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ファストファッションや、持続可能なファッションに関するTEDの動画を紹介します。
タイトルは、I Broke Up With Fast Fashion and You Should Too(私はファストファッションとは別れた。あなたもそうすべきだ)
邦題は、「私はファストファッションに別れを告げました。あなたもそうしませんか? 」
break up with は、誰かと別れることです。
プレゼンターは、アップサイクルプロジェクトをしている、ガブリエラ・スミス(Gabriella Smith)さん。
ファストファッションはやめた:TEDの説明
How many of us have a closet full of clothes and nothing to wear? Many of us buy fast fashion as a way to keep up with trends, without thinking about the impact we are having on the planet or the people.
クローゼットに服がいっぱいなのに、何も着るものがないと思っている人は、何人いいますか?
流行に遅れないために、私たちの多くは、ファストファッションを買います。ファストファッションの地球や人々への影響は考えることなしに。
動画の長さは9分21秒。日本語の字幕があります。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
ジーンズ、52本ってすごいですね。
服をたくさんもっていた私
きょうは、ファッションの話をします。
みなさん、目を閉じて、自分のクローゼットの様子を想像してください。
Tシャツや、ジーンズ、靴がどれだけありますか?
私のクローゼットには、Tシャツが116枚、ジーンズは52本ありました。みな、形や色は違います。
クローゼットに服がいっぱい入っているのに、「着るものがない」と思っていました。
私と同じような人、いませんか?
エシカルなファッションに目覚める
私は、ずっとファッションに興味があり、コーディネートを考え、素敵に装って、自分はおしゃれだと感じることが大好きでした。
でも4年前、こう思ったんです。ファッションも、食べ物と同じように、オーガニックにできないかな、と。
ファッションの「ホールフード(whole foods)」を作りたいと思いました。
エシカルに作られ、環境にいいアイテムだけど、スタイリッシュな服を買える場所です。
どうしたら、サステナビリティ(持続可能なこと)を始められるだろうか考えました。
このとき、自分のクローゼットの中にある大半の服は、もう価値がないと気づきました。
体験は得られますが、価値はないんです。
取って、作って、捨てる
その後、エシカルに服を作っているブランドを探しましたが、なかなか見つかりません。
メーカーに、環境への負荷や、サプライチェーンについて聞きましたが、そうしたことをシェアしてくれるメーカーはほとんどありませんでした。
さらにリサーチしたところ、ファッション業界は、テイク・メイク・ウエイストモデル(take-make-waste model、取って、作って、捨てるモデル)だとわかりました。
何のためらいもなく環境から材料を取って(テイク)、誰がその服を作るのかなんてことは、ろくに配慮せず、服を作り(メイク)、それを、私たちは、数回着ただけで、ゴミにします(ウエイスト)。
Tシャツを作るのに必要な水
たとえば、Tシャツ1枚作るのに、2700リットルの水が必要ですから、私のクローゼットの116枚のTシャツを作るのに、31万3200リットルの水を使ったことになります。
1日に、2リットルの水を飲むとすると、429年分の水が、クローゼットの中にあるのです。
しかも、私のTシャツは、全部、オーガニックコットンだというわけではないので、殺虫剤を使って、水質汚染をして、工場のある地域の人の健康をおびやかしました。
捨てた服の85%がゴミになる
アメリカ合衆国だけでも、私たちは、毎年、250億ポンド(およそ113億4000キロ)の布地をゴミにしています。
そのうちの15%はリサイクルされますが、85%はゴミ捨て場に直行です。
この会場にいる人、1人につき、70ポンド(およそ32キロ)の服がゴミ捨て場に行く、ということです。
でも、これは氷山の一角です。
ファストファッションの人的コスト
私たちは、販売促進のキャンペーンによって、「まだ十分じゃないから、もっと買いなさい」と常に促されています。
ファストファッションには、人的コストがかかっていることに気づかないまま。
たとえば、バングラデシュでは、縫製工場のラナ・プラザが崩壊し、1334人が亡くなりました。
犠牲者の大半は女性で、グローバル化したファッションのサプライ・チェーンのもっともリスクの高いところにいた人たちです。暴力や、メーカーの無関心、抑圧にさらされていました。
アップサイクルプロジェクト
私は、ファッションへの情熱と、持続可能な未来を作りたいという気持ちの両方を叶えたいと思いました。
鍵になるのは、教育だと思い、アップサイクルプロジェクト( UpCycle Project)を始めました。
アップサイクルプロジェクトは、ファッション業界の廃棄に対する関心をうながすプラットフォームです。
デザインを学んでいる学生に、そのままではゴミになってしまうものを使って、服を作ってもらっています。
サステナビリティは、デザイナーから始まりますから。
学生たちと活動するのはすばらしい体験です。彼らは、自分たちのデザインの環境や社会、文化、経済への影響がわかっています。
ふつうは材料にしないものを使って、服を作っています。
たとえば、引き取り手が現れず、クリーニング屋で残っている服や、さまざまなデザイナーのデッドストックの布地、もう使われなくなったホテルのベッドシーツなどを使って。
こうした物を使って服を作ってみると、持続可能な社会について、貴重な学びを得られます。
いくつかのホテルと提携して、買い手がつく服を作っています。
このプロジェクトを国際的に拡大したらすばらしいことになりそうです。
個人でできることは?
私たちが個人的にできることは何でしょうか?
何をやったらいいのかわからないときは、何もやらないのが一番だと学びました。
つまり、買うのをやめるのです。
だから、1年、服を買うのをやめて、すでに持っている服を着ることにしました。
よく考えてみると、以前は、月に6~7回も、ファストファッションの店に行っていたんです。
すでに持っている服を着るより、新しい服を買って着るほうが、私には簡単でした。
そういう人、ほかにもいますか?
私はクローゼットから、自分が本当に好きな服を探そうとしました。
でも、トレンディな服はたくさんありますが、私のスタイルに合ったものはなかったのです。
価値のある服はありませんでした。
いくつかは、工夫して着てみたりしましたが、結局、私はいつも白いTシャツとジーンズばかり着ていました。
ほかの人は無関心
こうやって、いろいろがんばってみて、気づいたことがあります。
誰も、サステイナブルなファッションなんて気にしていないんです。
家族は、無関心だし、友だちもそう。みな、ただ、おしゃれに見せたいだけ。
ほかの人がそうなのに、なぜ、私は、こんなに面倒なことをしなければならないのか?
また服を買いそうになったが
だから、ある時、服を買わないのはもうやめて、自分の好きな店に行き、買えるだけ、買おうと思いました。
店で、いくつか選んで、試着して、自分に聞いてみました。
「これらの服は、私をいったいどこへ運んでくれるのか?」
すでにもう持っている服のことは考えていませんでした。
「この服たちから、どんな価値が引き出せるだろう? この服たちの目的はなんだろう? 誰が作ったのか? このブランドの考えは、私の価値観に合っているか?」
この時、気づきました。
ここにある服の価値は、スタイルと安い価格だけだということに。
私は買うつもりだった服を置いて、店を出ました。手ぶらで、でも、力がみなぎっていまいた。
買い物断ちの効果
買い物断ちをしたおかげで、私は自由になりました。
いまは、透明性のあるサプライ・チェーンのブランドを見つけるようにしています。
作り手を明らかにしているブランド、限定生産しているメーカー、服を作った人間に公正な給料を払い、敬意を示しているブランド。
技術を使い、よりよいデザインと質のいい素材を扱おうとがんばっているブランド。
買い物を断っていたせいで、私は貯金することができました。
「着る服が何もない」という不安も解消しました。
中身が空っぽのブランドや、空っぽのライフスタイルと質の悪い製品を売りつけようとする販売戦略から自由になりました。
さて、もう1度、目を閉じて、自分のクローゼットを思い浮かべてください。
そこにある服は、あなたをどこへ連れていってくれるでしょうか?
その服にはどんな価値がありますか?
目を開けたら、自分が本当に大事にしたいもののことを考えてください。
ドクター・スース(Dr.Seuss)はこう言っています。
「きみのような人が、すごくたくさん気づかいをしないと、何もよくならないよ。絶対に(Unless someone like you cares a whole awful lot, nothing is going to get better. It’s not.)」と。
きょうこのステージで、みなさんに言います。ファッション業界は、必ずよくなります、と。
//// 抄訳ここまで ////
☆アップサイクルは、もともと捨てるはずだったものに、新しい価値を与えて、もっといい物にアップグレードすること。
たとえば、古い服をウエスにするのは、リサイクルで、古い服を素敵な何かに作り変えるとアップサイクル。
ファッションに関するほかのプレゼン
死ぬほど素敵なファッション(TED)おしゃれで安い服の大きな代償。
マインドレスからマインドフルへ、ファッションを変えていく(TED)
どうしたら、エシカルファッションを実践できるのか?(TED)
服を使い捨ててはいけない。着ているものがあなたの生き方を表している(TED)
最近の私の取り組み
エシカルファッションに関しては、すでにたくさん記事を書いていますが、初心に戻ることができるように、ときどき、ファッションに関係のあるTEDをピックアップしています。
私も一応、ファストファッションはあまり買わないようにしています。
基本は服を買わないことで⇒エシカルファッションの追求と節約を両立させる方法はある?私は買わない選択をした
今年1年は、たぶん買わずにすむと思います。
もし買う必要が生じたら、グッドウィルかヴァリュービレッジ(共にスリフトショップ)で中古品を探すつもりです。
一応、店舗は開いていますが、入店できる人数の制限をがあるため、たまたま混んでいる時間に行ってしまうと、外で待たねばなりません。
今、寒いから、並びたくないので、行くとしても、もう少し、あたたかい季節になってからです。
ファストファッションの弊害に関する記事を読んで、なるほど、と思っても、「でも、クオリティファッションは高いから、私は買えない」と思う人も多いと思います。
中古なら安いですよ。
一度、お試しください。
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「取って、作って、捨てるモデル」は衣類だけでなく、ほかの製品にもあるかもしれません。
サステナビリティを心がけているメーカーが増えてきましたが、「取る⇒作る⇒捨てるモデル」はまだ当分続くでしょう。
確かに買う前に、いろいろ選んだり、あれこれ迷ったりする時間や、買っているその瞬間は楽しいと思います。
私も、YouTubeで人が画材(塗り絵グッズ)の説明をしている動画を見るのはわりと好きです。
しかし、買うと、所有する必要が発生するのが問題です。
買うという楽しい時間はその一瞬だけ。
買えば、必ず、「所有する義務」がついてきて、その義務は、手放さない限りずっと続きます。
過去記事にさんざん書いていますが、所有するといろいろしんどいので、所有する覚悟のあるものだけ買ったほうが、ストレスなく暮らせると思います。