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いつも不用品を売っているが、もういい加減、そんなことはやめて、さくっと捨てたい。
だけど、それを売ればお金になると確信しているので、捨てることができない。
不用品が家にあるのが耐えられないけど、捨てることもできなくてつらい。
どうしたらいいですか?
この質問に回答します。
「メールは引用しないでください」とのことなので、ポイントだけ簡潔に書きます。りんごさんという人からいただきました。
お金になると思うと捨てられない
私の問題
不用品が家にあるのがいやだが、売ればお金になるから捨てることができない。
背景状況
・私は海外在住。
・私は超がつく捨て魔で、日々不用品を捨てているが、日本で売ればお金になると確信している物を捨てることができない。
・年に1回、日本に2ヶ月帰国するさい、スーツケース1個半ほどの不用品も持っていき、日本で売ることをここ10年行っている。
・毎回売上は、30万円ほどで、去年は15万円ほどだった。
・今年は帰国できなかったので、いま、家にある不用品が、次の帰国までもう1年あるのかと思うととても苦痛だ。
・私自身はほとんど物を買わず、買い物好きの夫やティーンエイジャーの子どもたちの物を売っている。
・ネットを通して売る作業は、面倒だとは思うがさほど苦痛ではない。
りんごさん、こんにちは。
メールありがとうございます。
メールを拝見したとき、まず思ったのは、「たかが30万円のために、そんなめんどくさいことするか?」です。
1年で30万円だから、1ヶ月、2万5千円。1週間で6250円。1日892円。
1ヶ月2万5千円(1日800~900円)は、食費を節約したり、大きな無駄遣いをやめれば、得られると思いますが、どうでしょうか?
スターバックスのカフェラテの、一番小さいサイズが300円、グランデで400円ぐらいですから。
3つアドバイスしますね。
お金以外のコストを考える
確かに、1日、もう800円~900円、余分にお金ができれば、そのぶん、カフェラテを2杯飲めるから、うれしいといえばうれしいです。
しかし、その裏でお金以外のコストを失っていることに気づいてください。
自分が支払うコストで代表的なのが、時間、労力(肉体的なコスト)、精神的なコストです。
時間
不用品の管理や、スーツケースに詰め込むこと、ネットでの販売に時間を取られています。
売りさばくことが、苦にならなくても、その分の時間、けっこう取られているんじゃないですか?
販売するのに、どれほど時間を使ったか、一度、きっちり数字に出してみてください。
時給にするとたいしたことないと思います。
一般に、家にある不用品の売上は、所得税の課税対象ではありません。
利益が出ていないからです(商売として行い、利益が出ていれば課税対象)。
物を買ったお金(仕入れ値)のほうが、たいてい、売値より高いですよね?
りんごさんの場合は、外国でしか手にはいらないものを、自分で、日本に持ち込んで(つまり、交通費はりんごさんが持って)売っているわけですから、もしかしたら利益が出ているかもしれませんが、交通費と人件費(自分の労力)をひいたら、マイナスじゃないですか?
不用品をメルカリで売って、「わ~こんなに高く売れた、お小遣いゲット!」と喜ぶ人がいますが、自分が買ったときの金額を考え合わせたら、たいてい損しています。
買ったときに支払ったお金や、これまで管理に使ったお金のことは、都合よく忘れているから、「もうかっちゃった(ほくほく)」と思えるだけです。
労力
30万円作るのに、体力も使っています。
あちこちにある不用品から、売れそうなのを分別し、特定の場所にためこみ、帰国のさいにスーツケースにうまい具合にパッキングして、飛行場まで運搬。
日本のもよりの飛行場から、自宅まで運搬、荷解きして、不用品を1つずつ、美しく写真をとり、サイトにアップ、入札があったら、梱包して発送。
30万円得るために、何個売っているのか知りませんが、こういう作業、肉体的に大変じゃないですか?
不用品を運搬しているから、スーツケースが2ついります。それがなければ小さいスーツケース1個ですむのに。
私は、大きくて重たいスーツケースが大嫌いですが、それは持ち運びがしんどいからです。家で収納するときも2つもあったら邪魔でしょうがありません。
メンタルコスト
りんごさんが、もっとも払っていると思われるのは、精神的なコストです。
精神的なコストは、思考とネガティブな感情(不安、心配、罪悪感、未完了の気持ち、焦りなど、気持ちの負担と呼ばれるもの)にわけられます。
30万円を得るために、考えなければならないこと、手配しなければならないことがたくさんあり、そこに思考力を使っています。
さらに、ストレスも増えていますよね?
いま、目の前に不用品がいっぱいあって、耐えられないのですから。
メールのタイトルには、不用品を売るのをやめたい、とありました。やめたいけど、やめられなくて、葛藤する気持ちも、ストレスになっています。
自分では気づかないかもしれませんが、たくさん神経を使って、疲れていると思いますよ。
きのうのTEDでも出てきましたが、人の認知にかかわる資源(cognitive resources)は、無尽蔵ではないから、不用品を売ることや、不用品があるのがいやだ、と思うことに意識をがーっと使っていると、ほかのところにまわすことができません。
きのうの記事⇒「美しくありたい」という病気の弊害(TED)
ほかにも考えたいこと、やりたいことがあるかもしれないのに、そちらに使うエネルギーがなくなるのです。
・・・ こんなふうに「売ればお金になるんだから」と思っても、実はお金ではないコストをたくさん払っているのです。あまり目先のお金にとらわれないほうがいいと思います。
2.売りたいなら地元で売る
どうしても売りたいなら、わざわざ日本に行くのを待つのではなく、いま、すぐ、地元で売ってください。
どこにお住まいか知りませんが、ebayとか、Facebookなど不用品を売れるサイトや、Craigslist(クレイグスリスト)のように、「売ります・買います」と広告が出せるサイトがたくさんあります。
ネットで売るのがいやなら、ガレージゼールをしてもいいし、コンサイメントストア(consignment store)で売ってもいいでしょう。
コンサイメントストアは、委託された古物を売っている店です。商品が売れると、そのうち何%かを店側がコミュッションとして取り、残りのお金が売り主のもとに入ります。
私の娘は、無料で広告を出せるサイトを利用して、たまに不用品を売っています。
私自身は、1番で書いたように、お金以外のコストを支払うのがいやだから、不用品は、寄付センターに持っていくか、娘にあげています。精神的にはこれが一番楽ですよ。
不用品を処分するときはお金にすることを考えないとシンプルにできる
3.家族との関わり方を変える
すぐに不用品になるものを、最初から家に入れなければ、売るだの捨てるだのする必要はなくなります。
りんごさんのお宅で、不用品を増やしているのは、りんごさん以外のご家族だそうですが、りんごさん自身がその状況を加速させている部分はないですか?
「どんどん買って来い」とは言っていないでしょうが、りんごさんが不用になったものを片っ端から捨てたり、売ったりするので、家はとりあえず、いつもすっきりきれいだと思います。
だから、ご主人やお子さんが、まだ使えるものがあるのに、新しいものをどんどん買ってくる、という面はないでしょうか?
人の不用品は本人に始末させる
他人の不用品を処分するのはやめたほうがいいです。
そのかわり、家族に、「すぐにゴミになるものをどんどん買ってはいけない」とわからせる努力をしてください。
不用品がたまってきたら、本人の部屋に入れてはどうでしょうか?
私は夫がわけのわからない物をリビングルームなど、公共の場所に出しっぱなしにしていたら、本人のスペースに戻しています。
それで文句を言われたら、「パブリックスペースに私物を出しっぱなしにするほうが悪い」と言います。
それでも、家のあちこちがぐしゃぐしゃですが、言うだけは言います。
もちろん、私がミニマリストだということは、しっかり公言しています。
他人の買い物習慣を根こそぎ変えることはできません。特にご主人はもう大人だからほっとくしかないかもしれません。
ですが、お子さんはまだ小さいから、生活習慣について、意見を言う機会はありますよね?
そのとき、買い物の仕方についても、提言してはどうでしょうか?
小遣いですぐにゴミになるものを買っているのなら、小遣いの与え方を変える方法もあります。
いまの若い人は、学校で環境問題について学んでいるから、地球環境を守るという観点から「ゴミを出さない暮しのほうがいいのだ」と説得できるかもしれません。
きのう、「家族が、やりっぱなし、出しっぱなしの人たちばかりだから、自分が忙しくて、片付けられなかったりすると、すぐに散らかる」というメールをいただきました。
だまってすぐに片付けると、出しっぱなし、やりっぱなしの人間が、自分のした行動の結果を引き受けるチャンスがなく、したがって、自分の行動を振りかえることもできません。
この場合、「だしっぱなしじゃだめなんだよ」ということ伝える必要があります。
許容範囲を広げる
メールには、「私は超がつく捨て魔です」と書かれていました。
不用品が家にあることが耐えられず、見つけるとどんどん捨てる人なんだと思います。
りんごさんが、私の夫と暮らすと発狂するかもしれませんね。
自分の思い通りになっていない環境を許容しにくいなら、もっと許容範囲を広げるようにしてください。
100%思い通りにならなくても、妥協点を見つけて、それなりにご機嫌に暮らせるようにするのです。
思い通りにならないとすごくストレスがたまる人は、状況をコントロールしたいという気持ちが強すぎるのだと思います。
コントロール欲が強い人は、徹底的に捨てたり、徹底的に片付けたり、逆に、徹底的に集めたりします。
何もかもコントロールしようとせず、柔軟な対応をしていこう、と考えたほうが、ストレスがたまりません。
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不用品を処分するとき、「お金にしたい」と思う人は多いのですが、あまり、お金、お金と血眼にならないほうがいいと思います。
お金以外にも大事なものはいっぱいあります。
お金は、形のある通貨や、数字でわかりやすく表せます。
だから、「増えた、減った」と人は大騒ぎするわけですが、本当に大事なのは、お金ではなく、目に見えない精神的なものです。
お金や物質を追い求めるあまり、精神的なコストを無自覚に支払い続けているから、うつ病になる人や、不安にさいなまれる人が増えているのではないでしょうか?
それでは、あなたも、質問、感想などありましたらお気軽にお寄せください。
お待ちしています。