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自分らしい人生を生きる参考になるTEDの動画を紹介しています。今回は、シーナ・アイエンガー(Sheena Iyengar)先生の「How to make choosing easier」(選択をより簡単にする方法)です。
邦題は「選択をしやすくするには」。
「選択をしやすくするには」のTEDの説明
We all want customized experiences and products — but when faced with 700 options, consumers freeze up. With fascinating new research, Sheena Iyengar demonstrates how businesses (and others) can improve the experience of choosing.
私たちは皆、経験や商品をカスタマイズしたいと思っています。けれど、700も選択肢があると消費者は身動きできません。
とてもおもしろい新しいリサーチ結果を提示しながら、シーナ・アイエンガーはどうやってビジネス(と他のことも)において、よりうまく選択できるのか語ります。
現代は選択肢があふれすぎていて、かえって不自由が生じています。アイエンガー先生は、こんな状況で、どうしたら、より選択することがラクになるか、よりよい選択ができるか、その方法を4つ提案しています。
アイエンガー先生は、「選択」をテーマに研究をしている有名な社会心理学者。
コロンビア大学のビジネススクールの教授で、彼女の授業は数年前、NHKで「コロンビア白熱教室」として放映されています。私は見ておりませんが。
The Art of Choosing (邦題:選択の科学)という本も書いています。
この先生はとてもユニークなバックグラウンドを持っていますが、それは後ほど説明します。先に動画をごらんください。
収録は2011年11月、ニューヨーク。長さは16分。日本語字幕を貼ります。字幕なし、英語、その他の言語の字幕を出したい方はプレーヤーで調節できます。動画のあとに要約を書きます。
☆トランスクリプトはこちら⇒Sheena Iyengar: How to make choosing easier | TED Talk | TED.com
☆TEDの概要はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
現代はみんなたくさんの選択をしている
アメリカ人は1日平均70の選択をしています。
CEOは週に139のタスクをしており、彼らの意思決定のうち50%は、9分以内に行われ、12%の決断のみが1時間以上の時間をかけて行われています。
あなたご自身は、毎日どれだけ選択していて、その選択にどのぐらいの時間をかけているのでしょうか。
きょうは、現代社会における大問題である、「たくさん選択をしなければならない問題(the choice overload problem)」と、その解決策をお話します。
ジャムの実験
スタンフォード大学で学んでいたとき、近所にとても品揃えが豊富な、最高級の食料品店がありました。
お酢とマスタードだけで250種類。野菜と果物は500種類、まだ、ペットボトルの水が一般的でなかったのに、20種類も水がありました。
そこで私はジャムを使ってちょっとした実験をしました。この店には348種類のジャムがあります。
私たちは、2種類のジャムの試食販売コーナーを作りました。
●ジャムを6種類だけ並べたコーナー
●24種類のジャムを並べたコーナー
どちらがよりお客さんがやってきたか、よりジャムが売れたか。この2つを調べました。
結果
●24種類のジャムのほうには、60%の客が立ち寄ったが、3%の客が購入しただけ。
●6種類のジャムのほうには、40%の客が立ち寄ったが、そのうち30%の客がジャムを購入した。
つまり、6種類のジャムのコーナーが、6倍のジャムを売ることができました。
選択肢が多すぎると、人は選ぶことができないのです。
選択肢が多すぎるとき起こる3つの弊害
ジャムを買わない選択は、ダイエットにはいいですね。しかし、現代の「選択肢が多すぎる状態」にはこんなデメリットがあります。
1.選択を先延ばしにする。
そうすることが、自分のためにならないときですら後回しにする。
2.より誤った選択、よくない選択をする。
3.自分がした選択に満足できない、後悔する。
たとえその選択が客観的にみてよい選択だったとしても。
豊富な品が並んでいるのを見るのは楽しいのですが、人は、選択肢がありすぎると、比較検討して、選ぶことはできないのです。
そこで、こんなとき、うまく選ぶ方法を4つお伝えします。
上手に選択する4つの方法
1.排除する(cut)
よけいな選択肢を取り除きます。レス・イズ・モアです。
こういうと、売れなくなってしまうと心配する人が多いのですが、実はよけいな選択肢を排除したほうが、逆にセールスはあがると、実証されています。
コストだって削減できます。
2.具体化する (concritization)
それぞれの選択肢の違いを具体的に示します。そうすれば消費者は、それぞれの違いがよくわかり、より簡単に選ぶことができます。
よりリアルにして、実感を感じてもらうようにします。
クレジット・カードを使う人が、現金を使うときより15~30%余計にお金を使うのは、お金を使っている実感が伴わないからです。
3.カテゴリー分けをする(categorization)
たくさんある選択肢をカテゴリー分けすれば、より選びやすくなります。あくまで消費者(選ぶ人)にとってわかりやすいカテゴリーを作ってください。
4.少ない選択肢から始める(condition for complexity)
単純なことから始め、次第に複雑にしていくと、選択することがより簡単になります。
たくさんのことについて選択しなければならないとき、選択肢の少ないものから始めて、次第に選択肢の多い選択に進めば、その逆の順番で始めるより、うまく選択できます。
この4つのテクニックは、自分自身が選択するときにも使えるし、お客さんに商品を提示するときにも使えます。
選ぶという行動にこだわればこだわるほど、あなたの選択の技術(art of choosing)はより向上していきます。
—– 要約ここまで ——
シーナ・アイエンガーのこと
アイエンガー先生は、1969年生まれ。両親はインド人です。
生まれはカナダのトロントですが、3歳のときにアメリカに移住。幼いころ、とてもめずらしい目の病気にかかり、10歳のときにはほとんど視力を失い、読み書きができなくなったそうです。
16歳から盲導犬を使い始めます。今は完全に盲目です。
目が見えないのに、大学に2つ行って、学位を2つ取り、スタンフォード大学で博士号を取得しています。スタンフォード大学の大学院なんて、目が見えていても難関です。お金もいりますが。
両親はシク教徒です。シク教徒の男性はターバンを着用しています(ひげと髪の毛を切らない)。シク教徒はインドでは少数派ですが、教育水準の高い裕福な人が多いそうです。
社会的に活躍している人が多いので、インド人といえばターバンというイメージが定着。ヒンドゥー教の男性がターバンをするのは一般的ではありません。
アイエンガー先生は早くに盲目になってしまったのだから、選択を奪われた状況で育ちました。しかも、家庭はきびしかったので、たくさんの選択肢に恵まれているアメリカ人の学生を見て、カルチャーショックを受けたようです。
そんなこともあって、「選択」を研究テーマにしました。
実生活で選択肢を少なくすることの大切さ
選択肢が多いと、うまく選択できないし、選択を放棄して、かえって、自分の人生に悔いが残ってしまう、という内容は、以前こちらのTEDでも出てきました⇒バリー・シュワルツに学ぶ『選択のパラドックス』(TED)~所持品をミニマムにすると生きやすくなる理由とは?
これはきっと本当のことでしょうね。
1つしか選択できなかったら、それを甘んじて受け、そこに歓びを見出す能力が、人にはあると思います。
一口に選択といっても、お金に関すること、進路、子供の教育、結婚、仕事やキャリア、病気の治療に関するもの、選挙の投票など、大切なものもあれば、そこまで大切でもない、ごくささいな選択もあります。
私にとって、その日着るものを決めることは、どうでもいい決断なので、自動的に決まるようにしています⇒ミニマリスト主婦の普段着とよそ行き~少ない服はストレスフリーで生産性があげる
家の中によけいな物を持ち込んだり、ちまたにあふれる情報を次々と追うことは、どうでもいい決断をする機会を増やす行為ではないでしょうか?
洋服、化粧品、バッグ、靴、その日コンビニで買うおやつ、Facebookで「いいね!」をするかどうか。
まあ、こういうのが「どうでもいい決断ではない、大事な決断です」という人もいるでしょう。それでも、お金の使い方、進路、病気の治療、選挙なんかに比べると、重要度はさがりますよね?
ところが、今の人は、自らたくさんの選択肢を自分に用意し、大事なことを決めるときも、そこまで大事でない何かを決めるときも、同じように時間と頭を使い、選びきれなかったり、選択ミスをしたり、選んだことを後悔しているのです。
限られた人生の時間、どうでもいいことの選択に使う時間は思い切りカットしたほうが、楽しく生きられるのではないでしょうか?
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アイエンガー先生の本、読んだことがないのですが、いつもいつも自分で選択することが必ずしも幸せにつながらない、と書いてあるそうです。
場合によってはその道のプロに選択してもらったほうがいいのです。ただし、誰に選択をゆだねるか、その選択はじっくり自分でしなければなりません。
余談ですが、シク教徒の男性は髪を切らないので、ターバンをとり、髪をおろすと、まるで平安時代のお姫さまのように長いみたいです。腰ぐらいまでらしいので、お姫様には負けるでしょうか。
それでも洗髪は週に2回ぐらい。暑いインドで蒸れないのでしょうか?
たぶん、湯シャンだと思うので、よけいな化学物質をつけないから、かゆくならないのでしょうね。