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捨てることや、片付け、その他やりたいことを先延ばしにしている人に、行動するきっかけをくれるTEDのプレゼンを紹介します。
タイトルは、Create more space for the things that matter(大事なもののためにもっとスペースを作りなさい)。プレゼンターは、企業の給与アナリスト、アシュレー・レンチャー(Ashley Wrencher)さんです。
5分半の短いプレゼンです。
もっとスペースを作りなさい:TEDの説明
In this introspective talk, Ashley Wrencher shares how mother nature helped open her eyes to the importance to start sorting through your “tomorrow piles” today.
この内省的なトークで、アシュレー・レンチャーは、いかに、自然が、「明日処理するつもりの山(tomorrow piles)」にきょう取りかかることの重要性を、気づかせてくれたか、シェアします。
tomorrow piles(トゥモローパイル)とは、明日やろうと思っていて(きょうはやらない)物ごとの山です。
収録は2018年の3月。長さは5分32秒。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
思い出グッズのコレクター
私は思い出の品はなんでもとっておくほうです。
ダンス大会でもらったメダル、初めてしたベイビーイヤリング、はじめてのラブレター、保育園でつかったテディベアのついたかばん。
大学に入ったお祝いに祖母からもらった旅行かばんセットも持っていました。
残念ながら、私は、ほかのどうでもいい物も集めています。インテリアの参考になる写真とか、ピンタレストから印刷したレシピとか。
思い出品や、ランダムなコレクションを、「明日どうにかするパイル」に入れているうちに、何十年分の「明日」がたまることがありました。
結婚して1年たったお祝いとして、私と夫は、「引っ越しの荷物を明日こそ開けよう」と誓いました。
先延ばしの代償を支払うことに
ところが、昨年の夏、結婚1周年の記念日の直前、我が家をトルネード(竜巻)が襲ったのです。一瞬で大事な物が散り散りのゴミになりました。
最初にトルネードのことを知ったのは職場にいたときです。
屋根が引きはがされ、寝室に雨が降りこんできました。
それから48時間、夫と私は、大事な品々を持ち出そうと必死にがんばりました。
結婚のお祝いの品、卒業記念のビデオ、家族の写真、洋服、家族からもらった家具、古い書類などを救おうとしたのです。
救いだせた物もあります。赤ん坊のときのイヤリングや、保育園で使ったバッグとか。
けれど、祖母にもらった旅行かばんはだめになりました。
私たちは、「明日なんとかしよう」と先延ばしをした代償を支払うことになったのです。その瞬間、「明日」は、遅すぎたのです。
思いは物ではなくこころの中にある
トルネードのショックから立ち直るとき、いろいろな感情を持ちました。
罪悪感やいらだちを感じました。ですが、一番感じたのは感謝の気持ちです。
私の夫は、その日、自宅で仕事をしてました。彼は、嵐が来ていることを感じはしましたが、怪我はありませんでした。
無事だったのです。確かに、その日、物をいくつか失くしたけれど、私はもっと大事なことを学びました。
大学に行く時、祖母がくれたのは、旅行かばんではなく、私をサポートする気持ちだったのです。それは、祖母が亡くなるほんの数ヶ月前のことです。
私はその旅行かばんといっしょに大学を卒業し、卒業式で帽子を回したとき、私の中に祖母の思い出がありました。
いろいろな「明日やること」
ほかにもいろいろ考えました。
旅行から戻ったとき、すぐに荷解きしていれば、旅行かばんは助かったかもしれない、とか、「明日処理するパイル」をきょう処理するように、嵐が私のところに送られてきたのかもしれない、とか。
みなさんは、もうクローゼットの片付けをしたかもしれませんね。
みなさんの「明日処理するパイル」は、洋服や写真、家族から譲り受けた物ではないかもしれません。
それは、自分のためにならない人間関係や、先のない仕事かもしれません。あるいは、「明日」書きたいと思っている本、行きたいと思っている旅行かもしれません。
ある日、人生のトルネードが、みなさんの家にやってくるかもしれませんよ。みなさんの「明日なんとかするパイル」がゴミになってしまうのを私は見たくありません。
大事なものを大事にするために
いまの私は、必要なものの安全を確保するようになりました。思い出の品のデジタル写真を撮っています。家財保険は、心のダメージをカバーしてくれませんから。
みなさんにとって、「明日なんとかするパイル」を片付けるとは、有害な人間関係を捨てること、悪習慣やネガティブ思考をやめることかもしれません。
今日が、新しいヘアスタイルを試したり、ブログの引っ越しをしたり、健康診断を受けたり、誰かに電話であやまる、絶好のタイミングかもしれません。
勤め先の上司に辞表を書くのもいいでしょう。いや、それは早すぎるでしょうか。辞表をビジョンボードに貼って次の仕事に応募するモチベーションの元とするのもいいですね。
「今日やるのは、嫌だ、面倒だ」思うかもしれません。その気持ち、よくわかります。
ですが、後悔の少ない人生を送りたい、もっと充実したい暮らしをしたい、もっと大事なもののためのスペースを作りたい、こんなふうに思うなら、今日、アクションを起こすべきです。
今日行動することは、もっとも大事なもの、つまり、皆さん自身を守ることにつながるのですから。
///// 抄訳ここまで ////
単語の意味など
turn my tassel タッセルをまわす
アメリカの大学の卒業式では、タッセルのついた四角い帽子をかぶりますが、卒業前はタッセルが右に来るようにかぶり、ディプロマをもらって卒業すると、タッセルが左に来るように、帽子をまわします。
toxic relationship 有害な人間関係。
文脈にもよりますが、relationship は通常、恋人同士、夫婦など、恋愛や愛憎がからむ関係のことです。
dead-end jpb 先のない仕事、将来性の感じられない仕事。dead-end は、行き止まり、袋小路。
twister つ むじ風、竜巻(トルネード)
two-week notice 辞表
会社をやめるとき、2週間前までに、上司に伝えなければならない決まりがあります。
vision board ビジョンボード
板や布に、なりたい自分、ほしいもの、行きたい場所などの写真や、目標を貼っておくもの。
リマインダーのおしゃれな物と言えます。目標を設定すること+クラフト(写真を切り取ったり、布切れを貼り付けたり)の両方をやるので、女性に利用者が多いです。
先延ばしに関するほかのプレゼン
先送りをしない人生を生きるために、目標ではなく恐怖を明確にすべき理由:ティム・フェリス(TED)
いつ竜巻が来てもおかしくない
物持ちのいいアシュレーさんが、たくさんの物を整理しないまま、箱の中に入れておいたら、突然、竜巻が来て、多くのものがおじゃんになってしまいました。
いま、異常気象による天災が増えているので、こういうこと、誰の身にも起きる可能性があります。
そこにある物が本当に大事だと思うなら、すぐに整理に取り掛かりたいです。
まあ、アシュレーさんが失くしたのは物だったから、まだよかったです。
何かやりたいことがあるのに、ずっと先延ばしにしていると、やらないまま人生が終わります。
というのも、べつにやらなくてもいい、どうでもいいタスクで、時間はどんどん食いつぶされていきますから。
SNSなど、知らないうちに、時間を奪うものが、ちまたにあふれている世の中です。
ソーシャルメディアはやめなさい:カル・ニューポート(TED)
アシュレーさんは、「今日やることは自分を守ること」と言っていましたが、これは本当です。
自分を大事にしたいなら、やりたいことは、少しずつでも行動に移したほうがいいですね。
今片付けないならもういらない物かもしれない
思い出の品や、古い物を箱の中に入れて、中を全然整理しない人っています。
押入れや物置の奥に入れっぱなしにしたり、ベッドの下につっこんでいたり。
私の実家にも、よくわからない物が押入れの中にあります。
母に、「ちょっと捨てたら?」「ちょっと整理したら?」と言うと、必ず、「暇になったらやる」と言います。
母は、86歳で、仕事や育児で忙しいわけでもないのに。
いつ聞いても、「いま、ちょっと忙しいから暇になったらやる」と言います。
「そうね。じゃあ、5分だけ片付けようかしら」なんて、言葉はまず返ってきません。
そこまで優先順位の低いものなら、もういっそ、中身はそのまま捨ててしまったほうがいいと思います。
捨てる前に、分別が必要ですが、「これはすべて捨てる物」と決めてしまえば、あとは機会的な作業になるので、簡単です。
「忙しいから~」と処理を後回しにしている物は、毎月5つく日が来たら、有無を言わさず、すべて捨てる、というルールを決めると、片付けが加速するでしょう。
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きょうのプレゼンはいつもより短かったので、余った時間は、先延ばししていることをやることや、片付けに使ってください。