腕立て伏せ

TEDの動画

練習のパワー:腕立て伏せを10年続けて学んだこと(TED)

練習する意義を教えてくれるTEDトークを紹介します。

タイトルは、The Power of Practice: Lessons From 10 Years of Pushups (練習のパワー:腕立て伏せを10年続けて得た教訓)

スポーツ心理学とパフォーマンスのコーチ、Emily Saul (エミリー・ソール)さんのトークです。



練習の力

収録は2022年の3月、長さは15分、自動生成の英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

ソールさんはゆっくりしゃべっているので、聞き取りやすいと思います。内容もシンプルです。





1日100回の腕立て伏せ

50年前、タイトルナイン(Title IX、法律)が制定され、スポーツ世界の女性の立場が変わりました。

25年前、私はウォークオンアスリートとして、タルサ大学のフルライド奨学金を受けました。タイトルナインがあったからこそ実現したプログラムです。

そして、10年前の今月、私は、毎日腕立て伏せをはじめました。1日に100回です。

今から、腕立て伏せの話をたくさんしますが、注意して欲しい言葉は「練習(practice プラクティス)」です。

practiceは、動詞も名詞もあります。

運動選手として、私は、動詞としてのpracticeを始めました。

スポーツ心理学のプロとして、名詞のpractice(練習)を継続したら、自分がどんなふうに変わったのか、これから説明します。

だから、このトークは、腕立て伏せの話ではないのです。練習することによって、自分自身について学んだことについての話です。

そして、皆さんも、練習をして自分や自分のまわりの世界について、学び探求することを続けてほしいと考えています。

腕立て伏せを始めたきっかけ

さて、動くことが、私にとってどんなに重要なのか話すことから始めます。

まあ、私を見ただけでもわかるでしょう。運動は私の本質にかかわることだと知っておいてください。

朝一で運動するのが好きだし、運動することで、体と心のバランスを取ることも好きです。

だから、2012年に、仕事でハイチに行ったとき、私が直面した問題を想像できるでしょう。

時間がないのはわかっていました。運動用具にもアクセスできないし、走ったり重量挙げするのも難しいだろうとも思っていました。

でも、これは、自分ができないことにフォーカスしていたからそう思っただけです。

だから、機会に意識を向けることにしました。できることについて考えたんです。

そして、すごく狭い場所をぐるぐる走ることにしました。こステージと大差ないスペースを。

スクワットや腕立て伏せをすることも考えました。実は、腕立て伏せが嫌いなんです。でも気づきました。いつもと違うことをして、上達する体験をするのはどうだろうって。

1日100回、腕立て伏せするしかなくて、しぶしぶそうしたとしても、満足感は得られます。

だから、これを私のゴールにしました。日に100回腕立て伏せをすることを。

練習を続けて教訓を得た

そのとき、腕立て伏せを100回もできませんでした。でも、5回はできる。だから、1日に5回の腕立て伏せを20回すればいいと思いました。

2012年の5月、それが私のゴールでした。目的を得て、意義を感じました。

回数を数えれば、成功かどうかわかります。

同僚や友人に私の目標を伝え、わくわくしていました。

そして、皆に言ったとおりにしました。

腕立て伏せは、その年ずっと続きました。さらに、その後も続き、10年継続しました。

100回の腕立て伏せは、全部で40万回の腕立て伏せになりました。

すごくたくさん練習したわけです。そして、この練習から教訓を得たんです。

私は、スポーツ心理学のクライアントが、運動から教訓を得て、より意味のある練習をしてもらうことを手伝っています。

だから、きょう、自分の10年に渡る腕立て伏せの練習から得た5つの教訓を皆さんにお伝えします。

5位から紹介しますね。

教訓5:障害を機会にする

今、説明したように旅行のせいで運動できなかったという障害と、腕立て伏せに対する苦手意識をチャンスにしました。

この2つがなかったら、今の私はいません。

だから、障害があってもくじけないでください。それはそんなに悪いものではないです。何かを学ぶ機会だと考えてください。

教訓4:完璧にできなくても失敗ではない

何かを完璧にできなくても、それは失敗ではありません。

人は、何かを完璧にしたいという期待をもち、期待どおりにできないと失敗だと考えます。

私も、腕立て伏せを始めた2年目に、やる気がなくなったことがあります。

100回ちゃんとできたときは、成功したと思えましたが、80回や90回しかやらなかったときは、失敗だと感じました。

でも、腕立て伏せをしっかりやらなかったぐらいのことで、がっかりしたり、気分を害したりはしたくありませんでした。そんなの、オール・オア・ナッシングすぎます。

そこで、成功について考え直し、ゴールを拡大しました。

1日100回の腕立て伏せは続けるとして、1年に何回やったか数えるのはどうだろうか? するとそれは36500回になります。そこで、年に36500回をめざしました。

そうすれば、1日80回だけしかやらなくても、それは失敗ではなく、大きなゴールに近づく行動です。

こう考えれば、できなかったことではなく、できたことにフォーカスできます。考え方を変えたら毎日継続するのがずっと楽になりました。

教訓3:モチベーションは意味に直結している

いつも皆に聞かれます。どうやってモチベーションを保ったのかと。

この答えは簡単です。

腕立て伏せをすることを私の人生にとって意味のあることにしてきたんです。

いつも私の目的に沿ったものにチャレンジするようにしています。

はじめは、運動そのものが私にとってとても重要だったので、腕立て伏せができました。

その後は、努力していると感じることが意味のあることになりました。

だから、そう感じられるようにゴールを変えたんです。

そして、数年後、私は自信がつきました。腕立て伏せが上手になったと感じ、それはいいことだと思ったんです。そして、チャレンジすることは、意義があると思うようになり、もっとやりたいと思いました。

だから、1年に4万回を目標にしました。その目標に向かって挑戦するのはとても気分がよかったのです。

その年、12月31日に、日々の腕立て伏せの回数を書いたカレンダーを見て、4万回を達成したとわかりました。でも、1度も腕立て伏せをしなかった日が29日ありました。

だからといってがっかりはしませんでした。ゴールは達成していますから。

でも、もっとコンスタントにやる挑戦をしたらどうだろう、と考えたんです。

そこで、翌年は、1度もやらない日をゼロにし、なおかつ4万回を達成することにしました。

そしてそれを達成しました。こうやって、意味を見つけるために、いろいろなやり方をしています。モチベーションは自分にとって意味があるかどうかに関係あります。

教訓2:継続したいことにはシステムと偶発性の両方が必要

何かを続けたいとき定期的に行い手順を決めるべきです。でも、何かを楽しみたいときは、決まりきった形にせず、バラエティをもたせるべきですよね。

長く続けたいなら、この2つのバランスをとらなければなりません。

自分は、手順をしっかり決めたほうがうまくできるとわかりました。

そこで、どんなふうに腕立て伏せをするか決めて、その方法を毎日続けました。

ルーティンを決めてやり続けるほうがうまくいきました。朝一番にワンセット行いました。こうすると、「もうやり始めた」という気になれるので、続けるのに効果がありました。

そらに、いつもやっていることと腕立て伏せをペアにしました。たとえば、電子レンジに何かを入れるたびに、腕立て伏せをしました。おかげで、キッチンの床もきれいに保てました。

でも、楽しめないと、継続することはできません。

そこで、ふつうじゃないことをするようにしてみました。

飛行機の通路や人が乗っていないエレベーターで、腕立て伏せをしました。スキーウエアのまま腕立て伏せをしたし、全裸でしたし、結婚写真を撮ったビーチで、ウエディングドレス姿でもしました。

教訓1:自分に合ったチャレンジがある

何をするかは自分次第です。

腕立て伏せをしていると、人々が近寄ってきていろいろなことを言います。

「何してるの?」

「1日に125回、腕立て伏せをすることにしているの。練習よ」

すると、皆、

「ああ、私にはできないわ。腕立て伏せ1回だって無理だもの」

と答えます。

皆、何かを継続することや、運動の練習をするのはすばらしいと思っています。ですが、すぐに、「自分にはできない、それは他の人がすることだ」と決めつけてしまうんです。

でも、人それぞれ、続けられたら素晴らしいのにと思っていることはあると思います。

だから私は、誰かが、「私は腕立て伏せなんてできない」と言ったら、「どんなやり方が自分に合っているのかわからないだけよ。私も100回はできなかった。5回から始めたのよ」と答えます。

皆、こうなりたいという思っていることがあります。したいと思うことがあるなら、やる意義があると思うなら、自分に関係があると思うなら、自分に合ったやり方を見つけて、毎日練習して、上達をめざしてください。

もう1度言います。

これは、腕立て伏せの話ではありません。何かを学ぶために練習する話です。

運動選手である必要はありません。

瞑想でも、ジャグリングでも、どんなものも練習でうまくなれます。

何を練習しようとあなたの自由です。ただ、思う存分練習してほしいのです。

//// 抄訳ここまで ////

補足

Title IX タイトルナイン、アメリカで、高等教育機関の教育プログラムや活動等での性差別の禁止を定めた教育改正法第9編の通称(1972年成立)

full-ride scholarship フルライド奨学金、大学通学に関連するすべての費用をカバーする奨学金

walk-on athlete 大学や高校のスポーツチームに所属する学生のうち、奨学金や特別な勧誘などを受けずに自ら志願してチームに参加する選手のこと

運動や継続に関するほかのトーク

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継続すれば上達する

私がほぼ毎日長く続けていることと言えば、ブログを書くことなのですが、確かにブログの記事を書くのはうまくなったと思います。

逆にたまにしかやらないし、あまり興味のないWordPress(ワードプレス、サイトやブログを作成できるコンテンツ管理システム)の扱いは、いまだにひじょうに苦手です。

やはり、自分が好きで、自分の人生にとって意味があることなら、毎日続けることができるし、そうでないものは続かないですね。

あなたも、今年になってから、「こんなことをしたい」と思って始めたことがあるかもしれません。

1000個捨てチャレンジや⇒持たない暮らしに近づく1000個捨てチャレンジの楽しみ方。

買わない挑戦など⇒誰でもできる『買わない挑戦』の始め方。自分ルールで楽しく実践。

1ヶ月たって、挫折したかもしれませんが、それが意味のあることなら、ぜひまた始めてください。

エミリーさんのように、ゴールを変えて続けてみると、やる気も続きます。

たいてい、半年もやっていれば習慣になるので、やる気はそんなに必要ありません。

習慣になったら、無意味に続けないように、時々、意義をチェックするといいですね。

応援しています。





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