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ミニマム思考

最終更新日: 2020.06.12

生前整理のススメ~すべてを遺品整理に回すより、少しでも生前整理をしておくべき理由とは?

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大型連休が始まりました。この連休中、少し断捨離しようと思っている方も多いでしょうね。自分のものを捨てるだけでなく、お父さんやお母さんにも「生前整理」というものがあることを教えてあげるといいと思います。そしてできれば一緒に不用品を断捨離をしてみてはどうでしょうか?



なぜ生前整理をしたほうがいいのか?

その理由は2つあります。

1.生前整理をしないとすべて遺品整理にまわり、遺族がとっても苦労するから
2.自分で生前整理をすることが、よき終活になるから

遺品整理はこんなに大変

筆子は50代半ば。日本の友だちの中には、親の介護をしている人、介護を終えて見送った人も少なからずいます。

親を見送った人たちは、口をそろえて「遺品整理がとっても大変だった」と言います。そうだと思います。今の70代、80代の人はものすごくたくさん物を持っているんじゃないでしょうか?

今のお年寄りが、30代、40代だったときは、ちょうど日本の高度成長期にあたります。資源のない日本はさまざまな物を製造し、それを国民に販売することで、経済を発展させてきました。

需要がないのに、無理やり需要を作り出して、巧妙な広告を打ち、がんがん物を売って来たのです。大量消費社会の只中にいた人たちはそうした世の中の風潮に乗って、どんどん物を買ってしまいました。

さらに、多くのお年寄りは、戦後の物のない時代も体験しています。自分は体験していなくても、親や親戚から話をよく聞いていたはずです。

そのため、「まだ使えるもの、ちゃんとしている物を捨てるなんて、そんなもったいないことできない」「捨てるなんて罰当たりだ」という考え方をする人が多いのです。

よって、物をどんどん買うのに、全然捨てない。何かを買い替えても古い物はとっておきます。万一の時のために。家の中には物がたまる一方。もらった物だってもちろん捨てません。

関連⇒ミニマリストの不用品を「もらわない」ための努力と工夫

娘や息子が何か捨てようとすると、「捨てるなら、私にちょうだい」と言って引き取ることでしょう(筆子の母がそう)。

しかし、そうやって集めた物も、残念なことに、あの世に旅立つときは、すべて現世に置いていかなければなりません。

人は誰しも、皆いつかは死にます。
あとには大量の物が残ります。
遺品整理は必ず発生するのです。

故人にとって宝ものでも、他の人にとって価値があるとは限りません。主(あるじ)をなくした物たちは、多くの場合、ゴミやガラクタになってしまうのです。

というのも、その物に価値を与えていたのは、持ち主だけだったのですから。

こうした背景と高齢化社会のせいで、昨今は遺品回収業や、遺品整理の会社の需要が急激に伸びています。「遺品整理士」という資格までできました。

物を処分することがよりよい終活につながる

「終活」という言葉もブームになり「よく生きることは、よく死ぬことだ」なんて言われています。「よく生きる」ために、筆子はぜひ「断捨離」や、物を捨てて小さく暮らすライフスタイルを取り入れてほしいと思うのです。

多くのお年寄りは、物を捨てるのに積極的ではないようです。

「死んだあとのことなど知っちゃいない」ということでしょうか。いや、たぶん、「自分が物を持ちすぎている」という自覚があまりないのです。
お年寄りのミニマリストって少ないですよね?

あるいは、体調が悪くて、捨てたくても捨てられないという方も多いのかもしれません。

ですから、からだが動くうちに、「少しでも物を減らすべきだ」ということを子供の側から提案してはどうかと思うのです。

いらない物を捨てて、身軽になることは、残された日々を充実感を持って生きる大きな助けになります。

年をとったら、もうそんなにたくさんの物はいりません。
物が少ないと、本当に生きやすくなるのです。

その理由はこちら⇒ミニマリストになることは節約と幸せへの道

とはいえ、断捨離のルールに、「人に無理やり物を捨てさせてはいけない」というのがあります。他人はコントロールできません。そこで少し工夫が必要です。





昨年、私が実家で、母と片付け物をしたときの体験をお話しますね。

母と生前整理をした体験はポジティブなものだった

最初は捨てることに抵抗があった母

筆子の母は82歳になったばかり。亡くなった父の建てた家に47年間住んでいます。そのあいだ、引っ越しは一度もしておらず、とんでもない量の物を持っています。一人暮らしのおばあさんだというのに。

「こんなに物があっても無駄なだけ。捨てなよ」というと、「少しぐらいないと心配だ」、と答えます。全然「少し」じゃないのですが。地震なんかあったら、ひとたまりもなさそうです。

だから、去年の夏、里帰りしたとき「断捨離」という言葉の意味を教えて、一緒に母の物をいくらか捨てました。つまり生前整理をしたわけです。

まだまだ整理しきれてませんが、少しは減りました。

筆子はもっと捨てたかったのですが、「少しぐらいCのために残しておいてやらにゃ」と母は言いました。Cは筆子の義理の妹です。義理妹が片付ける分もとっておかなければならない、という無茶苦茶な理屈です。

誰が人の物を片付けたいと思っているでしょうか?自分のガラクタを断捨離するのだって、相当苦労しているのに。

母にとって大事なものでも(しまいこんでいるから、実際には大事にしていない)、他の人にとってはゴミである可能性が高いのです。残せば残すほど片付けが大変です。今は無料で物を捨てるのがだんだん難しくなってきている時代です。

大きなタンスもいくつかありく、とても義理妹が1人で片付けられるとは思いません。すると、遺品整理業者に頼むことになるのです。一軒家ですから、収納場所が多く、持っている量も半端ではありません。軽く30万ぐらいはかかるかもしれません。

母の母は、母が子供のころに亡くなっているし、母の父も、生前一人暮らしではなく、母の兄達が、後始末をしました。母は自分でほかの人の遺品整理をしたことがないので、その大変さがわかっていないのです。

筆子の父は、筆子が14歳のときに亡くなったのですが、たいして物を持っておらず、衣類やカバンなど身の回りのものがちょっとあったぐらい。しかも母は父の残した家に住み続けたので、このときも片付けで苦労はしませんでした。

そんな母に物を捨てさせるのは簡単ではありません。
最初はすごく抵抗していました。

まずは自分のものをせっせと断捨離

私はまず自分のものをせっせと捨てていました。そして時々、「古い物を捨てると、新しい、もっといいものが入ってくるよ。だから捨ててるの」とか「これ全然使ってないから、誰か必要としている人にあげたほうがいいね。そのほうが物も活かすことができるし」と母に話しました。

特に、「捨てるともっといいものが入ってくる」というのは、まるで念仏を唱えるかのように、毎日毎日母に言っていました。これはあながち嘘ではないですしね。

そうしたら、母も影響されて、だんだんその気になり、いろいろ押入れやたんすから出してきました。

筆子にとっては懐かしいおもちゃや、洋服がいっぱい。そういうものが出てくるたびに、2人で思い出話に花を咲かせました。

また、母が新婚時代に買ったものが出てきたときは、手に入れたいきさつを聞くことができ、私の知らない母の一面を知り、とても興味深かかったです。

実は、断捨離するときは、いちいち思い出や感慨にふけるのは厳禁で、古いものが出てきても、ドライにバサバサ捨てていったほうがいいのです。

しかし、母の物を捨てるときは、無理なことはせず、一緒に思い出を楽しみながらゆっくり捨てていきました。

そうすることで、親子の対話ができたし、絆が深まったような気がします。

遺品整理の話は慎重に

母が「捨てること」に抵抗していたとき、「捨てないと、あとで遺品整理にすごくお金がかかること」を言ってみました。

すると、「あんたは私に早く死んでほしいんか」と怒っていました。誰もそんなこと言っていないのに。

それどころか、できるだけ元気で生活を楽しみながら長生きしてほしいと願っています。そのように生きるためにも、無駄な物は捨てるべきなのです。

しかし、お年寄りに遺品整理の話をこちらから持ち出すのは慎重にしたほうがいいでしょうね。本人は、「もうすぐお迎えがくる」などと言っていても、みんな死ぬ直前まで、自分が死ぬことなんて想像してないんじゃないでしょうか?

私はまだ50代なので、高齢者の気持ちはわからないのですが。

関連記事もどうぞ:
断捨離初心者のシニアにおすすめ、『若返り片付け術』を読んで老前整理を加速する

*******

こんなふうに「生前整理」ということを全く考えていない高齢のお父さん、お母さんがいたら、それとなく話をしてみてはどうでしょうか?

いらない物はさっさと手放して、物の管理に貴重な時間を使うのをもうやめるべきなのです。そして、残された時間を充実感を持って生きてもらえたら、こんないいことはありません。

親子の関係は、その家庭によってさまざまなので、「とても生前整理の話など持ち出せない」というご家庭もあるかもしれませんね。

そんな場合は、暮し方を人に押し付けるべきではないので、「私は最近、物を持たないようにしてるんだけど、いい感じに暮していけてるよ」ということをそれとなく言ってみることから始めるといいでしょう。

高齢の親に生前整理を勧めるのは、「自分が遺品整理をするのが大変だから」、というより、お父さん、お母さんのためになると思うのです。それは、ある種の親孝行だといったら、言い過ぎでしょうか?





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