ページに広告が含まれる場合があります。
不用品が生活に制約をもたらしている現象を、シリーズで紹介しています。
前回は物理的スペースを奪われて不自由になっている状態について書きました。
今回は、ガラクタが心の中のスペースを奪っている状態を紹介します。
不用品やガラクタは、物理的に負担になっているだけでなく、心理的にも重荷になっており、実はこちらのほうが深刻です。
0.とにかく気持ちが重い
断捨離をした人はよく、「みんな捨ててさっぱりした。すごく気分が軽くなった」と言います。
断捨離前は、この逆で、すごく気持ちが重いんです。
つまり、精神的に負担を感じ、ストレスや不安、プレッシャーがのしかかっています。
ものをいっぱい持っている人は、重い気分がふつうになっているので気づいていないだけです。
試しに、今日、「ちょっと断捨離しよう」と決意してみてください。
最初に何を思うでしょうか?
「この部屋、どうしてこんなにモノが多いの!?」
こう私は感じました。
その頃のこと⇒なぜ私は断捨離をしてミニマリストになったのか?(1)~物がたくさんあっても幸せではなかった
ものがいっぱいあるのを何とかしようとすると、私のようにいきなりうんざりするかもしれません。
このやるせなさは、ガラクタの重さと直面したからこそ感じられる気分です。
問題の先送りをやめて、しっかり片付ければ、気持ちが軽くなります。
以下に、気持ちの重さのもとになっている4つの心理的負担を紹介します。
1.片付けなきゃ、というプレッシャー
これまで、「片付けなければならない」というプレッシャーに襲われたことはありませんか?
私はものだらけの部屋を見るたびに、このプレッシャーを感じていました。
人間は、環境を自分でコントロールしたいという欲があるので、それができていないと、「なんとかしなきゃ」と感じ続けるものです。
ガラクタや自分の人生のことを突き詰めて考えることに疲れて、少し休もうと思っても、部屋のすみに積んである本や雑誌、棚の中をうめるフィギュアなどに、「早くなんとかしてよ!」とせっつかれます。
片付けようとすると、プレッシャーを感じるので、それが嫌で、現状のままでいいことにする人もいるかもしれません。
汚部屋の片付けに疲れて、「べつに一生汚部屋でもいい」と開き直るのです。
この場合、心底、そう思っていないと、「片付けなければならない」というプレッシャーから逃れることはできません。
2.視覚的ノイズによるイライラ
心の奥底から、汚部屋とともに生きていくことにしたとしても、今度はべつのストレスを感じます。
視覚的ノイズから来るイライラです。
視覚的ノイズ(見た目のごちゃつき)を極力なくすコツ(その1)~飾り物を減らす。
リビングでリラックスしようと思っても、まず目に飛び込んでくるのは雑誌の山。その山の中に、ストレス解消の本やお片付け指南本が混じっている皮肉な状態に、笑うに笑えない、なんて経験はありませんか?
どんな人もスッキリとした環境のほうが好きです。
山のように好きなものを集めて、すべてに囲まれて暮らしたいと思っていたとしても、ものでごちゃごちゃしている部屋より、カフェや図書館のほうが勉強がはかどりますよね?
生活感のないホテルのほうがよく眠れませんか?
スッキリした環境には秩序があります。人はカオスより秩序を好みます。
自分の部屋に秩序があれば、ほかならぬ自分が自分の家や生活環境をコントロールしている感覚も得られます。
コントロールできていない感覚があると、気分が悪いです。
3.終わっていない感覚
部屋の中に不用品がたくさんあると、未解決の問題があると感じます。
たとえば、
・せっかく買ったのに、まだ使っていないものがある
・途中まで作ったのに、放置した作品がある
・まだ読んでいない本がある
・まだ片付けていないエリアがある
こうした事実は、未解決の問題として常に頭の片隅にあり、いつもなんとなく不愉快ですし、何かの拍子に未解決問題が表のほうに出てきて、はっきり嫌な感情を作ります。
問題を解決していないことが、罪悪感や自分を嫌う気持ちを引き起こすでしょう。
セルフイメージも悪くなり、自分のことを「片付けられない自分」と考えてしまいます。
罪悪感は、想像以上に大きなストレスになるマイナス感情です。
4.決断疲れする
ものが多いと決断する回数が増えます。1日になんども、意思決定をしなければならず、これも、心のリソースを奪います。
多くの女性が数をたくさんもつことが好きな服飾品を考えてみましょう。
服飾関係のものをたくさん用意する人は、その日の気分や予定によって、組み合わせを変えたいからだと思います。いろいろなおしゃれを楽しみたいわけです。
服、靴、バッグ、コスメが多いと、考えられる組み合わせは何万とあり、一見、豊かな状態のように思えるかもしれません。
ですが、選択肢が多すぎると、人は選択を放棄する傾向があります。
決めるときに、それぞれの選択肢を比較し、メリットやデメリットを評価しなければなりませんが、この作業をするのに、精神的エネルギーが必要です。選択肢が増えれば増えるほど、エネルギーを使わねばならないので、最終的には、決断をするのをやめるか、後回しにするのです。
バリー・シュワルツに学ぶ『選択のパラドックス』(TED)~所持品をミニマムにすると生きやすくなる理由とは?
実際、服や靴をたくさん持っていても、「いつもの組み合わせ」に落ち着くことが多いと思います。
あるいは、雑誌やSNSで見かけたアドバイスや占いなど、自分以外の誰かに決めてもらおうとします。
さらに、選択肢が多いと、自分がした選択に関して後悔が増えます。
私のように、いつも着るジャケットがワンパターンしかない場合、「ああ、あっちを着ればよかった」と思うことはありません。
でも、ジャケットを何着も持っていると、1着を選んで着て出かけたあとに、「あっちのほうがよかった」「こっちにすればよかった」と後悔してしまうのです。
せっかくお金を出して、いろいろ買い揃えても、結局、使うのは決まっています。
それならば、最初から数を揃えないほうがお金の無駄にならないし、迷って疲れることもありません。
情報社会の今、セルフサービスが増えたので、家事でも仕事でも、細かい決め事をする機会はたくさんあります。日常の細かいことまで決断していると、大事な決め事をするリソースが残りません。
毎朝、満杯のクローゼットの前で悩む日々、どうにかしたいですよね。
■関連記事もどうぞ⇒集中できないのはぐしゃぐしゃの部屋にいるから。ガラクタは脳にも悪影響を与えている
*****
ガラクタ問題が脳内のリソースを奪い、あなたの行動に制限をかけている話をしました。
記事で書いた以外にも、ガラクタが心理的負担を強いることはよくあります。たとえば、
・家族や同居人とのもめごとによるストレス
居住スペースをシェアしている人から、ものの多さや片付けのできなさ加減を責められる場合です。
・探しものがなかなか出てこないストレス
探しものは時間を奪いますが、探しているものがすぐに出てこないと、気分がよくありません。目当てのものを向きになって探してしまうのは、私だけではないでしょう。
・なんとなく無気力
さまざまなストレスが重なってセルフイメージが悪くなると、無力感が生まれます。
不用品を捨てるだけで、こうしたストレスから解放されます。
100%解放されなかったとしても、かなり、楽になります。
いきなりすべてを捨てなくてもいいので、できるところから少しずつ処分してください。
捨てれば捨てるほど気持ちが軽くなります。