ランニングシューズ

TEDの動画

運動は脳によい変化をもたらし人生を変える(TED)

運動にはさまざまなメリットがありますが、脳の働きにも効果があるんだよ、と教えてくれるTEDの動画を紹介します。

タイトルは The brain-changing benefits of exercise (脳を変える運動のメリット)。講演者は、神経科学者のウェンディー・スズキ(Wendy Suzuki)さんです。

邦題は「脳によい変化をもたらす運動の効果」。



運動の効果:TEDの説明

What’s the most transformative thing that you can do for your brain today? Exercise! says neuroscientist Wendy Suzuki. Get inspired to go to the gym as Suzuki discusses the science of how working out boosts your mood and memory — and protects your brain against neurodegenerative diseases like Alzheimer’s.

きょう、脳を変えるためにできる、もっとも効果的なことはなんでしょうか?

それは、運動です、と神経科学者のウェンディー・スズキは言います。

いかに運動が、人の気持ちや記憶を向上させ、アルツハイマー病のような神経変性疾患を予防するのに効果があるのか?

スズキの話を聞いて、ジムに行くモチベーションをあげましょう。

2017年11月に行われたTEDWomenでの講演です。

動画の長さは13分。日本語字幕もあります。動画のあとに抄訳を書きます。

☆トランスクリプトはこちら⇒Wendy Suzuki: The brain-changing benefits of exercise | TED Talk

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

運動は脳によい影響あり

今すぐできることで、脳にとても効果があること、気分や集中力にも効果的なことがある、と言ったらどうしますか?

その効果は長く続き、うつ病やアルツハイマー、痴呆の予防もできると言ったら?

やってみますか?

そうですよね。

私は、運動のすばらしい効果のことを言っているのです。

身体を動かすだけで、すぐに脳を守る効果があり、それは長続きします。

生涯続きうるのです。

きょうは、なぜ、神経科学者である私が、運動が脳にもたらす効果を身をもって確かめることになったのか、お話しします。





前頭前皮質と海馬

これは本物の人の脳です。

人間の脳

きょう話すことに関係のある、重要な部位が2つあります。

まず、前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ、prefrontal cortex)、額のすぐ後ろにあります。

ここは意思決定や集中すること、注意を向けること、人格をつかさどる重要な部分です。

もう1つの重要な部位は、ここにある側頭葉(そくとうよう、temporal lobe)です。側頭葉は右と左の2つあります。

側頭葉の奥に、事実や出来事に関して、新しい長期記憶を作り、維持するのに欠かせない海馬(かいば、hippocampus)があります。

わたしは、ずっと海馬に関心がありました。

どうやって、ほんの一瞬のできごと、たとえば、ファーストキスや、初めての子どもが生まれたときのことが、記憶となり、脳を変え、一生続くのだろう、それを知りたいのです。

海馬にあるそれぞれの細胞の活動を記録し、新しい記憶が作られるさまを研究したいと思いました。

ほんの一瞬の電気の動きを解読したいと思ったのです。どんなふうにニューロンが伝達しあい、一瞬のできごとが記憶となったり、ならなかったりするのか?

研究しかやっていなかった私

数年前、私は、科学の世界では異例なことをしました。フルタイムの神経科学者の教授でしたが、リサーチする分野を180度変えることにしました。

たくさんの人の人生を変えるかもしれない、すばらしいできごとに遭遇したからです。

運動が脳を変えることを発見し、身をもって経験もしました。

それはまったくの偶然でした。

わたしは、これまでやってきた記憶に関する研究の頂点にいました。毎日、たくさんのデータを調べ、記憶の研究者として知られつつありました。

この先、よい人生が続くはずでしたが、実際は違いました。

研究はうまくいっていましたが、ラボを出た時、研究以外のことは何もしていない自分に気づきました。

身体も全然動かしておらず、25ポンド(およそ11キロ)太りました。

気づくまで何年もかかりましたが、私は、みじめだったのです。

川下りがきっかけで運動を始める

みじめでいちゃいけない、と思ったので、川下りの旅に参加しました。1人で。友達いませんでしたから。

帰ってきたとき、川下りに参加した人の中で、自分がいちばん非力だと思いました。

リバーラフティングをやって、自分が一番かよわい、と感じるのは二度とごめんだ。そこで、ジムに行き始めました。

私はタイプAなので、ジムにある、あらゆる運動のクラスを受けました。全部やりました。

キックボックス、ダンス、ヨガ、ステップクラス。

はじめはきつかったのですが、運動をすると、とても、気分がよくなり、活力がみなぎることに気づいたのです。

だからこそ、ジムに行き続けました。

より頑丈になったし、気分もよくなったし、増えた体重も落ちました。

運動を始めたら仕事がはかどるように

1年半、運動プログラムに参加して、すごいことに気づきました。

私はデスクに座って、研究のための助成金を申請する書類を書いていました。そのとき、これまで感じたこともないことを感じたのです。

「あら、なんだかきょうは、助成金申請が、スラスラ書けちゃう」。

この話をすると、科学者はみな、笑います。助成金申請の書類を書くのは、決して楽しい作業ではないのですから。

いつもとっても大変で、苦しみながらお金を得られるに足るアイデアを絞り出して、書くものです。

前より、集中して、注意深くいられるから、助成金申請をスラスラ書けている、と気づきました。

長期記憶も向上しているようでした。

もしかしたら、運動のおかげで、脳が変わったのかもしれない。知らないうちに、自分で実験していたのかもしれない。

こう思った私は、運動が脳に与える影響について書かれた文献はないか調べてみました。

運動が効果的な理由

すると、運動をすると、気分がよくなったり、エネルギーが湧いてきたり、記憶や注意力が向上することを示すリサーチがたくさんあり、現在も日々、データが出ていることがわかりました。

調べれば調べるほど、運動の威力に気づきました。

そこで、研究分野を変えることにしたのです。

運動と脳の関係を数年間研究し、つぎの結論にいたりました。

脳を変えるために、きょうできることで、もっとも効果的なのは運動である、と。

理由は3つあります。

1.すぐに効果がある

1回運動をするだけで、神経伝達物質(neurotransmitter)が増えます。ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどが活性化されるので、運動のあとは、気分がいいのです。

2.効果が持続する

私の研究では、運動して、集中力や注意力があがると、その効果は少なくとも2時間続きます。

3.反応が早くなる

運動すると、反応時間も、早くなります。

つまり、カウンターから落ちそうなスターバックスのカップを、すばやくキャッチできる、ということです。

ただ、こういう効果は、そのうち消えます。

もっと長期的な効果を得るには、運動のタイプを変えて継続し、心肺機能を強化することが必要です。

そうすれば長期的な効果をのぞめます。

運動すると、脳の構造も、生理作用も、機能も変わるからです。

運動が脳に与える効果

1.海馬が大きくなる

運動すると、海馬に新しい脳細胞ができます。すると海馬のボリュームが増え、長期記憶が向上します。

2.注意力がアップする

前頭前皮質がつかさどっている注意力が向上します。

3.その効果は長続きする

気分よくしてくれる神経伝達物質はずっと増え続けます

脳の病気を予防する効果もある

脳が運動に与える効果でもっともすごいのは、脳を守ることです。

脳を筋肉だと思ってください。ワークアウトすればするほど、海馬や前頭前皮質が、より大きく、より強くなります。

海馬と前頭前皮質は、神経変性疾患にもっともかかりやすい部位であり、加齢による認知の衰えにも関係のある部分です。

運動をしたからといって、痴呆やアルツハイマー病が治りはしません。

ですが、運動をして海馬と前頭前皮質を鍛えると、こうした病気の影響をうけるまでの時間をのばせるのです。

運動は、脳にとって、たっぷりとチャージされた401K(アメリカの確定拠出年金)みたいなものです。

年金よりもいいです。だって、運動は無料でできますから。

どれぐらい運動するべきか?

ここまで話すと誰もがこういいます。

「それはおもしろいわね、ウェンディー、でも1つだけ知りたいことがあるのよ。そういう効果を得るには、最低どれだけ運動すればいいの?」

答えを言います。

基本的に、週に、3~4回、最低30分の運動をすればいいのです。有酸素運動をします。

心拍数をあげる運動です。

高いお金を払ってジムのメンバーになる必要はありません

散歩するとき、1ブロックぐらいパワーウォークをしたり、階段を上ったりします。

がんがん掃除機をかけるのも、効果があります。

今後の課題

私は記憶のパイオニアから、運動の探求者になりました。脳の奥にあるものの研究者から、運動が脳に与える効果の研究者に変わったのです。

いまの私のゴールは、さっき、お話しした「最低30分、週に3~4日の運動」という大まかなルールを超えることです。

年齢やその人のフィットネスレベル(有酸素運動能力)、遺伝的な要素を考慮して、1人ひとりが、どれぐらい、どんな運動をするのが最適なのか、見出したいのです。

運動について話すことと、実際にすることは違いますよね。1分間、コールアンドレスポンスの運動をしましょう。

いまこの場で立って運動をしましょう。

私がやっていることをやり、言ったことを言ってください。

。。。以下、運動部分は省略 。。。

最後にお伝えします。

暮らしに運動を取り入れると、より幸せで生産的な人生になるだけでなく、治すことのできない病気から脳を守ることができます。

つまり、人生をよい方向に変えることができるのです。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

river rafting  リバーラフティング。ゴムボートにのり、川(激流)をくだります。1人でやるのではなく、何人かグループになって、パドル(かい)を使ってくだっていきます。

わりと危険なので、ライフジャケットを着てやります。

type-A personality   タイプA 

競争に勝ちたいと強く思っていて、過剰なまでに活動的で、せっかちで、怒りっぽい傾向のある人。

向上心があり仕事熱心で、すごくがんばるので、業績をあげますが、ストレスをかかえやすく、心臓の病気にかかりやすいです。

むかし、典型的なタイプAの上司がいました。やり手でしたが、すぐに興奮するので、はためいわくだし、長生きはできないだろうと思って見ていました。

research grant  研究のための助成金

rule of thumb  おおざっぱなルール、経験則

power walk  心拍数があがるウォーキング。早歩き。

call and response  呼びかけに答える形ですすむ音楽や運動。

trajectory  軌道、経路、道筋

ウェンディーさんの本、Healthy Brain, Happy Life: A Personal Program to to Activate Your Brain and Do Everything Better です。

キンドル版です。オーディオ版(日本のオーディブルで聞けます)もあります。

脳や記憶に関するほかのプレゼン

アルツハイマー病を予防するためにできること(TED)

しっかり眠ることが大切なもう一つの理由(TED)

頭をよくするシンプルな5つの方法。脳を活性化して最大限に使うには?(TED)

行動を変えるには、自分をうまく仕向けることが必要(TED)

あなたの記憶はどの程度信用できますか?(TED)

ワーキングメモリ(作業記憶)をうまく使って目の前のゴールを達成する(TED)

実際の体験とその体験の記憶の幸福度は違う:ダニエル・カーネマン(TED)

運動のすすめ

ちょっと前までは、大人になったら、もう脳の構造は変わらないし、年をとったら衰えていくだけ、と考えられていました。

しかし、最近の研究では、その人のライフスタイルによって、脳は活性化されもするし、逆に衰えもする、という考え方が主流です。

日中受動的にテレビばかり見ているお年寄りの脳が、一人暮らしで、いろいろな作業を考えながらやらざるをえないお年寄りの脳よりも、衰えるスピードが早い、というのは、しろうとにも想像がつくことです。

脳も臓器なので、それなりに使わないと、だめになってしまうのです。

物も身体もちゃんと使わないと機能不全に陥るわけです。

使うためにあるのですから。

いま、生活が便利になって、人類全体が運動不足だし、毎日が忙しく、運動に時間をさくのはもったいない、と考える人も多いです。

実際、読者の中にも、「私は筆子さんみたいにひまじゃないから、朝走ったり、モーニングページを書いたりできない」というメールをくださる方もいます。

ですが、1日は24時間あり、1週間は168時間あります。

自分の身体や脳を守るために、しっかり睡眠をとったり、運動をすることに、何よりも優先して時間を使うべきではないでしょうか?

*****

50歳からスロージョギングを始め、11年目に入りました。

毎朝1時間走っている、というと日本の友達からは「暇人ね」みたいな目で見られることが多いのですが、日々、自分がやっている行動の中で、特に人におすすめしたいものの1つです。

べつにウォーキングでもいいですけど。スピード的には、私のジョギングは早歩きに負けています。

ウェンディーさんの言っているように、お金はほとんどかかっていません。多少、いい靴を買うぐらいです。

外に出るときはこの靴しか履かないので、お金をかけても十分元がとれます。脳を守るとあれば、なおさらです。





ピックアップ記事

  1. 筆子の新刊「それって、必要?」7月20日発売のお知らせ。著者による内容紹介です。…

関連記事

  1. 地球儀

    TEDの動画

    世帯収入ごとにみる世界の人の暮らし(TED)

    世界のあちこちで、世帯収入ごとの生活ぶりわかる写真を撮影し、データとし…

  2. 少女

    TEDの動画

    いかに子供のころのトラウマが生涯の健康に影響を与えるか(TED)

    より健康に生きるために参考になるTEDの動画を紹介しています。今回はス…

  3. スケジュールを考える

    TEDの動画

    仕事の失敗でいちいち落ち込まない方法。親切で、優しい成功哲学(TED)

    ちょっと仕事に失敗しただけでどーんと落ち込む。ついつい自分と他人を比較…

  4. 悲しむ女性

    TEDの動画

    つらいことがあったとき、自分で応急手当する方法。心の傷をないがしろにしてはいけない(TED)

    日々の生活や人生の質が向上するインスピレーションになるTEDの動画を紹…

  5. スマホで撮影

    TEDの動画

    1日1秒間、毎日記録する:シーザー・クリヤマ(TED)

    日々を豊かにするごくシンプルなアイデアを教えてくれるTEDの動画を紹介…

  6. プレゼンテーション

    TEDの動画

    もっと充実した毎日をおくりたいあなたに:TEDの記事のまとめ、その4

    当ブログの人気コンテンツの1つである、TEDの記事をまとめまいた。まと…

「お気に入り」に登録する

ブックマークしてまた遊びに来てね。

Ctrl+D 同時押しで登録できます。

更新をメールで受け取る

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

884人の購読者に加わりましょう

新しく書いた記事を読む

  1. 木製の食器いろいろ
  2. お金の計算中
  3. 積み重なったタオル
  4. 貯金箱
  5. ティッシュペーパー
  6. 買い物
  7. ゼロ・ウェイストな暮らし
  8. 会話する友達同士
  9. 年を取っていても幸せそうな女性
  10. タオルを置いた棚

筆子の本・10刷決定です

オーディオブック(Audible版)も出ました♪ 捨てられない人は要チェック

 

1週間で8割捨てる技術
 
⇒筆子の本が出ます!「1週間で8割捨てる技術」本日より予約開始

 

実物の写真つき紹介はこちら⇒「1週間で8割捨てる技術」筆子著、本日発売です(写真あり)

大好評・特集記事

小舟バナー

 

お金を貯める・バナー

 

実家の片付けバナー

 

ファッションバナー

 

フライレディバナー

 

湯シャンバナー

 

ブックレビューバナー

 

TEDバナー

 

歯の治療バナー

今日のおすすめ記事

  1. ロジカルに考える。
  2. 着付け
  3. 大きな荷物
  4. 汚部屋
  5. 悩む人
  6. フライパン
  7. ネットショッピング
  8. 白い机
  9. 貯金箱
  10. 1週間で8割捨てる技術

過去記事、たくさんあります♪

PAGE TOP