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趣味を楽しむことが仕事にいい影響を与えると教えてくれるTEDトークを紹介します。
タイトルは、The Remarkable Impact of Hobbies on Career (趣味がキャリアに与えるすばらしい影響)。
化学の教授、Karen McFarlane Holman, Ph.D.(カレン・マクファーレン・ホルマン教授)の講演です。
趣味とキャリア、TEDの説明
We are masters of feeling guilty every time we get distracted by our hobbies when we feel like we should be working. But what if our hobbies are actually enhancing our careers? Bolstered by a recent scientific study, scientist and punk rocker Karen McFarlane Holman proposes a way for us to quickly dispel guilt and identify our strengths that we may not have recognized before.
私達は、仕事をするべきだと思うとき、趣味に気を取られると罪悪感を抱きます。でも、趣味が、キャリアを充実させてくれるとしたらどうでしょう?
化学者でパンク・ロッカーのカレン・マクファーレン・ホルマンが、最新の科学的研究に裏付けられている、罪悪感をすぐに振り払い、自分では気づかなかった強みを見つける方法をシェアします。
収録は2021年の3月、動画の長さは12分。自動生成される英語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
カレンさんは、ミュージシャンですが、プレゼンもうまいですね。
まあ、大学の教授は、毎日トークライブをやっているようなものだから、当然かもしれません。
仕事に集中することを期待される社会
子どものとき、何時間も、空想上の動物の絵を描いた本作りに夢中になったり、冒険物語を書いたり、子ども向けの百科辞典を読むふけったことを覚えています。
私はいわゆる多才な子どもで、先生たちは、私がいろいろなことをすることをポジティブに考えていました。
でも、仕事をするようになると、ちょっと変わります。
私達は、たとえば、パソコンのプログラマーの仕事の面接で、得意なことを聞かれたとき、「コードを書くのも得意だけど、テコンドーやキルトも得意です」と言うよりは、自分のキャリア、つまり、お金をもらってする仕事を、最優先するよう教えられてきました。
仕事とはべつの興味のあることを続けると、それは趣味や余暇の活動で、時間があるときにするものとなります。時間があれば、の話ですが。
でも、過去30年の体験から言えるのですが、趣味は私たちが思うよりずっと大きな影響力をもっています。
仕事も趣味も同じように取り組んだ
趣味のすごさを私が初めて体験したのは、90年代のこと。
私は、化学の修士課程で学んでいて、ほとんどの時間をリサーチプロジェクトにささげていました。私は夜型なので、よく夕方、学校に行き、何時間も実験をしました。
でも、実はこれは私の夜の活動の一部で、実験をしていなかったときは、バンドを組んで、曲を書いたり、コンテストで入賞するためにギターの練習をしていたんです。
私はワークライフバランスをうまくとっているように見えたかもしれません。
学んだことを活かして、生涯できる仕事を始める地固めをする一方で、楽しみのために趣味でバンド活動をしていたように見えたでしょう。
でも実際は、私にとってバンド活動は、化学の仕事と同じくらい重要だったのです。
だけど罪悪感があった
ただ、この2つを両立するのは大変でした。
ともにエネルギーを要することだったせいもありますが、私はずっと深い罪悪感を抱いていたんです。
バンドの練習をしながら、こんなことをしているべきではない、本当はリサーチをしたり、論文の下書きをすべきだ、化学の研究に打ち込むべきだと思ったのです。
専念できるリソースは限られていて、それを全部、キャリアに注ぎこまないのは、キャリアに背を向けることだと感じていました。シェイムを感じていたんです。
だから、卒業してついた仕事とその次の仕事では、バンド活動を控えめにし、音楽活動をしていることを隠すことすらしました。
私はよくある道をたどっていたんです。一番大事なのはキャリアで、趣味はごくごく控えめにするか、やめてしまう。やめる典型的な理由は、時間がないこと。
仕事を最優先する私達
最近の研究からわかったことですが、たくさんの人が取り組みたい特定の趣味をもっているのに、そうする時間がないと言っています。
時間がないことは、休暇を取ることも難しくさせています。
アメリカの労働者の半分以上が、与えられた休暇を全部を消化していません。
休暇を取った人たちの3分の2は、休暇中にも仕事をしています。
16%の人は、もっと仕事をするために休暇を取るんです。
多くの人がこんなことをする理由についてはいろいろな説がありますが、その理由が何であれ、私達は仕事をするのをやめることができず、その結果、仕事の有効性も私達の健康も、幸せも損なわれてしまうのです。
趣味が仕事を助けてくれた
私はこの罠を回避して、罪悪感があっても、ずっとバンド活動を続けました。
そうやって、数十年たつうちに、化学は私のマラソンで、ロックミュージックは私のクロストレーニングだとわかったのです。
趣味があるからこそ、私は仕事で結果を出すことができます。
趣味は単なる趣味に終わらず、私のキャリアを拡大してくれました。
趣味があるからこそ、昇進できたり、チームの成績があがったり、賞を獲得できたり、奨学金を得られたりするところを想像してみてください。
残念ながら、罪悪感や、時間の制約のせいで、多くの人が、趣味をやめてしまいます。そして、こんな言い訳をするんです。
昇進したらまた始める、子どもが大きくなったらまたやるつもりだと。そうやって何年もたったあと、何が起きるでしょう? いったいどんな気持ちになるでしょう?
趣味をあきらめてしまうと
先週、そうやって趣味をやめてしまったあと、どんな感情になるのか、聞く機会がありました。
世界中の女性たちのオンライングループで、私はバンド活動が、自分のアカデミックな仕事にすごく役立ったことをシェアしたんです。
すると、サイバーセキュリティの助教授が、「あなたからこの話を聞けて、すごくよかった」と言ったのです。
彼女は、悲しそうな声で、ギターをオフィスに置きっぱなしにしていることや、何年もギターを弾かないでいるから、自分の魂が少しずつ失われている気がすると話しました。
でも、私の話を聞いて、またギターを弾く気になったとうれしそうでした。
彼女は、ギターを弾いてもいいという許可を得たし、また完全に自分になろうとしていたのです。
趣味を手放すと自分じゃなくなる
趣味をないがしろにするたびに、私たちは自分の一部を拒絶するような気分になります。
たとえその趣味が、収入に結びつかなくても、趣味には大きな価値があるんです。
だからこそ、趣味を続けるべきです。
趣味を手放してしまうと、自分自身でいられません。
でも趣味を優先すると、キャリアも人生のほかの面にも、力いっぱいアプローチできますよ。
趣味が仕事にいい影響を与える
これには、科学的な裏付けもあります。2020年にジャーナル・オブ・ヴォケーショナル・ビヘイビアにあった、余暇の活動や、それがキャリアにどんな影響を与えるか調べた研究によれば、余暇の活動をすることは、人々のキャリアにいい影響をもたらしています。
特に、その活動に真剣に打ち込んでいる場合、そして、その活動が仕事と全く関係のないものであるときです。
この研究で、「真剣である」とは、その趣味の中に、達成したいゴールがあり、コンクールやパフォーマンスなど、ある種のリスクがあることを意味します。
人生のいろいろな場面から異なったスキルやマインドセットを引き出すことによって、趣味と仕事の両方を充実させることができるんです。
これはとてもいいニュースです。
多くの人が、趣味の時間を捻出できないとか、趣味や余暇の活動に時間をさくべきではないと考えています。
でも、研究の結果から、私達は趣味を楽しむことができるし、そうすべきだと言えるのです。
続けたほうがいい趣味
これまで、私は、化学にもパンクロックにも熱心に打ち込んできましたが、罪の意識にさいなまれ、ときには、音楽をやめてしまおうと思ったこともあります。
でも数年前、趣味に対する態度を変えるのを助けるリトマス試験紙となる3つの質問を見つけました。
前提として、その趣味は、ふだんの仕事とは全く違うものであること。たとえば、コンピュータのプログラマーが、キルティングをするとか。
1つ目の質問:その趣味は、何かが上手になるのを助けるか? スキルを磨くものか?
2つ目:なんらかのリスクがあるか?
3つ目:大志やゴールのあるものか?
もしあなたの趣味が、今話した3つの質問に対して、たった1つでもイエスなら、そして、もっといいのは、3つともイエスである場合ですが、その趣味は続けるべきです。
趣味がキャリアを充実させる助けになりますから。
趣味の威力を感じた私の体験
私が趣味が仕事を拡大させることを知ったのは、化学の教授というキャリアに、ようやくパンクロックライフを迎え入れたときです。
生徒たちに、私のバンドの話をしたら、彼らはおもしろくてクールだと思ってくれました。
それだけでなく、私は、カーネギー財団から「プロフェッサーオブザイヤー」の賞を受賞することができたんです。
他にもすばらしい教授がたくさんいるのに、なぜ私? と驚いたのですが、生徒たちの書いたノミネーションレターを読んで理由がわかりました。
私の化学の生徒たちは、皆、教える仕事に注ぐのと同じ情熱を、パンクロックの演奏に注いでいる私を見て、彼らは、化学者でありながら他の仕事をしてもいいと感じたんです。
作家、パイロット、ダンサー、オリンピックのランナー、世界を回る旅人、彫刻家。
自分の一部である趣味を何年もそのへんにほったらかしにしないでください。私のように、定期的に趣味い打ち込みましょう。
やりすぎかな、と思うぐらいに。
そうすれば、一緒に、最高の仕事ができる文化を築き上げることができます。
//// 抄訳ここまで ////
仕事に関するプレゼン
仕事にやりがいをもたらすものとは? ダン・アリエリー(TED)
私たちの仕事に対する考え方は間違っている:バリー・シュワルツ(TED)
仕事の失敗でいちいち落ち込まない方法。親切で、優しい成功哲学(TED)
大事なのは仕事やお金だけではない
仕事をしながら、趣味もがんがん楽しんでもいいんですよ。お互いが相乗効果をもたらし、仕事も趣味も充実しますから。
こう伝えるプレゼンを紹介しました。
アメリカ人は、休みをきっちり取らず、ワーカホリック気味の人が多いようですが、それは日本も同じだと思います。
仕事以外のことに時間をさくことに罪悪感を抱いてしまいますよね?
仕事をせず、家庭の用事をしていたり、休んでいたりするとさぼっていると思われ、自分でもそう感じます。
でも、仕事と全く関係のない自分が打ち込めることに取り組むと、もっと人生が豊かになります。
だから、皆さんも趣味を楽しんでください。
私達が仕事ばかりしてしまうのは、仕事がお金を稼ぐ手段だからだと思います。
あまりにお金を大事に考えているから、仕事もいっぱいしてしまうのです。
ですが、お金ばかり追い求める人生は、楽しくないし、ストレスがたまります。
やりたいことがあるときは、がまんせずに、どんどんやりましょう。