです。
カフェインの話⇒コーヒー中毒になっていませんか?カフェインの依存性をわかりやすく解説
アルコールも適度ならいいのですが、飲み過ぎると、良質の睡眠の妨げになります。
5.ブルーライトを出すモニターの増殖(テクノロジーの進化)
近年睡眠不足の人が増えたのは、パソコン、スマホ、タブレット、テレビなどブルーライトを発するモニターを夜間使う人が増えたからです。
ブルーライトをあびると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がおさえられ、からだは疲れて休息を欲しているのに、なかなか眠くなりません。
ブルーライトについて:
ブルーライトとは?この光の正体とその影響をわかりやすく説明
夜寝る直前まで、テレビやパソコン、その他の画面を見ていると、すんなり眠ることができないのです。
これは私自身、実験済みです。
また、パソコンやスマホを使ってゲームをしたり、SNSをやっていると、脳が刺激を受け興奮してしまうので、眠りにつくのが難しくなります。
寝る前は、脳を、静かでリラックスしたモードにするべきです。夜遅く、スマホやパソコンに向かっていればいるほど、寝るのが遅くなり、睡眠不足になります。
6.忙しい、帰宅が遅い、やることがたくさんありすぎる(と思っている)
産業化が進み、技術が発展して、いろいろ便利になったと思いきや、かえってやることが増えました。
1日24時間のあいだにやるべきこと、やりたいことが増えたのです。
日本のアマゾンや楽天市場に注文すると、翌日注文した品物が届いたりします。これって明らかに異常です。パソコンがあるから、在庫管理や注文処理は早く効率的にできるようになったでしょう。
ですが、倉庫から商品をお客さんの家に運ぶのは、人間がやるしかありません。トラックやオートバイを使うにしても、限界があります。
テクノロジーのスピードに、人間が合わせている気がします。このような事情から仕事が忙しくて、早く帰ることができず、睡眠時間が減っているという人も多いでしょう。
また、とても皮肉なことですが、運動不足を懸念して、早朝に運動したいがために、睡眠時間を削って早起きする人もいます。
かと思うと、残業のあとに、スポーツジムに行く人がいます。
私の娘も、夜9時半まで仕事(アルバイト)したあとジムに行ったり、早朝8時半の出勤の前にジムに行くことがあります。
まだ18歳になっていないのに、すでに忙しいライフスタイルの洗礼を受けているのです。
24時間のあいだに、やることを詰め込みすぎると、忙しくなり寝る時間がなくなります。最近流行っている、午前4時起きして朝活などのタイムマネジメント術も、睡眠不足を助長しています。
朝4時に起きたいなら、夜は8時に寝るべきです。
何をそんなにいろいろやりたいのでしょうか?ここでも、量より質を選んだほうがいいと思います。
ケーキやおまんじゅうを6つ食べても、気持ち悪くなるだけ。1つだけ選んでゆっくり食べれば、おいしいし満足感も深いのです。
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今は、急激なテクノロジーの変化に人間がついていけなくて、調整している時代なのかもしれません。
そのうち、睡眠に関する研究がもっと進んで、「睡眠不足は、脳や心臓にこんな損傷を与える」という研究結果がたくさん出て、夜、8時間寝るのは当たり前の時代がくる可能性もあります。
喫煙をする人がどんどん減ったように、50年たてば、寝る時間を削って、何かをやることは、ずいぶんかっこ悪いこと、クールでないこと、時代遅れのことになるのではないでしょうか?