寄付するものとガレージセールで売るもの

ミニマルな日常

最終更新日: 2024.12.16

断捨離が教えてくれる、ものとの新しい関係

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断捨離中の読者のお便りを紹介します。

ずいぶん前にいただいたものですが、長いのでずっと紹介できずにいました。

ものが好きだからこそ増えすぎてしまった持ち物と向き合い、そこからどのように断捨離を進めてきたのか。読者、NATSUさんの体験は、単にものを減らす話にとどまらず、「持つこと」と「手放すこと」の本質に迫る内容だと思います。

私自身も共感する部分が多く、この記事を通じて皆さんに共有したいと思いました。

今回、2回にわけてシェアしますね。



ものが大好きな私の断捨離

件名:断捨離中です

筆子さん、はじめまして。

香港在住16年の者です。

ここしばらくずっと筆子さんのブログを拝見させていただいています。

これまでは、ミニマリスト関連のブログは興味なかったのですが、筆子さんの場合はすべての行動に対して客観的に分析をし、原因や結果、効果なども分かりやすくご説明されているので、とても説得力があります。

お話ししたいことがいっぱいあり、メッセージが長くなってしまいそうですが、お付き合いいただければ幸いです。

香港の住宅事情は日本以上に厳しいものがあり、我が家は一応2DKという言い方をするのでしょうが、実情はマスターベッドルームが6畳あるかどうか、もう一つのベッドルームは日本でいう納戸程度の3畳くらい、リビング兼ダイニングもせいぜい10畳ほどと言ったところでしょうか。

お風呂はもちろんユニットバスでとっても狭いです。

増えすぎたものを収納で解決しようとした

それでもこの新築だったマンションに、おんぼろアパートから引っ越してきたときは、嬉しくて嬉しくてたまらなかったものです。

まだものも少なくて、思う存分自分の好きなインテリアにすることができる、と幸せな気分でした。

しかしもっともっと狭かったおんぼろアパートから引っ越して来た時に、実はものがすでに少なくなかったことに気付くべきでした。

筆子さんのブログを見ている今なら、こんなもの、お金かけて持ってこなかった…というガラクタが大半を占めていたように思います。

雑貨類が好きで買ったものをせっせと自分のブログにアップしたり、また服もそれなりに好きなので、「いいや、買っちゃえ」とどんどん増えてきました。

今のマンションには入居から12年ですが、一時期はものが増えすぎて、でもその解決方法に新たに収納を追加するといういちばんダメな方法を選択してしまい、

掃除するのもおっくう、散らかっているのを見ているだけで、なんとも憂鬱な気分になるというありがちな悪い見本になってしまっていました。





片付ける気になった理由

転機が訪れたのは実家の父が入院した時でしょうか。

どうして片付けようと思ったのかはっきりとは覚えていないのですが、おそらく退院した時にものが散らかっていないように掃除しておこうという考えだったのではないかと。

そのとき父はすでに余命3か月を宣告されていました。

お見舞いのあと、夜中に突如母と台所の断捨離を始めました。

筆子さんの「実録!親の家を片付ける」もそんなわけで楽しく拝見させていただきました。

「実録・親の家を片付ける」のまとめ

実家は自分の住んでいる家と違ってワンクッションあるせいか、片付けやすいですね。

「なんでこんなもん置いてるの」ということを客観的に見ることができて、とてつもなくはかどりました。

母は、自分はそんなに捨てられない性質なわりにはお片付けブログなどを見るのが趣味で、私の片付けぶり(母に一個一個、これいる? いらない? と聞いていく方法)を見て、
「すごい!プロのお片付け屋さんみたい!」と喜んでいました。

「これは要るの!」と言った後も 「なんで? 何に使うの? 本当に使うの?」というと、要るというのは思い込みだったことに気付き、捨てる決定をしたことが多々ありました。

この実家の台所断捨離は、昨年1月で、まだ筆子さんのブログや断捨離について知らなかった時だったのですが、不思議な快感を覚えました。

使いやすくなった実家の台所

捨てるのが気持ち良いのではなく、いらないものが収納に入りきらず、結果ものすごーく使いづらくて今にも誰かが怪我をしそうだった台所が、

ものをどかさずにすぐに戸棚を開け閉めできて、食器棚の上に大量の花瓶や大きなお盆が載っている状態をなくすことができたのが、大きな達成感でした。

突如始めた実家のプチ断捨離でしたが、今思えば私も母も何かに集中して気を紛らわせたかったのかもしれません。

その後宣告通り父は亡くなってしまったのですが、この父、まさにもののない子供時代を過ごしたせいからか、ものを増やすのが大好きでした。

そして一つ買って一つ捨てるなんて観念はなかったので、家中が物であふれています。

父が亡くなった後、割と頻繁に日本に帰り実家の片づけを手伝ったのですが、父と性質の似ている私もさすがに、「ものがありすぎるのはヤバい」と気付かされました。

私が捨てたもの

これまで本はどれだけ増やしても良いと思ってましたが、とりあえず父の蔵書だけを読むようにし、どうしても読みたいものがあれば電子図書にしようかと。

あと、いい年(まもなく40)していまだに漫画も好きなのですが、今はどうしても新しく読みたい漫画があれば電子図書で読んでいます。

思い出の品は、捨てる必要なんてないと思ってましたが、単なる思い込みでした。

筆子さんのブログを読んで、目からウロコが落ちる思いで古い手紙を処分しました。

それでも、両親や夫からもらった手紙はやっぱり処分できず、先延ばしにしてしまいましたが…。

服に関しては10着というのは無理ですが、それでも数えてないけど8割がた処分したのではないかと思います。

本当に一気にやってしまえば良いのに、なかなか自分の思い込みというのは手ごわいもので、ずっと着ていなかったワンピース(色違いで2着)も昨夜やっと手放すことに決めました。

試着して全身鏡で見ると、もうしっくり来なかったのです。

この年頃は毎年微妙に体型や顔つきが変わるのか、似合わなくなるのも早いですね。

今着るものだけを、とりあえず今シーズンの服としては残せたと思っています。

勤めに出ているのもあって、「毎日違う服を着なければいけない!」という呪いに私もかかっていました。

最近はあまり気にせず、自分に似合っているように見える、好きな服ばかりを着ていて、とっても気分が良いです。

NATSUさん、はじめまして。お便りありがとうございます。

お父さんが亡くなられたのですね。御冥福をお祈り申し上げます。

買い物が便利で簡単な昨今、ものが好きだと増えてしまいますよね。

NATSUさんがメールに書いているように、ものがありすぎると、いいことはあまりありません。

ものが好きならば、好きだからこそ、厳選すべきだと私は考えています。

数が多いとせっかく買った「大好きなもの」もガラクタになってしまい、暮らしにくさを引き起こすからです。

今回実家やご自身の住まいを片付けたのはとてもよかったと思います。

私も実家にあったものや自分のものをたくさん捨てましたが、どうせ捨てることになるものをあんなに買ってしまったことを猛省しました。

家のスペースにも、ものを管理する自分の時間や意識にもキャパシティがあるので、不用品をたくさん持ってしまうことは、かえって自分を苦しめる行為だと思います。

ものを所有すること

NATSUさんのお便りを読んでいると、「ものを所有することの本質」について考えさせられます。

所有すること自体は悪いことではありませんが、過剰にあるものが私たちの人間らしい生活や心の平穏を奪ってしまう場合、それはもはや「所有している状態」ではなく、ものに「支配されている状態」ではないでしょうか。

ものが多すぎて生活しにくかったり、探しものが増えてストレスになったり。

現代の生活は便利になった反面、必要以上のものを手に入れようとする傾向が強いです。

ものが多いことが、豊かさや便利さだと考えられていますが、実際は、過剰なものがストレスや時間の無駄を生んでいます。

哲学者エピクロスは、「本当の幸福は必要最低限のものを所有し、余計な欲望を手放すことにある」と説きました。

所有物を減らすことは、単に部屋をきれいにすることだけでなく、自分自身の本当の欲求に向き合う機会を与えてくれます。

NATSUさんのお便りから「物が減ることで感じられる豊かさ」を感じました。

実家の台所や、ご自身のクローゼットが使いやすくなった達成感は、物を減らした先に生まれる喜びにほかなりません。

NATSUさん、これからも自分が本当に好きなものや大切なものを厳選して、より豊かな暮らしを楽しんでください。。

時間ができる持たない暮らし

エッセオンラインに新しい記事がアップされました。

シンプルに暮らしたら、どんなふうに時間ができてか、私の体験をお話しました⇒60代は「ものをもたない」暮らしで時間を増やす。朝の支度は爆速、家事ラクになった | ESSEonline(エッセ オンライン)

ぜひ、お読みください。

******

断捨離中の読者のお便りを紹介しました。

香港に住んでいるべつの読者からもお便りをいただいたことがありますが、この方は、狭い住環境の中で、ミニマルに暮らす様子を教えてくれました。

床にマットレスを敷いて寝て、起きたら畳んでいるそうです。

人それぞれ暮らし方もいろいろありますね。

あなたも、よければ自分なりのシンプルライフの工夫を教えてください。

NATSUさんのお便りの後半は、また後日、紹介します。





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