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環境ホルモン(内分泌かく乱物質)について書いています。今回は環境ホルモンの代表としてBPA(ビスフェノールA)を紹介します。
BPAは近年「大丈夫だ」「いややっぱり危険だ」と話題になっている環境ホルモンの1つです。日本ではそこまで問題視されていないようですね。
しかし、妊婦さんとか、これから子供をもうけたい、という人は気をつけたほうがいい物質ではないだろうか、と個人的に思っています。
まず、これまで2つの記事に書いたホルモンと環境ホルモンについて簡単にまとめておきますね。
環境ホルモンとは?
環境ホルモンは、自然界にある化学物質で、動物や人のからだの中に入ると、ホルモンの働きを狂わせてしまう物質です。なぜならホルモンとそっくりな働きをするからです。
ホルモンは内分泌物質で、脳から重要なメッセージを各器官に伝達しています。メッセージを受け取った各器官は、言われたように働いて人体の恒常性を保ち、健康な生活をできるようにします。
この「伝達」をもう少し科学的に書くと、各ホルモンは、ホルモン受容体とくっついて、特定の細胞を増やしたり、殺したりしています。
環境ホルモンは、このホルモンとそっくりな物質であるため、ホルモンと似た作用を体内で起こします。
環境ホルモンが体内に入ると、もともとある本物のホルモンの数が増えたり、減ったり、べつのホルモンに変わったり、ブロックされたり、各器官にまちがったメッセージを伝えます。
そのためホルモンのバランスがくずれて、病気になったり、子供ができなかったり、早産したりといったことが起きる、と考えられています。
ホルモンはほんの微量でさまざまな働きをするので、環境ホルモンもほんの少しだけで影響があります。
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環境ホルモンはどこからやってくるのかというと、化学製品です。石油は古代に発見されていたそうですが、燃料として使われるようになったのは18世紀以降。
石油から化学製品を作り始めたのはわりと最近のことです。アメリカで製造が一般的になったのは1950年代ではないかと思います。
昔の映画を見てると、あまりプラスチックは出てこないのですが、最近は、身近にあふれていますね。今、私の机の上を見ても、紙はたくさん散らばってますが、ガラス、金属、木製の製品に比べて、圧倒的にプラスチック製品が多いです。
そのため環境ホルモンの問題の研究も歴史が浅く、まだまだリサーチ中で、本当に害があるのか、どのぐらいの量で人体に影響があるのか、ということは、学者や調査機関によって言うことが違います。
ただ、動物には明らかに異常が出ていますので、「人間は大丈夫」とは言えないと思います。特に魚、爬虫類、両生類に繁殖異常が起きています。
カエルのオスのメス化とか。こういう動物は人間に比べてすごく小さいですから、ものすごくおおざっぱに考えて人間は大丈夫、ということになるのかもしれません。
ですが、人間でも赤ちゃんや小さな子供は要注意です。子供は大人のように毒物を代謝できないですから。
BPA(ビスフェノールA)とは?
BPAはポリカーボネートを始めとしたさまざまなプラスチックの合成に使われる物質です。樹脂の原料です。
BPAは女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをします。1930年代は、アメリカで合成エストロゲンとして研究されていました。実際処方もされていました。また家畜を早く育てるために、飼料に混ぜることも。
しかし、流産防止や、不妊症改善のためBPAを処方されていた女性の子供(つまり胎児のときにBPAにさらされた人)が、成長してから病気になることが多かったのです。詳しくは書きませんが、ふつうはあまり発症しない病気です。
日本でもこの薬は処方されていたようですが、現在は使われていません。
どんな物にBPAが使われているか?
ありとあらゆるプラスチック製品に使われていますが、食品に関係あるものだと、哺乳瓶、食器(プラスチックのお皿)、プラスチックの水筒(スポーツのときに使うようなやつ)、缶詰の内側、包装用フィルムなど。また虫歯予防のための樹脂にも使われています。
カップラーメンの容器、サランラップ、自販機のコーヒーのカップに使われているかどうかはわかりません。
こういうのはけっこうペラペラしてるから、同じプラスチックで合成方法が違うと思います。まあ、BPAは入ってなくても別の化学物質が入っているのは明らかです。
カナダでは2010年の10月、ちょうど5年前にBPAが有毒物質に指定されました。そして、BPA-Free(ビーピーエーフリー。BPAが含まれていない)水筒がたくさん市場に出ました。
動物実験の結果から、環境にも人体にも有害だと政府が指定したわけです。ですが、BPAフリーでも、プラスチックの水筒は別の化学物質が入っているので、完全に安全とは言えないと思います。
アメリカでも、子供用の水筒にBPAを使ってはいけないと規制されています。
日本では特に規制はないようです。
厚生労働省は7年前に「公衆衛生の見地から、ビスフェノールAの曝露をできる限り減らすことが適当と考えられるので、関係業界に対して自主的な取組を更に推進していくよう要請しました」と発表しています。
「曝露(ばくろ)」とは、化学物質や物理的刺激などに生態がさらされることだそうです。
ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省
「人体に影響があった実験結果がないから」という理由で規制されていないのですが、そもそも環境ホルモンの影響を調べるために人体実験するなんて恐ろしすぎますよね?
妊婦を集めて、電子レンジで加熱した、プラスチックの容器に入れた飲み物をある一定の期間(1ヶ月~半年とか)朝、昼、晩飲ませるといった実験は人道的見地からできないと思います。
動物実験ですら、動物好きな人は強烈に反対しているぐらいですから。
日本製品、つまり日本のメーカーが日本市場に出すために作っているものは、きっと高い安全基準をクリアしていると思います。
しかし輸入物はどうでしょうか?
特に安い輸入品の缶詰は安全とは言い切れません。
こういう心配があるので、私は100円ショップなどで、ものすごく安い食品やサプリメントを買うときは気をつけたほうがいいと個人的には思っています。
再度調べたところ、ペットボトルに使われているプラスチックは、ポリエチレンテレフタレート樹脂というもので、ポリカーボネートとは違うのでBPAは入っていません(とメーカーは言っています⇒FAQs | PETRA: Information on the Use, Benefits & Safety of PET Plastic.
大変失礼いたしました。
ファストファッションでもそうですが、安いものには安い理由があるのです。ファストファッションの場合はメーカーが生産から販売まで一貫してやっていることと、人件費を大幅にカットしているから安いのだと思います。
あまりにも利益を重視したビジネスを推し進めた結果、現在、自然や動物が脅かされています。安いからといって飛びつくと、大きな代償を払うことになります。
BPAの健康への影響
肥満、甲状腺の異常、ガン、喘息、前立腺の異常(精子が減る)などが、動物実験の結果から、警告されています。脳や神経の働きにも作用して、ADHDなど引き起こすとも言われています。
特に妊婦がBPAにさらされると流産の可能性があると考えられています。
BPAの摂取を減らすために
すでに私たちはBPAを多かれ少なかれ摂取しています。たいていの人の血液にBPAが入っているそうです。
21世紀に生きている限り避けられないことです。しかし以下のようなことを気をつけると、多少は摂取を減らせます。
特に子供、妊婦さん、身体の弱い人、持病のある人、ほかの要因から有毒物質をたくさん摂取していそうな人、いつもストレスいっぱいで生きている人はこんなことに気をつけてみてください。
●日向にずーっと置いてあるプラスチックの水筒の中身を飲まない。
温度があがるのでBPAが水に溶け出します。
車の中にプラスチックの水筒も置きっぱなしにしないほうがいいですね。車の中、すごく高温になりますから。
●電子レンジで加熱調理する食品を食べない。「レンジで3分でできます」といったような食品です。
電子レンジを使わなくても、BPAが使われている哺乳瓶は95度以上になると溶け出すと言われています。
電子レンジはもっと高熱になりますので、いくら「電子レンジ大丈夫です」と書いてあっても心配です。どんなプラスチックも、高熱になれば多少はこわれます。
●傷ついたプラスチックの容器を使わない。たとえばお弁当箱など。傷からBPAが食物に移行します。
今、お弁当箱はみんなプラスチックみたいですが、大丈夫なんでしょうか?
●缶詰ばかりを食べない
缶詰の中側にBPAが使われていることが多いです。缶詰を食べないのも難しいですが、なるべくお店でふつうの食品を買ってくることをおすすめします。あるいは安い輸入品の缶詰は避けてください。
●食器はガラスや金属を使う
陶器は釉薬が気になりますし、木製製品は樹脂に何を使ってるかわからないので、自分で椰子の実や、木から一から作った木製のお椀でもなければ、ガラスや金属が安全かと思われます。
また、プラスチックの食器を電子レンジで加熱するのもやめたほうがいいです。たとえ、耐熱温度が高く、電子レンジにかけても大丈夫です、と書いてある食器でも。
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プラスチックは私たちの周囲のいろいろなところで使われています。たとえば、レシートの表面にもコーティング剤としてBPAが使われています。
ごく最近の研究で、ハンドサニタイザー(手を消毒する薬品。ジェル状)を手につけてから、レシートをさわった人の血液中のBPAレベルが急上昇したというのがあります。
レシートの表面のBPAが、ハンドサニタイザーに含まれている、毛穴から浸透しやすい働きを促す成分(化学薬品です)のせいで、レシートのBPAをからだに取り込みやすくしてしまったのです。
この毛穴から浸透しやすくする薬品はいろいろな化粧品に使われています。
おそろしいですね。
レシートをさわる前に、手にハンドクリームや化粧水をつける人は少ないと思います。しかしレシートの上に、食品をおく人はいますよね?お皿代わりに。しませんか?
熱い食べ物をのせるときは裏側にのせたほうがいいです。それとレシートを口にくわえるのもやめましょう。
レシートを口にくわえる人ってけっこういます。買い物したあと両手がふさがるから、車にたどりつくまで、レシートを口にくわえるのです。ちゃんと財布に入れたほうがいいです。