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All about でシンプルライフのガイドをしている金子由紀子さんの「引き算する暮らし」という本を読みました。2014年の1月に出たPHP文庫をベースにしたキンドル版です。
500円でした。
この本を買った理由はこの値段です。
実はこれまで金子由紀子さんの本を読んだことがなく、1冊ぐらい読んでみようかな、とアマゾンを見ていて発見しました。
節約系貧乏ミニマリストの私は、電子書籍が1000円を越えていると、「高い」と思ってしまう方です。
さらにわりと新しめの本である、というのも買った理由の1つです。
金子由紀子さんとは?
金子由紀子さんは、1965年生まれ(昭和40年、本にそう書いてありました)。もともとはビジネス系の出版社に勤めていた編集者で、その後フリーになり、ライターとして幅広い分野で活躍。
一人暮らしをしていたときに物を持ちすぎない暮らしを追求。二児の母となってからも、家庭人としてシンプルライフを実践。
2006年に「持たない暮らし」という本を出し、エッセイストとして有名になりました。
All aboutは有名な生活総合情報サイトです。その道の専門家が「ガイド」となり、さまざまな情報を発信しています。
ちなみに、all about は 「~のすべて」という意味です。All aboutの金子さんのページには、「シンプルライフに関するすべてのことがのっている」というわけです。
金子さんの記事は、おもに30代~40代の子持ち主婦を対象にしている印象です。
そのせいかどうか、金子さんの提案する暮らしは、わりとふつうです。ミニマリストのように、所持品の8割から9割を捨てるような極端なことはしません。
シンプルライフのページの写真を見ても、けっこう物がたくさんあります。
⇒[シンプルライフ] All About|シンプルライフ・ロハス・スローライフを紹介
金子さんの提案は、今の日本でふつうに暮らしながら、できるだけ生活をシンプルにして行きたい、という女性(主婦)に向いていると思います。
金子由紀子を、やましたひでこ、近藤麻理恵と比較してみると
片付け本に書いてあることはどれも基本は同じです。
1. 今の人は物を持ちすぎている
2. 物が多すぎて、その管理に、時間、空間、気力といった大切な資源(リソース)を奪われて、かえってしんどい暮らしをしている。
3. より快適に、幸せになるためには、物を大幅に減らすべきだ。
4. 物を大幅に減らすには捨てるしかない。
こんな感じです。
これに、バリエーションとして、その人がなぜ捨てるに至ったのか、より効率的に捨てるためにはどんなことをすればいいのか。
さらに、いったん捨てたあとリバウンドしないためにはどうしたらいいのか、といったことが書かれている場合もあります。
最近のミニマリストの本は、たいてい「なぜこんなにいっぱい捨てたのか」その理由が書いてありますね。
私はあまり断捨離や片付け本を読んでいるほうではなく、やましたひでこさんも、近藤麻理恵さんも1冊しか読んでいません。
わりと同じ本を何度もしつこく読むタイプなのと、片付けに関しては、カレン・キングストンの本1冊と、フライレディのサイトで間に合ってしまった、というところがあるからです。
やましたひでこさんに至っては、あの大ベストセラーの「断捨離」を読んでいません。
そんな私が、3人の印象を書くとこんな違いがあります。
やましたひでこさん
やましたさんは、電子書籍を1冊読みました。
こちらにレビューあり⇒やましたひでこの『基本の断捨離21のルール』をミニマリストの視点で読んだ感想
本人のホームページや、ネット上に掲載されているエッセイなどを読むと、片付けを単なるテクニックとして紹介するのではなく、精神的な側面からも考察している点に特徴があります。
そういう面では「ガラクタ捨てれば自分が見える」と似ているのですが、カレン・キングストンはもっとライトでユーモアがあります。
やましたさんは、ちょっと理屈っぽい印象です。
やましたさんの書いた記事について書いた記事はこちら⇒ミニマリズムに関するよくある誤解を解く。ミニマリストはモノを悪者にしている?
近藤麻理恵さん
こんまりの、「人生がときめく片付けの魔法」は、英語版をオーディオブックで、日本語版をキンドル版で読んでいます。
こちらにレビューあり⇒近藤麻理恵の「人生がときめく片づけの魔法」の英語版の感想~ベストセラーの秘密は東洋の神秘にある?
このブログにこんまり先生のことがよく出てくることからもわかるように、私は、わりとコンマリメソッドが好きです。
こんまりは、「片付けをお祭り事としてとらえて、一気に完璧に捨てましょう」と言っています。
「一気に、魔法のように変わる、あとはリバウンドしない」というところが世間の人に受けているのだと思います。「片付ける」という、めんどくさくて、つらい作業に、夢を与えているのですから。
私は「そんな魔法のようなこと、起こるわけがない」と思っているのですが、全部出して捨てるコンマリメソッドは、効果があると思います。
金子由紀子さん
金子さんのシンプライフのページは、2007年~2010年ぐらいに、よく読んでいました。
金子さんの場合、ちょっとした家事のやり方が参考になりました。
以前も記事にしていますが、「シンプルライフ的最低限家事のススメ」とか
⇒断捨離に非協力的な夫にはこう対処した~ミニマリストへの道(33)
「部屋がキレイになる7つの習慣」など。
⇒ミニマリストの不用品を「もらわない」ための努力と工夫
ただ、金子さんのやり方はかなりゆるやかなので、そのうち、どの記事を読んでも、「う~ん、それはもう知ってるんだよね」という感じになっていきました。
特に目新しいことはないのです。そこが今1つ物足りないのですが、やましたさんやこんまりのように、濃くないですし、押し付けがましくありません。
ふつうに暮らしながら、物を減らすシステムをコツコツ作っていきたい人には、金子さんのアドバイスは、参考になると思います。
「引き算する暮らし」の内容
構成はこんなふうになっています
第1章:「引き算する暮らし」を目指そう
第2章:引き算する暮らし・検証編
第3章:引き算する暮らし・捨てる編
第4章:引き算する暮らし・リバウンド防止編
第5章:「引き算する暮らし」が、私たちを変える
第1章では、これからは物を減らしていく引き算の暮らしをするべきだと書かれています。
これまで物を持つことのメリットばかりが強調され、実際、人々はより多くの物を買うことで、夢を叶えてきたけれど、それは物のなかった時代のこと。
物があふれすぎている現代は、逆にみんな生活しにくくなっています。
収納と称して、使っていないものを、一生懸命工夫して、狭い空間に詰め込み、住環境が大幅に悪化。
捨てても捨ててもちっとも片付きません。
それなのに、多くの人々はまだまだ物を買おうとしています。物を持つことで、かえって時間とゆとりを失っているのに。
金子さんは「物をもつこと」のデメリットにもっと意識を向けましょう、と書いています。
このあたり、とても強く共感しました。
買い物をするとき、失うのはお金だけではないのです。
金子さんは「持たない暮らし」を極端なミニマリズムに結びつけてしまうのは、一種宗教的で、普通の人の暮らしにはなじまないとしています。
ほぼすべての物を持つことを拒否しているミニマリストは、ある意味、どんどん無頓着に物を増やしている人と、「物と対峙することを避けている点」で、同じなのではないか、と言うのです。
全体的に一生活人として、「引き算する暮らし」を実現するには、どうしたらいいのか、実践可能レベルのことが書かれています。
子供や家族がいて、なかなか片付かない人も、この本を読んで地道にがんばれば、きっと暮らしがシンプルになるはずです。実際、金子さんもシンプルな暮らしをしていますから。
派手さはないけれど、地に足のついた片づけ本です。