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海外のメディアを使って英語を学習するシリーズ。今回も片付けコンサルタントの、近藤麻理恵さん関連のニュースをとりあげます。
アメリカの雑誌TIMEで The 100 Most Influential People (もっとも影響力のある100人)に選ばれた記事です。
これは2015年の4月27日発売のTIMEにのっています。
こんまりはArtists(アーチスト)のカテゴリーです。
多少意訳しています。
Organizer in chief お片づけの隊長
私は、近藤麻理恵さんの本が書かれるずっと前から、彼女流のシンプルで、明快なルールにしたがってガラクタのない生活を送ってきました。
私の母は、早くから整理整頓を生活に取り入れていて、私もそれに従っていたのです。
ですが、現代のマリ・ポピンズ(Marie Poppins)から、私もいくつかの片付けテクニックを学びましたよ。彼女は、ここ何十年も行われている片付けを、自己啓発に変えました。ひとつの技術に変えて、大勢の人を、にわかに片付けに熱中させたのです。
彼女の本、The Life-Changing Magic of Tidying Up は文字通り、「物の捨て方」が書かれています。この豊かな社会で、物が多すぎる生活に苦しんでいる人、誰にでも、この本をおすすめします。(近藤さんのおかげで、私も古いソックスに別れのキスをできます)。
私がコンマリメソッドで1番好きな点は、捨てるものに敬意を払うようにと言っているところです。もし、ときめかなかったら、その物との思い出に感謝し、誰か別の人のところで、ときめいてもらうようにするのです。
私がどれほど近藤さんを尊敬しているのかというと、もし私が刺青をいれるとしたら、spark joy! (ときめく)という文字にするほどなのです。
— 和訳ここまで—
単語・表現の注釈
Organizer in chief
in chief は仕事の責任者である、ということ。
editor-in-chief 編集長 という言葉のもじりだと思うので、「片付け隊長」と訳しておきました。
I the apple from her very organized tree.
直訳は、私は彼女の(ジェミー・リー・カーチスのお母さんの)、とてもきちんとした木からとれたリンゴである。つまり、お母さんが片付けが得意だったので、自分も整理整頓をする人間になった、ということ。
modern-day “Marie Poppins,” 現代のマリ・ポピンズ(メアリー・ポピンズ)
近藤麻理恵のこと。トラバースの書いた小説の主人公で Mary Poppinsのメリーと麻理恵という名前をかけています。メアリー・ポピンズは家事をするお手伝いさん。ただのお手伝いさんではなく、魔法を使うので、近藤さんのこととしてあげたのでしょう。
こんまりの名前は「まりえ」ですが、英語では「マリ」と発音しています。
what I have called brooming for decades
直訳は、何十年もほうきではいていると私が呼ぶ所のもの。魔法使いと掃除には、ほうきがつきものなので、broom (ほうきで掃く)という単語を使ったのだと思います。
shelf help 直訳は「棚の助け」。self help (自助、自己啓発) のしゃれ。棚の中を片付けながら、自己も助ける、つまり、片付けをすることで自己啓発するということ。
The Life-Changing Magic of Tidying Up 「人生がときめく片付けの魔法」の英語版のタイトル。直訳は「人生を変える片付けの魔法」
a legion of newly neat devotees 最近、片付けることに熱狂しはじめた大勢の人々。legion は 軍団 という意味 devotee は 愛好者、熱愛者、狂信的な信者。
heave-ho これはもともと船で水夫がロープをひっぱるときの掛け声で、「せーの」とか「よっこらしょ、どっこいしょ」と訳せますが、除去する、解雇する、首にする、お払い箱にする、という意味があります。この場合は物を捨てること。
ジェミー・リー・カーチスのシンプルライフ
興味深いのは女優のジェミー・リー・カーチスがこの記事を書いているこす。私、この方のファンです。ジェミー・リーもシンプルライフの信奉者です。
カーチスはなかなか巧みな言葉を使っています。こんまりの本は、日本語のほうも英語のほうも、ひじょうに文体がリズミカルで読みやすいので、その点も受けている要因かもしれませんね。
ジェミー・リー・カーチスは、記事にもあるように、もともと、すごく家の中をきちんと整理整頓していて、独自の掃除用ぞうきんを作ったり、雑誌で片付け方法を見せたりしています。
ジェミー・リー・カーチスのプロフィール
彼女は1958年11月22日生まれで、筆子より半年ほど年上です。現在の年齢は同じです。
お父さんは俳優のトミー・カーチス、お母さんは女優のジャネット・リー。
トミー・カーチスは有名な2枚目俳優。ジャネット・リーはヒッチコックの「サイコ」でシャワーの中でナイフをぐさぐさ刺されて(といっても刺されるカットはない)殺される役をやった人。
両親は早くに離婚して、どちらとも疎遠だというふうに語っていますが、きれい好きはお母さんの影響だったのですね。
ジェミー・リー・カーチスのデビューは1977年の刑事コロンボ「殺しの序曲」のウエイトレス役。
その後「ハロウィーン」などホラー映画で有名になり、80年代、90年代はコメディやドラマと、いろいろな役どころで映画に出て大活躍していました。
彼女は女優業だけでなく、子供むけの本を何冊もだしている小説家でもあります。またチャリティーも熱心にやっています。カメラも趣味です。
2000年以降は自分のやりたいことと、家族に時間をさきたいと言って、あまり映画の仕事はやっていません。
年をとるのを楽しんでいるジェミー・リー・カーチス
ジェミー・リーは、もともとシンプルライフ志向で、とても率直な性格の女優さんです。
50歳になるまえに、AARP( American Association of Retired Persons)と言う、全米退職者協会の雑誌(50歳以上のシニア向けの雑誌)の表紙にトップレスで登場しました。
50歳過ぎても、人は美しくいられるとアピールしたわけです。
同誌のインタビューでは、「年をとるのが楽しいし、20歳の頃より、強く、賢くなっている」と言っていました。
また、年をとることは、いらないものを捨てて、より自分の本質に近づくことであるそうです。
これまで、さんざんいろいろな髪型、服装、美容、ダイエットを試してきたので、これからはより自分自身でありたいからと、あえて髪を染めず、白髪にしています。
インタビューによれば、白と黒の服しか着ないし、年に3~4着のドレスを買って、ローテーションするそう。ジーンズも1本しか持っていないとのこと。宝石はしないから、すべて人にあげてしまったそうです。
女優さんには珍しいライフスタイルですね。70歳になったとき、より活き活きとして、強くありたいから、ヨガやテニスで鍛えているようです。
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ジェミー・リーはミニマリストではないので、それなりにたくさん服を持っていますが、毎日、何かしら断捨離しているようです。いつも人にあげています。
彼女のお母さんのジャネット・リーは美人女優でしたが、年をとって容色が衰えることにすごく苦しんでいたそうです。
それが反面教師になり、自分自身は、あるがままの姿を受け入れているのかもしれません。
まあ、もともとすごくプロポーションのいい女優さんですが、それでも、商売柄、白髪染めをしないのは勇気があると思います。
私も見習いたいです。やはり、50歳からは縮小ですね。
ところで、「こんまりがTIMEの100人に選ばれた理由がわからない」という声もなきにしもあらずなのですが、この100人は、タイムの編集者が選んだ、たくさんの候補者から、読者が「影響力のある100人にふさわしい、ふさわしくない」と投票しています。最終的には編集者が決定したようですが。
「過去1年であなたの人生を変えた人」、を選ぶので、こんまりメソッドで片付けをして、「人生が変わった」、と感じている人がたくさん投票したのでしょう。
こんまりの本がアメリカで出版されたのは、2014年の秋で、決定の半年前。まだリバウンドも起こっていなかったと思われます。
所持品が減ると、生活の質が変わることは確かです。