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遺品の整理は、物理的な片付けだけでなく、感情とも向き合う大変な作業です。
中でも「写真」の整理は特に難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。故人の記憶が詰まった写真は、何を残し、何を手放すべきか悩んでしまいますよね。
今回は、読者からいただいた「伯母の遺品の写真整理」に関する相談にお答えしながら、写真を整理する基準や具体的なステップをお伝えします。
写真整理は単なる片付けではなく、自分自身や家族の今と未来を考える貴重な機会でもあります。
まずお便りをシェアします。なずなさんからいただきました。
遺品の写真をどう整理したらいいのか?
件名:遺品の写真
いつもブログ更新ありがとうございます。
今日はまた相談なのですが、遺品の写真って、どんな基準で処分・整理したらいいのでしょうか。
伯母の写真がダンボール箱に、何箱もあります。
元気で活動的な人でした。気持ち的には、全部デジタル化してあげたいのですが、私の力ではもう無理かなとたじろいでいます。
お金を出してプロに依頼するとしても、あまりに大量でなんだか恥ずかしい気持ちもしてしまいます。
ほとんどは私の知らない場所や人の写真ですが、それがなおさら取っておいてあげたい気がして。
実家に大きな物置があるので、そこへ運んでしまおうか、いつか見つけた誰かに任せてしまおうか、という考えが頭をよぎります。無責任かなあ……。
自分の写真は、特に若い頃のは全部捨ててしまいました。
精神の病気でろくなことがなかったからです。伯母の持っていた写真の中からも、躁状態でとてもおかしくなっていた時の自分の写真がまた見つかりました。
今度はそれを忘れたくなくなって、捨てられません。
なんだかぐずぐずしています。
亡き伯母の家の片付けはだいたい終わったのですが、処分の難しいものが残っています。
スプレー缶を少しずつ少しずつ、処分しています。外で穴を開けて中身を出すのです。
読んでくださってありがとうございます。もし気が向いたらアドバイスいただけましたら幸いです。
なずなさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
いつもブログを読んでいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
伯母さんの遺品の整理、お疲れ様です。かなり片付いたようですね。
写真は、最後の難関ということろでしょうか?
私なら次の手順で進めます。
デジタル化をためらう必要はない
なずなさんは、「できればデジタル化してすべて残してあげたい」と書いています。それが無理だと思うから、他の方法を考えているのですよね?
無理だと思う理由は、「写真がたくさんあって恥ずかしいから」。
全部デジタル化したいなら、遠慮せず、業者に頼めばいいですよ。
量が多いから恥ずかしいと思う必要なんてありません。なぜ恥ずかしいのか、謎です。
業者にとってはひとつの仕事に過ぎませんし、大口の依頼にも対応できるはずです。枚数が多ければ、売上もあがるでしょうし、むしろ歓迎されるのではないでしょうか。
心配なら、見積もりを取ってもらう段階で相談すればいいでしょう。
自分の気持ちを再確認して、本当に全部デジタル化したいなら、そうしてください。
ですが、そもそも、伯母さんの写真を全部残す理由はなんですか?
お便りには、「残してあげたい」「取っておいてあげたい」と書いてありますが、伯母さんはもうこの世にいないのだから、自分の写真を見る機会はありません。
写真を1枚でも多く残すことが、故人の冥福を祈ることにつながると考えていますか?
私は、遺品の写真は、亡くなった人のためではなく、まだ生きている人のためにすることだと考えています。
以下はそんな私が考える写真の整理のステップです。
ステップ1:何のために写真を残すのか?
写真整理の方針を考えるとき、そもそも何のために写真を残すのか、考えてください。
先にも書いているように、私は、写真は自分やまだ生きている他の人のために残すと考えています。
写真を残す目的は人それぞれですが、故人の写真の場合
・大切な記憶を守るため
写真はある瞬間を閉じ込めたものなので、ときどきその瞬間を思い出すために残す
・次世代に伝えるため
自分、家族、子孫に伯母さんの生きた証や歴史を伝えるため
・自分自身を振り返るため
お便りにもあるように、伯母さんの写真に写っている自分の軌跡を時々見て振り返る
・感動や美を残す
美しい写真をときどきながめて、そこにある美や感動を体験する。アートとしての写真を楽しむ
・記録として
伯母さんの生きた時代やできごとを記録してある資料として残す
このあたりが写真を残す理由だと思います。
このリストを参考にして、自分なりに、伯母さんの写真を残す理由を見極めてください。
残す理由がわかれば、残すべき写真を絞り込めます。
上に書いた理由すべてを満たす写真を残すことにしたとしても、全部残す必要があるでしょうか?
似たような写真は1枚でいいんじゃないですか?
ステップ2:整理の方針を決める
残す写真を決めたら、残したものをどんなふうに整理するか方針を決めます。
一般的な写真の保存・整理方法は以下の4つです。
・アルバムに写真を貼る
・フォルダーに写真を入れる
・箱やケースに入れる
・デジタル化
写真によって、保存方法を変えるときもあります。
ほとんど箱に入れるけど、一部はアルバムに貼るとか、大半はデジタル化するけど、一部だけフォルダーに入れるなど。
デジタル化するときも、そのままフォルダーに入れておくだけでなく、フォトアルバムを作ったりもします。
残した紙焼き写真でスクラップブックやコラージュを作る方法もありますね。
私は紙焼きの写真はいっさい残さず、デジタル写真しか持っていません。Google Photoに入れてありますが、アプリケーションのほうで、勝手にテーマごとにフォトアルバムを作ってくれ、「10年前のこれを見て」と表示しますので、気が向いたら見ています。
テーマごとにアルバムを作るとか、コラージュするというのは、整理の次の段階ですから、まずは、どんな写真を残し、それらをどう保存するか考えてください。
方針が決まったら必要なものを用意します。
ステップ3:少しずつ写真を選別する
どんな写真を残すか決まったら、1枚1枚見ていって、「残す・捨てる」を選別します。
デジタルで残すとしても、全部デジタル化する必要はありません。
私は母の絵手紙の多くをデジタル化しましたが、その前に、以下の3つに選別しました。
・物理的な絵手紙のまま残す(1冊のフォルダーにおさまる枚数のみ)
・捨てる
・写真に撮ってデジタル化
詳しくはこちらの記事をどうぞ⇒実例あり:今の生活の中で、もっと思い出の品を楽しむ5つのヒント 3.デジタル化する のところです。
この作業ですが、一気にやらないでください。
長くても1日15分ぐらい。なずなさんは、「いっそ、物置に入れておこうか」と考えてもいるので、写真整理を急ぐ理由はありませんよね。
ほかのものの断捨離と同じように、残すものが多ければ多いほど、あとの管理が大変になります。
ひととおり全部選別したあと、最低でももう一巡、できれば、二巡、三巡して、残す写真を絞り込みましょう。
ステップ4:決められないときに自分にする質問
捨てるか残すか迷う写真が出てきたら、その段階で悩まず、「あとで考える」パイル(山)に入れましょう。
この山にあるものは、別の15分でどうするか決めます。
以下の質問を自分にしてみると決められるかもしれません。
・この写真は今の自分にとってどんな価値があるか?
・自分や他人にとって、この写真が今後、どう役立つか?
・この写真を残すことで得られるものと失うものは何か?
すべての写真を残したいと思うかもしれませんが、たくさん残してしまうと、他のリソースが犠牲になります。
残した写真をあとで見やすいように整理する手間と時間が必要だし、紙焼きの写真なら置いておく場所も必要です。
死んだ人の生活はもう終わっていますが、生きている人はこれからも生活が続きます。
今日を生きることに、けっこうリソースを使いますので、遺品の整理に継続的にリソースを投下できる余裕はなかなかないだろうし、そうしようとすると、今日の生活が犠牲になります。
写真整理に関するアドバイスは以上です。そういえば、なずなさんには、以前も写真整理に関して質問に回答していますよね?
その記事を含めていくつかリンクしておくので、よければ読んでください。
写真や遺品整理に関する過去記事
古い写真を整理するとき、残す写真を選ぶ基準。箱にまとめて入れてます。
子供のフォトブックを作っているけど、どの写真も大切に思えて選べない。そんなときはこう考えよう。
遺品を片付ける7つのステップ~いつまでも捨てることができない人へ。
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写真整理に関する読者の質問に回答しました。
写真の整理は大変なので、くれぐれも一気にやらないように。古い写真を見るのは自分の過去や価値観を振り返る機会にもなるので、少しずつ楽しみながら行ってください。