足袋を断捨離

実家の片付け

遺品もありすぎるとゴミになるだけ~実録・親の家を片付ける(7)

去年の夏、実家に里帰りして母のものを一緒に生前整理した様子をお伝えしています。

その朝母が、「これ、もう捨てる」と持って来たものは、父の遺品でした。



働き者の父のこと

私の実家であり、現在の母が1人ですんでいる家は昭和42年(1967年)に父が建てたものです。

父は昭和4年生まれ。商事会社に勤めるサラリーマンでした。

仕事が好きで、会社の仕事のみならず、会社の商品を自分で安く買い、個人的に顧客を開拓しておろしたり、母の内職を手伝ったり、自身もどこからか内職を見つけてきて、毎晩やっていました。

父が残業することはめったになく、いつも家族4人で夕食を食べていたのを覚えています。

父の部屋着は着物と丹前。

その姿で、食後はテレビで野球中継を見ながら、内職をしていました。

戦時中、まだ学生だった父が、闇でポマードを買って人に売り、大儲けをしたという話を、叔母から聞いたことがあります。

もともと商売が好きだったのでしょう。

そんなふうに若いときから熱心に働いてお金をためていたらしい父は、37歳のとき、マイホームをローンを組まずに建てました。ただし、土地は父の兄のものでしたが。

マイホーム建設に関して、設計や資金繰りなど、母は何もかも父にまかせっぱなしだったそうです。

ただ、母の実家が、当時、名古屋で材木業をしていたので、柱などの建具はいいものを安くゆずってもらうことができました。家の建設も、母の従兄弟の大工さんに頼みました。

自分が建てた家に、父は7年しか住みませんでした。昭和48年、オイルショックの年の12月半ばに、勤務中に事故にあい、亡くなったのです。

朝ふつうに出勤して、翌日の朝、死体となって家に帰ってきました。





父の遺品

この日、母が取り出したのは、40年間、たんすに眠っていた父の足袋と靴下、そして折りたたみ傘でした。

足袋を断捨離

父の足袋、右はしは母のもの

折りたたみ傘

父と母の折りたたみ傘

「これ、お父さんの」と母が言うので、さすがの捨て好きの筆子も、「え、これ遺品じゃん、いいの?」と聞きました。

「うん、もういい、持っとってもしょうがないし」。

父が亡くなったとき44歳でしたが、貯金好きで、物をあまり買わなかったのか、当時の男性はみんなそんなに物を持っていなかったのか、たいして遺品はありませんでした。

父が残したのは、これからお得意さんにおろす予定だった大量の事務用品、そして直前まで使っていた車、衣類、靴、かばん、万年筆などだけ。

商売用の事務用品は、お得意さんが引き取ってくれました。残りはながらく実家に残っていましたが、少しずつ断捨離。

紐切りカッター

大昔の紐切りカッターを断捨離

スーツなど父の身の回りの品を、母は10年ぐらい持っていましたが、あるとき意を決して処分したそうです。

父の形見は手帳があるから他はいらないとのこと。

そういえば、私は父の形見と呼べるものは何も持っていません。ですが、何もなくても父のことはしっかり覚えています。思い出は消えないし、自分の顔を見れば、父の面影が見つかりますから。

☆実家の片付けシリーズを最初から読む方はこちらからどうぞ⇒実録:親の家を片付ける(1)~まずは自分のものをどんどん捨てる

遺品が出てきたので、筆子は、ある遺品整理の話を母にしてみました。数日前に会った友人Aさんがした遺品整理の話です。

友だちAさんの遺品整理体験

私とAさんは、小学校3年生のときの同級生です。

Aさんのお母さんは数年前、突然病気で亡くなりました。

亡くなったあと、Aさんはお姉さんと一緒に、3ヶ月かかって、お母さんの所持品を処分しました。おばさん達に形見分けできるものを探したかったからだそうです。

お父さんは健在ですが、家事はまるっきり奥さんまかせで、とても掃除などはできないとのこと。

Aさんのお母さんは、物をいっぱい持っていました。特に、趣味の洋裁の材料が目立ちました。

そういえば、彼女は小学生のとき、とてもおしゃれな、お母さんの手作りの服を着ていました。

当時は、母親が子供の服を作るのがふつうでした。まだ既製服がそんなになかったのでしょうね。

私の母も作ってくれました。夏のワンピースなんかはいいのですが、小学校の卒業式用に作ってくれた長袖のスーツは、どことなく手作りの野暮ったさがでていて、「あまりかっこよくない」と子供心に思っていました。

それに比べて、Aさんの着ていたワンピースは素敵でうらやましかったです。Aさんのお母さんは、当時すでに相当洋裁がうまかったのに、なんと75歳まで洋裁を習っていたという、筋金入りの洋裁好き。

長年ためこんだ洋裁用の材料が布地、糸、ボタンをきっちりコーディネートして大量にあったそう。洋裁学校の先生に相談したそうですが、結局引き取り手がなくて、Aさんは、結局全て捨てました。

「ものすっごく大変だった。2度とやりたくない」と語ったAさん。

「おかあちゃんにとってみれば宝物でも、他人にはただのゴミなんだってことがよくわかった」とも。

お父さんはまだ元気なので、家財はさわっていないそうです。お母さんの持ち物の整理だけで、彼女は疲れてしまいました。

遺品整理の大変さについてはこちらにも⇒生前整理のススメ~すべてを遺品整理に回すより、少しでも生前整理をしておくべき理由とは?

この話を私は母にしてみたのです。

父の遺品を捨てて、「形見は手帳があればいい」と母は言ったので、「遺品がたくさんあっても、すべてはゴミになる」という点に賛同してくれるかな、と期待しました。

ところが。

「うちは、ほかの家より、物がないからそんなことにはならない」と母は断言。

え?一人暮らしのおばあさんの家にしては、ものすごく物があるんですけど。

人の遺品は捨てられても、自分の物への執着は捨てられないようです。これは「まだまだ元気」という証拠なのでしょうか?

この続きはこちら⇒食器はこんなふうに断捨離しました(写真つき)~実録・親の家を片付ける(8)

☆後書き
母はまだ元気で1人暮らしをしています。でも、いつまでも元気というわけには行かないでしょうね。

弟が徒歩で5分ぐらいのところに住んでいます。母に何かあったら、義理妹が世話をすると言ってくれているのですが。先のことはわかりませんが、なるべく誰にも負担がかからない形で天寿を全うしてくれたらいいな、と願っています。





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