シニア目前、主婦でミニマリストなブロガー筆子が、断捨離と節約をして「老い支度」に励む日々をつづっています。

セルフコンパッション(自分にやさしくする)の実践で人生を変える(TED)


セルフコンパッション(self compassion)についてよくわかるTEDの動画を紹介します。

セルフコンパッションとは?

セルフコンパッションの意味は動画で詳しく説明されていますが、簡単に言うと自分をあるがままに受け入れて、やさしくすることです。

compassion は、助けてあげようとする深い思いやり、おわれみ、同情です。

人と自分を比べたり、完璧主義になりすぎて、ストレスをためこみ、よけいな買い物をしてしまう人にはとても参考になるプレゼンです。

タイトルは The space between self-esteem and self compassion (セルフエスティームとセルフコンパッションの間にあるスペース)。

プレゼンターはクリスティン・ネフ(Kristin Neff)さんです。

セルフエスティームは以前記事を書いていますが、自分はこれで大丈夫だ、と思う気持ちです。

セルフエスティームについて⇒セルフエスティーム(自分を愛する気持ち)が高い人の12の特徴

動画は19分。収録は2013年です。日本語字幕がないので動画のあとに抄訳を書きます。発話はゆっくりめで聞き取りやすい英語です。

※YouTubeで見る方はこちらから⇒The Space Between Self-Esteem and Self Compassion: Kristin Neff at TEDxCentennialParkWomen

※TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

セルフコンパッションとの出会い

私はセルフコンパッションという考え方を広めるために熱心に活動しています。過去10年、セルフコンパッションという考え方が心の健康を保つのにどれほど重要であるか研究してきました。

なぜこんなにセルフコンパッションについて熱心なのかというと、自分自身の人生において、とても助けになったからです。

初めてセルフコンパッションについて知ったのは1997年のこと。カリフォルニア大学のバークレー校で博士号を取ろうとしていたときです。

私はややこしい離婚を経験し、精神的にとても大変な時期でした。就職できるかどうかも心配でした。

そこで瞑想のクラスを受けてみました。

瞑想のクラスで、インストラクターがコンパッションについて語りました。

親しい友だちにそうするように、自分にやさしくするのがすごく大切なことだと。

初めて聞いたときは、「え、自分にやさしくするのがいいことなの?」と驚きましたが、まさしくその時の私にはそれが必要だったのです。

その後、できるだけ自分にやさしくするようにしてみました。そしたらすぐに大きな違いが表れたのです。

それから仕事につき、セルフエスティームを研究しているチームと2年間働きました。このとき、セルフコンパッションはセルフエスティームにはない利点がたくさんあることに気づきました。

セルフエスティームとは?

ここで私のセルフエスティームの定義をお話します。

セルフエスティームとは、自分の価値を評価すること、ジャッジすることです。

私はよい人間なのか、悪い人間なのか。

長い間、心理学者の間では、セルフエスティームは心の健康の指標となると考えられてきました。

これには理由があり、たくさんのリサーチの裏付けもあります。

もしセルフエスティームが低く、自分のことを憎んでいると、うつになり、不安をかかえ、あらゆる心の問題が生じます。ひどいときには自殺する可能性もあります。

ですがセルフエスティームが高いのも問題なのです。

セルフエスティームの問題点とは?

セルフエスティームを高くするために人と自分を比べてしまう

セルフエスティームが高いことそのものが問題なのではなく、セルフエスティームを高くするプロセスが問題です。

アメリカの文化においては、高いセルフエスティームを持つために、自分はふつうではなく特別だと思わなければなりません。

もし自分の仕事が「ふつうですね」とか、「あなたはふつうの主婦だ」と言われたらどうでしょう?

このプレゼンが終わったあと、「ふつうだった」と聞かされれば私はがっかりします。

ふつうじゃだめなんです。ふつうであることや平均的であることは侮辱と考えられます。

ここで問題なのは、私たち全員が同時に平均以上になれないことです。みんなが「ふつう以上になりたい」と思い始めると、人と自分を比べてしまうのです。

他人が自分よりだめなら、自分は上にあがり、自分のことをよく思えます。

事実、人によっては極端にこう考えてしまい、アメリカではナルシシズム(自己愛を持つこと)が強い傾向にあります。

過去25年間、大学生のナルシシズムのレベルはもっとも高く、それはセルフエスティームを重んじる文化のせいだと考えられています。

自分が他人よりよいのだと感じる傾向のせいで、多くの社会問題が起きています。学校でのいじめもその1つ。なぜ子供たちは他の子をいじめるのか?

それは、人をいじめることで、自分がより強いのだと感じるため、という理由もあるのです。

偏見もそうです。

なぜ私たちは、特定の宗教、人種、政党がほかより優れていると思うのか。それも一部には自分たちのセルフエスティームを高めるためなのです。

セルフエスティームは成功とひもづいている

セルフエスティームのもう1つの問題点は成功とひもづいていることです。

自分が大事だと思っていることで成功したら、人のセルフエスティームは高くなります。

では、もし失敗したら?

がっかりして、自分のことを悪く考えてしまいます。

特に女性においてこれは大きな問題です。

女性が自分のセルフエスティームを高めようと、自分と他人を比べるとき、もっとも重要視するところはどこでしょうか?

そうです。

現代の女性の考えている「魅力的であること」はずいぶん標準が高いですね。

スーパーモデルを目にして、「自分は平均より上だ」と感じることなんてできるでしょうか?スーパーモデルですら、ほかのモデルの自分を比べて、不安を感じているのに。


小学校3年の男子と女子を考えてください。

3年のときは、男女とも、自分はずいぶん魅力的だと思っていて、セルフエスティームも高いです。

男子の場合、6年の終わりになると、「自分はなかなかいい」と感じます。高校の終わりになると、「ふつうにいい」と思います。

ところが女子は、3年生をすぎるころには、自分への評価がどんどん落ちていきます。

では、どうやったら、「自分は他の人より優れている、だから自分に関してよい感情でいられること」をやめられるでしょうか?

セルフコンパッションの出番です。

セルフコンパッションは自分のことをポジティブにジャッジする方法ではありません。自分の欠点も長所もあるがままに受け入れ、やさしくすることです。

セルフコンパッションの3つの要素

セルフコンパッションには3つの要素があります。

1.自分にやさしくする(self-kindness)

親しい友だちにするように、自分のことを励まし、理解し、同情し、忍耐強くやさしくします。

失敗したとき、私たちは、自分の友だちにはいいそうにもない言葉を使って自分を責めてしまいます。

親しい友だちはもちろん、別に好きでない人にも言わないだろうひどいことを言ってしまいますね。

セルフコンパッションを実践するときは、こんなことをせず、自分を親しい友人のように扱います。

2.人間が持っている共通点にフォーカス (Common humanity)

セルフエスティームでは、自分は他人とどう違うのか、考えます。

セルフコンパッションでは、自分は他の人とどんなところが同じなのか考えます。

人間の共通点とは?

欠点があることです。

私たちはみな不完全であり、その人生は完璧ではありません。これはどんな人も同じです。

ところが、多くの人は、何かうまくいかないことがあると、「何かが間違っている」と考えてしまいます。「これは異常だ」と。

この「これはふつうじゃない」という気持ちが心に大きなダメージを与えてしまいます。「自分は人と違う」と孤立してしまうのです。

心が折れそうなときは、孤立するのではなく、むしろ人とつながるべきですね。

3.マインドフルネス(mindfulness)

笑顔

自分に生まれてよかった。

マインドフルネスとは、今この時を生きることです。

自分にやさしくするためには、今、自分はつらいんだということに気づき、その事実を受けとめる必要があります。

実際は、自分がつらいとき、なかなかそれに気づかないのです。特に、自分で自分を批判しているときは。

自分を責めることで心はいっぱいで、そのせいで、ものすごくつらくなっていることに気づきません。

自分の今の本当の感情に気づかなければ、自分にやさしくすることはできないのです。

なぜ人は自分で自分を責めるのか?

ここでこんな疑問がわくかもしれません。

「なぜ私たちは自分で自分を責めるの?それが痛みを伴うことだとわかっているのに」。

人が自分を批判する理由はいろいろあります。

一番の理由は、自分をやる気にするために、自分を批判するべきだ、と私たちが信じていることです。

「もし自分にやさしくしすぎたら、自分に甘くなり、なまけてしまう」と考えているのです。

はたしてこれは本当なのでしょうか?

事実は逆です。

自分を批判することは、モチベーションを下げてしまいます。

というのも、自分で自分を批判すると、体の防衛システムが反応するからです。これはトカゲ脳(爬虫類脳)のしわざです。

人が物理的な脅威を前にすると、闘うか逃げるためにアドレナリンとコルチゾールが分泌されます。

昔は、肉体的な脅威に対して、自分を守るためにこういう反応をしましたが、今は、頭の中で脅威を感じたときに同じように反応しています。

だから、何かがうまくいかないと、人は脅威を感じてしまうのです。そしてその脅威を自分で攻撃するわけです。

しかも自分で自分を批判することは、2つのダメージがあります。自分は攻撃する側であり、また攻撃を受けている側です。

そのため、自分を責めるとコルチゾール(ストレスホルモン)がたくさん分泌されます。

自分を日常的に批判していると、いつもストレスレベルが高く、最後には、体は自分自身を守るためにシャットダウンし、うつになります。

うつ状態は、とてもやる気のある状態とは言えませんよね。

哺乳類のケアギビングシステムとは?

幸い、私たちは爬虫類ではなく哺乳類です。別のやり方で安心できる方法があります。それは哺乳類のケアギビングシステムです。

哺乳類はとても未成熟な状態で生まれます。常に、母親がそばにいて、子供の安全を確保しながら世話をします。

つまり私たちの体は、温かく接してもらったり、やさしくさわってもらったり、やさしく話しかけてもらったりすることに反応するようにできているのです。

実際、自分に自分でやさしくすると、コルチゾールレベルは下がり、オキシトシンなど気分のよくなるホルモンが出ます。

私たちは安全で快適な気分のとき、よりベストを尽くそうとします。これは子供をどんなふうに元気づけるか考えてみるとよくわかります。

子供のやる気を出すにはどちらがいいか?

ここに数学の試験で落第した息子をもつ父親がいたとしましょう。

もし父親が、「おまえにはがっかりだ。おまえは負け犬だ。こんなんじゃ、何ごとも成しとげられないぞ」と言ったらどうなるでしょう?

私たちは自分を責めるとき、まさしくこんなふうに言っています。

父親の言葉を聞いて息子はもっとがんばるでしょうか?

短期的にはがんばるかもしれません。ですが、そのうちやる気をなくしてしまうでしょう。

ゆううつになり、失敗を恐れるようになります。

数学を学ぶことをやめてしまうかもしれません。というのも、また失敗したら、とてもつらいことが起きるからです。

もし、父親がコンパッション(やさしくする)アプローチをとったらどうなるでしょうか?

「おやおや、これは痛いね。さぞつらいだろう。残念だね。ハグさせておくれ。成績が悪くても、父さんはおまえを愛しているよ。こんなことは誰にだって起こることだし。

でも、おまえは大学進学希望だから、数学の成績をあげたいと思っているんだったな。数学の成績をあげるために父さんにできること、何かあるかな」。

父親が息子にやさしくすればするほど、息子はもっとがんばろうと思います。

セルフコンパッションの効果は実証されている

これまで私がお話したことはみな科学的に証明されています。近年、セルフコンパッションについてたくさんのリサーチがなされています。

セルフコンパッションのおかげで、うつ、不安、ストレスが解消され、完璧主義も軽減します。

よりモチベーションがアップし、主体的に責任をとり、健康的な生活をするように。

また、より他人とつながりを感じ、人間関係がよくなります。

セルフコンパッションはセルフエスティームにメリットを与える

私たちはセルフコンパッションとセルフエスティームの関係も研究しています。セルフコンパッションを行えば、セルフエスティームのワナを回避できます。

ナルシシズムに陥ったり、他人と比較することなく自信が得られるのです。

セルフコンパッションでは、何かに成功してもしなくても自分を受け入れるので、セルフエスティームを保とうとして、かえってつらいときは、セルフコンパッションの出番なのです。

これは私の体験からも言えることです。

私の人生でもっともつらかったのは、息子が自閉症だと診断されたときです。

この診断を聞かされたとき、とても悲しく、また恥ずかしいとすら思いました。しかし、何よりも息子を愛していたので、悲しいという気持ちを認めることができませんでした。

ですが、セルフコンパッションを何年も研究していたので、こういうときこそ、自分の正直な気持ちを受け入れるべきだとわかっていました。

大変なことになった、悲しいという自分の気持ちを認めれば認めるほど、この難しい時期を早く切り抜け、息子をまるごと愛せるのです。

その後の育児でもセルフコンパッションは何度も私を助けてくれました。

自閉症の子供はかんしゃくを起こします。

イギリス行きの飛行機の中で、息子がいきなりひどいかんしゃくをおこし、叫びだしました。

機内中の視線が私たちに注がれました。

息子は4歳。見た目はごくふつうです。

「いったい、この子どうしたんだろう?なんでこんなふうにかんしゃくをおこしているのか、母親はいったい何をしているのか?なぜ自分の息子を静かにできないのか」。

みんなこんな目で見ていました。

私はすごい恐怖を感じました。

どうしたらいいの?どうしたらいいの?

窓から飛び降りるわけにもいかず、息子をつれてトイレに行きました。

ところがトイレは使用中。

トイレのドアの前のせまい場所で、自分が今すがれるのはセルフコンパッションだけだと思いました。

自分の胸に手をあてて、息子ではなく、自分をなだめようとしました。

「わかってるわ。今はすごく大変ね。でもなんとかなるわ。応援しているわ」と。

そして実際なんとかなりました。自分自身に正直になることで、息子にも心を開くことができたのです。

セルフコンパッションは自分を甘やかすことだ、わがままなことだ、と考える人もいます。ですが、より自分に正直になれれば、他人にもやさしくなれます。

ですから、皆さんにも、自分自身にやさしくしてほしいのです。助けを求めている友だちにそうするように。

頭で考えているより簡単です。そして、本当に人生が変わります。

—- 抄訳ここまで——

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実はこの動画を見るまで、セルフエスティームのワナについて考えたことがありませんでした。

確かに言われてみれば、「自分は大丈夫だ」と思うために、自分と人を比較することはあるかもしれません。

セルフエスティームは別にして、実際、他人と比較して、「自分はあそこまでひどくない」と感じることってよくありますよね。

人と自分を比較することで、自分は恵まれている、と考えたりすることもあります。

常に他人と比較して、自分の心の平安を得ようとしていると、それは完全に他人軸の生き方。かえってストレスが増えます。

動画で言っていたように、自分の中にあるスタンダード(こうあるべきだという状態)が高すぎても、なかなか心は穏やかにならないでしょう。

自分の本当の気持ちをそのまま受けとめて、「べつにそれでもいいんじゃない」と思えれば、こんないいことはないですね。

ただ、自分の正直な気持ちを自分で認めるのは勇気がいります。

ですが、それも自分の中に、「人はこうあらねばならない」という高いスタンダードがあるからですね。

他の人は、ちゃんと順調に暮らしているように見えるけれど、動画で言われていたように、完璧な人生なんてないわけです。

みんな多かれ少なかれ、失敗や挫折、苦労をしています。

「人生というのはこんなふうにだめだめにぐだぐだに過ぎていくものなんだ」と思えれば、自分の正直な声を聞くのも、簡単になるでしょう。

人は一生愛情が必要

mammalian caregiving system(哺乳類のケアギビングシステム)という言葉はこの動画で初めて聞きました。

確かに哺乳類はお乳を飲ませて子供を育てる動物です。常にお母さんにあたる人がそばにいて、愛情をもって子供を育てないと人間らしい人間になりません。

その点についてはこちらに書いています⇒子供のおもちゃが増えすぎて片付かない?極論を言えば買ったおもちゃは必要なし 「フリードリヒ2世の乳児の実験が教えること」をお読みください。

成長したあとも、人間は誰かに愛情をかけられ、やさしくされないと、心がこわれてしまうのかもしれませんね。

その誰かとは、この場合自分自身です。

結局ストレスを感じるのも、自分の見方に大きく影響を受けますから、自分で自分に最後まで愛情を注ぎ続けることが毎日楽しく暮らす秘訣なのです。

============

断捨離やミニマルライフは自分軸を大事にする生き方なのに、やっているうちに、他人と自分を比較して落ち込むワナにはまる人も多いようです。

子供のとき、動画に出てきたお父さんみたいに親や両親に「だめなやつだ」と言われてすぎた人が多いのかもしれません。

うまくいかないことがあって、心が折れそうになったら、せめて自分だけは自分自身に「大丈夫だよ」と言ってあげたいですね。


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