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何でも捨てるミニマリスト筆子がいまだ断捨離せず持っている本のご紹介です。
今回は、ケーキの天使、マドモアゼルいくこさんの「秘密のケーキづくり」です。
家庭でできる簡単なお菓子の作り方の本で、私にお菓子を作る楽しさを教えてくれた一冊です。
お菓子を作るのをやめたのに、なぜ「秘密のケーキつくり」を持っているのか。
その理由は
1.初めて買ったお菓子の本だから
2.マドモアゼルいくこのオリジナルなセンスが好きだから
3.お菓子を中心にした自分史だから
この3つです。
1つずつ説明しますね。
「秘密のケーキつくり」の3つの魅力
1.初めて買ったお菓子の本だから
この本、奥付を見ると1978年出版です。私は初版を買ったと思います。当時、短大生でしたが、セントラルパークという名古屋の地下街にあった丸善で、平積みになっていました。
当時は、お菓子など一度も作ったことがありませんでした。
ところが、なぜかこの本を、吸い寄せられるように買ってしまったのです。表紙には「おいしくて太らない 簡単で失敗しない」と書いてありました。「簡単」というところにひかれたのでしょう。
買ってすぐは、お菓子を作らず、ちらっと読んだだけで終わりました。積ん読したわけです。
私がこの本を片手に、ちゃんとお菓子を作り始めたのは、27歳で会社をやめた夏。
暇だったので、断捨離も始めましたが、
⇒断捨離を始めた5つのきっかけ~私はなぜミニマリストになったのか(2)
お菓子も作っていたのです。
初めて作ったお菓子は、1番最初にのっている「ヨーグルトポムポム」。これ、本当に簡単だし、まあまあおいしいです。ヨーグルトとサラダ油を入れるので、リッチなケーキではありません。
母が昔から使っていたかなり古い、真っ黒の点火(オーブン)に生地を入れ、「ちゃんとできるかな?」と期待と不安と暑さで、よれよれになりながら焼き上がりを待っていたことをよく覚えています。
お菓子はもちろん、料理もろくに作ったことがなかった筆子が、ちゃんと焼き上げることができたのですから。看板にいつわりはなかったといえます。少なくともこのレシピは。
できあがりは上々。母と半分こして食べました。これ、冷やしてもおいしいです。焼きたてのほうが好きですけど。
会社をやめたものの、次の就職先は決まっていなかった、モラトリアムの夏。開放感を感じながらも、先の不安もあり、なんとも微妙な心持ちで毎日暮していました。
そんな暮しの中で、この本を読みながら、見よう見まねでお菓子を作る時間はとても楽しく、心をなぐさめてくれたのです。
2.マドモアゼルいくこのオリジナルなセンスが好きだから
著者のマドモアゼルいくこさんこと、潟口いくこさんは、プロの料理家ではありません。少なくともこの本を出したときは、武蔵野美術大学の学生さんでした。
何を専攻していたのか知りませんが、イラストが得意で、本の中に彼女の描いた不思議な動物やケーキのイラストがのっています。この本、写真はなくて、すべてイラストと文章で構成されているのですね。
表紙以外は、イラストはすべてモノクロ、これが独特の楽しさをかもしだしています。プロセス写真や、カラフルなできあがりの写真がない代わりに、絵本のような、ファンタジックな魅力がありました。想像力をかきたてられる本なのです。
彼女は独創的なケーキを作ることを信条としていて、お菓子の名前もいちいち変わっています。いわゆるふつうの呼び名のケーキもありますが、満月ケーキ、黄金ケーキ、大理石、善悪ケーキ、ヴィーナスの腕などユニークなものも。
いったいどんなケーキなんだろ、と目次を見ただけでわくわくしていました。
特に好きだった「大理石」
これはいわゆるマーブルケーキです。外側はどうってことないケーキですが、切り分けると、本当に中が黒と白のまだら模様で大理石のようになります。バターを使わずマーガリン使用。味はケーキというよりカステラぽかったです。
この本にのっているのは、いわゆる正統派のレシピではないので、お菓子作りを習った人や、「ちゃんとしたお菓子作り」にこだわっている人が読むと、一言あるレシピが多いかもしれません。
マーガリンをたくさん使っているのも、今の時代には合いません。マーガリンにはトランス脂肪酸がたくさん入っている恐れがありますから。
トランス脂肪酸のこと⇒私がジャンクフードや市販のお菓子を避ける理由~トランス脂肪酸はこんなふうに健康によくない
ちょっと変わったレシピもあるし、マドモアゼルが夢で見たキャベツのケーキのレシピなんてのもあります。
ですが、そういうある種、アナーキーな自由の風が吹いているのがこの本のいいところなのです。
お菓子作りが大好きで、お菓子を作っていると本当に幸せ、その幸せもみんなにもわけてあげたい、そんな著者の気持ちがいっぱい詰まっています。
3.お菓子を中心にした自分史だから
実は「お菓子作りが初めての人でもちゃんと作れるように、説明を詳しく書いた」、と本にあるわりには、レシピを読んでも、よくわからないことがけっこうありました。私が初心者過ぎたのかもしれません。
そんなとき、よく母に質問したり、図書館に行って、ほかのレシピ本と付きあわせて調べていました(よっぽどひまだったようです)、そうやって教えてもらったこと、調べたことは本にじかに書き込みました。
さらにケーキを作った感想とか、これからそろえたい型のことなど、余白にちょこちょこ書いており、さながら自分専用のお菓子作りのノートとなっています。
27歳の夏にメモしたものもあれば、子供が生まれてから書き付けたものも。
ほぼ30年にわたって使っているので、その時々の感想が書いてあり、これが自分で読んでいてたいそう面白いのです。母の天火は古くて、パワーがなく、バナナケーキ(バナーヌガトー)を焼くのに2時間かかったことも。
型や道具を何も持っていなかったので、近くの電気屋さんにハンドミキサーを買いに走ったことや、千趣会のお菓子作りのの会に入ったことも、日付け入りで書いてあります。千趣会の会では、毎月、型と、お菓子の材料のキットが送られてきました。これで買ったパウンド型をいまだに使っています。
そんな自分の書き込みを読むたびに、その日にタイムスリップします。オーブンから漂ってくる甘いお菓子の匂いや、暑い夏の日のこと、子供がボールに残ったケーキの生地を指ですくって食べている姿が浮かんできて、まるで映画を見ているような心持ちになるのです。
なんとも安上がりな楽しみですね。
2015/7/30追記:結局断捨離しました
結局、この本も断捨離しました。「過去半年さわらなかった本は捨てる」というルールに従って。捨てても特に困ったりはしません。
まあ、いわゆる「思い出の品」の範ちゅうだったので、困ることはないのです。
私は、以前はお菓子を作るのが趣味でした。子供のおやつにしようと毎日のようにお菓子を焼いていました。
ふだんのおやつにはクッキーやマフィン、簡単な焼菓子を、クリスマスにお菓子の家を、バレンタインデーにはチョコレートのお菓子を、といった具合。
こちらの台所はみんな大きなオーブンがついているので、お菓子を焼きやすい環境です。
しかし、そんな子供も大きくなり、私は白砂糖をとるのをやめ、すっかりお菓子作りから、遠ざかっています。
白砂糖をやめた話⇒白砂糖はこんなに体に悪い~私が砂糖をやめた理由とは?
料理本、レシピ本、全捨てしています⇒料理本を断捨離(全捨て)した。いくらレシピがあっても料理上手にはなれない
「秘密のケーキづくり」は一時期、毎日のように眺めて楽しんでいましたが、もうその時代は終わったのです。
楽しかった思い出とか、この本を見ながらお菓子を作った体験は私の中にしっかり残っているので、本がなくても大丈夫です。