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物を捨てると、どんないいことがあるの? メリットって何? そんな質問の答えが出てくるTEDの動画を紹介します。
タイトルは Getting Rid of 1000 Things(物を1000個捨てること)。プレゼンターは Liz Wright(リズ・ライト)さん。
1000個捨てること
YouTubeの動画の説明文から一部抜粋します。
Liz realized that she spent a lot of time, money and resources buying and maintaining ‘stuff’. So, she set herself the challenge to get rid of 1,000 things from her life in an attempt to live more simply and in a home she had designed. This talk, at the end of her challenge shows us the impact it has had on her.
リズは物を買ったり、管理することに、時間、お金、その他のリソースをずいぶん使っていることに気づきました。
そこで、彼女は物を1000個捨てるチャレンジを開始。もっとシンプルに、自分が意図した住まいで暮らすためにです。
捨ててみたらどうだったのか、このトークの最後で語っています。
「物の管理にうんざりしたから、とりあえず1000個捨ててみたんです。そしたらこんなことが起こりました。あなたも捨ててみませんか?」と説明するごくシンプルで短い6分35秒のプレゼンです。
すでにミニマルライフの良さに気づいている人には、おなじみの内容かもしれません。しかし、「物を捨てることの、何がそんなに言いわけ?」と、「筆子ジャーナル」を疑いの目を持ちながら読んでいる方にはいろいろと気づきが得られるでしょう。
収録は2014年。TEDxBedfordという独立イベントでの講演です。ベッドフォードはロンドンの西、32キロの地点にある街。人口は8万人とのこと。
日本語の字幕はありませんが、英語の字幕はあります。動画のあとに抄訳を書きます。短いし単語も難しくありません。
物を1000個捨ててみてわかったこと
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
きょうは、自分の人生を自分でデザインするお話をします。
自分の人生の中に、どんなものがあるのか。ここまで、大きなアイデアについてはたくさん聞きました。私はもう少し小さくて、家庭にかかわりのある話をします。
数年前、グレッチェン・ルーベンの The Happiness Project(邦題:人生は「幸せ計画」でうまくいく!)を読みました。
本を読んで、これまでの人生で、自分は大きなことばかり考えていたな、と気づきました。誰と結婚するか、どこに住むか、どんな仕事をするか。こうしたことが、幸せに関係がある、と思っていたのです。
私があまり考えなかったのは、日常の暮らしのことです。どんな物を家に持ち込み、何を外に出しているのか。日々の小さな意思決定です。こういうことが、自分の幸せとどんなふうにかかわりがあるのか、考えていませんでした。
そこで、1000個の物を捨てるプロジェクトを始めてみました。
私はタメコミアンではありませんし、そこまで物がいっぱいの家に住んでいたわけでもありません。ごくふつうの物がある、ふつうの家です。
でも、物をためこんでしまう世代だとは思っていました。両親は戦後の物のないときの価値観を持っています。
なんでも捨てずにためこみ、良い物は、特別なときのために使いません。1円でも無駄にならないように心がけます。
もしものときのために、物を持ち続けるのです。
80年代に育った私は、消費主義の中にいました。シリアルのおまけでもらえる小さな物は全部集めて自転車につけなければ、と思っていたのです。
いろいろな価値観の中にいたわけですが、基本的にこんなふうに思っていました。
持っている物は捨ててはいけないし、たくさんの物を買う必要がある。こうすることが、自分の気分をよくしてくれるんだ、と。
だから、家の中にずいぶん物があったのです。しかも、自分では忘れていた物がたくさんありました。
そこで、もし物を1000個捨てたら、何が起きて、どんなことを感じ、それが、自分の幸福にどんなふうに関係があるのか知りたいと思いました。
私の1000個捨てるプロジェクトのルール
私は会計監査人なので、細かいルールを決め、やるべきことをリストにしました。
靴1足は同時に使うので1つ、イヤリングとおそろいのアクセサリーは1つずつ使うので、それぞれ1つとカウント。
売った物もありましたが、このプロジェクトでお金を作ろうとは思っていませんでした。
大事なのはとにかく物を捨てること。どうやって捨てるか、捨てた物がどこに行くかは重要ではありません。もちろんできるだけ寄付したり、リサイクルに回しましたが。
ポイントは、物を捨てて、もっと幸せを呼び込むことです。
人からもらった物も捨ててもいいことにしました。私は、贈り物をもらったら、たとえそれを気に入らなくても、持っていなければならない。捨てるのは失礼なことだ、と信じていたのです。
そこで、「プレゼントを捨ててもいいんだよ」と自分に許可を出しました。
難しかったのは、夫の物を捨てることです。自分の物は簡単に捨てられますが、ほかの人の物を捨てるのは難しいですね。
家にあるたくさんの物に愛着がありましたが、自分の物を捨てる判断は簡単です。しかし、他人の物は難しいので本人に、そうすることを試してもらうしかありません。
夫は、前よりはましになりましたが、1000個は捨てていません。
捨てるために行なったチャレンジ
1000個捨てるためにこんなチャレンジをしました。皆さんも試してみるといいと思います。
●土曜日にチャリティーショップに50個持っていく、と決める。
こういうふうに決めることで、捨てることがすすみました。
●ハンガーチャレンジ
クローゼットのハンガーの向きをみんな変えて、その服を着たら、ハンガーの向きを元通りにして収納しました。しばらくすると、ちゃんと着ている服と全然着ない服がわかります。
やせたら着よう、ぴったり合うアクセサリーが見つかったら着ようと思っていた服を、このチャレンジで発見し、捨てることにしました。
●ボックスチャレンジ
引き出しやあるエリアにある物をすべて箱に入れて、使うときに取り出します。使ったものは元の場所に戻します。ある一定の期間、これをやってみて、箱の中に残っているものは捨てます。
1000個捨てたらどうなった?
1000個捨て終わったら、私の家はより軽く、明るく、風通しがよくなりました。いくつか学んだこともありました。
1.物を捨てること、特に誰か使ってくれる人の手に渡すのは、それを買うことと同じくらい気分がよい
家に置いてある物のことより、人にあげた物のことのほうをよく覚えています。
2.物に価値があるわけではない。
ある物に執着してしまうのは、自分がそれに価値があると思っているからです。
3.収納では解決できない。
イケアや広告が何と言おうと、物を捨てて、所持品を減らすことが、収納を簡単にする最良の方法です。
捨てて自分の気持ちを確かめてみよう
物を買ったり、修理したり、持ち続けるのは、時間、お金、エネルギーを使います。すべて、人が「足りない」と考えているリソースばかりですよね。
捨てれば捨てるほど、ほかのことをする時間ができました。人を招くのも簡単になったし、レシピ本を減らしたら、作る料理のレシピも探しやすくなりました。
前より活力と時間を得られ、開放的になりました。
最後に言いたいのは、たとえある物を捨てたとしても、本当に捨てたことにはならないということ。eBayのようなサイトがありますからね。
捨てた物が、またどうしても必要だと思ったら、ごく安い値段で手に入れられます。eBayが倉庫みたいなものなのです。
捨てようかなと迷ったら、とりあえず捨てて、様子を見てください。
きょう、家に帰ったら、1つでも、10個でも、100個でもいいので捨ててみてください。そして、どんな気分になるのか、チェックしましょう。
/////抄訳ここまで////
単語の説明
Gretchen Rubin グレッチェン・ルーベン。 幸せな暮らしについて書いている作家。
動画に出てきた本(The Happy Project 邦題:人生は「幸せ計画」でうまくいく!)はこれです。
日本語で「プロジェクト」は大規模な事業計画をさしますが、英語の project は、個人的なちょっとした活動や計画も意味します。
椅子を張り替えるとか、どこかにペンキを塗るとか、単語を100個覚えるとか、たまっているレシピの切り抜きを整理するとか。
グレッチェン・ルーベンの本は読んだことはありませんが、この人が毎週配信しているポッドキャストはよく聞いています。
ポッドキャストは、Happier というタイトルです。グレッチェンはニューヨークに住んでいますが、LAに住んでいる妹と話しながら進んでいきます。
hoarder ホーダー
ものをため込む人。
数字を使ったほかのチャレンジの例
100個だけ残す⇒100個チャレンジをして人生を変える・デーブ・ブルーノ(TED)
3ヶ月間33アイテムだけ身につける⇒ミニマリストらしいファッションの選び方。プロジェクト333のすすめ。
私がやった日付を利用するチャレンジ⇒アドベントカレンダープロジェクトは物を捨てたいあなたにおすすめ。
日付を決めて行うプロジェクト⇒マット・カッツに学ぶ30日間で人生を変える方法~30日間チャレンジのススメ(TED)
1ヶ月で行うミニマリストチャレンジ⇒30日間ミニマリストチャレンジのススメ。1ヶ月だけミニマル思考で暮してみよう
このほかに、1個入ったら、1個捨てる、ワンインワンアウトなどいろいろあります。
日々の小さなことが人の幸福を決める
リズさんの話でおもしろいと思ったのは、結婚、仕事など、人生の大きなイベントが人の幸福に直結すると考えていたけれど、実は、幸福はもっと身近なことが関係していた、という点です。
確かに、どこに住むか、どんなキャリアを進むか、給料はどれぐらいか、といったことは、自分の人生をかなり左右するかもしれません。
しかし、どんな人も、日々の生活を積み重ねて生きています。毎日のちょっとしたところに、幸せの種(たね)がひそんでいるのです。
望みの仕事についているのに、好きな人と結婚したのに、なんとなく日々が不満、おもしろくない、と感じる人は、自分の生活空間にどれだけの物が入りこんできているのか、入ってきた物は、どんなふうに使われているのか、といった点に無頓着なのかもしれませんね。
かつての私やリズさんのように。
10月に入ったばかりですし、何か自分なりの目標を作って、チャレンジするのもいいと思います。
上でリンクした「30日間チャレンジ」の動画でマット・カッツが言っているように、何をしてもしなくても、1ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。
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今回は物を1000個捨てて、身軽になったわ~と語るリズさんのプレゼンを紹介しました。
捨ててどんな気分になるかは、捨ててみないとわからないのです。捨てるメリットを探してネットサーフィンを続けるより、まずは捨ててみることをおすすめします。