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物を持ちすぎない暮らしをめざしている人の参考になるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、How Many Towels Do You Need?(タオルは何枚必要か?)。プレゼンターは、ローズ・ラウンズベリー(Rose Lounsbury)さんです。
ミニマルライフのよさをストレートに伝えるわかりやすいプレゼンです。どちらかというとミニマリズム初心者向けかもしれません。
タオルは何枚いる?:TEDの説明
Rose Lounsbury shares how to move towards a minimalist lifestyle and how it has improved her life. Rose Lounsbury is a minimalism coach, speaker, and author of the Amazon bestseller Less: Minimalism for Real.
ローズ・ラウンズベリーは、どうやってミニマリストのライフスタイルに変えていくか、ミニマルな暮らしがいかに彼女の人生を向上させたかを語ります。
ローズは、ミニマリズムのコーチ、講演者、アマゾンでのベストセラー、Less: Minimalism for Real(レス:本物のミニマリズム)の著者です。
タオルは何枚いるか問題、動画
収録は2018年の10月。動画の長さは10分。英語字幕あります。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
多すぎるタオルを前に途方にくれる
タオルっていったい何枚必要なんでしょう?
2012年のはじめのある土曜日の午後、戸棚の中を見ながら、私はこの質問に向き合っていました。
ミニマリストになろうと決めたばかりの頃です。
1500スクエアフィート(およそ139平方メートル)の家には、夫の物、私の物、3歳になる三つ子の物をすべておさめることなんてできない、と思いました。
その数週間前に、すでに物の問題について考え始めていました。
クリスマスにたずねた親戚の家から戻るとき、車の中がプレゼントでいっぱいだったのです。
帰宅し、すでに物でいっぱいの家を見たとき、じわじわと恐ろしさを感じました。
すでに持っている物を入れる場所すらないのに、いったいどこに新しい物を収納したらいいのか?
いくつか選択肢を検討しました。
- もっと大きな家を買う。
- 今後はずっと誰にもクリスマスプレゼントを買わない。
いい解決法を知る
そんなとき、ある友人がもっといい方法を教えてくれたのです。
ミニマリズム。
必要な物だけを持って暮らすこと。
そんなこと、それまで考えたこともありませんでしたが。
戸棚の話にもどります。そこには、タオルの塔ができていました。
それを見て、タオルってどれだけあればいいのかな、と思ったのです。
その答えは、驚くほど明らかでした。
1人につき2枚。
すると、5人家族だと全部でたった10枚。
明らかに、ベターホームズ&ガーデン(アメリカのインテリア雑誌)に書いてあることとは違います。
雑誌にはシーズンごとに、違う色のタオルがいるとありました。
「タオルが10枚って、違うような気もする」
物はそんなにいらない
地下に行き、のんびりスポーツ番組を見ている夫のジョシュに聞いてみました。
「ねえ、タオル、10枚だけにしてもいい?」
夫はちょっと考えてから、「う~ん、いいけど?」と答えました。
これで決まりました。タオルは10枚。
6年前のことです。
この6年、タオルの数は増やしていませんが、家族全員、乾いているべきときにはちゃんと乾いています。
私のミニマルライフの初期に起きた、このできごとから、2つのことがはっきりしました。
1.自分で思う以上に、少ない物で暮らせる。
2.社会が「持つべきです」という量より、ずっと少ない物で暮らせる。
ミニマリズムとは?
さて、ミニマリズムとはいったい何なのか?
「レス・イズ・モア」という言葉、よく聞きますが、それはどんなものなのでしょう?
所持品をすべて売って、バックパック1つで暮らすことでしょうか?
絶対贈り物をもらわないこと? 家には先割れスプーン1つあるだけだから、人々を食事に招かないこと?
私の好きなミニマリズムの定義は、19世紀のデザイナー、ウイリアム・モリスの言葉です。
Have nothing in your house that you do not know to be useful or believe to be beautiful.
「役立つものと美しいと思うもの以外は、何も持ってはいけません」。
「役立つ」と「美しい」。この2つのを判断基準にして、家に入れるか否か決めています。
役立つものと美しいものだけを持つ
自分にとって役に立つか?
役立つとは、実際に、それを使うことです。
役立つ可能性がある、ということではありません。「役立つかもしれない」と思うだけのもの、たくさんありますよね。
美しいと思うものとは、たとえばどんな物でしょうか?
1974年、私の母が、おばとおじの結婚のプレゼントとして、青い裸婦の絵を描きました。
それからずいぶんたち、私とジョシュが結婚したとき、おじとおばをたずねました。
当時のアパートの壁が殺風景すぎると話したら、おばは、すぐに地下に走っていき、ほこりをかぶったこの裸婦の絵を持ってきました。
おばは30年間、この絵を飾っていたのです。
おばは、ミニマリストがとるべき基本的な行動をやってみせたのです。
自分にとって、もう美しいと感じられない物は手放すこと。そうすれば、誰かほかの人の、美しいものになるから。
我が家には、いまもこの青い裸婦の絵が飾ってあります。
きらいな贈り物は手放す
自分がもらった物を人に贈る話をしましたが、いらないものをもらってしまったとき、みなさん、どうしますか?
誰でも、欲しくないものをもらってしまうことがあります。そんなとき、ほかの人にあげますよね。
数年前、親友の洋服を減らす手伝いをしたとき、私が1999年に彼女にあげたひつじ柄のパジャマのパンツを見つけました。
彼女を説得して、私がそのパンツを寄付用の袋に入れました。
好きじゃない贈り物を手放してもべつにかまわない。
この事実を受け入れるようにしましょう。捨てるのを、何十年も待つ必要はありません。
相手がいらないと思うものを、あげてしまうことは、ごくふつうのことです。
それはプレゼントのやりとりについてまわることです。
プレゼントをもらったらすべきこと
ギフトを手放しやすいように、2つのことを皆さんにお教えします。
1.誰かに贈り物をもらったら「ありがとう」と言う
2.ありがとうと言ったら、もうその贈り物とくれた人に対する義務は果たし終えた
それはいまや、あなたの物なのです。
もらったものが、有用であるか、美しいと思えるなら、持っていてください。
そうでなかったら、手放してください。そうすれば、ほかの誰かの役立つものや、美しいものになります。
いらない物を捨てない理由はほかにもたくさんあります。
思い出の品だから、これまでそれにずいぶんお金を使ってきたから。万が一の時のために、一生分のセーターを持っていなければならないのだという恐怖のせいかもしれません。
どんな事情があっても同じことです。
もし使わないなら、あるいは好きでないなら、手放してください。
ミニマリズムのメリット
ミニマリズムの本当の恩恵は、頭や心にもたらされます。
もちろん、カウンターの上がきれいで、すぐに鍵が見つかるのはいいことです。
ですが、私がずっとミニマリストでいるのは、家の中の様子とは、まったく関係ありません。
私がどんな気持ちでいるかに関係あるのです。
大事でないものをすべて手放すのに8ヶ月かかりましたが、捨て終わったら、3つのすばらしいことが起きました。
1.自由な時間(free time)
夜、楽しみのために読書することにしました。そのへんを片付ける代わりに。
2.心の平安(peace of mind)
家で静かにリラックスできるようになりました。人が突然たずねてきても、平気です。
3.頭の中がクリアなこと(clarity)
子供が生まれて以来はじめて、考えたり、夢みたりする心のスペースができました。そのおかげで、思いもよらなかった変化が起きました。自分のビジネスを始めたり、本を書いたり。
それまではそんなことを考える心の余裕がなかったのです。すべてのエネルギーを物に使っていたからです。
家の中は頭の中と同じ
家の中の状態は、頭の中にある状態を映し出しています。
もし家の中が、いらない物や、使っていない物、好きでない物だらけだったら、心の中もそれと同じなのです。
家に帰ったら、「自分はどれだけ必要なのか?」と考えてください。コーヒーカップや、靴、クリスマスのデコレーションの箱。
積み重なった物理的な物の山を少しずつ削っていくと、その下に残ったものに驚くでしょう。
そこにあるのは、本当に大事なものです。
さあ、家に帰って、タオルの数を数えてください。
単語の意味など
ラウンズベリーさんはもと中学校のせいか、ゆっくり話すし、発音も明確で聞き取りやすいプレゼンですね。
linen cupboard シーツやタオルを入れる戸棚
Spork 先割れスプーン(スプーンとフォークが合体したもの)
William Morris ウイリアム・モリス(1834-1896)。英国の工芸家、詩人、社会思想家。装飾美術の分野で活躍しました。
ラウンズベリーさんの本です。150ページほどの短い本です。この記事を書いている時点では、キンドル版は448円です。
シンプルライフの良さを伝える他のTED
たくさん紹介していますが、7つだけリンクします。すべておすすめです。
ミニマリズム~何もしない時間、何もないスペースを作ってより充実した人生を
人生で本当に必要なものは3つだけ:マチアス・ルフェーブル(TED)
『ものは少なく、幸せは多めに』~グラハム・ヒルに習う「小さく暮らす」メリット
小さな家(タイニーハウス)に住むことは自分の夢を叶える糸口になる(TED)
なぜ私はゼロ・ウェイストな暮らしをしているのか:ローレン・シンガー(TED)
少ないほうが幸せ。なんでも多ければいいという考え方が人を不幸にする(TED)
人生を変えたい人がするべき3つのこと(TED) シンプルが鍵。
タオルを捨てる時が来た
タオルはたまりやすい物の1つですね。
読者の中にも、家の中に使わないタオルをたくさんためている方がいます。
布だから、たためばとりあえず、きれいに収納できる雰囲気があるからでしょうか?
いろいろな用途に使えそうだから、たとえ、いまは役に立っていなくても、「あれば、そのうち役立つときが来るだろう」という幻想をいだきやすいものなのでしょう。
使いみちを思いつかなくても、雑巾代わりにはなります。
タオルのもつ応用範囲の広さが、使うあてのないタオルをためこむ現実を作っているのかもしれませんね。
タオルをためこんでいる人に、一度、その理由を聞いてみたいですね。こちらから教えていただければ幸いです⇒お問い合わせフォーム
さて、そのように、役立ちそうであり、きっと美しく、ポジティブなイメージがあり、幸せな家庭生活の象徴であるタオルも、数が多すぎると、生活を不便にしてしまうただのガラクタです。
「なんとなく役にたちそう」「これがあると、生活が豊かになりそう」というのは、たくさんのタオルをためこんでしまった人の、希望的観測にすぎません。
希望的観測とは、「そうであってほしい」「そうなったらいいな」という気持ちです。
そこには、そうなる証拠もなければ、合理的な裏付けもありません。
「そうあってほしい」と思っているだけでは、現実はそのようになりません。
もし、もっと快適に暮らしたいと望むなら、夢のようなことを考えるのはやめ、さっさとためこみすぎてしまったタオルを捨てたほうがいいです。
そのほうが絶対暮らしの質があがります。
人生は自分の手で切り開くもの、という考え方、私はわりと好きです。