悲しんでいる女性

ミニマルな日常

なかなか消えない怒りや恨みとどう付き合うか。

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ものはずいぶん手放せるようになったのに、気持ちはそう簡単に整理できない、というお便りをいただきました。この記事では、そうした気持ちとの向き合い方を見ていきましょう。

まず、お便りを紹介しますね。昨年の暮れに、ひろこ@東京さんからいただきました。

ずっと残っている気持ち

件名:捨てきれない責め心

筆子さん

こんにちは、ひろこ@東京です。

暮れも押し迫ってきましたね。

物の捨て活は地道にできていますが、捨て切れない気持ちがひとつあるので、年内に捨て去りたいと思い、メールさせていただきます。

私の主人は3年前の12月に亡くなりました。

その際に友人3人(全員が私より10歳くらい年上の女性)から届いたアレンジメントフラワーのことを、12月になる度に思い出してしまいます。

そのアレンジメントは、紅、ピンク、白のお花でできており、要は紅白のお花だったのです。

花屋さんから届いた箱を開けた瞬間の驚きは今でも忘れられません。

喪中の私に紅白のお花???

私は数分間、固まってしまいました。

花屋さんが祝儀と不祝儀の花を入れ違えたのかしらと思いましたが、

「お悔やみ申し上げます」というカードが添えられていたので、

花屋さんの手違いではないと思い直しました。

悲しみの真っ最中の人に紅白の花を贈る神経とは???

お花を発注した女性は、私を元気づけようと思って、私が好きなピンク色の花を選んだそうです。

他の知り合いからは、私を和ませてくれる、とてもセンスの良いお花が届き、感謝しましたが、この紅白の花は私を深く傷つけました。

それ以来、ピンクの花は大嫌いになりました。

紅白のアレンジメントを贈ってくださった女性達とは、月に一度、趣味の会で顔を合わせます。

普段は忘れているのですが、12月になると、あの紅白のアレンジメントが届いた時のことが浮かんでしまい、とても苦しくなります。

もう3年経ったので、いい加減にこの責め心を捨てたいと思い、メールさせていただきました。

負の気持ちを送ってしまい、ごめんなさい。

来年も筆子ジャーナルを楽しみにしています。

ひろこさん、こんにちは。お便りありがとうございます。

悲しい時に、すごく晴れやかなお花が届いて、強い違和感を覚えたんですね。

ひろこさんの事情とは違いますが、私にも似た体験があります。

出産してすぐ家に戻った時、友達が食べ物を持ってきてくれたことがありました。

事前に「食事になるものを持ってきてくれるとうれしい」と伝えていたのですが、実際に届いたのは甘いお菓子でした。

おなかがすいていたこともあり、正直、がっかりしたのを覚えています。

こんなふうに、こちらのほうに、「こういうときは、こういうものが来るはず」という期待があると、それと違うものが届いたとき、落胆したり、怒りが湧いてきたりします。

ひろこさんのケースでは、その出来事がとてもつらい時期と重なっていたため、なおさら記憶に強く残っているのだと思います。

こうした気持ちをどうするかですが、私は無理に手放そうとしない方がいいと思います。その理由を説明しますね。

1. 責める気持ちが残るのはよくあること

気持ちは、もののように簡単には捨てられないので、無理に手放そうとする必要はありません。

ものの捨て活が進んでいると、「気持ちも同じように整理できるはずだ」と思ってしまうことがあります。ものは処分できるのに、なぜこの気持ちはいつまでも残っているのだろう、と戸惑ってしまうのです。

でも、ものと気持ちはずいぶん違います。

ものは「今使っているか」「これから必要か」といった基準で判断できます。一方、気持ちは記憶や人との関係、そのとき受けた衝撃と結びついていて、捨てるための明確な基準はありません。

つらい出来事や納得できない経験は、どれだけ時間が経っても、ふとしたきっかけでよみがえります。だから、「もう何年も経っているのに」「いい加減、手放さないといけない」と感じる必要はないのです。

2. 無理に手放さなくていい

責める気持ちがわいてきたら、「あ、またこんな感情になっているな」と気づいて、そのまま受け止めてください。

このとき、自分をジャッジしないことが大切です。

「また考えてしまった」「いい加減、前に進まないと」と思うかもしれませんが、その気持ちをどうにかしようとする必要はありません。

感情を否定したり、評価したり、追い払おうとせず、ただ「そこにあるもの」として認めます。「こんな気持ちになってはいけない」と考えたり、原因を探したり、反省したりする必要もありません。

ただ、「今こう感じているんだな」と気づくところでとどめます。

今感じていることに気づくと、その感情を少し外側から見ることができるので、気持ちが次第に落ち着いていきます。

3. 手放そうとするから、よけいにストレスがたまる

特定の感情を無理に捨てようとすると、かえってそのことを考え続けてしまい、ストレスが増えます。

「忘れよう」「もう考えないようにしよう」と意識すると、かえってそのことが頭から離れなくなることがあります。

捨てようと意識するたびに、その出来事を何度も思い出しているからです。

思い出す回数が増えれば、そのたびに感情が呼び起こされます。

すると、記憶はますます強く残ってしまいます。

つまり、忘れようとするとかえって、忘れられなくなります。

つらいのは、そういう感情があるせいというより、それを早く消そう、手放そうとしているからだと思います。

だから、2番に書いたように、無理に消そうとせず、ただ気づいて受け止めるほうがいいのです。

4. 感情を紙に書き出す

無理に手放そうとしなくていい、とお話ししましたが、もし頭の中でぐるぐる回って苦しいときは、その気持ちを外に出してください。

おすすめは、モーニングページのように、今感じていることをそのまま紙に書くことです。

「あんな花を贈るなんて信じられない」「どうして私の気持ちをわかってくれなかったのか」と、心にあるドロドロしたものを全部吐き出します。

ひろこさんも、こうしてメールに今の気持ちを書いて送ったら、少しだけ胸が軽くなったのではないでしょうか。

感情は、頭の中にあるうちは正体のわからない「モヤモヤした塊」ですが、文字にして「見える化」すると、情報に変わります。

その文字を眺めているうちに、自分と感情の間に距離ができます。

5. 相手への期待を外してみる

「相手はこういう行動をすべきだ」という期待や自分のルールがあると、そうならないときに怒りや落胆が生まれます。

「喪中には地味な花を贈るのが常識だ」「親しい友人なら、私の悲しみを察してくれるはずだ」という期待です。

でも、相手には相手のルールや意図があります。

ひろこさんの友人は「好きな色で元気づけたい」という善意からそういうお花を贈ったと思います。それがひろこさんを傷つけたという事実は変わりません。でも、そこに悪意はなかったことを思い出してください。

「相手は私を傷つけたかったのではなく、単に私の状況や気持ちを想像する力が足りなかっただけなのだ」と考えてみましょう。

無神経な行動を許す必要はありませんが、「あぁ、あの人たちはそういう人たちなんだな」とドライに割り切れれば、責める気持ちも和らぎます。

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*****

12月になると思い出してしまうのは、それだけひろこさんがご主人を大切に想い、その人の死を深く悲しんでいたからですよね。

ピンクの花を見るのが嫌なら、避ければいいです。

浮かんできた感情をただ「ああ、また来てるな」と眺めているうちに、時間が経って怒りも収まっていきます。

整理できない気持ちがあっても大丈夫です。そのままゆっくり歩んでいきましょう。

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