さんばしにたたずむ人

TEDの動画

自分でできる不安障害に対処する方法(TED)

不安障害の対処法を教えてくれるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、 How to Cope With Anxiety 不安障害に対処する方法。メンタルヘルスの専門家、Olivia Remes(オリヴィア・リームス)さんの講演です。



不安障害に対処する:TEDの説明

Anxiety is one of most prevalent mental health disorders, with 1 out of 14 people around the world being likely affected. Leading up to conditions such as depression, increased risk for suicide, disability and requirement of high health services, very few people who often need treatment actually receive it. In her talk “How to cope with anxiety”, Olivia Remes of the University of Cambridge will share her vision on anxiety and will unravel ways to treat and manage this health disorder.

不安障害はもっともよくある精神疾患の1つで、世界中で14人に1人がかかっています。

うつ病、自殺の増加、身体障害、高額医療につながるものですが、必要な治療を受けている人は、ごくわずかです。

オリヴィア・リームスは、「不安障害の対処法」というスピーチで、不安障害に対する彼女の見解と、この健康障害を治療・管理する方法を説明します。

収録は2017年、動画の長さは15分。英語ほかたくさんの字幕がありますが、日本語はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

リームスさんは、やさしい話し方をする人ですね。





人の集まる場ですごく不安になる

パーティに行く準備をしていると想像してください。

わくわくしつつも、緊張して、胃が心臓のようにバクバクします。

ハッピーになりすぎてはいけないと、自分を引き止めるものがあります。気をつけないと何か悪いことが起こると感じます。

パーティで誰に話しかければいいんだろう、誰も私と話したがらなかったどうしよう。変な人だと思われたらどうしよう。

こんな不安を感じます。

会場につくと、誰かがあなたに近づいてきて話し始めます。すると、頭がくらくらし、心臓はドキドキし、汗が出ます。

まるで、自分が自分の体から出てしまったような感じです。「しっかりしろ」と自分に言うけれど、そうできません。

事態はどんどん悪くなります。会話が始まってから数分後、あなたに話かけていた人が去っていき、手ひどい敗北感を感じます。

こんなことが、人の集まる場でいつも起きます。出かけようとするたびに、人混みの中にいるたびに、このパニックが起きます。

バスの中などで、大勢の人に囲まれていると、体が熱くなり吐き気がし、不安になります。こんな体験をしたくないから、あなたは、出かけることを避けるようになり、その結果、孤独感や孤立感を感じます。

不安障害は軽んじられている

以上のシナリオに登場する人は、不安障害です。人々が思っているよりずっとよくあることです。

現在、世界中で14人に1人が不安障害をかかえていて、毎年、これを治療するのに、420億ドル以上かかっています。

不安障害が人生に与える影響に、うつ病、学校をドロップアウトすること、自殺があります。集中力が低下し、仕事ができなくなり、人間関係の破綻につながることもあります。

しかし、たくさんの人がこのことを知りません。だから、多くの人は、不安が多いのは、単に神経質になっているだけで、克服すべきものである、それは、性格の弱さだ、と片付けてしまうのです。

しかし、不安障害はそれ以上のものです。多くの人が、重要視しないのは、それがなんであるのか知らないからです。

性格なのか? 病気か? ふつうの感覚か? いったい何なのか?

だからこそ、不安障害を正常な不安と区別することが重要です。

正常な不安とは?

正常な不安は、ストレスのある状況に置かれたときに、誰もが抱く感情です。

たとえば、森の中で、クマと対面したら、少し不安になりますよね? きっと狂ったように走って逃げ出したくなります。

こうした不安は、自分を守ってくれます。

クマを見て走り出すのは、あまりいいアイデアではないかもしれませんが。

不安は、仕事の締め切りを守り、人生の緊急事態に対処するのに役立ちますが、この不安が極端になり、脅威がないのに発生するなら、不安障害の可能性があります。

たとえば、全般性不安障害の人は、日常生活で起きるすべてのことを、いつも過剰に心配し、この心配をうまくコントロールできません。

落ち着けない、恐怖を感じる、寝付けない、作業に集中できないという症状もあります。

どんな不安も軽減できる

どんな不安でも、それを軽減する方法があります。

それは、皆さんが思っているよりずっと簡単なやり方です。

精神障害を治すために薬を使うことがよくありますが、長い目で見ると、必ずしもうまくいきません。症状が再発し、もとの状態に戻ってしまうことがよくあります。

だから別の方法を考えてみましょう。

物事への対処の仕方を変えればいい

物事への対処の仕方が、どれだけ不安を感じるかに直接、影響を与えます。

対処の仕方を変えれば、不安も減るのです。

私の勤務するケンブリッジ大学の研究では、裕福な場所に住んでいる女性より、貧しい地域に住んでいる女性のほうが不安のリスクが高いと出ました。

貧しい地域に住む女性でも、不安への対処法(対処するリソース)をもっていれば、不安はなく、それがなければ、不安になります。

別の研究では、極端な状況に直面した人、逆境や戦争、自然災害にあっても、対処法を知っていれば、健康で精神障害はないのに、対処するスキルがない人の精神状態はどんどん悪くなり、精神障害を発症しました。

ではどのような対処法があるのか? それをどうやって使うのか?

これを説明する前に伝えておきますが、これらの対処法やスキルは、日々の行動を通して、自分自身で開発できますよ。

3つの対処法をお伝えします。

人生をコントロールする

1つめは、自分が自分の人生をコントロールしていると感じることです。

自分の人生をコントロールしていると感じている人は、精神的により健康です。

コントロールできていないと感じるなら、よりコントロールしていると感じられるよう取り組むといい、とリサーチからわかっています。

例をあげましょう。

何かを始めるとき、まだしっかり準備できていないから、始めるのを先延ばしすることがありませんか?

着るもの、食べるもの、付き合う人、就職する仕事を決めるのが、難しいと感じていませんか?

何をするのか決めるのに時間がかかり、何もできなかったりしませんか?

へたにやればいい

優柔不断や、人生をコントロールできていないことを克服する方法は、へたにやること(まずく行うこと)です。

作家で詩人のGKチェスタートンの言葉に、”Anything worth doing is worth badly doing the first time. “(やるべき価値のあることはどんなことでも、最初は、まずくやる価値がある)というのがあります。

これが効果的なのは、意思決定のスピードがあがり、すぐに行動に移せるからです。

さもないと、何をするか、それをどうやってするかを考えることに、何時間も費やしてしまいます。その結果、始めることさえ怖くなります。

私たちは、よく完璧を目指してしまい、何もしないまま終わります。

自分自身に設定した基準が高すぎて、おびえてしまい、ストレスを感じます。

だからスタートを遅らせるか、まったくやらずに終わらせます。

ところが、へたにやることにすれば、行動できるのです。

何かを完璧にやりたいと思い、完璧なタイミングが来るまで、完璧にできるすべてのスキルが身につくまで、スタートできないことが、本当によくあります。

これがストレスなのです。

だから、ただやってみてはどうでしょうか?

いいとか悪いとかは気にせずに。

すると、スタートするのが本当に簡単になり、へたにやっていると思っていても、振り返ってみれば、それほど悪くないと気づくのです。

親しい友人で不安障害をかかえる人が、このモットーでいくことにしましたが、彼女はこう言いました。

「これをモットーにしたら、人生が変わったわ。前よりずっと短い時間で、タスクを完了できるようにになった。

へたにやることにしたら、リスクをおかしたり、違うことをやってみたりして、そのプロセスを楽しめるようになったの。

あらゆることから不安がなくなり、それは、期待感に変わったわ」。

へたでもいいからやり始めれば、どんどん上達します。

自分を許す

2つ目の方法は自分を許すことです。これはとてもパワフルな方法です。

神経障害の人は、自分がしているよくないことや、心配、自分の気分の悪さについてよく考えています。

あなたがうまくできないことや人生でうまくいっていないことを逐一指摘する友達がいたらどうしますか?

こんな友達とはすぐに縁を切りたいと思うでしょう。

ところが、不安障害の人は、1日中、自分自身に対して、悪いことを指摘しています。自分にやさしくありません。

自分にやさしくなり、自分をサポートすべきです。

そのために、少し前に間違ったことをしてしまったことや、過去に、間違いを犯したことを許してください。

パニック発作起きてはずかしいと思ったら、自分を許す。

誰かに話したいと思ったけど、勇気が出ずできなかったら、それはそのまま流す。

すべてを許せば、自分に対して深く思いやることができます。

これをしない限り、治せません。

人生の目的・意味をもつ

最後は、人生に目的や意味をもつことです。これはとても大事な対処法(対処メカニズム、coping mechanism)です。

人生で何をしようと、何を作り上げようと、どんなにお金を稼ごうと、誰かが私たちを必要としていることや、誰かが、私たちのなしとげたことに頼っっていること、私たちが分かち合うべき愛に頼っていることを知るまでは、完全に幸せになることはできません。

他人の称賛がなければ、人生を続けられないわけではありませんが、誰かのことを思って行動しないと、精神の健康が悪くなるリスクがあがります。

有名な神経学者のビクター・フランケル博士は、こう言っています。

“For people who think there’s nothing to live for and nothing more to expect from life, the question is getting these people to realize that life is still expecting something from them.”

「人生には何もない、人生に期待できるものはもう何もないと思っている人々にとって重要なのは、人生のほうが、彼らに何かを期待しているとわかってもらうことだ」。

誰かのためを思って行動すれば、困難な時期を乗り越えられます。

自分が存在している理由がわかり、どんなことにも耐えられます。

問題は、あなたが、最低でも1つは、誰かのことを思って、何かをやっているかどうか。

それはボランティア活動かもしれません。きょう、ここで得た知識をほかの人にシェアすることかもしれません。特に、それをもっとも必要としている人たちに。

お金がなくてセラピーを受けることができない人たちは、不安障害の割合がもっとも高い人たちです。

彼らに情報を与えて、共有すれば、あなた自身のメンタルヘルスがよくなります。

最後にもう1つ、誰かのことを思って行動する方法お伝えします。

それは、未来の世代のためになる仕事をすることです。

たとえその人たちが、あなたがその仕事をしたと気づかなくても、問題ありません。

あなた自身が、自分の人生は唯一無二のものであること、そしてそれが重要だということに気づけるからです。

//// 抄訳ここまで ////

リームスさんの本です。

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人生をコントロールする1つの方法

過剰な不安をなくすために、リームスさんは、物事の捉え方を変えることをすすめています。

具体的なやり方として

1)自分で自分の人生をコントロールしていると感じられるように生活する

2)自分を許す

3)人のためになることをする

この3つが提案されています。

どれもそんなに難しいことではありませんが、特に1番は取り組みやすいと思います。主体的に生きればいいだけですから。

シンプルライフやミニマルライフにするのは、必要なものや大事なものを選ぶ暮らしなので、自分でコントロールしている感覚を得られます。

ガラクタがたくさんある家の中で暮らすのは、物にコントロールされているし、必要でない物をどんどん買ってしまうのは、買わせる側にコントロールされています。

他にも、小さなことでいいから、目標を作って、その達成に向けて、毎日努力すると、コントロールしている感覚が得られるでしょう。

*****

人混みでパニックになる人は、医療機関にかかったほうがいいと思いますが、リームスさんが、すすめている方法は、そこまで不安が大きくない人にもおすすめです。

できごとに対する自分の解釈の総体が、その人の人生ですから、解釈を変えれば、人生も変わります。





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