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50代筆子は、日本に里帰りするたびに、実家にある物を断捨離しています。今回は、長年の捨て経験から体得した、実家の片付けのコツを10個紹介します。この記事では両親がまだ健在の間にする、生前整理を想定しています。
母の物を捨ててみてわかったことは、親の家を片付けるのは、自分の物を片付けるより数倍難しいということ。戦略も何もなしに突入すると失敗します。
実家の片付けが困難を極める4つの理由
1.とにかく物が多すぎる
何10年も引越しせずに、同じ家に住んでいると、物はどんどんたまってしまいます。私の実家も、簡易型物置、いくつかある押入れ、タンス、クローゼット、天袋とすべてに物がつめ込まれていました。
ふだんシンプルに暮らそうと思っていても物はたまってしまいます。何も意識しないと、古道具屋さんのようになってしまうのも無理はありません。
仕事でも宿題でも何でもためると後が大変ですが、断捨離も同じです。
2.思い出の品がいっぱいある
自分の家にはあまりなくて、実家にやたらたくさんあるのが「思い出の品」です。自分が子供のとき作った作品や、着ていた服、学校の教科書やノート、卒業アルバムなどが残っている場合が多いでしょう。
長く生きれば生きるほど、こういう物は増えていきます。しかも、高齢の人にとって、こうした物は楽しかった昔を思い出させてくれる「大切な物」です。
「思い出の品」には感情がからみついているので、ただのガラクタより、捨てる難易度があがります。
3.実家は人の家である
実家から巣立ったり、結婚して家を出れば、そこはもう自分の家ではありません。子供は、両親が捨てるのを手伝うことはできても、主導権は握れません。
そこは人の家なのですから。
あくまで両親に主体的に捨ててもらうように持って行かないと親子喧嘩が勃発して、お互い心身ともに疲れてしまいます。
4.両親と自分の間柄が近すぎる
親と子供はものすごく「近い間柄」です。家族ですから。そのため、お互いに客観的に意見をやり取りすることが難しくなります。
「客観的になれない」ということは、感情的になるということであり、ちょっとしたことで、いさかいが起きます。
難しさのポイントがわかったところで、次に実家の片付けのコツです。
親の家を片付けるときの10のポイント
1.まず親の承諾を得る
親に、「これから一緒に少し物を捨てよう、なぜならば…」、と切り出し、話し合いの末、親の承諾を得てから、片付け始めてください。
すでに、両親が生活をダウンサイジングすることを決めていたり、これから介護ホームを生活の拠点にする、という事情があれば、物を捨てる理由があるので、説得しやすいでしょう。
ですが、まだピンピンしている場合、どうして物を捨てなければいけないのか、その理由に納得していなければ、親は物を捨てようとしません。
ちまたでは、生前整理が流行っていることや、断捨離しないと危険である、物が少ないといろいろ楽であるなど、親が納得できる断捨離の理由や情報を提供してください。
そもそも断捨離やシンプルライフのコンセプトを知らない場合もあるでしょう。「最近、みんな物を捨ててるんだけど、なぜか知ってる?」といった、ゆるやかなアプローチをとってください。
高齢者はすでに「自分の生き方」を持っているので、新しい考え方になじむのに時間がかかるかもしれません。様子を見ながら、「物を捨てると、より暮らしが豊かになる」という考えに少しずつなじんでもらいましょう。
絶対、「この家、物が多すぎだよ、捨てて!」と言ってはだめです(私はこれで何度も失敗しています)。
生前整理したほうがいい理由⇒生前整理のススメ~すべてを遺品整理に回すより、少しでも生前整理をしておくべき理由とは?
たぶんここが1番難しいと思います。この時点で、「物がいっぱいあったほうが幸せだ」と親に言われてしまったらどうするか?
私なら粘り強く交渉します。なぜなら物が少ないほうが暮らしやすいと信じているからです。
2.自分自身が断捨離をする
なぜ物を捨てるべきか、捨てるとどんないいことがあるのか、両親にわかってもらうために、まずあなたがお手本を示してください。
もし、実家にまだ自分の物(昔の服や学用品など)を置いてあるなら、ただちに捨ててください。
私も自分の物から捨てました⇒実録:親の家を片付ける(1)~まずは自分のものをどんどん捨てる
この時、寄付したり、捨てる最後の最後まで自分でやってください。親に捨てる物を見せてはいけません。中をチェックされて、戻される恐れがあります。
3.ゆっくりペースで進める
自分の家を片付けるときは、15分で27個捨てにチャレンジするのはいい方法です⇒「15分で27個捨てましょブギ」を続けて気づいた「捨てる」最大のコツとは?~ミニマリストへの道(30)
しかし、これが高齢者に向くか、と言うと「違う」と言わざるを得ません。
年をとると、関節も筋肉ももう若い時のように動かせないし、動くと身体が痛い人もいるしょう。目も衰えて、部屋に落ちてるゴミもよく見えません。しゃきしゃき断捨離するなんて無理なんですね。
そこで、のんびり捨てるアプローチのほうがいいと思います。短気は損気です。
☆私が実家を片付けた体験のまとめはこちら⇒「実録・親の家を片付ける」のまとめ
4.命令せず、提案する
ゴミ袋をつかんで、家の中にあるガラクタをどんどん捨てたい衝動にかられるでしょうが、これはまずいやり方です。
なぜなら、その家は両親の家だからです。
両親が自分から捨てるように仕向けてください。
「私もこのあいだ、自分の部屋に積んであった雑誌を片付けたら、掃除がしやすくなって楽になったよ。お母さんも、この新聞、もう読まないなら捨てたらどうかなあ?」というように、メリットをあげ、提案する形がうまく行くと思います。
高飛車に指示を飛ばすと、強い抵抗が返ってくるだけです。
5.小さな場所から捨てる
手始めに小さな場所をちょっと片付けてもらいましょう。
お母さんが服を持ちすぎているなら、クローゼットから、サイドボードの上に人形を飾りすぎているなら、その人形から、など。
小さな場所を片付けて、すっきり感と達成感を味わってもらいつつ、断捨離になじんでもらってください。
6.慣れたら家具を捨てる
細かいものをちまちま捨てるのに慣れたら、次は家具を捨ててみましょう。
といっても中身がびっしり入っているものではなく、ろくに中身が入っていないのに、なんとなく置いてあるワゴン、こわれているのに置きっぱなしになっている茶箪笥、誰も弾いていないピアノなど、存在価値のない家具がないか、チェックしてください。
特にこれから生活をダウンサイジングするために引っ越すとか、介護ホームに入るいう状況なら、いらない家具、持って行かない家具から捨てると断捨離が進みます。
7.台所のものを捨てる
多少の個人差があるとはいえ、たいていの人は台所に物を詰め込んでいます。キッチンは調理家電、調理用具、調理雑貨、食器、食品と増えてしまいがちなものの倉庫になりかねません。
物置にしまってある物を捨てるより、両親が毎日必ず使う台所からすっきりさせると、生活に直結している分、断捨離効果を感じてもらいやすいです。
1番最初に捨てるべきなのは、古い食品です。私の経験では、高齢の人は捨てるのが苦手なので、賞味期限切れの食品を大事にしまっています。
私が母の家を片付けたときも、いつからあったのかわからないナッツや、カラオケ喫茶でもらったらしい古いお菓子、人の旅行のおみやげでもらった春雨、サンプルでもらったティーバッグやお茶など「なぜこんなもの取っておくの?」と思うような古い食べ物がぞろぞろと出てきました。
こんな古いもの、食べてもおいしくないですし、病気になる可能性もありますので、古い食品は真っ先に捨ててください。
冷蔵庫や冷凍庫のチェックも忘れずに。
8.片付けたい場所のリストを作る
場当たり的に捨ててもいいのですが、作業を急いでいるのなら、片付けたい場所や物をリストアップするのが有効です。
両親と一緒に家の中を巡回し、収納場所をチェックして中に入っているものなど聞きながら、ノートに書いてください。
いきなり捨てるのに両親が抵抗を示す場合、一緒に、どこに何が入っているのか見るだけでも、断捨離する心構えを持ってもらえるよい機会になります。
9.1人でやらず兄弟姉妹に協力をあおぐ
実家の片付けを自分1人でかかえこむことはありません。兄弟や姉妹がいるなら、手伝ってもらってください。
このあたり、各家庭の事情で適用できないこともあると思います。ですが、「何もかも私がやらなければいけない」という考え方は捨てるべきです。
10.第三者に介入を頼むのもあり
今、片付けサービスを提供している業者はたくさんあります。また整理整頓アドバイザーみたいな人もいます。そういう「片付けのプロ」に来てもらって、片付けてもらうのもありです。
自分と両親で片付けるとケンカが絶えない、という場合は、料金を支払ったとしても、人に頼んでしまったほうが楽な場合があるでしょう。
私はまだプロに頼んだことはありません。ですが、生前整理特集のある雑誌などを母に読んでもらったりしました。こうすると、「そうか、他の人も捨ててるんだ」とわかってもらえて効果的です。
断捨離が、自分の娘1人だけのクレイジーなアイデアではない、と知っておいてもらうのは大事なことです。
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私はまだ60歳になっていないので、いったいいくつぐらいになったら、肉体的衰えが、片付けを困難にするのかわかりません。阿部絢子さんは、65歳をすぎたら身体のあちこち問題が生じてきた、と本に書いていました。
それならば、自分が50代のうちに、自分の物はもちろんのこと、親の家のものもある程度片付けてしまうのが理想ですね。