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心配性の人が楽になれる方法を教えてくれるTEDトークを紹介します。
タイトルは、How to Calm Your Anxiety, From a Neuroscientist (心配を鎮める方法、脳科学者より)。
脳科学者のWendy Suzuki(ウエンディ・スズキ)さんのプレゼンです。
邦題は、脳科学者による心配性を抑える方法。
心配を鎮める:TEDの説明
What if you could transform your anxiety into something you can actually use during your work day? Neuroscientist Wendy Suzuki shares two evidence-based activities — breathing and movement — that can soothe your nervous system and fuel creativity and connection.
心配を、仕事をする日に利用できるものに変えることができるとしたら?
脳科学者のウエンディ・スズキは、神経を落ち着かせ、創造性とつながりをうながす科学的に証明された2つの方法を紹介します。それは、呼吸と動くことです。
2023年3月にアップされた動画で、長さは、7分18秒。日本語字幕あり。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
短いので、昼休みなどに見ることができますね。
心配は自分を守ってくれるはずのものだった
上司から微妙なメールを受け取ったあと、手に汗をかいたり、胃の中が変な感じになったりしますよね?
不安になるわけです。
ほとんどの人が、心配は悪いことだと思っています。どんなことをしても避けねばならないことだと。
でも、そうではないとしたら?
全身をかけめぐる不安というエネルギーを、自分を助けてくれるものに変えることができるとしたら?
世界的に、不安のレベルは、病気と呼ばれるものも、日常的なものだと考えられているものも、近年、ひじょうに増えています。
さらに、多くの人は、職場で不安を感じます。
私たちは、心配は、はしっこにおしやって忘れたいと考えています。でも、進化の過程において、心配することは、危険を避けるという、ひじょうに重要な役割をもったツールでした。
では、なぜ、私たちは、心配によって自分が守られていると感じないのでしょうか?
実は、個人でも、集団としても、不安のレベルが、上がりすぎてしまったため、本当ならよいことであったはずの心配が悪いものになってしまったのです。
今日は、不安を鎮め、心配を、もとの、助けとなる防御するものに戻すことができる、科学的に証明された2つの方法を紹介します。
2つとも、体とつながることから始まります。
呼吸する
1つ目は呼吸です。ただ、深呼吸をするだけです。
ゆっくり吸って、ゆっくり吐きます。
これが、心配を鎮めるのに一番速く効く方法です。
深呼吸は、自然にストレスをなくす、副交感神経系を直接活性化します。
ボックス呼吸法(boxed breathing approach)をおすすめします。
4つ数えながら深く息を吸い、息を止め、4つ数えて、4つ数えながら息を吐き、また、息を止めて4つ数えます。
これなら、会話をしている最中に、どんどん不安になるときにも、誰にも気づかれずにできますよ。
古代のお坊さんから、現代の瞑想者まで、多くの人が、この方法を使ってきました。
体を動かす
2つ目のツールは体を動かすことです。
これもまた、すぐに、気分を変える効果があります。
体を動かすたびに、脳にある、よい効果をもたらすたくさんの神経伝達物質が分泌されます。
たとえば、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、エンドルフィンといった、気分をポジティブにさせ、ネガティブな感情を減らすために働く神経伝達物質です。
体を動かすたびに、脳のために、神経伝達物質で満ちた泡のお風呂に入るようなものです。
上司からメールが届き、どきどきしてきたら、どうしたらいいか?
オフィスにいるなら、そのへんを少し歩くか、付箋を取りに、備品のある棚まで歩きましょう。
自宅で働いているなら、好きな曲を1~2曲かけて、居間で踊りましょう。
気分を上げるのに必要なのは、たった10分のウォーキングだと研究からわかっています。
締め切りがせまってストレスを感じているときや、重要な会議の前は、ちょっと動いてみるか、がんがん掃除機をかけるか、ジャンピングジャックをするか、エレベーターを1階分、早く降りて、階段をのぼってみてください。
このような動きはすべて、心配のレベルを下げてくれます。
事実、私はこれを、NY大学の生徒に試してもらいました。
まず、学生たちに、自分の心配のレベルを調べさせ、次に、口で、自分を安心させる言葉を言いながら、キックボクシングやダンス、ヨガ、格闘技など、動くことをやってもらい、そのあとまた、心配のレベルを調べてもらいました。
その結果、動いたあと、学生たちの心配のスコアは、通常時のレベルまでさがったんです。
この方法はとても強力だし、すぐに、日常生活で試せますよ。
次にストレスを感じたら、動くことを心がけてください。心配のレベルが下がります。
心配に気づくとできること
体とつながり、心配を鎮めたら、2つの重要なことが起きます。
まず、メールが来たとき、何が自分を心配にさせるのか、判断しやすくなります。
考え過ぎのせいなのか、特定のスキルに不安があるせいか?
つまり、心配という感情を、進化の過程でそれが使われてきたように、使うことができるようになるのです。
心配によって、潜在的な危険に気づき、日常生活でその危険を、効果的に、創造的に処理する道を見つけられます。
心配というシグナルを受け取ったら、そのことを他の人に話すことができます。
難しい問題が生じたら、信頼できる同僚にアドバイスを求めることができるでしょう。
プロジェクトの優先順位について、上司と話すこともできます。
もう、「戦うか逃げるかモード」ではないので、人に助けを求めることを、脅威とは感じないのです。
こんなふうに心配を取り扱う一番のメリットは、周囲の人が感じている心配にも気づけるようになることです。
すると、その人が大変なときに、笑顔と優しい言葉で、サポートできます。
言い換えると、自分の「心配」という感情が、「共感」というスーパーパワーを生み出してくれるのです。
今の世の中で、高いレベルの共感ほど、必要なものはないと思います。
呼吸をし、動いて、心配が知らせようとしていることに気づけば、より充実して、クリエイティブで、つながりがうまれ、ストレスが減ります。
これこそ、私が皆さんに願っていることです。
//// 抄訳ここまで ////
ウエンディ・スズキさんの著書です。
以前、ウエンディさんの別のプレゼンを紹介しています。
仕事で役立つほかのプレゼン
自信を失わせる3つの習慣とその落とし穴にはまらない方法(TED)
なぜセルフ・エフィカシー(自己効力感)が重要なのか?(TED)
人生において運が果たす役割とは?:バリー・シュワルツ(TED)
練習しておこう
心配を和らげるのに役立つのは、深呼吸と体を動かすこと。
これを知っている人は、たくさんいると思いますが、緊張や不安がどんどん押し寄せてくるときは、気持ちに余裕がないため、深呼吸や運動ができなかったりしますよね。
だから、ふだんから練習しておくといいと思います。
ちょっと嫌な気分になったら、とりあえず、深呼吸をするか、そのへんを歩く。
何度もやっているうちに、肝心のとき、うまく深呼吸と運動ができるんじゃないでしょうか?
深呼吸や運動は、べつに心配なときじゃなくても、行うと気分がよくなるので、仕事や家事の合間や、ちょっとしたすきま時間にやってみてください。
スマホでSNSを見るより、自分のためになります。