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自己愛(セルフラブ)を持つことをすすめるTEDトークを紹介します。
タイトルは、How to Love Yourself in a World That Says You’re Not Enough (あなたは十分じゃないと人が言う世界で、いかに自分を愛するか?)
起業家でヨガのコーチのBranden Collinsworth(ブランデン・コリンズワース)さんの講演です。
自分を愛する
収録は2022年の10月、動画の長さは15分20秒。自動生成の英語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
自分自身の価値を認める重要性を力強く説くとてもいいプレゼンだと思います。
セルフラブこそが自分にあげる最高のギフト
ヨガのインストラクターであり、パフォーマンスをあげるコーチとしての私のミッションは、人々の最高のポテンシャルを引き出し、深い自尊心を得てもらって、自分の才能を世界にシェアする手助けをすることです。
UNLV(ネバダ大学ラスベガス校)に、私が皆にシェアしたい革命的なアイデアを聞かれたとき、答えはシンプルでした。
皆さんが、自分自身にあげることができる最高のギフトはセルフラブだと伝えたい。
「自分は十分じゃない」と感じたことがある人、手をあげてください。
私にはあります。皆さんが劣っていると思わせるために、毎年、たくさんのお金が使われているんです。
子供のときから何度も、私達は十分じゃないと聞かされます。それはずっと続き、人は、疲弊し、孤独で、空っぽになります。
私達が求めている革命は、外にある革命ではなく、内にある革命です。
自分自身を無条件に愛し始め、丸ごとすべて、不完全な美をもつ自分自身を見ること。
アンドリュー・ベネットは、「最も長い旅は頭から心までの18インチだ」と言いました。
ラスベガスのスラム街で育った
私の旅はラスベガスの東部で始まりました。きらびやかなイメージとはかけはなれた場所です。
スラム街のシングルマザーの家庭。毎日、私、母、妹は生き残るために戦っていました。
母は美しい白人女性で、美しい黒人男性との間に私を生みました。私は白と黒を混ぜたブラウンの子供です。
白人の母親とともに、スラム街で育つ茶色い子供。
私はどこにも馴染めませんでした。白人にとっては黒すぎるし、黒人にとっては白すぎるから。
他の人と違うという理由でいじめられました。
母は私を守ろうとしましたが、環境の影響は大きく、私は16歳で高校を中退し、アルコール中毒になり、ストリートの生活に巻き込まれました。
純粋さを失い、多くの友人と同じように、私は、死ぬか刑務所のどちらかに向かっていたんです。
どん底に落ちたときの決意
2年間、どんどん落ちていきましたが、どん底に落ち、バス停にいたとき、人生を変えなければならないと思ったのです。
ストリートで死ぬ運命なら、せめて、脱出を試みてから死にたい。
私は世界に自分が誰なのか証明したかった。自分には価値があることを証明したかった。
私は人々に注目され、ここに存在するのに値すると証明したかったのです。
それから14年、世間に私の価値を認めさせるため、私はがんばりました。
家族の中で初めてカレッジに行き、UNLVで学士号を取り、ペンシルベニア大学で心理学の修士号を取り、起業家として成功し、世界中のトップと仕事をし称賛を得て、国際的にナイキと契約している唯一のトレーナーとなりました。
私の中にいる少年が、「僕を見て、今、僕は価値がある!」と叫びたがっていました。
成功しても空っぽだった
ある日、ラスベガスのハイライズのマンションのペントハウスのバルコニーに座って、一度は私を飲み込もうとしていた街を見ていたとき、気付いたのです。
私はいまだに自分を愛していないことを。
いまだに自分には価値がないと思っていました。心の中がからっぽでした。
人に称賛されれば、成功すれば、お金を稼げば、もっと違うふうに感じると思っていましたが、外側が変わっても、自分の中は変わっていなかったんです。
2ヶ月後、私はバリ島に行き、ヨガのクラスで学び始めました。
ヨガの先生が私に言いました。
「ブランデン、きみは外側のことはわかったけど、自分の中のことは、いまだにどうなっているかわかっていないね。自分の価値が内側から来るようになるまでは、きみはずっと空っぽだよ」と。
内面と向き合った
しばらくして、私はそれまでのキャリアを捨てて、東南アジアに引っ越し、ヨガの教師になりました。
それまでずっと、外側のゲームで勝つことに集中してきましたが、外にあるゲームに勝つためには、自分の中のゲームに勝たなければならないと気付いたのです。
それ以来、私はありのままの自分を愛そうとしています。ときにはうまくいきません。でも、私の人生は変わりました。
ヨガ、武道、瞑想、祈りなど、すべては自分と向き合うことを教えています。
自分の心の声を聞き、自分を愛するべきなのです。
ヨガにはアヒムサという考え方があります。アヒムサは思いやりや非暴力という意味です。
外側に思いやりの心を向けるのは簡単ですが、同じ気持ちを自分自身に向けるのはとても難しいです。
友達から、自分が自分に話しているような言葉をかけられたら、その人とはもう友達とはいたくなくなるでしょう。
私達の身体は自分が自分に話している言葉や、自分が自分について考えていること、自分自身について信じていることを常に聞いています。
皆さんがどれだけ成功していよう、お金を持っていようと関係ありません。
自分自身を愛さなければ空虚さは消えない
自分自身を愛していなければ、いつも空っぽなのです。
本当のセルフラブは無条件の愛です。自分のすべてをお祝いします。たとえ、誰もお祝いしてくれなかったとしても。
自問すべき重要な質問は、誰もいいと言ってくれない自分の一部を愛しているか? 一番愛せない部分も愛しているか? もう何も修正することなどないと感じるように自分を愛せるか? です。
傷や痛み、失敗、闇、すべてを愛するべきなのです。
これは、迂回することではありません。変えたほうがいい部分を変えるな、という話でもありません。
自分を憎むことと愛することは同時にできないと思い出す話なんです。
ラディカルに自分を愛す機会があり、自分を愛し、育み、容赦なく自分を表現することに関わっています。
私は、ラディカルセルフラブという言葉を使いました。「私は十分すぎるほどで、自分をそのように扱うことにする」と思うところに、生は根ざしています。
では、自分を憎むよう仕向けられるこの世界で、どうやったらセルフラブを育めるでしょうか?
ストリーㇳから空に向かう自己愛の旅路で、私が学んだ6つのルールを紹介します。
セルフラブは、以下のことを私に教えてくれました。
1.誰もあなたにはなれない。それこそがあなたのパワーだ
皆さんは、人間の生という、全宇宙でももっとも奇跡的なものの1つを与えられています。
それより重要なのは、それがあなた自身の生であることです。
あなたがあなたでいることはとても神聖で無限です。別のあなたが生じることは決してありませんから。
この世界はこれ以上クローンを必要としていません。偽物もいらない。人工的なものもいらない。
あなた自身であるあなたを必要としています。
ありのままの自分を祝福すれば、自分の才能や強みがもっともすばらしい形で発揮できるスペースが生まれます。
2.自分を価値ある人として扱いなさい
数年前、セラピストが私に聞きました。
「ブランデン、あなたは自分のことを価値があると考えていますか?」
何年も自分に深く向き合ってきて、ようやく私はこの質問に「はい」と答えることができました。
自己愛は、自尊心の副産物です。
自分を本質的に価値あるものと捉えることができれば、自分のことをもっとよく扱えるようになります。内側への愛情が外側を照らします。
クライアントと仕事をするとき、ワークアウトや瞑想を始めさせることより、自分自身を価値あるものとして扱えるようにさせることのほうがずっと重要です。
自尊心があれば、新しい基準が生まれ、それは人生のあらゆる面に影響を与えます。
身体に取り入れる栄養から、人間関係の境界線、恋愛、キャリア、教育の進路まで、すべてがよいほうに変わります。
3.他人と自分を比べるのをやめる
ソーシャルメディアには、他の人の生活のハイライトがえんえんと流れるので、人と比べてしまいがちです。
自分がなんであるかより、自分がなんでないかという思考の中で迷ってしまいますよね。
ストリートで育ち、貧しかった私をなぐさめてくれたのは漫画でした。
特に好きなのはX-メンです。X-メンで一番好きだったのは、チームが全員、特殊能力をもつ普通の人達だったこと。
それぞれが違ったから、チームとして強力になりました。
違いやユニークなことにフォーカスしたから、魔法が生まれたんです。
比較は人の才能を殺します。比較は魔法を殺し、自信を殺します。
今、競争社会なので、比較しないほうがいいと考えるのは直感に反するかもしれません。
でも、他人と比較をすると、自分のことを心から信用できなくなります。
比較をやめれば、本当の自分があふれ出るスペースができるんです。
そして、自分自身であることは、自分の身にまとえる最強のフィルターです。
このフィルターがあれば、適正な人々を招き、よくない人々をはじくことができます。適正な機会に恵まれ、まずい機会は、はねのけます。
もっと重要なのは、そのフィルターが持続可能なことです。なぜなら自分自身であるからです。
4.混乱してもいい
「星が生まれるためには、ガス星雲が崩壊しなければならない。だから、こわれて崩れ落ちなさい。それはあなたの最後ではない。あなたの始まりなのです」。
これはゾーイ・スカイラーの言葉です。
人生はとっ散らかっています。人は過ちを犯し、失敗します。そうやって私達は学び成長します。
学校では授業があって、それからテストがあります。でも、人生ではいきなりテストが与えられ、そこから私達は学びます。
混乱の中で、人は最強の傑作を生み出します。完璧を追い求めるのはやめましょう。完璧は存在しません。
自分がただの人間でいることに、思いやり、スペース、自由を与えてください。
5.いつも自分は間に合っている
数年前、私は別れを経験し、とても落ち込みました。そこで、メンターに電話しました。
彼が電話に出るやいなや、私は、「すごく悲しくて、この別れから立ち直れそうにない」と話し始めました。
彼は、私の話の途中で、こう言ったんです。
「ブランデン、オレンジを食べたことがある? オレンジの種を取って、地面に埋めて、その種から芽が出て、だんだん大きくなって、何年も雨風に耐え、大きな木になって葉もついて、最後に完璧なオレンジを作るのってすごいよね。
オレンジの木にあるのと同じ知性がきみにもあると思わないかい? オレンジの木と同じように、私達は咲こうとしている過程にいるんだ。
オレンジの木は、自分の前の姿をネガティブに捉えたりはしない。それは、種が果実になるまでに必要な旅だと知っているんだ。
人は、いつか何かになれたら、自分を愛することができると言う。今の自分を愛している、今の自分を表現できると言わずにね」。
オレンジの木や自然にあるすべてのものと同じように、あなたは遅れてなんかいなくて、いつも間に合っているんです。
6.すべての愛は心の中から始まる
ヨガでは、世界をあるがままに見るのではなく、自分があるがままに世界を見る話をよくします。
内面世界で培ったものは外の世界に伝わり、外の経験は私たちの内なる振動の鏡となります。
ガンジーは「世界を変えなさい」とは言いませんでした。
ガンジーは「この世界で見たいと思う変化になりなさい」と言いました。
だから、平和を望むなら、もっと穏やかになってください。真実を望むなら、もっと正直に、思いやりを望むならもっと親切になりましょう。
もっと愛を望むなら、あなたが愛してください。
セルフラブは、無限の可能性へのドアを開きます。限界が無限に変わります。牢獄は、可能性のプリズムに変わるのです。
あなたはギフト
母は、4ヶ月前に亡くなりました。
母が最後に私にくれた贈り物の1つはキーチェーンでした。
そのキーチェーンには、「あなたは贈り物(You are the gift)」と書かれていました。
皆さんの銀行残高が贈り物とか、体脂肪が贈り物とか、称賛が贈り物とは書いてありません。
あなた自身が贈り物なんです。友人への、家族への、コミュニティーへの、世界への贈り物です。
自分を愛することは、毎日、この贈り物に敬意を表すことです。だから輝いてください。あなたが存在するだけで世界がよくなっていることを忘れないでください。
//// 抄訳ここまで ////
自己愛に関するほかのプレゼン
もっと自分を好きになろう。ラディカル・セルフ・ラブのすすめ(TED)。
セルフコンパッション(自分にやさしくする)の実践で人生を変える(TED)
いっぱいいっぱいのママたちへ。セルフケアはわがままじゃありません(TED)
書くことには癒やす力があり、それはシンプルなセルフケアの方法(TED)
自分をブスだと思うことがなぜ悪いのか? ありのままの自分を認めるために(TED)
オレンジ対バナナ:人と比べることで生じるダメージとその修復(TED)
無条件に自分を愛する
私がよく自己愛の動画を紹介するのは、自己愛が少なめだと、外的な承認を得ることに躍起になったり、むなしい気持ちを埋めるために買い物に走ったりするからです。
すると部屋にガラクタがたまりやすいので、シンプルに暮らしたいなら自分自身を好きになることが必要です。
自己愛や自己肯定感は同じ文脈で語られることが多いですが、自己肯定感はどちらというと、何かを成し遂げて自信がつけば、強化されます。
でも自己愛は、何をしようともしなくとも、無条件にありのままの自分を愛する気持ちです。
ブランデンさんも、最初は、仕事や学業で成功し、お金をたくさんためていい家にすめば、つまり世間に「僕はすごいだろ」と言えるようになれば、自分の価値を信じられると思っていました。
でも、実際はそういう外的な成功がいくらあっても、無条件に自分を愛せる気持ちがないと満足できません。
幸福でいるためには、シンプルに自分を愛しておけばいいのです。
自分を愛せない人は、「自分を好きになれ」と言われてもそうできないから、自分を嫌いなままかもしれませんが、人と自分を比較していると自己愛はどんどん低下するので、せめてそれはやらないでください。
汚部屋をなんとかしたいけど、買い物が止まらないなら、SNSは全部やめてもいいぐらいです。
SNSを使って、そこまで重要なことをしていないと思いますので。
一生やめろとはいいません。3ヶ月とか半年ぐらい期間を決めて、距離を置いてください。
ソーシャルメディアを使って赤の他人と自分を比較するのはよくありませんが、すごく身近にいる人(兄弟姉妹、親友、配偶者など)と比較するのも、自分のためにならないので気をつけてください。