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新年になって新しい道具やアプリを使ってみたいと思っている人も多いかもしれません。そんな方に、新しいツールに手を出す前に一度立ち止まってほしい理由をお伝えします。
正月に会った親戚や友人が最新のガジェットを持っていたり、「このAIで仕事が劇的にラクになったよ」と話しているのを聞いたりすると自分も欲しくなりますよね。
ボーナスやお年玉が出てお金もあるし、新しいキッチン雑貨を買ったり、話題のAIサービスをサブスクしたくなるでしょう。
でも、やみくもに新しいツールを追いかけると、逆に生活が複雑になってしまう可能性があります。
しかも、そのツール、実はよく考えると必要でも欲しいわけでもありません。
なぜ新しいものを追いかけたくなるのか
人は新しいツールに心がなびきますが、「必要だから」というより以下のような心理のせいで欲しくなります。
新しいものへの幻想
私たちは、今の生活に不便や不満があるとき、道具を変えれば、自分の能力や生活が一気にアップデートされるという幻想を持ちます。
脳は、努力することより即時の成功を好むので、ツールはつらい努力を省略してくれる魔法のように見えるんです。
私は幼いとき『奥さまは魔女』というアメリカのドラマをよく見ていましたが、主人公のサマンサが魔法でささっと家事や料理をしてしまうシーンが大好きでした。
最近で言えば、生成AIはとても新しいツールで、未知の部分が多く、これからもどんどん進化が期待されます。
新しいからこそ、「これを使えば、世界が変わる!」といった幻想を生みやすいと思います。
情報過多
現代は必要以上に情報が氾濫しています。
SNSやYouTube、雑誌などで、「これからはAIを使う人と使わない人では大きな差が出る」といった文字を見ますよね。
特にSNSは、危機感をあおるツールなので、「これを使わないあなたは、人生終わっています」と不安を拡散します。
見ている人は、「いかん、これを使わないと取り残される」「最新ツールを使わないと損をする」と思ってしまうのです。
SNS依存に注意。FOMO(フォーモー:取り残される不安)を捨てる方法
脳は新しいものが好き
私たちの脳は新しいものが好きで、いつも変化のきっかけを探しています。
新しい道具について調べたり、実際に購入するとき、脳内でドーパミンが出て大きな快感があります。
次々とものが欲しくなる背景にはドーパミンの分泌があるのです。
買い物で気分があがるのはドーパミンのせい。この仕組みを知って無駄遣いを防ぐ。
2. ツールを追いかけると失うもの
新しいツールを手に入れれば、バラ色の未来が待っている気がしますが、実際には以下のような負の側面がセットでついてきます。
1.) 使い方を学ぶのに時間を奪われる
新しいアプリや家電を導入したとき、初期設定をして基本的な使い方を学ぶ必要があります。
最近の家電は機能が増えて、ぱっと見ただけではどこを押していいのかわからなかったりします。
AIやアプリであれば、アカウントを作ってログイン、その後操作を学びます。
特に、リサーチ段階で迷うと、実際に使い始めて、操作に慣れるまで数時間、もしくは数日かかってしまうかもしれません。
2.) 管理の手間が増え、意識や時間を奪われる
ものを持つと管理する手間が必ず発生します。
キッチン雑貨のようなシンプルなものでも、取り出しやすい場所に置いておく、ときどき洗うといったメンテナンスが必要です。
もう少し大きくて複雑な家電なら、置き場所を確保し、電池を入れ替えたり、たまに掃除をしたりすることになるでしょう。
デジタルツールなら、サブスクの契約管理、アップデートの対応があります。
このアップデートがくせものです。私が使っているスマホはiPhoneですが、OSのアップデートがあるたびに、微妙に使い勝手が変わります。
Apple社は、少しでもよくすることを目指しているらしく、細かいところが変わるんです。
OSがアップデートされると、YouTuberが「ここがこんなふうに便利になった」とか、「こういう使い方をすべき」と興奮して一斉に動画を配信します。
機能にこだわっていると、こういう動画を見ることにも時間を取られます。
3.) 決断疲れを引き起こす
道具やサービスをたくさん導入すると選択肢が増えます。
するとどれを使おうか迷います。
今、いろいろなAIがありますが、それぞれ得意分野が違います。アプリを例にあげれば、ノートアプリがたくさんあって、やはりそれぞれ強みがあります。
「情報を一本化したい」と思うと、最高のノートアプリ探しの沼にはまります。
選択や決断をするとき、脳のリソースをたくさん使います。道具が増えると、本当に大事なことに使うためのエネルギーが枯渇します。
気持ちに余裕がないときは、決断疲れを防いでみよう。やり方を7つ紹介します。
4.) 道具を使いこなすことが目的になる
新しいものやサービスを購入すると、多くの人は「せっかく買ったのだから活用しなければ」「全機能を使いこなさないともったいない」と考えるものです。
すると、道具を使いこなすことが目的になります。
本来は仕事を楽にするためにAIを導入したのに、手に入れたAIの機能を活用するために、やらせる作業を無理やり探したりします。
道具は人の生活をラクにするためにありますが、消費者がツールの機能に合わせて自分のライフスタイルを変えようとする奇妙なことが起きてしまうのです。
5.) ガラクタが増える
新しいものに次々と飛びつくと、使わないものがガラクタになります。
私たちの時間とエネルギーには限りがあります。
道具をたくさんそろえても、一度に使いこなせるのはせいぜい1つか2つではないでしょうか?
使い切れなかったものは、棚の奥やスマホの画面の隅にたまっていきます。
デジタルならストレージを圧迫するデジタル・クラッターになり、雑貨なら引き出しの中でカオスを作る、物理的なガラクタになります。クローゼットの中が服でいっぱいになるのも、機能や用途が同じなせいで、だぶついている服がたくさんあるからです。
ガラクタが残るだけでなく、「使いこなせなかった」「お金がもったいなかった」という挫折感も生じます。
3. ツールに振り回されないために
私はアーリーアダプター(early adopter 新しいものをいち早く試す人)ではありませんが、ラガード(laggard できるだけ変化を避ける人)でもありません。
たまにYouTubeでデジタルツールに関する動画を見たりします。
ただ、ものや道具を増やしすぎないように、以下のスタンスを取っています。
手元にあるものとじっくり付き合う
新しいものを探す前に、手元にあるツールを使い倒すことを心がけています。
すでに持っているものでも機能的には十分なことが多いです。
新しいアプリを入れなくても、標準のメモ帳だけで十分だったり、専用のキッチン雑貨がなくても、いつもの包丁を使えば事足りたりします。
今あるものとじっくり付き合うと、新しいメンバーを入れなくても大丈夫になります。
不便さがもたらす豊かさを知る
最新ツールは便利ですが、利便性は両刃の剣です。ラクになればなるほど、人はそのツールに依存します。
私もAIを使っていて、記事の構成案や内容は相談しますが、記事そのものは自分で書きます。
すべてAIやツールに丸投げすると、せっかく自分が持っている想像力や思考力が失われてしまうでしょう。
旧式の道具や、少し不便なシステムは、創意工夫をする余地があります。
手間をかけることで満足感や達成感が生まれます。
「次はこうしてみよう」と頭を使うのも楽しいものです。
道具は最新である必要はなく、自分にとってなじみのあるものがベストです。
一気にたくさん抱えすぎない
新しいものを試したい時は、「一度にひとつずつ」を心がけています。
習慣づけもそうですが、複数のことを一気にやろうとすると、どうしてもうまくいきません。
脳は一度に1つのことしかできないからです。
いくらたくさん持っていても、その瞬間に使ったり消費できたりするのはひとつだけです。
日常で使うものは「定番」を作り、スケジュールもルーティン化して、複雑にしないのが私のやり方です。
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道具やツールを追いかけすぎないことをおすすめしました。
私も、「これを手に入れないと損をする」「もっといいものがあるはず」と思うことはあります。これは、よりよい生活を求める人間の常でしょう。
ですが、そんなとき、「いやいや、もうちゃんと使えるものがある」と考え直すようにしています。
若い頃、私は服をよく買っていました。買ったものを母に見せると、「でも、あんた、服たくさんあるじゃない」と言われたものです。
そうなんです。もう十分あるんです。
















































