セーター

ファッションをミニマルに

最終更新日: 2021.06.2

この服、高かったから:着ない服を捨てない理由と、それを乗り越えちゃんと捨てる方法(28)

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自分1人では着られないほど服を持っていて、タンスもクローゼットも満杯だ。だけど、着ない服に執着していつまでも捨てない。

この問題を解決するために、捨てない理由を1つずつ検証しています。

今回は、購入価格が高かった服について考えてみましょう。

すでに過去記事で、「買ったときの値段にこだわって不用品を捨てないのは、時間とエネルギーの無駄遣いである」と書いていますが、「昔買った高い服を手放すのがつらい」というお便りをいただいたので、改めて、考え方を紹介します。

今、ファストファッションがあるので、全体的に服の値段は安いと思います。

ところが、私(1959年生まれ)と同世代の人の中には、若いころ、デザイナーズブランドの高い服をたくさん買ってろくに着ないまま、いまだにそういう服を持っている人がいます。

もしあなたがその1人なら、こんなふうに考えてください。



1.高かろうが安かろうがガラクタに変わりはない

まず考えてほしいのは、あなたが不用な服を捨てる理由です。

いらない服がたくさんあると以下の現象が起きます。

・邪魔

・管理が大変(クリーニングなどをすればお金もいる)

・視覚的ストレス

・朝着る服に迷う

・大事な服にさっとアクセスできない(クローゼットがカオスになっているため)

・大事な服を大事に着ることができない(自分のリソースが分散される。リソースの説明はこちら⇒私たちが持っているいろいろなリソース~たっぷりあるから、そんなに買わなくても大丈夫。

このように不用な服がいっぱいあると、ストレスが増え、無駄なことに時間とエネルギー、お金を使うことになります。

そんな生活はしんどいので、いらない服を捨てるわけです。

不用品が悪影響をもたらすとき、その購入価格は関係ありません。

安い服だろうが、高い服だろうが、みな同じように、自分に対して、よくない影響を及ぼします。

「高かった服は、安かった服より、少しましなガラクタだ」とはなりません。

むしろ、高かった服のほうが、「高価だったのに、着てないなんて」と自責の念を生むので、安かった服よりやっかいです。

服に限らず、購入価格が高かったものは、「なんとか元をとりたい」という気持ちのせいで、ずるずると持ち続けてしまうため、よけいな管理に使うコストがはねあがります。

「値段が高かったけど不用な服」は、むしろ積極的に手放すべきです。





2.現状を維持してもお金は戻らない

「高かった服を捨てるのはもったいない」と思う時、自分が実際にやっていることを考えてください。

クローゼットの中を片付けていて、高かった服を見つけます。その服をしげしげ見ながら、

「あ、これ全然着てないんだよね。ここにずっと吊り下げておくと邪魔だし、もう捨てたほうがいいよね。でも、すごく高かったんだよね~。捨てるのもったいないなあ」

こう思って、そのままにします。

3ヶ月後、またクローゼットの中を片付けていて、また同じことをします。

これを何回、何時間繰り返したところで、支払ったお金は戻ってきません。

もし本当に、支払ったお金に対する対価や、何がしかの利益を手にしたいのなら、「捨てようかどうしようか」と考えたり、「もったいないなあ。キープだな」と思ったりすることは何の役にも立ちません。

その服を活用したいなら、無理やりにでも着るか、別のものとして使うか(ディスプレイするとか)、別のものに作り変えて使うとかする必要があります。

現金を手にしたいのなら、買取業者に買い取ってもらったり、メルカリで売りさばいたりしなければなりません。

いずれにしろ、「ただ迷って、捨てない」という行動を繰り返しても、ストレスや罪悪感が増えるだけで、自分のためになるものは、いっさい手に入りません。

不用品にぐずぐず執着して、「もったいないんです」と言う人に対して、私は

「じゃあ、あなたはいったい何がほしいんですか? どうなったら満足なんですか? 自分のほしいものを手に入れるための行動、何かしましたか?」

こう聞きたいです。

高かったから断捨離できない? 埋没費用はどのみち回収できません

3.買い物の失敗なんてよくあること

「高かったからもったいない」と言うとき、自分のしたことに罪の意識を感じています。

あきらかにまずい意思決定をして、衝動だけですぐに着ない服をたくさん買い、まったく活かせていないことを悔いているのです。

そうした服をこのままゴミにしてしまうなんて、ますます自分が許せません。だから、捨てなくない。持っていれば、いつか着る時が来るんじゃないか? いつか、何かに使えるんじゃないか? そんな気持ちでいられます。

ですが、失敗なんて誰にでもあることです。

私も若いころ、自分が着る分以上に服を買って、たくさんゴミにしました。

一番よく服を買っていたのは20代のときです。

失敗か成功かと言ったら、大失敗です。

失敗して、大量に断捨離して、その後、服との付き合い方も買い物の仕方も変わりましたが、それでも、30代、40代あたりで、無駄な服を買うことはありました。

特に買い物が多かったのが2005年。楽天市場の購入履歴を見ると、毎月のように買い物をしています。

子供のものや、紅茶、そして自分用の安い服と雑貨。

いま、履歴を見ると、「何をこんなに買っとるんじゃ? 頭、大丈夫?」と言いたいほどです。

このとき私は40代なかばで、あまりお金がありませんでした。

お金がなかったのに、プチプラのどうしても必要ではなかったものをたくさん買っているのです。

こういう失敗をする人、私だけではないと思います。

人生はリハーサルなんてなくて、その日、その日が1回こっきりの本番だし、人間は感情の波があるから、失敗して当然です。

買い物以外でも、いろいろなところで、「あとになって考えてみると、よくない意思決定」をしていると思います。

失敗したことに対して、そこまでこだわるべきではないですよ。

まずいことをしても、そこから学んで前に進むしかありませんし、そうすることがベストです。

失敗にこだわって、「もったいない、持っていれば何かに使える」とうじうじするのは、建設的な生き方ではありません。

4.お金にこだわっているなら

「捨てるなんてもったいない」と言うとき、本当にお金にこだわっている人もいます。

1円でもいいから回収したい、という気持ちになる人は本当にいて、そういう読者からお便りをいただいたこともあります。

少しでもお金にしたい、と思う貧乏性なので不用品を捨てられない。

この場合は、お金に対する価値観を見直すと、強い執着が多少ゆるくなり、不用品をあっさり捨てられます。

お金に対する価値観については、新刊で詳しく書いているので、ぜひ、立ち読みしてください。

筆子の新刊『買わない暮らし。』(6月15日発売)著者による内容紹介。現在予約受付中です。

ブログにも書いています⇒自分のお金の問題についてもっと正直になろう(TED)

資本主義の世の中なので、金の亡者みたいになる人もいて当然かもしれません。

ですが、世の中、お金がすべてではないことが腑に落ちれば、「高かったけど着ていない服」にしがみつかなくてすみますよ。

それと、たっぷりあるマインドをもつことも試してください⇒貧乏人の「足りないマインド」から金持ちの「たっぷりあるマインド」へ変換する方法。

こちらもおすすめ⇒失ったものを取り戻したいと思うな:部屋が物だらけになる理由(その7)

☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒着ていない服を捨てたい。でも、捨てるのはむずかしい。そんなときはこう考えてみる(その1)

これまで取り上げた捨てない理由

1.捨てるメリットがピンとこない

2.捨てるのは面倒

3.もったいない

4.心が痛む

5.持っていなければならないという義務感あり

6.ギフトだから

7.収納する場所があるから

8.どれを捨てたらいいのかわからない

9.思い出があるから

10.ウエス用に取っておく

11.捨ててもいいのかどうかわからない

12.罪悪感を感じるから

13.娘が着るかもしれないから

14.とてもかわいくて見てるだけで満足だから

15.忙しいから片付ける時間がない

16.着るものがなくなってしまいそうで心配

17.いつか仕事に戻るとき、必要になるかもしれないから

18.たんすやクローゼットに服がぎっしり入っていないと不安

19.いつも同じ服を着ているダサい人だと、他人に思われたくない

20.そのうちメルカリで売るから

21.コーディネートが苦手だからたくさんアイテムがいる

22.特別な時ようの服だから

23.服を捨てるのは損だから

24.手作りの服だから

25.質のいい服だから

26.部屋着やパジャマにするから

27.新品同様だから

28.たくさんありすぎて何から始めていいのかわからない

これ以外の理由があったらまたメールで教えてください。

*****

私もデザイナーズブランドの服を何着が持っていましたが、捨てずにいまも持っていればよかったと思う服は1つもありません。

どんな服を持っていたかも、あまり覚えていないです。

20代後半だったと思いますが、コムデギャルソンで、黒いゆったりしたうすい生地のパンツを買いました(ウエストをしめつけないデザイン)。

わりと気に入っていましたが、ほかにも着る服があったので、このパンツは母親にあげました。

母が、「これ、はきごこちがいいね」と喜んでよく着ていた姿がいまも目に浮かびます。

その服を必要としている人にあげて着てもらえば、自分も喜びを得られます。

その喜びは、売ってお金にしたときの喜びより、深いのではないでしょうか?





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